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Oracle Supplier Managementユーザー・ガイド
リリース12.2
B72200-01
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Oracle Supplier Managementの概要

この章では、次のトピックについて説明します。

Oracle Supplier Lifecycle Management

Oracle Supplier Managementソリューションは、Oracle Supplier Lifecycle ManagementとOracle Supplier Hubにより構成されています。

Oracle Supplier Lifecycle Management (SLM)は、仕入先認定、プロファイル管理および業績評価をサポートするための広範な機能に加え、企業の要求事項や法的要件に対する仕入先の準拠状況を追跡管理するためのツールを備えています。これらの機能を使用すると、組織は最初の候補先の発掘から認定、登録、継続的な管理、場合によっては廃止まで、組織との関係のライフサイクル全体にわたって仕入先を適切に管理することができます。

組織の仕入先マスター・ファイルの品質を向上する上で重要な要因は、様々なタイプの見込み仕入先を正式に認定するための適切なプロセスを確立することです。Supplier Lifecycle Managementは、見込み仕入先を評価するために必要なあらゆる固有の情報を収集し、その情報を組織内全体に送信して、その仕入先の資格を効率的にレビューできるようにします。

また、SLMは、仕入先が承認されると、全体的な仕入先実績追跡管理プロセスの一環として主要なステークホルダからのフィードバックも収集できるようにします。さらに、Supplier Lifecycle Managementは、主要なステークホルダが仕入先との間の積極的な取引関係を維持するために仕入先から定期的に収集する必要のある重要なコンプライアンス文書や属性情報を特定し、追跡管理できるようにします。

Supplier Lifecycle Managementの主な機能は、次のとおりです。

360度仕入先ビュー

仕入先情報の管理における課題の1つに、仕入先について集めた情報が様々なアプリケーションやシステムに保存されているという問題があります。このようなデータの分散は、組織が仕入先の実績をレビューしたり監査要件への適合を見るために参照する上で阻害要因になることがあります。

Supplier Lifecycle Managementは、異なるソースからの情報を保存し、そのデータの360度ビュー(あらゆる角度からの評価)を組織内の主要なビジネス・ユーザーに送信するためのリポジトリを備えています。ユーザーは、基本的な仕入先情報(住所、担当、連絡先、ビジネス/多様性分類、一般分類、製品およびサービス・カテゴリ、バンキング詳細、仕入先タスク、ノート、仕入先パーティ関連)へのアクセスの他、仕入先の認定および継続的な評価の詳細のレビュー、仕入先のプロファイルに含まれている重要な文書の閲覧、仕入先が提供を義務付けられている提出物のステータスのチェックを行い、システム内で仕入先のステータスを保守できます。

拡張仕入先プロファイル

主要な製品カテゴリにおける仕入先の能力をよりよく理解するために、Supplier Lifecycle Managementでは、ユーザー定義属性テクノロジが採用されているため、管理者は無制限の範囲の属性の情報を仕入先定義に追加し、これらの属性を論理的なプロファイル・セクションにグループ化できます。これは通常、組織全体の様々な部門で維持されている紙ベースのシステムに保管されている種類の情報です。管理者は、属性名に加えて、その属性の目的を説明するうえで役立つ説明文も追加できます。

きめ細かいアクセス管理を実現するツールにより、管理者は拡張プロファイルの詳細情報の個々の属性に対するユーザーのアクセス権限を管理することができます。これは、プロファイルに機密情報が保存されており、アクセスを社内または仕入先の適切なユーザーに制限する必要がある場合に特に重要です。

仕入先検索

組織においてベンダー・マスターの管理を担当する管理者を支援するため、仕入先検索機能は、仕入先レコードの効率的な検索と取得を実現します。

拡張機能では、どのような標準プロファイル属性および拡張プロファイル属性も検索条件として使用でき、複数の表示形式を使用して結果を表示できます。検索で得られた情報はスプレッドシート形式でエクスポート可能です。また、拡張検索基準および表示形式は、管理者レベルおよびビジネス・ユーザー・レベルの両方でカスタマイズ可能です。

仕入先プロファイル管理(セルフサービスを含む)

多くの組織では、管理者チームを維持し、取引先から次々と送られてくる企業プロファイルの詳細情報に対する変更を含む管理情報の更新情報を処理しています。このプロセスを効率化するために、Supplier Lifecycle Managementでは既存のiSupplier Portal機能を拡張し、仕入先ユーザーがオンラインでアクセスしてより広範囲のプロファイル詳細情報を自分で保守できるようにしています。

仕入先ユーザーは、住所、担当、ビジネス/多様性分類、製品およびサービス・カテゴリ、バンキング詳細など標準的な企業プロファイル詳細情報を保守します。社内の管理者は、その変更のレビューを行い、承認します。

