ヘッダーをスキップ

Oracle Rapid Planningインプリメンテーションおよびユーザー・ガイド
リリース12.1
B70973-01
目次へ
目次
前のページへ
前へ
次のページへ
次へ

プランニング・ソルバー

プランニング・ソルバーの概要

プランニング・ソルバーは、計画プロセスを実行するエンジンです。

このエンジンは、迅速な問題解決および迅速なシミュレーション処理に重点が置かれているため、Oracle Advanced Supply Chain Planningでのこれらの処理方法と異なる場合があります。

計画方法

サプライ・チェーン計画における多く問題の中では、需要と供給の一致に関する問題が最優先になります。プランニング・ソルバーでは、オーダーの優先順位に厳密に基づいて各オーダーが計画されます。ユーザーは、プランニング・ソルバーで優先度の高い需要が計画された方法を把握することにより、需要が特定の方法で計画された根拠を確認できます。

プランニング・ソルバーでオーダーが計画されると、他のオーダーで使用されないように生産資源や資材がロックされます。優先度の低いオーダーによって優先度の高いオーダーの計画が妨げられることはほとんどありません。

プランニング・ソルバーでは、入力データの小さな変更によって出力に大きな変更が生じないように、計画における影響を最小限にするように試みます。

制約なし計画と制約付き計画

次のラピッド計画を実行できます。

主な機能

プランニング・ソルバーでは、次が計画されます。

次の状況は計画されません。

計画オプション

実行システムへのリリース

ユーザーまたはプランニング・ソルバーは、製造、購買および転送のために計画オーダーをOracle e-Business Suiteソース・インスタンスにリリースできます。リリース・プロセスにより、新しい購買依頼または仕掛製造オーダーが作成されます。ユーザーまたはプランニング・ソルバーは、仕掛製造オーダー、購買依頼および発注の再計画をリリースできます。

プランニング・ソルバーのロジック

プランニング・ソルバーの機能の基本を把握すると、その処理をより理解できます。

機能の比較

プランニング・ソルバーの次の機能は、Oracle Rapid PlanningとOracle Advanced Supply Chain Planningエンジンで共通です。機能の詳細は、『Oracle Advanced Supply Chain Planningインプリメンテーションおよびユーザーズ・ガイド』を参照してください。

収集

予測消込: 組織固有の予測

予測の配置

予測消込: 品目代替

上書きオプション: 「すべて」または「なし」のみ

需要優先度ルール

計画品目の選択: 計画タイプと同様

ソース・ルール、物流構成表、割当セット

ソーシング有効性

ソーシング・ランク

仕入先生産能力

仕入先カレンダ

仕入先オーダー・モディファイア

仕入先固有リード・タイム

代替生産資源

同時生産資源

最大割当ユニット

ロット基準生産資源

リード・タイムと計画タイム・フェンス

安全在庫: 品目属性の「%」のみ。安全在庫リード・タイム(SSLT)は品目属性「安全在庫 %」から計算されます。各供給はSSLT値より前に計画されます。

カレンダ: 出荷、受入および仕入先生産能力

計画受入: Oracle Work in Processの非標準製造オーダー

例外メッセージ: Oracle Rapid Planningの例外メッセージは、Oracle Advanced Supply Chainの例外メッセージと異なります。

計画オーダーのリリース

制約なし計画

品目制約: 部品構成表有効性

設計変更

代替部品構成表および工順

代替構成部品

副産物

オーダー・モディファイア: 固定供給日数を除く

生産資源制約: 工順有効性

代替工順

工順の工程歩留

生産資源生産能力

生産資源の稼働日カレンダ

生産資源効率および使用率: 日次バケット

確定作業指示

ファントム工順

工順有効性

連産品

フロー製造

最終品目代替

代替構成部品

代替部品構成表/工順

代替生産資源

代替ソース

計画オプションの比較

プランニング・ソルバーの次の機能は、計画オプションによって有効になり、Oracle Rapid PlanningとOracle Advanced Supply Chain Planningエンジンで共通です。機能の詳細は、『Oracle Advanced Supply Chain Planningインプリメンテーションおよびユーザーズ・ガイド』を参照してください。

計画品目タイプ

計画品目

資材計画方法: 「工程開始日」のみ

最終品目代替セット

割当セット

シミュレーション・セット

需要優先度ルール

上書き: 「すべて」または「なし」のみ

需要タイム・フェンス管理

計画タイム・フェンス管理

予測の配置の有効化

予測バケット別の消込

予測の展開

バックワード日数

フォワード日数

計画期間

日次バケット

組織

保管場所算入

需要計画: 名称、摘要およびタイプ

品目属性

次に、プランニング・ソルバーで使用する品目属性を示します。機能の詳細は、『Oracle Inventoryユーザーズ・ガイド』および『Oracle Advanced Supply Chain Planningインプリメンテーションおよびユーザーズ・ガイド』を参照してください。

計画担当

製造/購買

安全在庫比率

最小オーダー数量

最大オーダー数量

固定発注数量

固定ロット乗数

計画方法

供給の作成

オーダー数量端数処理

減損率

計画タイム・フェンス

計画タイム・フェンス日数

需要タイム・フェンス

需要タイム・フェンス日数

リリース・タイム・フェンス

リリース・タイム・フェンス日数

DRP計画済

前処理リード・タイム

処理リード・タイム

後処理リード・タイム

固定リード・タイム

可変リード・タイム

承認済仕入先使用

新規販売価格

販売価格

標準原価

ターゲット安全在庫上書き

計画対象品目

次の2つの計画オプションにより、計画に含める品目が決まります。

計画品目タイプ: Oracle Rapid Planning計画の場合、このオプションはOracle Advanced Supply Chain Planning計画の「計画タイプ」と同じです。

計画品目: プランニング・エンジンが特定の計画実行で計画する品目のタイプを指定します。

品目リストの規模が最も大きくなるのは、次のように選択した計画の場合です。

Oracle Rapid Planningでは、Oracle Advanced Supply Chain Planningの計画オプション「クリティカル構成部品」が使用されません。シミュレーション・セットを使用して、品目属性「計画方法」を更新します。

ファントム

Oracle Rapid Planningでは、標準品目を計画するのと同じ方法でファントム組立品が計画されます。

ファントム組立品の計画オーダーはリリースできません。

Oracle Rapid Planningではプロファイル・オプション「MSC: 新規プランナ下位互換性」が使用されません。

制約なし計画

制約なし計画の場合、Oracle Rapid Planningでは次のエンティティと方法が使用されます。

品目-組織品目属性「計画タイム・フェンス」:

