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Oracle Enterprise Planning and Budgetingユーザーズ・ガイド
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Oracle Enterprise Planning and Budgetingの基本要素

Enterprise Planning and Budgetingの概要

Enterprise Planning and Budgetingは、計画、予算および予測の各ビジネス・プロセスを管理する豊富な機能を備えたエンタープライズ・アプリケーションです。Enterprise Planning and Budgetingは、Oracleのリレーショナル技術を使用したWebベースのソリューションとして配布され、スケーラブルな多次元分析および監視機能を提供します。

データ・スキーマ

Enterprise Planning and Budgetingは、すべてのタイプの財務データと業務データを統合し、データの単一ソースとして機能する統合Enterprise Performance Foundationに基づいて構築されています。このEnterprise Performance Foundationには、データ・ウェアハウス、取引システム、スプレッドシートなどのソースからデータを受け入れるオープンな環境が備わっています。データ・モデルには、すべてのメタデータに関する共通の定義が保持されています。

Enterprise Performance Foundationの詳細は、『Oracle Enterprise Performance Foundationユーザーズ・ガイド』を参照してください。

ビジネス・フレームワーク

Enterprise Planning and Budgetingでは、重要なビジネス・プロセスを管理するためのフレームワークが提供されます。このフレームワークによって、企業全体で共有するビジネス・ドライバやビジネス・モデルの定義が可能になります。ユーザー定義のビジネス・エリアでは、特定の企業エンティティまたは機能に対する一意のメタデータが提供されます。

各計画タイプは個別のビジネス・プロセスとして定義でき、ビジネス・プロセス所有者は、これらのビジネス・プロセスに対してディメンション、ビジネス・ルール、タスクおよびスケジュールを指定します。たとえば、戦略計画では、5年先の見通しを高いレベルで立て、統計に基づいた予測とモデル化を組み込むことができます。つまり、この計画は1年おきに繰り返して使用できます。これと同時に、2番目のプロセスでは、会計年度末までの詳細な年間計画を作成し、コラボレイティブ・データ・エントリを使用して年間の履歴情報を想定します。予算について定義される3番目のプロセスでは、データ・エントリを下位組織に順にカスケードし、人員数や給与予算を取得し、各レベルで必要な目標と承認を使用して他の原価を想定します。4番目のプロセスでは、次の18か月間に対する四半期ローリング予測を生成します。

各プロセス内で、ビジネス・プロセス所有者は、差異識別、例外分析および通知を制御および自動化できます。

複数通貨をサポートするビジネス・プロセスの場合は、現地通貨または指定通貨で履歴情報を分析して予算と計画を作成し、その他の通貨で表示できます。計画と予算を上下の組織間で統合したり配布するときは、計画と予算を通貨間で換算することもできます。

レポートおよびデータ分析

組織のレポート要件に加え、非定型のWhat-If分析や例外分析をサポートする多次元の文書を作成できます。文書は、注釈の入力、様々な形式へのエクスポート、および他のユーザーとの共有が可能です。Oracle XML Publisherとの統合によって、指定ユーザーに配布できるカスタム書式による文書の生成がサポートされています。

Enterprise Planning and Budgetingには、よく使用されるビジネス・フォーミュラ用に一連の計算テンプレートが用意されています。これらのテンプレートを使用すると、簡単な計算または複雑な計算を定義して、文書や例外に適用できます。文書と同様に、計算も企業全体で共有できます。

データおよびオブジェクトのセキュリティ

Enterprise Planning and Budgetingでは、データとオブジェクトに対するセキュリティがサポートされています。セキュリティ管理者は、承認済ユーザーに対してデータ・アクセス(データ所有権、読取りアクセス、書込みアクセスおよびメタデータ範囲)を指定します。また、アカウントに対する職責を永続的または一時的に使用できる、シャドウ・ユーザーを割り当てることもできます。