また、仕入先は、購買組織に提供が義務付けらている認定および継続的な準拠情報にアクセスしてシステム内でそのステータスを保守します。

新規仕入先の登録

購買組織との取引に関心のある仕入先候補からの問合せを管理するために、多くの企業では、自社のWebサイトを利用して、このような見込み仕入先に取引関係の確立に対する関心を登録させています。これにより、組織はその見込み仕入先が適切な取引先であるかどうかを評価するために使用できる重要な情報を得ることができます。Supplier Lifecycle Managementは仕入先登録機能を備えているため、事業部門はこの機能を設定して各見込み仕入先の希望を評価するために必要なデータ要素を収集できます。登録画面は、住所、担当、業種、製品およびサービス、バンキング詳細、拡張仕入先プロファイルの任意の属性を含むように設定できます。見込み仕入先も、登録パケットの一部として添付ファイルをアップロードできます。

また、高度な条件付きの認定手続きをサポートするために、管理者は、見込み仕入先からの各種プロファイルおよび準拠情報をアンケート形式を使用して取得する、RFI文書を作成することもできます。

このようなプロセスに加え、購買担当は、見込み仕入先を仮登録して招待メールを送り、仮認定および承認を行うためのさらに詳しい情報をセルフサービス機能を使用して提供するように依頼することができます。

煩雑で時間のかかる仕入先登録をサポートするため、見込み仕入先には暫定登録要求を随時保存して後日回答させるようにすることができます。見込み仕入先が登録されると、その仕入先の要求は承認階層全体で回覧され、レビューされます。

認定管理

多くの組織では、新しい仕入先との関係を評価するプロセスは、煩雑で非効率です。多くの企業は、“事を確実になし遂げる”ために、新規仕入先の要求を受け入れるための複数の経路を用意し、非常に限られた場当たり的な手順に従って仕入先の資格のレビューを行います。多くの場合、これは信用調査、顧客照会、品質基準のレビュー、製造施設の検査の実施時に、タスクの順番を決定し、複数の部門にまたがって追跡管理する必要がある、調整が不十分な手動のプロセスです。

Oracle Supplier Lifecycle Managementでは、承認管理エンジンを活用することで、企業がカスタマイズした承認フローを作成し、仕入先の要求と登録を処理することを可能にしています。各新規仕入先の詳細情報は、購買組織内の多数の部門の多数のステークホルダに渡されます。

承認者は、要求のレビューを行う必要があるときに通知を受け取り、要求の全体的な承認のステータスを図で視覚的に確認できます。承認ルートの一部として、SLMには仕入先から収集した認定情報と要求を評価するビジネス・ユーザーによる増分フィードバックが含まれています。このため、基本的な仕入先のプロファイルと認定詳細情報が収集され、保険証書や行動規範文書などの提出物が保存され、製品およびサービス情報が認定パケット内に記録されます。購買組織は、要求の詳細情報を使用するビジネス・ルールを適用して、適切な承認者がその詳細情報を見るように承認フローをカスタマイズできます。

登録要求が承認または否認されると、自動的に仕入先にEメールで通知が送信されます。承認後は、仕入先から提供された認定詳細情報は、その仕入先のプロファイルの一部となります。詳細情報は、必要に応じてその後更新できます。

準拠およびプロファイル監査

一部のタイプの組織には、仕入先のプロファイルの重要な要素を最新の状態に維持することを義務付ける法的用件がありますが、これは、規制はされていないものの、企業の社会的責任(CSR)における自主基準の達成を目指す多数の組織にとっても同様に重要なプロセスです。

Oracle Supplier Lifecycle Managementでは、管理者は、RFIツールを使用して応当日に必要となる仕入先の準拠およびプロファイル情報を収集できます。管理者は、仕入先から入手する必要がある重要な準拠情報を定義し、その後仕入先から提供されたフィードバックを仕入先マスター・プロファイル・レコードに保存します。

実績評価

企業は、仕入先と交流のある従業員が、仕入先に対する検証の難しい実績指標について洞察力のある意見を持っていることを認識しています。このような重要なステークホルダの意見を求め、その情報を使用して仕入先の実績の全体的な評価の推進に役立てることは、仕入先との関係向上を目的としたコラボレイティブ・プラグラムにおいて重要です。

管理者は、Supplier Lifecycle Managementを使用して、社内用のRFI文書を作成し、仕入先の全体的な実績の特定の側面を評価して、採点する組織内の重要な人員に送信します。これにより、調達、財務、サプライ・チェーン、製造、品質、設計、法務など様々な部門のステークホルダが意見を出し合い、仕入先の実績の評価を行うことができます。仕入先に関して収集されたフィードバックは仕入先プロファイルに保存されるため、実績の動向を追跡し、リスクを効果的に管理することができます。

仕入先通知

仕入先との通信を支援するため、Supplier Lifecycle Managementは、企業の供給ベースに通知を選択的に送信できるツールを備えています。管理者は、通知情報を入力してから、検索ツールを使用して通知を送信する必要がある仕入先リストを作成します。

Oracle Supplier Hub

Oracle Supplier Hubは、組織が仕入先マスター・レコード管理の向上を実現できるマスター・データ管理ツール群を提供する新しいアプリケーションです。Oracle Supplier Hubは、顧客情報のマスタリングをサポートするための基盤技術の上に構築されており、様々な範囲のアプリケーション・システムから仕入先データを集約する必要がある組織と、単一のE-Business Suiteインスタンスを実行している組織の両方で使用されます。