需要タイム・フェンスとリリース・タイム・フェンス

供給の確定フラグ

代替を選択しない

オーダー・モディファイア: 固定供給日数を除く

生産資源および仕入先生産能力の超過: 生産資源は前倒しで計画され、計画実行日の前に計画されることはありません。

生産資源生産能力の超過、仕入先生産能力の超過、リード・タイム、資材不足によるリスクあり受注/需要予測、および生産資源不足によるリスクあり受注/需要予測に対して例外が発行されます。

Oracle Advanced Supply Chain Planningと同様の日付計算。『Oracle Advanced Supply Chain Planningインプリメンテーションおよびユーザーズ・ガイド』を参照してください。

圧縮:

工順生産資源所要量および生産資源の日当り最大使用可能時間を使用した、製造供給のリード・タイム。各生産資源のリード・タイムは、次のように計算されます。

リード・タイム = [ (生産資源使用量) / (maxAssignedUnits * maxDailyResourceHrs) ]

各項目は次のとおりです。

リード・タイムに関する注意:

フロー製造

ここでは、Oracle Rapid Planningでのフロー製造品目の処理について説明します。

フロー製造品目をフロー工順によって識別します。

フロー・スケジュールを収集します。

フロー・スケジュールを確定として処理します。

フロー品目の計画オーダーを作成します。

フロー明細レートをモデル化する手順は、次のとおりです。

日次バケット

Oracle Rapid Planningでは、次のエンティティが日別にバケット設定されます。

生産資源および仕入先生産能力。次のとおりです。

需要と供給。タイムスタンプは割り当てられません。

使用可能生産資源生産能力:

仕掛製造オーダー完了日。通常、製造オーダー完了日は最後の日次バケット内に設定され、最後の活動により生産資源生産能力が消し込まれますが、場合によっては後で消し込むことも可能です。計画ルールは次のとおりです。

大規模な生産資源所要量:

オーダーおよび生産資源の確定

次の方法で供給を確定できます。

計画オーダー: 次のことが可能です。

未確定仕掛製造オーダー:

未確定発注:

確定供給の計画

プランニング・ソルバーで確定供給の提示納期や数量は変更されません。

供給を確定するとき、プランニング・ソルバーは次のように動作します。

プランニング・ソルバーでは、最初に、優先度が最も高い需要に対する確定作業指示および確定計画製造オーダーが処理されます。この場合、需要優先度は考慮されません。ただし、確定オーダーを使用して需要が遅延することはありません。

確定作業指示が処理された後に、未確定作業指示および計画オーダーを使用して優先度別に需要に対する供給が計画されます。

供給が確定される場合、プランニング・ソルバーでは、すべてのアップストリーム供給が確定にペグ済として処理され、遅延は許可されません。これは、これらのオーダーが制約なし計画と同じ方法で圧縮できることを意味します。供給が計画タイム・フェンスによって確定される場合、これは該当しません。

未確定供給の計画

未確定供給を計画する場合、プランニング・ソルバーでは確定供給の計画と同様の方法が使用されますが、需要納期後の供給も考慮されます。

プロセスは次のとおりです。

計画オーダー・ペギングに対する作業指示の作業環境を指定するには、Oracle Rapid Planningの品目属性「WIP前の新規計画オーダー・ウィンドウ」をシミュレーション・セットで使用できます。

プランニング・ソルバーでは、超過を最小限にするために、未確定オーダーが右側に右揃えされます。これは、品目-組織属性「許容早期日数」で指定した範囲外の場合のみ実行されます。

供給の作成

プランニング・ソルバーでは、次の場合に計画オーダーが作成されません。

Oracle Advanced Supply Chain Planningでは、計画範囲内の制約により、計画範囲の最後に計画オーダーが作成されます。Oracle Rapid Planningソルバーでは、例外メッセージ「未充足需要数量」が生成され、計画の最後に計画オーダーは作成されません。

プランニング・ソルバーでは、需要に対して完全な供給を作成できない場合、需要充足日が計画範囲終了後の日付に設定されます。

オーダー・リリース

計画オーダーを実行システムにリリースすると、Oracle Rapid Planningでは次の情報が渡されます。

リリース・タイム・フェンス内の計画オーダーが自動リリースされます。

作業指示:

購買依頼:

社内購買依頼:

再計画作業指示:

購買依頼の再計画または取消:

発注の再計画または取消:

社内購買依頼の再計画または取消:

計画オーダーの自動リリース

ユーザーは、プランニング・ソルバーに対して、計画オーダー、再計画および受注のリリースを自動的に開始するように指示できます(自動リリース)。計画が完了した後にコンカレント処理が開始され、計画オーダーが自動的にリリースされます。

プランニング・ソルバーでは、次の計画オーダーおよび再計画がリリースされます。

スナップショットを使用して計画を実行し、自動リリースを使用する場合は、「メイン」タブで次の計画オプションを設定します。デフォルト値は、未選択またはnullです。

次に、リリース・タイム・フェンスがどのように機能するかを説明します。

次に、プランニング・ソルバーで自動リリースの対象を決定する方法を説明します。

自動リリース・プロセス中のプランニング・ソルバーの動作は次のとおりです。

自動リリースに関するその他の考慮事項:

安全在庫リード・タイム

プロファイル・オプションのMSC安全リード・タイムの使用が「Yes」の場合は、プランニング・ソルバーで安全在庫リード・タイムが計算されます。

次のように計算されます。

プランニング・ソルバーでは、安全在庫リード・タイムを使用して、実績需要より数日早い供給が作成されます。プロセスでは、次の供給の計画が試みられます。

プランニング・ソルバーでは次のように処理されます。

安全在庫のモデル化

Oracle Rapid Planningでは、安全在庫をモデル化する2つの方法が用意されています。

リード・タイムに基づく安全在庫のモデル化

Oracle Rapid Planningでは、安全リード・タイムを使用して予期しない需要に対してバッファするために、安全在庫をモデル化します。次の品目属性を使用してモデル化します。

安全在庫リード・タイム(SSLT)は内部フィールドです。これは整数値で、安全在庫比率 / 100で計算されます。計画時に、Oracle Rapid Planningでは、実績需要納期よりSSLT日数早い供給が作成されます。たとえば、需要が第12日でSSLTが5の場合、提示納期が第7日の供給が作成されます(非稼働日はないと仮定した場合)。

このロジックを有効にするには、計画オプションのMSC: ラピッド・プランニング安全リード・タイムの使用を設定します。この計画オプションの有効な値は次のとおりです。

数量に基づく安全在庫のモデル化

数量に基づいて安全在庫を計算する場合、Oracle Rapid Planningでは2つのタスクが実行されます。次のとおりです。

これらの換算を完了するには、現行の安全在庫ロジックに関連する条件が使用されます。

安全在庫比率の安全在庫数量への換算

Oracle Rapid Planningエンジンでは、安全在庫所要量を処理する際に、安全在庫比率が入力として使用されます。この値は数量に換算して、ユーザー・インタフェースに表示できます。次のステップは、アプリケーションで使用される換算ロジックを示します。

