この章では、Java ES 7 Base の製品の相互運用性について説明します。「相互運用性」という用語は、2 つの製品を競合せずに運用できることを指します。相互運用性の例としては、次のものが挙げられます。
共存 – 2 つの製品を同じシステムにインストールして実行でき、その場合に一方の製品がもう一方の製品の運用に干渉しません。
データの共有 – 2 つの製品を同じデータストア上で運用できます。その際に各製品がほかの製品による変更を無効にしたり、ほかの製品の運用に干渉したりしません。
依存性 - 別の製品を必要とする製品が、それぞれほかの製品の運用に干渉せずに、必要な製品を使用できます。たとえば、特定の Web アプリケーションを特定の Web コンテナに配備でき、Web アプリケーションと Web コンテナの両方が正常に動作します。
この章では、2 つの製品の共存がなんらかの制限や制約を受けるか、共存に特殊な設定が必要になる場合を除き、共存について特に説明しません。
この章では、Java ES 7 Base 製品の相互運用性について、次の 2 種類の情報を提供します。
「相互運用性に関する注釈」では、Java ES 7 の製品バージョン間相互の連携動作について説明します。
「製品バージョンの下位互換」では、各製品とその製品自体の以前のバージョンとの連携動作、および依存する製品の以前のバージョンとの連携動作を説明します。
相互運用性の対応表の表 2–2 は、&ShortNam ES; 製品の相互運用性について要約しています。この対応表を使用する前に、表 2–1 を参照しておくと、製品の略語が理解しやすくなります。
この対応表を使用するには、まず関心のある製品の行を特定してから、その製品と Java ES 7 のほかの製品との交差部分を見てください。ここにどう書かれているかによって相互運用性を確認できます。「Yes」なら該当する製品との相互運用性があり、「No」なら相互運用性はありません。空白なら、該当する製品との相互作用なしです。「Yes」または「No」に続く番号は、相互運用性に関して該当する注釈 (「テクノロジーに関する注釈」) があることを示しています。
Java ES 7 製品を多数掲載できるように、表 2–2 では、表 2–1 に記載した製品に対応する略語を使用しています。
表 2–1 Java ES コンポーネント製品の略語
略語 |
製品 |
---|---|
DSEE | |
ESB | |
GFES | |
GFWS | |
GFWSS | |
HADB | |
IDM | |
JCAPS | |
MQ | |
NB | |
OSSOE | |
SC |
Solaris Cluster (Solaris Cluster Agents および Solaris Cluster Geographic Edition を含む) |
WPS | |
WS |
Java ES 7 Base の最新の製品バージョン番号については、表 1–1 を参照してくだ い。
上記に記載された製品すべてが Java ES に含まれているわけではありません。Sun GlassFish Portfolio 2009.12 やその他のオプションの Java ES 製品スイートに含まれていることもあるのでご注意ください。ここで相互運用性を記載しているのは、Java ES Base コンポーネントとの関係があるためです。の最新の製品およびバージョンについては、『Sun GlassFish Portfolio 2009.12 リリースノート』の「GlassFish Portfolio 2009.12 に含まれている製品」を参照してください。
この表からわかるのは、1 組の製品間の相互運用性に関する情報だけです。製品間に生じる可能性のある一般的な問題に関する情報は、この表では確認できません。相互運用性と機能の可用性について概要を完全に把握するには、この表とともに目的の製品のリリースノートを使用してください。
表 2–2 Java ES 7 製品バージョンの相互運用性
DSEE 6.3.1 |
GFES 2.1.1 |
GFWSS 10.0U6 |
MQ 4.3 |
OSSOE 8.0U1P2 |
SC 3.2 1/09 |
WPS 4.0.11 |
WS 7.0U6 |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
DSEE 6.3.1 |
— |
Yes (1) |
Yes |
Yes |
Yes |
Yes |
No (1) |
|
GFES 2.1.1 |
Yes (1) |
— |
Yes |
Yes |
Yes |
Yes |
Yes (2) |
Yes (2) |
GFWSS 10.0U6 |
Yes |
Yes |
— |
Yes |
Yes |
No |
||
MQ 4.3 |
Yes |
Yes |
— |
Yes |
Yes |
Yes |
||
OSSOE 8.0U1P2 |
Yes |
Yes |
Yes |
Yes |
— |
Yes |
Yes |
|
SC 3.2 1/09 |
Yes |
Yes |
Yes |
— |
Yes |
Yes |
||
WPS 4.0.11 |
Yes (2) |
Yes |
Yes |
Yes |
— |
Yes (2) |
||
WS 7.0U6 |
No (1) |
Yes (2) |
No |
Yes |
Yes |
Yes |
Yes (2) |
— |
GFWS 1.5 |
Yes (1) |
Yes (2) |
Yes |
Yes |
Yes |
Yes (2) |
Yes (2) |
|
IDM 8.1 |
Yes |
Yes |
Yes |
Yes |
Yes |
Yes |
No (3) |
|
JCAPS 6.2 |
Yes |
Yes |
Yes |
Yes |
Yes |
Yes |