文書、保存済の選択、計算などのオブジェクトを作成したユーザーは、これらのオブジェクトに対するアクセス権を他のユーザーに付与できます。

データ構造

Enterprise Planning and Budgetingでは、次のオブジェクトを使用してデータが編成されます。

ディメンションおよびディメンション・メンバー

ディメンションは、データを単一のオブジェクトに分類します。ディメンションの例には、時間、地域、組織、製品などがあります。ディメンション・メンバーは、ディメンションを構成する個々の項目です。たとえば、サンフランシスコやニューヨークが組織ディメンションのメンバーとなる場合があります。

ビジネス・プロセスを実行すると、共有データ・ビューにデータが移入されます。ビューの作成方法と作成時期はビジネス・プロセスの所有者が制御します。ビューは、ビュー・ディメンションのメンバーとして表示され、ユーザーが簡単に選択できます。たとえば、実績ビューを使用するか予算ビューを使用するかを選択できます。

明細は一意のディメンションであり、そのメンバーによってデータ値が格納または計算されます。明細ディメンション・メンバーは通常、勘定科目コードまたは他のタイプの財務、統計または経営指標を参照します。明細ディメンションは多くの場合、Enterprise Performance Foundationの明細項目ディメンションです。ただし、複数のマージされた明細タイプ・ディメンションで構成される場合や、名前が異なる場合(「勘定科目」など)があります。

作業中のビジネス・エリアによっては、通貨ディメンションが使用できる場合もあります。

階層およびレベル

ディメンション・メンバーは、複数のレベルに配置され、各レベルがその下にあるレベルのデータの集計を表す場合があります。たとえば、組織ディメンションの階層は、世界->大陸->国->サイト->コスト・センターの各レベルで構成され、各レベルのデータはその親のレベルに集計されます。各メンバーは特定のレベルに属します。たとえば、欧州は大陸に、フランスは国に、リヨンはサイトに属します。

階層によって、データの集計レベルと割当レベルが指定されます。文書を表示するときは、階層をドリルアップおよびドリルダウンして様々なレベルのデータを参照できます。データをレベルで選択することもできます。

ディメンションには複数の階層を設定できます。たとえば、組織には、地域的階層(例: 世界->大陸->国->サイト->コスト・センター)と管理上の階層(例: 全世界->ライン・オブ・ビジネス->コスト・センター)の両方を設定できます。

属性

属性は、Enterprise Planning and Budgeting内のディメンション・メンバーを説明するプロパティまたはクオリファイアです。日付、数値、文字列などの属性があります。たとえば、地域ディメンションには、その地域の居住者数を示す人口属性が設定される場合があります。

ユーザー職責

Enterprise Planning and Budgetingでは、次のユーザー職責がサポートされています。

アカウントに対して全機能を持つ職責または通知のみの職責を必要に応じて使用できる、シャドウ・ユーザーの割当もサポートされています。

アナリスト

アナリストは、文書やフォルダを作成および管理し、ワークシートを使用してデータを入力できます。ビジネス・プロセスのステータスを監視し、例外アラートを定義することもできます。

ビジネス・プロセス管理者

ビジネス・プロセス管理者は、組織内の機能領域に関する責任者です。ビジネス・プロセス管理者は、アナリストの全機能を持ちます。さらに、次の機能についても責任があります。

コントローラ

コントローラは、多くの場合、組織の財務または運用部門内の上級ロールに属します。コントローラは、特定のビジネス・エリアを管理するビジネス・プロセス管理者をサポートします。また、すべてのデータに対して全機能権があり、ビジネス・プロセス管理者およびアナリストに関連付けられているすべての機能を実行できます。さらに、次の機能について独自に責任があります。

セキュリティ管理者

セキュリティ管理者は、データへのユーザー・アクセスを制御します。次の機能について責任があります。

シャドウ・ユーザー

シャドウ・ユーザーは、Enterprise Planning and Budgeting内にアカウントがあり、さらに自分自身のアカウント以外のアカウントに対するアクセス権も付与されているユーザーです。セキュリティ管理者は、ビジネス・プロセス管理者が他のビジネス・プロセス管理者をシャドウイングできるように、またアナリストが他のアナリストをシャドウイングできるように権限を付与します。コントローラは、どのビジネス・プロセス管理者のアカウントにも常にアクセスできます。特別な承認は必要ありません。