次に、換算ロジックの例を示します。

安全在庫比率 = 100

7日間の需要: 20、28、50、33、38、19、28

安全在庫リード・タイム(SSLT) = 100/100 = 1日

計画範囲全体の平均日次需要 = (20+28+50+33+38+19+28)/7 = 30.85

導出安全在庫数量(DSSQ) = 1 * 30.85 = 30.85ユニット

安全在庫数量の安全在庫比率への換算

Oracle Rapid Planningでは、期間別安全在庫数量を入力として読み込むことができます。ただし、エンジンではSSLTのみサポートされているため、この数量をSSLTに換算する必要があります。

次のステップは、安全在庫に基づく期間別数量を単一のSSLT値に変換する際に使用されるロジックを示します。エンジンでは、このSSLT値を使用して安全在庫が計算されます。

期間別安全在庫数量(SSQi)は入力です。iは対象の期間を示します。

安全在庫リード・タイム(SSLTi)が計算されます。

the picture is described in the document text

平均日次需要は、計画範囲全体の平均として計算されます。

安全在庫比率が計算されます。

the picture is described in the document text

エンジンで計算に使用される安全在庫リード・タイム(SSLT)は、次に示すように加重平均です。

the picture is described in the document text

導出安全在庫数量(DSSQ)は、SSLTを使用して計算されます。

注意: SSLTは小数値になる場合があります。

安全在庫を計算するには、新しい計画オプション「安全在庫リード・タイム方法」を設定します。この計画オプションの可能な設定は次の3つです。

数量を使用して安全在庫を計算するには、この計画オプションを「安全在庫数量の使用」に設定する必要があります。

the picture is described in the document text

次の2つの例は、安全在庫数量の計算方法を示します。

例1

7日間の需要は20、28、50、33、38、19、28です。範囲全体の安全在庫数量は5ユニットで一定とみなされます。

計画範囲全体の平均日次需要 = 30.85

安全在庫リード・タイム(SSLT) = 5/30.85 = 0.16日

安全在庫比率 = 16

導出安全在庫数量(DSSQ) = 0.16 * 30.85 = 4.94ユニット

例2

計画範囲全体の平均日次需要 = 27.86

安全在庫リード・タイムが、安全在庫数量が4ユニットの場合は4/27.86 = 0.14日、6ユニットの場合は6/27.86 = 0.22日と計算されます。

加重平均として計算された安全在庫リード・タイム(SSLT) = (0.14 * 3 + 0.22 * 4)/7 = 0.186

導出安全在庫数量(DSSQ) = 0.186 * 27.86 = 5.18ユニット

注意: SSLTによって安全在庫を決定するとき、SSLTは整数値に切り下げられます。数量によって安全在庫を決定するとき、SSLTは正の数として使用されます。小数値は小数第2位まで可能です。エンジンで計画するとき、SSLTは正の数とみなされます。

構成部品の安全在庫

構成部品の安全在庫も計算されます。構成部品の安全在庫リード・タイムの計算には、最終品目需要と同様に(スナップショットからの)入力として使用できない構成部品品目需要が必要です。構成部品の需要は計画時に計算されるため、最初の計画実行では最終品目の安全在庫のみ考慮されます。

最初の計画実行の終了時に、構成部品品目需要が使用可能になります。これは、後続の計画実行用に更新されます。構成部品需要のSSLTは、最初の計画実行後に使用可能になり、後続の計画実行で考慮されます。各計画実行では前の計画実行で生成された構成部品品目需要が考慮されるため、構成部品の安全在庫の計算では常にラグが生じます。さらに、構成部品品目需要は、親最終品目の充足数量を使用して生成されます。

安全在庫入力

安全在庫入力は、次のいずれかの方法でOracle Rapid Planningに渡されて定義されます。

  1. 品目属性「安全在庫比率」

  2. 期間別安全在庫数量

入力をOracle Rapid Planningに正常に渡すには、「安全在庫計算方法」を「MRP計画比率」に設定する必要があります。

1. 品目属性「安全在庫比率」によって定義される安全在庫入力

Oracle Rapid Planningで品目属性「安全在庫比率」によって安全在庫が定義されると、エンジンでは次の機能が実行されます。

ユーザー・インタフェースに、前述の例のステップでエンジンにより計算された資材計画の導出安全在庫が表示されます。

注意: ターゲット安全在庫数量が指定されている場合、このシナリオでは表示されません。

2. 期間別安全在庫数量として定義される安全在庫入力

Oracle Rapid Planningで期間別安全在庫数量として安全在庫が定義されると、エンジンでは次の機能が実行されます。

ユーザー・インタフェースに、前述のステップでエンジンにより計算された資材計画のターゲット安全在庫数量と導出安全在庫数量の両方が表示されます。

次の点に注意してください。

「品目詳細」画面で品目属性「ターゲット安全在庫上書き」が挿入されている場合は、資材計画ビューの「ターゲット安全在庫」行が更新されます。

ペギング

プランニング・ソルバーでは、基本的なFIFO(先入先出)ペギングが使用されます。Oracle Advanced Supply Chain Planningのペギング・プロファイル・オプションは考慮されません。『Oracle Advanced Supply Chain Planningインプリメンテーションおよびユーザーズ・ガイド』を参照してください。

すべての需要と供給に対して、次のように処理されます。

代替供給

プランニング・ソルバーでは、需要を充足するためにすべての代替が供給とみなされます。

検索パスは、最初に深度を指定し、次に幅を指定します。検索時に、プランニング・ソルバーでは、部分数量を検索した後に、需要を充足するのに必要な残数量を検索できます。部分数量を使用するのは、オーダー・モディファイアを満たす場合のみです。

検索順序は次のとおりです。

最初に、ソース・ルールに基づいて主ソースを検索します。

ソース・ルールにおける主ソースは、割付パーセントが最も高いランク1のソースです。プランニング・ソルバーでは、割付パーセントがあるランク1のソースをすべて検索し、その後にランク2のソースを検索します。

ランク1の複数のソースで割付パーセントが同じ場合、エンジンでは最初に検出されたソースを選択します。

検索パスに製造ソースがある場合は、次のように処理されます。

プランニング・ソルバーでは、すべての代替ソースが検索対象になるまで代替ソースを検索し続けます。

完全な検索パスを使用して、最初の代替品目を検索します。

完全な検索パスを使用して、連続する各代替品目を検索し続けます。

需要を納期どおりに充足できない場合は、再検索して、供給遅延を最小限にするように試みます。主ソースの供給日が代替ソースの供給日より後の場合は、代替ソースを使用して遅延供給を作成できます。