No (3) |
上の表に記載されている挿入番号の注釈については、下記のテクノロジーに関する注釈の項を参照してください。
DSEE 6.3.1 と Web コンテナ。
Directory Server Enterprise Edition の Directory Server Control Center コンポーネントは、Web コンテナに配備する必要があります。GlassFish Enterprise Server および Apache Tomcat (GlassFish Web Stack の一部) 上での配備はサポートされていますが、Web Server 上での配備はサポートされません。Directory Server Enterprise Edition のほかのコンポーネントは、Web コンテナと相互作用しないので、Web コンテナとの間の相互運用性は問題となりません。
Web サーバー、コンテナ、およびプロキシの共存。
Web サーバー、コンテナまたはプロキシのどれか 2 つを同じシステムにインストールする場合、2 つの製品が業界標準ポート上で同じリスナーサービス (たとえば、ポート 80 にバインドされた HTTP リスナーサービス) を提供しようとしてもポートの競合が発生しないことを確認する必要があります。共存によってこのようなポートの競合が発生すると考えられる製品は、次のとおりです。
GlassFish Enterprise Server
Web Proxy Server
Web サーバー
GlassFish Web Stack (Apache Server や Apache Tomcat など、一部のコンポーネント)
IDM 8.1/JCAPS 6.2 および WS 7.0U6。
IdentityManager と Java CAPS はいずれも、Web サーバーを Web コンテナとしてはサポートしません。ただし、サービスおよび管理インタフェースがサポート対象の Web コンテナに配備されている場合には、両製品のサービスおよび管理インタフェースを Web サーバーの逆プロキシプラグイン機能で使用できます。
以降の節では、Java ES 7 の各製品の下位互換について説明するとともに、該当の製品自体の従来バージョンとの互換性、および動作するうえで依存する製品の従来バージョンとの互換性を取り上げます。
Solaris Cluster 3.2 1/09 は、従来バージョンの Solaris Cluster との互換性がありません。クラスタ内のノードはすべて、同じバージョンの Solaris Cluster を実行している必要があります。
Solaris Cluster Geographic Edition 3.2 1/09 は、従来バージョンの Solaris Cluster Geographic Edition との互換性がありません。Solaris クラスタ内のノードはすべて、同じバージョンの Solaris Cluster Geographic Edition を実行している必要があります。
Solaris Cluster は、ほかの Java ES 製品には依存しません。
Solaris Cluster Geographic Edition は、Solaris Cluster に依存します。
Solaris Cluster Geographic Edition 3.2 1/09 は、次のバージョンの Solaris Cluster でサポートされています。
Solaris Cluster 3.2 2/08
Solaris Cluster 3.2 1/09
Sun GlassFish Enterprise Server 2.1.1 は、Sun Java System Application Server バージョン 9.1、8.2、8.1、8.0 および 7.x とのバイナリ互換があります。
Application Server 9.1 上で動作する Java アプリケーションは、GlassFish Enterprise Server 2.1.1 上で動作します。同様に、Application Server バージョン 8.2、8.1、8.0 および 7.x 上で動作する Java アプリケーションも互換性のない場合を除き、GlassFish Enterprise Server 2.1.1 上で動作可能です (『Sun GlassFish Enterprise Server v2.1.1 Upgrade Guide』の第 1 章「Enterprise Server Compatibility Issues」の説明を参照)。
表 2–3 に、Glass ish Enterprise Server 2.1.1 が依存する Java ES 製品の互換性情報を示します。
表 2–3 GlassFish Enterprise Server が依存する製品
製品 |
依存性の種類 |
サポートされるバージョン |
---|---|---|
Message Queue |
必須の依存性: 信頼性の高い非同期メッセージングを実現します。 |
バージョン 4.3 (GlassFish Enterprise Server 2.1.1 に付属するバージョン 4.4) |
Web サーバー |
オプションの依存性: インスタンス間の負荷分散を実行します。 |
バージョン 6.1/7.0、および 6.1/7.0 との下位互換を持つ 6.1/7.0 以降のマイナーバージョン |
バージョン 10.0 は、Sun GlassFish Web Space Server の最初のリリースから 6 回目の更新です。すべての Web Space Server Update リリースに、下位互換性があります。
表 2–4 に、GlassFish Web Space Server 10.0 Update 6 が依存する Java ES 製品の互換性情報を示します。