初めて使用する際のヒント

次に、Enterprise Planning and Budgetingを使用する際のヒントをいくつか示します。

Enterprise Planning and Budgetingへのアクセス

Enterprise Planning and Budgetingには、企業ポータルまたはOracle Applicationsからアクセスします。どちらの方法を使用するかは管理者から通知され、アプリケーションのURLが提供されます。ログイン後に、職責を選択します。

次に、ログインのガイドラインを示します。

シャドウ・ユーザーとしてのアカウントへのアクセス

あるアカウントへの全機能権があるシャドウ・ユーザーの役割を果たすように指定されている場合は、Enterprise Planning and Budgetingにログインした後で、そのアカウントに切り替えることができます。自分自身のアカウントへはいつでも戻ることができます。

注意: アカウントの所有者が現在ログインしている場合、または全機能権がある別のシャドウがログインしている場合は、アクセス権を取得できません。

シャドウ・ユーザーとしてアカウントにアクセスする手順

  1. 自分自身のユーザー名とパスワードでEnterprise Planning and Budgetingにログインします。

  2. 複数の職責がある場合は、シャドウイングするユーザーの職責を選択します。

  3. プロンプトが表示された場合は、ビジネス・エリアを選択します。

  4. ページの上部にある「ユーザーの切替」をクリックします。

    ユーザー・プロファイルの切替ページが開き、この職責に対してシャドウイングする権限が付与されているアカウントがリストされます。

  5. 作業するアカウントに対応する「選択」をクリックし、「適用」をクリックします。

    この時点から、そのアカウントに所有者としてアクセスしています。

自分自身のアカウントに戻る手順

ページの上部にある「セルフに戻る」をクリックします。

ビジネス・プロセス管理者のアカウントへのコントローラとしてのアクセス

コントローラは、ビジネス・プロセス管理者のアカウントにその個人としてアクセスできます。

注意: アカウントの所有者が現在ログインしている場合は、アクセス権を取得できません。

ビジネス・プロセス管理者のアカウントにコントローラとしてアクセスする手順

  1. 自分自身のユーザー名とパスワードでEnterprise Planning and Budgetingにログインします。

  2. 複数の職責がある場合は、シャドウイングするユーザーの職責を選択します。

  3. プロンプトが表示された場合は、ビジネス・エリアを選択します。

  4. ページの上部にある「ユーザーの切替」をクリックします。

    ユーザー・プロファイルの切替ページが開き、切替可能なビジネス・プロセス管理者のアカウントがリストされます。

  5. 作業するアカウントに対応する「選択」をクリックし、「適用」をクリックします。

    この時点から、そのアカウントに所有者としてアクセスしています。

自分自身のアカウントに戻る手順

ページの上部にある「セルフに戻る」をクリックします。

シャドウ・ユーザーに対する権限の設定

シャドウ・ユーザーに権限を付与するのはセキュリティ管理者ですが、各アカウントの所有者は、割当済シャドウに対する現在の権限レベルを表示、設定および変更できます。たとえば、休暇をとる場合は、自分のアカウントに対する「全機能」をシャドウに付与し、休暇の終了後に権限レベルを「アクセスなし」に変更できます。