増分計画

増分計画は至急需要に対して使用します。増分計画では、計画データが再度スナップショットされません。

増分計画では、次のすべてが確定されます。

プランニング・ソルバーでは、次の場合のみ計画出力が変更されます。

複数の至急需要がある場合、プランニング・ソルバーでは次の順序で計画されます。

増分計画出力が不十分な場合は再計画を実行します。複数の増分計画を実行しないでください。増分計画を実行するときは、スナップショットを使用、または使用せずに計画を起動して実行します。

シミュレーション・セット

再計画するとき、プランニング・ソルバーでは、ユーザーがシミュレーション・セットで手動で変更した内容をスナップショット・データで上書きしません。

その他の計画機能

Oracle Rapid Planningでは、次の機能がOracle Advanced Supply Chain Planningと同じ方法で使用されます。

ボトルネック生産資源計画

すべての生産資源は、ボトルネック生産資源としてデフォルト設定されます。ユーザーは、フラグの選択を手動で解除する必要があります。

シミュレーション・セットで、制約付き計画内の生産資源のボトルネック・フラグを選択できます。

ボトルネック生産資源グループはありません。

最終品目代替

プランニング・ソルバーでは、最終品目代替の次の機能のみ使用されます。『Oracle Advanced Supply Chain Planningインプリメンテーションおよびユーザーズ・ガイド』を参照してください。

計画属性: 計画で代替セットが指定されている場合、プランニング・ソルバーではその代替セットが使用されます。ユーザーは最終品目代替に対して代替セットを使用する必要があります。

プランニング・ソルバーで次のプロファイル・オプションは使用されませんが、これらの値が設定されているのと同じように動作します。

最終需要を充足するために、常に部分代替供給を使用できます。プランニング・ソルバーでは、顧客固有の最終品目代替ルールは使用されません。

仕入先生産能力

発注納期が使用不可の場合、プランニング・ソルバーでは発注希望入手日を使用して仕入先生産能力を消し込みます。

各日の開始時に、仕入先生産能力が累積されます。当日中に起動した計画では仕入先生産能力は累積されず、翌日に累積されます。

仕入先生産能力が拡張仕入先リストから欠落している場合、プランニング・ソルバーは次のように動作します。

計画タイム・フェンス

プランニング・ソルバーでは、計画タイム・フェンス日付が使用されます。

制約なし計画では、計画オーダーの提示納期は、計画タイム・フェンス日付より早い日付に設定されません。その他のすべての日付は、計画タイム・フェンス日付より前の日付に計画できます。

制約付き計画では、供給タイプに応じて計画オーダーが計画されます。

納期超過オーダー

計画受入に過去の提示納期(計画日より前)がある場合、プランニング・ソルバーでは次のように処理されます。

通常のタイム・フェンス

通常のタイム・フェンスとは、品目に対してユーザーが入力する固定週数から計算される日付とは対照的に、品目の計画受入に基づいてプランニング・ソルバーで計算される計画タイム・フェンス日付です。プランニング・ソルバーでは、計算された日付の遅いほうが計画タイム・フェンス日付として使用されます。

プランニング・ソルバーに対して、通常のタイム・フェンスを品目の計画タイム・フェンスとして使用するように指示するには、次の操作が必要です。

「タイム・フェンスの作成」を選択した場合は、プランニング・ソルバーに対して、最新の確定ショップ型製造オーダー、発注、フロー・スケジュールまたは出荷の期日に、品目の通常のタイム・フェンスを作成するように指示します。スナップショット・プロセスを使用せずに計画を実行する場合も、通常のタイム・フェンスが計算されます。次に例を示します。

「計画オーダー・タイム・フェンスの確定」を選択した場合は、プランニング・ソルバーに対して、最新の確定計画オーダーの納期に、品目の通常のタイム・フェンスを作成するように指示します。

「社内購買依頼タイム・フェンスの確定」を選択した場合は、プランニング・ソルバーに対して、最新の確定社内購買依頼の納期に、品目の通常のタイム・フェンスを作成するように指示します。

これらの計画オプションを複数選択した場合は、プランニング・ソルバーに対して、選択した計画オプションでカバーされるすべての供給の中で納期が最新の供給の納期に、品目の通常のタイム・フェンスを作成するように指示します。

通常のタイム・フェンス日付は表示できませんが、品目属性「計画タイム・フェンス日数」を使用して計算された日付が計画タイム・フェンス日付と異なる場合、品目で通常のタイム・フェンスが使用されたことを確認できます。

製造可能

製造品目のオーダーを開始できるかどうかを把握する必要がある場合は、「製造可能」を使用します。

構成部品の可用性の不足により、遅延のリスクがある製造オーダーを把握するには、次の操作を実行できます。

オーダーのすべての構成部品が手持にペグされた場合、そのオーダーは製造可能です。構成部品の一部が計画受入(発注、計画オーダー、転送オーダーなど)にペグされた場合、製造可能ではありません。

プランニング・ソルバーでは、次のオーダーについて製造可能かどうかを判断できます。

属性およびオプション

シミュレーション・セットで、製造可能に関する次の品目属性を設定します。

プランニング・ソルバーでは、ペギング情報を使用して、各製造オーダーの次の属性が計算されます。

次に例を示します。

複数レベル間の製造可能

上位レベルの製造オーダーが下位レベルの製造可能な製造オーダーにペグされた場合、計画サーバーは、下位レベルの組立品目が手持ですでに使用可能であるとみなして動作します。

この例では、次の計画オーダーについて説明します。

品目 摘要 オーダー・タイプ 要求日 納期 オーダー数量 ペグ数量 製造可能 製造可能構成部品の可用性
AS66311 最終品目 受注 第20日 - 100 - - -
. AS66311 最終品目 計画オーダー - 第20日 100 100 Yes 100
. . SA123 半組立品 計画オーダー - 第18日 100 100 Yes 100
. . . CM1 半組立品構成部品 手持 - - - 100 - -
. . . CM2 半組立品構成部品 手持 - - - 100 - -
. . CM3 最終品目構成部品 手持 - - - 100 - -

この例では、次の計画オーダーについて説明します。

品目 摘要 オーダー・タイプ 要求日 納期 オーダー数量 ペグ数量 製造可能 製造可能構成部品の可用性
AS66311 最終品目 受注 第20日 - 100 - - -
. AS66311 最終品目 計画オーダー - 第20日 100 100 No 80
. . SA123 半組立品 計画オーダー - 第18日 80 80 Yes 100
. . . CM1 半組立品構成部品 手持 - - - 80 - -
. . . CM2 半組立品構成部品 手持 - - - 80 - -
. . CM3 最終品目構成部品 発注 - - - 20 - -