表 2–4 GlassFish Web Space Server が依存する製品
製品 |
依存性の種類 |
サポートされるバージョン |
---|---|---|
GlassFish Enterprise Server |
必須の依存性: J2EE Web コンテナの実行時サービスを提供します。 |
バージョン 2.1 |
OpenSSO Enterprise |
オプションの依存性: 認証/承認サービスを提供します。 |
バージョン 8.0 |
Directory Server Enterprise Edition 6.3.1 は一般的に、Directory Server Enterprise Edition バージョン (バージョン 6.0 まで) との互換性を備えていますが、その場合でも若干の互換性の制約が伴います。Directory Server、Directory Proxy Server、Identity Synchronization for Windows、Directory Server Resource Kit、および Directory Editor の互換性の詳細については、『『Sun Java System Directory Server Enterprise Edition 6.3.1 Release Notes』の第 1 章「Compatibility Issues」」を参照してください。
プラグイン API の互換性については、『Sun Java System Directory Server Enterprise Edition 6.3 Developer’s Guide』の第 2 章「Changes to the Plug-In API Since Directory Server 5.2」および『Sun Java System Directory Server Enterprise Edition 6.3 Developer’s Guide』の第 3 章「Changes to the Plug-In API From Directory Server 4 to Directory Server 5.2」を参照してください。
表 2–5 Directory Server Enterprise Edition が依存する製品
製品 |
依存性の種類 |
サポートされるバージョン |
---|---|---|
GlassFish Enterprise Server |
オプションの依存性: Directory Service Control Center (DSCC) に適用されます。DSEE インタンスを管理するには、DSEE を J2EE の Web コンテナに配備する必要があります。 DSCC は複数の J2EE Web コンテナをサポートしているので、GlassFish Enterprise Server への依存性はオプションです。 |
バージョン 2.1 以降、Sun Java System Application Server 8.2 以降 |
Message Queue 4.3 は一般的に、Message Queue バージョン (バージョン 3.6 まで) との互換性を備えていますが、若干の互換性の制約が伴います。ブローカ、クライアント、管理対象オブジェクト、および管理ツールの互換性の詳細については、『『Sun Java System Message Queue 4.3 Installation Guide』の「Compatibility Issues」」を参照してください。
Message Queue 4.3 が提供する公開インタフェースの安定性については、『『Sun Java System Message Queue 4.3 Administration Guide』の付録 B「Stability of Message Queue Interfaces」」を参照してください。
Message Queue の場合、ほかの Java ES 製品に対する依存性は必須ではありませんが、必要に応じてほかの一部の Java ES 製品を使用することにより拡張機能の利用を可能にしています。このような Message Queue の依存性に関する追加情報については、各コンポーネント製品のドキュメントを参照してください。
表 2–6 Message Queue が依存する製品
製品 |
拡張機能 |
サポートされるバージョン |
---|---|---|
DirectoryServer |
管理対象オブジェクトおよびユーザーデータを、ローカルにではなく LDAP ディレクトリに格納 |
バージョン 6.0、および 6.0 との下位互換を持つ 6.0 以降のマイナーバージョン |
GlassFish Enterprise Server |
クライアントとブローカ間の HTTP メッセージングのサポート |
バージョン 2.1、および 2.1 との下位互換を持つ 2.1 以降のバージョン。 |
Sun Java System Application Server |
クライアントとブローカ間の HTTP メッセージングのサポート |
バージョン 9.1、および 9.1 との下位互換を持つ 9.1 以降のバージョン。 |
Solaris Cluster |
高可用性サポートの提供 |
バージョン 3.2、および 3.2 との下位互換を持つ 3.2 以降のマイナーバージョン |
Web サーバー |
クライアントとブローカ間の HTTP メッセージングのサポート |
バージョン 7.0 Update 3、および 7.0 Update 3 との下位互換を持つ 7.0 Update 3 以降のアップデート |