注意: セキュリティ管理者も権限レベルを変更できます。

シャドウ・ユーザーに対する権限を設定または変更する手順

  1. 通常使用しているユーザー名とパスワードでEnterprise Planning and Budgetingにログインします。

  2. 複数の職責(例: アナリストとビジネス・プロセス管理者)がある場合は、割当済シャドウに対する権限を設定または変更する職責を選択します。

  3. プロンプトが表示された場合は、ビジネス・エリアを選択します。

  4. ページの上部または下部にある「権限」をクリックします。

    「権限」ページが開き、このアカウント/職責の組合せをシャドウイングする権限をセキュリティ管理者から付与されているユーザーのリストが表示されます。

  5. 現在のアクセス権限を変更するシャドウ・ユーザーを1つ以上指定し、次のいずれかを選択します。

  6. 「適用」をクリックします。

Enterprise Planning and Budgetingの環境

Enterprise Planning and Budgetingの環境は次の領域で構成されています。

ホームページ

Enterprise Planning and Budgetingのホームページは、アプリケーションにログインし、「ホーム」をクリックすると表示されます。

「文書」タブ

アナリスト、コントローラおよびビジネス・プロセス管理者は、「文書」タブを使用して、フォルダの表示、文書の表示とオープン、および新規文書の作成を実行します。ユーザーは、各自の文書、フォルダ、保存済の選択および計算を管理し、これらのオブジェクトを他のユーザーと共有できます。

「ビジネス・エリア」タブ

コントローラは、「ビジネス・エリア」タブを使用して、Enterprise Performance Foundationメタデータの定義済サブセットをユーザーが使用できるようにします。たとえば、企業の部門または他の企業実績管理アプリケーションをサポートするビジネス・エリアなどがあります。

「管理」タブ

ビジネス・プロセス管理者とコントローラは、「管理」タブを使用して次の機能を実行します。

コントローラは、「管理」タブを使用して、ビジネス・プロセスをレビューし、ビジネス・プロセスのステータスを表示します。また、換算レートのロード、現在時刻に関するシステム・パラメータの設定、およびEnterprise Planning and Budgetingのホームページのカスタマイズなどの特別な機能も実行できます。

アナリストは、「管理」タブを使用して、ビジネス・プロセス情報の表示、ビジネス・プロセス・インスタンスのステータスの監視、および草案のビジネス・プロセスへの例外アラートの追加を実行します。

「セキュリティ」タブ

セキュリティ管理者は、「セキュリティ」タブを使用して、承認済ユーザーをEnterprise Planning and Budgetingに追加し、データ所有権、書込みアクセス、読取りアクセス、メタデータ範囲、および制御計算へのアクセスに関する設定を保守します。アカウントへのシャドウ・ユーザーの割当も実行します。

「個人メタデータ」タブ

アナリスト、ビジネス・プロセス管理者およびコントローラは、「個人メタデータ」タブを使用して、個人ディメンション・メンバーおよびレベルを定義します。また、共有分析ワークスペースで、ディメンション、階層、レベルおよび属性に関する情報も表示できます。

共通コンポーネント

次のコンポーネントは、「文書」、「管理」、「セキュリティ」および「個人メタデータ」の各タブから使用できます。

通知の使用

各ユーザーのEnterprise Planning and Budgetingのホームページの「通知」領域には、そのユーザー宛に送信された通知が表示されます。別のユーザーのシャドウとして権限が付与されている場合は、このユーザーの通知のコピーも表示される場合があります。

注意: ログイン後にEnterprise Planning and Budgetingのホームページにアクセスするには、「ホーム」を選択します。「管理」、「文書」または「個人メタデータ」で作業しているときにEnterprise Planning and Budgetingのホームページにアクセスするには、「ホーム」タブをクリックします。

通知は、応答が不要な参考用のブロードキャストか、または応答が必要なメッセージです。通知には文書へのリンクが組み込まれている場合があります。「通知」領域には、有効な通知が優先度および日付の順にソートされてリストされます。

通知に関する詳細は、『Oracle Workflowユーザーズ・ガイド』を参照してください。

Enterprise Planning and Budgetingの終了

Enterprise Planning and Budgetingを終了すると、アプリケーションが終了します。文書またはプロセスの作業中の場合は、保存するかどうかを確認するプロンプトが表示されます。

Enterprise Planning and Budgetingを終了する手順

次のいずれかを選択します。