需要/供給ビューでの製造可能情報の使用

需要/供給ビューを使用して、次のことが可能です。

製造可能属性は更新できません。

製造可能KPIの使用

次に、製造可能KPIメトリックを示します。一部はOracle Advanced Planning Command Centerでも使用可能です。

「基本メトリック」を参照してください。

製造可能シミュレーション

製造可能シミュレーションを使用して、競合する製造オーダーに手持をより的確に割り当てる方法を調べます。次の方法があります。

製造可能シミュレーション: 重要な製造オーダーの識別

需要/供給ビューで、主要な受注をフィルタ処理して、受注の補充に関連するリスクがあるかどうかを識別します。たとえば、次のフィルタを使用します。

ペグされた製造オーダー供給の表示処理を使用します。これにより、主要な受注にペグされた製造オーダーとその製造可能属性が表示されます。

対象のオーダーを選択し、製造可能ワークベンチ処理を使用します。

製造可能シミュレーション: 製造オーダーの優先順位付け

製造可能にする製造オーダーに優先順位を付けるには、「製造可能優先度」を選択します。

これにより、プランニング・ソルバーでは、次の計画実行時に、優先度が設定されたオーダーに手持供給が割り当てられます。

手持が不十分で優先度が設定されたすべての製造可能オーダーを充足できない場合、プランニング・ソルバーではオーダー納期の順に手持が割り当てられます。

製造可能シミュレーション: 製造オーダーの優先順位解除

製造オーダーの優先順位を解除するには、主要な製造オーダーを選択し、「オーダー競合の表示」をクリックします。

競合対象、つまり、主要な製造オーダーの構成部品の手持について競合している他の製造オーダーが表示されます。このプロセスでは、主要な製造オーダーに対して最適な改善を提供できる順序で競合対象が表示されます。

構成部品の割当を使用して、優先順位を解除するオーダーを決定します。

「製造可能に対する優先順位解除」を選択します。

製造可能シミュレーション: 計画オーダーの優先順位付けと優先順位解除

確定計画オーダーに優先順位を付けると、プランニング・ソルバーでは、その構成部品を充足するための手持がない場合でも、その確定計画オーダーの日付が使用されます。その結果、リードタイム圧縮および過負荷例外メッセージが発行される場合があります。

確定計画オーダーの優先順位を解除すると、計画オーダーの確定と日付はそのままですが、プランニング・ソルバーで例外メッセージが発行される場合があります。

計画オーダーに優先順位を付けると、その計画オーダーは確定計画オーダーになります。

計画オーダーの優先順位を解除すると、プランニング・ソルバーでは、次の実行で計画オーダーを再作成するときにその計画オーダーの情報が失われます。

製造可能シミュレーション: 優先度フラグ保持

計画の各実行時に、プランニング・ソルバーでは、ショップ型製造オーダーおよび確定計画オーダーの製造可能優先度と優先順位解除フラグが保持されます。

受注構成

Oracle Rapid Planningでは、次の構成が計画されます。

次のようにモデル構成部品を調達できます。

シナリオ

Oracle Rapid Planningでは、次が使用されます。

次のアプリケーションから予測を使用できます。

Oracle Rapid Planningでは、常に受注が含まれ、常に受注を使用して予測が消し込まれます。

シナリオ: 需要として事前展開されたモデル予測

Oracle Rapid Planningでは、オプション区分とオプション予測を含む受注組立モデル用に、事前展開された組織固有の予測に対する供給が作成されます。

Oracle Rapid Planningでは、オプション、品目およびATOモデル予測を含む受注ピック・モデル予測用に、事前展開された組織固有の予測に対する供給が作成されます。

Oracle Rapid Planningでは、複数の組織間のオプション区分とオプションを含む受注組立モデル用に、事前展開された単一インスタンスのグローバル予測に対する供給が作成されます。

Oracle Rapid Planningでは、オプション、品目およびATOモデル予測を含む受注ピック・モデル用に、事前展開された単一インスタンスのグローバル予測に対する供給が作成されます。

シナリオ: 需要として展開されるモデル予測

Oracle Rapid Planningでは、オプション、オプション区分および必須構成部品に対して、組織固有の受注組立モデル予測の供給が展開および作成されます。

Oracle Rapid Planningでは、オプション、品目および受注組立モデル予測を含む組織固有の受注ピック・モデル予測に対して、供給が展開および作成されます。

Oracle Rapid Planningでは、複数の組織間のオプション区分とオプションを含む受注組立モデル用に、単一インスタンスのグローバル予測に対する供給が展開および作成されます。

Oracle Rapid Planningでは、複数の組織間のオプション、品目およびATOモデル予測を含む受注ピック・モデル用に、単一インスタンスのグローバル予測に対する供給が展開および作成されます。

シナリオ: グローバル予測

Oracle Rapid Planningでは、標準品目について、単一インスタンスのグローバル予測に対する供給が作成されます。

プランニング・ソルバーでは、制約なしで予測が配分されます。計画比率およびランク1のソース・ルールが使用されます。

受注組立モデル予測の場合、プランニング・エンジンでは、モデル予測が納期どおりに充足されるように、すべての場合においてソース・ルールおよび計画比率に基づいてグローバル予測が配分されます。

予測展開時にオフセットされるグローバル予測の場合、プランニング・ソルバーでは、品目検証組織で定義された処理リード・タイムのみが使用されます。Oracle Rapid Planningでは、受注を処理するときのみ、固定および可変リード・タイムが使用されます。

事前展開された予測に対する品目属性「予測消込」

モデルの場合は、「消込」または「消込および発生」に設定します。「消込および発生」に設定することをお薦めします。

モデルの必須構成部品以外の子品目の場合、Oracle Rapid Planningは次のように動作します。

モデルの子品目を「消込」に設定した場合:

モデルの必須構成部品の子の場合、Oracle Rapid Planningは次のように動作します。

予測展開に対する品目属性「予測消込」

モデルの場合は、「消込」または「消込および発生」に設定します。「消込および発生」に設定することをお薦めします。

モデルの必須構成部品以外の子品目の場合、Oracle Rapid Planningは次のように動作します。

モデルの子品目を「消込」に設定した場合、Oracle Rapid Planningでは親から展開済需要が作成されません。

モデルの必須構成部品の子の場合、Oracle Rapid Planningは次のように動作します。

計画オプション「予測の展開」を選択します。

Oracle Demantraを使用している場合は、プロファイル・オプション「MSD_DEM: 計画比率の計算」を設定し、最初のダウンロード後はこれを変更しないでください。