GlassFish Enterprise Server 2.1.1 には、Message Queue 4.4 が付属しています。Sun OpenSSO Enterprise 8.0 Update 1 Patch 2 には、Message Queue 4.3 が付属しています (セッションフェイルオーバー機能付き)。
Web Proxy Server 4.0.11 は、Web Proxy Server バージョン (4.0 まで) との下位互換があります。
Web Proxy Server の場合、ほかの Java ES 製品に対する依存性は必須ではありませんが、必要に応じて Directory Server (Directory Server Enterprise Edition) を使用することにより LDAP ベースの認証を可能にしています。Directory Server を使用している場合、Web Proxy Server 4.0.11 で Directory Server バージョン 5.2 および 6.x がサポートされます。
Web Server 7.0 Update 6 は、Web Server バージョン (7.0 まで) との下位互換があります。
Web Server の場合、ほかの Java ES 製品に対する依存性は必須ではありませんが、必要に応じて Directory Server (Directory Server Enterprise Edition) を使用することにより LDAP ベースの認証を可能にしています。Directory Server を使用している場合、Web Server 7.0 Update 4 で Directory Server バージョン 6.x がサポートされます。
OpenSSO Enterprise 8.0 U1P2 は、その先行製品である Sun Java System Access Manager のバージョンとの互換性が確保されています。具体的な情報は次のとおりです。
OpenSSO Enterprise 8.0U1P2 は、すべての Access Manager 7.1 および Access Manager 7 2005Q 4 の既存機能 (たとえば、フル SDK やクライアント SDK API) に対する下位互換をサポートしています。次のリリースに対しては、下位互換がサポートされていません。
Access Manager 6 2005Q1 (6.3) およびそれ以前のリリース。
Liberty ID-FF スキーマのメタデータ: Directory Server 内の Access Manager または Federation Manager のスキーマをアップグレードしないかぎり、Liberty ID-FF プロファイルは機能しません。
OpenSSO Enterprise 8.0U1P2 は、OpenSSO Enterprise および Access Manager 7.1 の各インスタンスが同じ Directory Server スキーマにアクセスする場合にかぎり、Access Manager 7.1 と共存できます。この共存が発生するのは通常、Access Manager 7.1 の複数インスタンスが同じ Directory Server スキーマにアクセスしていて、順次に更新される場合です。次のリリースに対しては、共存がサポートされていません。
Access Manager 7 2005Q4
Access Manager 6 2005Q1 (6.3) およびそれ以前のリリース
Federation Manager 7.0
下位互換の詳細については、『『Sun OpenSSO Enterprise 8.0 Upgrade Guide』の「Backward Compatibility with OpenSSO Enterprise 8.0」」を参照してください。
共存の詳細については、『『Sun OpenSSO Enterprise 8.0 Upgrade Guide』の「Coexistence with OpenSSO Enterprise 8.0」」を参照してください。
OpenSSO Enterprise の場合、ほかの Java ES 製品に対する依存性は必須ではありませんが、必要に応じて複数の Java ES 製品を使用して Web コンテナに対する必須の依存性条件を満たし、ほかの Java ES 製品を使用して拡張機能の利用を可能にしています。OpenSSO Enterprise 8.0 に関するオプションの依存性の情報を、表 2–7 に示します。·
表 2–7 OpenSSO Enterprise が依存する製品
製品 |
依存性の種類 |
サポートされるバージョン |
---|---|---|
Directory Server Enterprise Edition |
OpenSSO Enterprise は必要に応じて LDAP Server を使用して、構成データおよびユーザーデータの保管を可能にしています。 |
バージョン 5.2、6.0、6.3、および 6.3.1。DSEE 6.2 は、Sun Alert により、廃止されましたのでご注意ください。 |
GlassFish Enterprise Server |
OpenSSO Enterprise には Web コンテナが必要です。 |
Version 2.1 のほか、Sun Java System Application Server バージョン 9.1 Update 1 および Update 2 |
Message Queue |
セッションフェイルオーバー機能が有効な場合、OpenSSO Enterprise には Message Queue が必要です。 |
バージョン 4.1、および 4.1 との下位互換を持つ 4.1 以降のマイナーバージョン |
Web サーバー |
OpenSSO Enterprise には Web コンテナが必要です。 |
バージョン 7.0 Update 3 以降 |