Oracle Demand Planningを使用している場合は、プロファイル・オプション「MSD: 計画比率の計算」を設定します。

部品構成表

モデルの場合は、次のことが可能です。

計画入力ビューを使用して、これらの変更を行います。

需要計画

次の予測を需要計画として選択できます。

組織固有の受注構成予測の場合は、次のいずれかを使用します。

グローバル受注構成予測の場合は、次のレベルでインポートします。

マスター組織で、次のプロファイル・オプションを両方とも設定します。

予測展開後に、Oracle Rapid Planningでは、ソース・ルールおよび計画比率に基づいて、制約なしの方法でグローバル予測が組織に計画されます。出荷組織で出荷日に基づいて計画され、受入カレンダの制約は考慮されません。

必須構成部品

受注組立予測を事前展開する場合、必須構成部品の予測を渡す必要はありません。これは、Oracle Rapid Planningによって親が消し込まれた後に、その親から必須構成部品の予測が計算されるためです。

事前展開された受注ピック・モデルの場合は、必須構成部品の事前展開された予測が含まれます。

予測展開

Oracle Rapid Planningに対して受注構成予測を展開するように指示するには、計画オプション「展開」を選択します。予測が展開され、次に予測が消し込まれます。

予測消込

計画オプション「出荷先消込レベル」を設定します。プロセスでは、「出荷先」の値が同じ予測入力が消し込まれます。

需要区分による消込の場合:

グローバル予測の場合、プランニング・ソルバーでは次のように処理されます。

ソース・ルール

Oracle Rapid Planningでは、最初に構成に対してソース・ルールが使用され、次にモデル、ソース階層の順にソース・ルールが使用されます。

グローバル予測の場合は、プロファイル・オプション「MRP: ATP割当セット」を使用して、Oracle Global Order Promisingで使用する割当セット名を指定します。また、プランニング・ソルバーではこのプロファイル・オプションを使用して、モデルの受注を構成する際のソースが決まります。

構成予測

標準構成対予測を構築し、モデルおよび構成の両方の予測を作成する場合は、予測を顧客固有の予測にします。モデル予測とその構成部品予測から構成予測の数量を減らします。

プランニング・ソルバーでは、最初に構成品目の受注がある予測が消し込まれ、次にベース・モデルの予測で消し込まれます。

購買モデル

受注組立のモデルと構成を購買する場合は、「仕入先」ページ>「仕入先サイト」を使用して、モデルおよび構成の制約を確認できます。

仕入先 – 仕入先サイトの総生産能力を提供してベース・モデルを作成することにより、購買構成を制約できます。

また、次のメトリックを表示できます。

プランニング・ソルバーでは次が使用されます。

オプション依存生産資源

プランニング・ソルバーでは、モデル工順内でオプション依存生産資源が100%ロード済として処理されます。

これにより、生産資源が過負荷と示される場合があります。このような生産資源は、非ボトルネック生産資源にすることを検討してください。

シミュレーション

モデルおよび構成の予測、およびそのオプション区分、オプションおよび必須構成部品の予測を確定して更新できます。

ただし、Oracle Demantraから事前展開された予測を使用して計画を作成する場合、更新できる受注ピック・モデルおよびオプション区分はありません。

受注変更の公開

受注変更をOracle Order Managementにリリースできます。受注が確定されていない場合は、資材使用可能日および最終品目代替を変更できます。

プランニング・ソルバーでは、受注の予定出荷日を使用して受注が計画されます。受注の予定到着日は使用されません。予定到着日を改善するための代替出荷方法は提示されません。ラピッド・プランニングでは、組織から顧客サイトへの移動リード・タイムは再計算されません。また、計画方法が到着タイプの受注は計画されません。

Oracle Rapid Planningでは、次が含まれる受注のソース組織は更新されません。

デフォルト・オーダー・サイズ

生産資源使用量の計画および生産の両方が効率的になる管理可能な製造オーダー・サイズを作成する場合は、デフォルト・オーダー・サイズを使用します。

オーダー・サイズが小さすぎると製造現場が非効率になり、オーダー・サイズが大きすぎると計画が困難になるため、需要に対する供給が遅延する可能性があり、通常は大量の未消込の生産資源生産能力が残ります。

デフォルト・オーダー・サイズを使用するには、計画作業単位(数時間、1シフト、1日、またはこれより大きい期間バケット)を指定します。

計画作業単位

計画作業単位は、時間で指定する品目-組織属性です。

Oracle Rapid Planningでは、計画作業単位を使用してオーダー・サイズが決まります。オーダー・サイズは、計画作業単位時間内に生産できるユニット数です。

次に例を示します。

プランニング・ソルバーでは、制約付き計画に対して計画作業単位が使用され、制約なし計画に対してはリード・タイムが使用されます。計画作業単位を使用して計画オーダーのリード・タイムを修正することにより、実行可能な日次計画を迅速に作成できます。

計画作業単位サイズ

計画作業単位オーダー・サイズは、計画作業単位時間内に生産できる品目のユニット数です。プランニング・ソルバーでは、主工順および代替工順ごとに計画作業単位を工順リード・タイムで除算して計算されます。端数処理管理を使用している場合、計画作業単位オーダー・サイズは切り上げるように計算されます。

ユーザーが計画作業単位を定義していない場合、Oracle Rapid Planningでは資材および生産資源の可用性に基づいて、1日に生産可能なオーダー・サイズ数量が使用されます。

生産資源と計画作業単位

プランニング・ソルバーでは次のように処理されます。

生産資源と計画作業単位: 計画作業単位の適用

プランニング・ソルバーでは、生産資源所要量が製造オーダー終了時間から前倒しで計画されます。

リード・タイムでカバーされる時間内に生産資源が使用可能な場合、プランニング・ソルバーでは、工程ごとに工程リード・タイムが使用されます。たとえば、リード・タイムが10時間で、1日当り8時間のシフトの場合、リード・タイムは2日間にまたがります。生産資源所要量が10時間で1つの割当ユニットを使用する場合、各日の生産資源生産能力所要量は2時間から8時間の間になります。

プランニング・ソルバーで工程を早い日に移動する必要がある場合は、その日の生産資源所要量を反映して計画されます。次に例を示します。

生産資源と計画作業単位: 生産資源所要量の分割

次に、プランニング・ソルバーで、日次バケット間で生産資源所要量が分割される方法を説明します。

次に例を示します。

生産資源と計画作業単位: 生産資源可用性の消込

次の例では、プランニング・ソルバーで、日次バケットを使用して生産資源を消し込む方法を説明します。

生産資源可用性:

工順:

リード・タイム = 0.5時間[0.25 + 0.25]

計画作業単位 = 16時間

計画作業単位オーダー・サイズ = 32 [16 / 0.5]、16時間で32ユニット生産可能

計画オーダー数量が1から32ユニットの場合は、合計リード・タイム = 16時間

需要

次の図に、プランニング・ソルバーによるこれらの計画オーダーの計画を示します。

the picture is described in the document text

数量32の計画オーダーについては、プランニング・ソルバーで同じ日に複数の工程を計画できます。

数量32の計画オーダーについては、プランニング・ソルバーで連続した異なる日に複数の工程を計画できます。

数量32の計画オーダーについては、プランニング・ソルバーで連続しない異なる日に複数の工程を計画できます。

数量4の計画オーダーについては、プランニング・ソルバーで同じ日に複数の工程を計画できます。

オーダー・モディファイア

計画作業単位サイズとオーダー・モディファイアの間に競合がある場合、プランニング・ソルバーでは次のルールを使用して計画オーダー・サイズが決まります。

プルイン、アップサイドおよびオーダー優先度

この項では、Oracle Rapid Planningでプルイン、アップサイドおよびオーダー優先度が考慮されるプロセスとロジックの概要を説明します。ここでは、オーダー優先度を考慮しながらユーザーがプルインやアップサイドをシミュレートし、計画への影響を分析するためのメカニズムを指定します。オーダー優先度は、ユーザーが設定するか、またはオフライン需要優先順位付けスキームで計算されます。

この機能により、Rapid Planningは、シミュレーション速度、パフォーマンスおよび効率を低下させずに、企業の複数のニーズを満たすことができます。

この項の内容は次のとおりです。

Oracle Rapid Planningの計画ロジックの要約

Oracle Rapid Planningソリューションは、次のロジックに準拠します。

  1. オーダーのリストは、優先度が高い順に順序付けされます。

  2. 優先度の最も高いオーダーから一度に1つずつ計画されます。

  3. 各オーダーの処理順序は次のとおりです。

  4. オーダーが計画されると、優先度リスト内の次のオーダーが選択される前に、その計画がロックされます。

  5. 優先度リスト内のすべてのオーダーが計画されると、需要充足日の昇順に需要がソートされ、FIFOロジックを使用して需要が供給にペグされます。

プルイン・ロジックの目的を次に説明します。需要がプルインされて次の優先度に進み、問題は発生していないがプルインが失敗した場合、つまり、計画ロジックによって改訂オーダー納期に供給が見つからなかった場合、ロジックでは前のプルイン納期に戻す必要があります。アップサイドの場合は、失敗すると、不足オーダーとして記録されます。

プルインおよびアップサイド用の計画ロジック

プルインおよびアップサイドの計画ロジックは次のとおりです。

  1. アプリケーションでは、オーダーのリストが順序付けされるときに、分割されたオーダーと分割されていないオーダーの両方が考慮されます。各オーダーには次が必要です。

  2. 次に、アプリケーションではプルインの最高優先度を決定し、すべてのプルイン・オーダーがマークされます。

  3. ステップ2で決定した優先度より高い優先度を持つすべてのオーダーが、確定日および確定数量を使用して計画されます。この実行の結果、手持プロファイルによって計画可能なプルインおよびアップサイドの量が示されます。

  4. ステップ2で決定した最高優先度から最低優先度まで、または供給を使い切るまで、計画可能なオーダーが計画されます。

    計画対象のオーダーがプルインされると、次のように処理されます。

  5. 計画が完了すると、需要充足日の昇順に需要がソートされ、FIFOロジックを使用して需要が供給にペグされます。ただし、部分的なプルインの場合は、部分的にプルインされた数量および充足された日付もソート・ロジックで使用されます。

    注意: 一時的なマイナス手持は作成されません。

次の点に注意してください。

  1. 受注のリリース: ユーザーは、計画結果をソースの受注管理システムにリリースできる必要があります。

  2. スナップショットのリフレッシュを伴う再計画の起動: 前述したように、プルインおよびアップサイド・ロジックは主にシミュレーション用です。データはメモリーにのみ保存されます。ユーザーがスナップショットをリフレッシュして再計画を起動すると、計画に加えた変更は失われます。

  3. 遅延需要分析: 遅延需要分析は計画ロジックの一環として実行され、オーダーが納期に充足されなかった事由が判別されます。事由の中には、アップストリーム制約(生産資源、生産能力など)が含まれる場合があります。プルインおよびアップサイドの計画時にこれらのオーダーが失敗した場合、つまり、目的の納期にオーダーを充足できない場合は、遅延需要分析ロジックが起動するため、ユーザーは根本原因である制約(資材、仕入先または生産資源)をより的確に把握できます。ユーザーは根本原因を把握することにより、制約を緩和するために必要な処理を実行できます。

  4. ペギング: 計画ロジックで説明したように、ペギングは計画後に実行される後処理で、計画バケット内でFIFOロジックを使用して需要が供給にペグされます。ただし、各バケットで部分的に充足される需要の場合は、計画数量が競合しないように、部分数量とその充足日もペギング・ロジックで使用されます。ペギング・ロジックが表示される需要/供給ビューには、異なるバケットからの部分消込が表示されます。

  5. 計画の保存: プルインおよびアップサイドによる計画で、ユーザーが結果に満足した場合は、「計画の保存」機能を使用して計画を保存できます。計画を保存すると、現行バージョンのラピッド・プランニング計画がデータベースに保存されます。これは現在の機能と同じで、この拡張機能に影響しません。

プルインおよびアップサイド用の例外メッセージ

改訂需要日に充足されたプルイン・オーダーおよびプルイン数量の遅延を処理するために、4つの新しい例外メッセージ(2つは受注用、もう2つは予測用)が導入されました。これらは次のとおりです。

プルインおよびアップサイド用の品目属性

Oracle Rapid Planningには、プルインおよびアップサイドをサポートするために次の2つの品目属性があります。

この2つの新しい属性は、すべてのラピッド・プランニング・ビューの検索機能および拡張検索機能で有効で、ユーザーは、すでにサポートされているエンティティに加えて、改訂需要日および改訂需要優先度による検索を実行できます。これは、プルインおよびアップサイド・オーダーの分析に役立ちます。

両方の属性には次の特性があります。

「セルフサ-ビスロ-ド使用の取引デ-タのロ-ド」をクリックすると、「ロード・データ・ファイル」ウィンドウが表示されます。

the picture is described in the document text

この画面で、アップロードする必要がある属性が含まれるファイルを選択できます。このファイルをアップロードするたびに、現在、システム内に存在するすべてのデータが置換されます。

「テンプレートのダウンロード」リンクを使用して、属性をアップロードするのに必要なフォーマットを取得できます。属性テンプレート・ファイルの名称は次のとおりです。

次に、「改訂需要日」フィールドと「改訂需要優先度」フィールドを使用して作成されたアップサイドおよびプルインの例を示します。

the picture is described in the document text

前述の例では、オーダー番号WMT-1011、XYZ-1011およびXYZ-1212は、プルインされたか、またはアップサイドがあります。オーダー番号WMT-1011およびXYZ-1011はプルインされています。これらのオーダーの改訂需要日と改訂需要優先度に注意してください。オーダー番号XYZ-1212については、新しい手動需要を作成してアップサイドが計画されています。

プルインおよびアップサイドの識別

ユーザーまたはオフライン・プロセスによって設定されたオーダー優先度をOracle Rapid Planningで考慮するには、プルインおよびアップサイドを識別することが重要です。

Oracle Rapid Planningでは、アップサイドは「手動需要」タイプの新しい需要明細として定義されます。このオーダーに割り当てられる優先度、オーダーの納期および数量により、オーダー順序内で計画される位置が定義されます。

「改訂需要日」が挿入されると、需要明細にプルインが作成されます。プルインの優先度は「改訂需要優先度」フィールドに挿入されます。通常、改訂需要日は確定日より前です。改訂需要日が確定日より後の場合はプルアウトになり、これは可能ですが、通常ではありません。

前の項に示す新しい品目属性に関する例で、結果内の部分プルイン、完全プルインおよびアップサイドに注意してください。次の説明では、その例の情報が使用されます。

説明1

オーダー番号WMT-1011は、次に示すように部分的にプルインされます。

確定日 = 2009年2月18日、確定数量 = 1200、優先度 = 2

改訂需要日 = 2009年2月4日、改訂需要優先度 = 6

改訂需要日が確定日より前であるため、オーダーはプルインされます。プルインされる数量は1200で、改訂需要優先度6で計画されます。

説明2

オーダー番号XYZ-1011は、次に示すように完全にプルインされます。

確定日 = 2009年2月11日、確定数量 = 700、優先度 = 4

改訂需要日が確定日より前であるため、オーダーはプルインされます。プルインされる数量は700(数量全体)で、改訂需要優先度7で計画されます。

説明3

オーダー番号XYZ-1212は、次に示すようにアップサイドがあります。

確定日 = 2009年2月25日、確定数量 = 2000、優先度 = 5

確定日 = 2009年2月25日、確定数量 = 1500、改訂需要優先度 = 8で手動需要が作成されました。

手動需要は、最も低い優先度(この場合は8)を使用して計画されたアップサイドです。

この場合、オーダーの2000ユニットは通常の受注の優先度を使用して計画され、1500ユニットは手動需要の優先度をアップサイドとして使用して計画されます。両方の需要明細の納期は同じです。

プルインおよびアップサイドの例

この項で示す例は、次の仮定に基づいています。

  1. このロジックは、予測および受注の両方の需要ストリームに適用されます。

  2. プルインおよびアップサイド情報は、次のいずれかの方法でラピッド・プランニングに渡されます。

  3. プルインに対する優先度は、次の2つの方法で指定されます。

  4. 需要明細に対して定義され、バックエンドからラピッド・プランニングに受け入れられるアップサイドは、オーダー・タイプが「手動需要」に設定された新しい需要明細として提供されます。

  5. 納期を使用して計画するときと、改訂需要日を使用して計画するときで、表示されるペギング情報が異なる場合があります。

  6. このドキュメントでは、確定日は需要日(需要明細の納期)を指し、確定数量は需要明細の数量を指します。

  7. 改訂需要日が挿入された場合は、次のように動作します。

ソリューションの構成部品

ソリューションは次の構成部品で構成されます。

次に、プルインまたはアップサイドを作成する際のユーザー処理を説明する一般的なワークフローを示します。

the picture is described in the document text

この例では、共通のハード・ディスク仕入先からの供給に対して、4つの顧客が競合しています。単純化するために、生産リード・タイムはゼロと仮定します。需要の納期は週の始めです。ステップ1から5で、顧客の週別需要が判別されます。

  1. 需要優先度(顧客、プルインおよびアップサイド)は次のとおりです。

    顧客 優先度
    CUST-A 1
    CUST-M 2
    CUST-C 3
    CUST-Mのプルイン 4
    CUST-Cのプルイン 5
    CUST-Aのアップサイド 6
  2. 顧客が先週要求した需要は次のとおりです。

      第1週 第2週 第3週 第4週 第5週 合計
    CUST-A 500 500 500 500 2000 4000
    CUST-M 200 200 200 1200 1200 2000
    CUST-C 500 300 700 100 200 1800
  3. ハード・ドライブHDD1の今後の供給は次のとおりです。

      第1週 第2週 第3週 第4週 第5週 合計
    HDD-1 1200 1700 1800 1500 1600 7800
  4. 指定された優先順位付けに従って、需要の優先順位付けは次のようになります。

    the picture is described in the document text

    Oracle Rapid Planningでは、顧客需要を計画する際に、前述の優先順位付けスキームが使用されます。

  5. Oracle Rapid Planningの計画ロジックに基づいて、顧客の週別需要が計画されます。表内では、一時超過が太字で示されています。

      第1週 第2週 第3週 第4週 第5週
    供給 1200 1700 1800 1500 1600
    バッファ・バランス 1200 2900 4700 6200 7800
               
    CUST-A 500        
      700 2400 4200 5700 7300
        500      
      700 1900 3700 5200 6800
          500    
      700 1900 3200 4700 6300
            500  
      700 1900 3200 4200 5800
              2000
      700 1900 3200 4200 3800
               
    CUST-M 200        
      500 1700 3000 4000 3600
        200      
      500 1500 2800 3800 3400
          200    
      500 1500 2600 3600 3200
            1200  
      500 1500 2600 2400 2000
              200
      500 1500 2600 2400 1800
               
    CUST-C 500        
      0 1000 2100 1900 1300
        300      
      0 700 1800 1600 1000
          700    
      0 700 1100 900 300
            100  
      0 700 1100 800 200
              200
    一時超過(太字) 0 700 1100 800 0
  6. 現在の週の需要がアップサイドおよびプルインを使用して改訂されます。

      第1週 第2週 第3週 第4週 第5週 合計
    CUST-A 500 500 500 500 3500 5500
    CUST-M 200 1400 200 0 200 2000
    CUST-C 500 1000 0 100 200 1800

    前述のチャートに従って、顧客Aは第5週にアップサイドが1500ユニットあります。顧客Mは第2週にプルインが1200ユニット、顧客Cは第3週にプルインが700ユニットあります。

  7. 一時超過があるため(ステップ5と6を参照)、ステップ6に示すように、通常はラピッド・プランニングでこの週の改訂需要を計画できます。この週の改訂需要からアップサイドおよびプルインを計画できない場合は、計画に戻り、ステップ5に示すソリューション(改訂されたコミットを考慮しない)に戻します。