このアプリケーションは、仕入先データを管理するための包括的な機能を備えています。このような機能には、異なるシステムや事業分野からの仕入先情報を1つのリポジトリに統合する機能、中央におけるデータの整理・拡充機能、その結果実現できる消費アプリケーション、企業の業務プロセス、意思決定支援システムに対するサービスとしての"single point of truth"データ(重複排除されたデータ)の配信機能があります。

Oracle Supplier Hubを導入することで、組織は取引先に対して一致した見解を持ち、その見解に基づいて自社のビジネスを支えるために必要な製品やサービスを調達することができます。このような明瞭さは、支出パターンの効果的な分析を実施し、社内の調達ポリシーに関して適切な戦術的、戦略的な意思決定を行う上で非常に重要です。

お客様が自社の組織全体で仕入先レコードを管理できるようにするために、Oracle Supplier Hubでは、次の構成をサポートしています。

Oracle Supplier Hubの主な機能は、次のとおりです。

仕入先マスター・プロファイル

Oracle Supplier Hubを使用すると、組織は自社内のすべての異機種環境から保存しているすべてのベンダー詳細情報を収集して、中央のリポジトリに保存できます。購買部門と支払部門は広範な情報を入手・保守する必要がありますが、ハブを使用することで、購買組織は次のカテゴリ範囲のデータを保存できます。

データ・カテゴリはすべて、統合された構成を使用して管理できます。スタンドアロン構成および混合構成では、識別情報、ビジネスおよびプロファイルのカテゴリの詳細情報がサポートされています。

拡張仕入先プロファイル

主要な製品カテゴリにおける仕入先の能力をよりよく理解し、その仕入先の実績に関する主観的な情報を追跡管理するには、購買組織は仕入先マスターに広範な情報を追加する必要があります。この情報は通常、様々な部門で紙ベースのシステムを使用して収集され、保管されている種類の情報です。このような情報は、組織が詳細情報を使用して仕入先の実績に対する情報を取得しようとする際に障害となることがあります。

Oracle Supplier Hubでは、ユーザー定義属性テクノロジが採用されているため、管理者は無制限の範囲の属性を仕入先定義に追加して、これらを論理的なプロファイル・セクションにグループ化することができます。管理者は、属性名に加えて、その属性の目的を説明するうえで役立つ説明文も追加できます。拡張プロファイル属性を使用すると、様々なソース・システムから異なる詳細情報をインポートしたり、ハブにおいて詳細情報を使用してこの情報を中央で取り込み、保存することができます。

きめ細かいアクセス管理を実現するツールにより、管理者は拡張プロファイルの詳細情報の個々の属性に対するユーザーのアクセス権限を管理することができます。これは、プロファイルに機密情報が保存されており、アクセスを社内または仕入先の適切なユーザーに制限する必要がある場合に重要な機能です。

高度な仕入先分類

数多くの組織では、支出パターンを企業の社会的責任(CSR)の目標に一致させるために、供給ベース全体で分類および多様性情報を追跡管理できる能力がますます重要になっています。組織で仕入先に関する様々な分類および多様性情報を追跡できるようにするために、ハブでは、複数の分類スキーマを定義可能です。この情報は、その後支出パターンの追跡管理レポートを作成する際に使用できます。

仕入先階層管理

供給ベース分析において重要な点は、購買組織の様々な部門と取引をしている様々な仕入先間に存在する関係を理解することです。これによって組織は、仕入先との交渉プロセスにおいて集約された費用情報を活用することができます。

ハブの仕入先階層管理機能により、社内の様々なシステムから統合した全仕入先レコードに基づいて仕入先の親会社、子会社の関係を特定できます。

基本的な企業間の親子関係の特定に加えて、ハブを使用すると、ビジネス・ユーザーはカスタム仕入先関係タイプを数に制限なく定義し、作成した関係タイプを使用して様々な仕入先間の関係を追跡管理できます。カスタム階層情報は、ツリー構造で表示して、各種レポートの作成や仕入先管理目的で使用できます。

データ・インポートおよびソース・システム管理

Oracle Supplier Hubはインポート・ワークベンチ機能を備えているため、管理者は、組織内で動作するスポーク・アプリケーションまたはシステムにある仕入先レコードを統合するプロセスを設定および制御できます。また、インポート・ツールを使用すると、多数のスポーク/ソース・システムの仕入先識別情報、ビジネス、プロファイル詳細を相互参照できます。さらにバッチ管理機能を使用することで、管理者はインポートした仕入先データのハブのリポジトリへのロードを制御できます。ハブの最初のリリースでは、識別情報、住所、担当、一般分類のバックエンド・コンカレント・プログラム・インポートがサポートされています。

データ品質管理

仕入先データの管理における管理者の重要な役割は、重複した仕入先レコードの処理と、最初の段階で重複を防ぐプロセスの確立です。

Oracle Supplier Hubに組み込まれているデータ品質管理機能を使用すると、管理者は、仕入先の識別情報、ビジネス、プロファイル詳細の重複排除とクレンジングを行うことができます。また、ハブでサポートされている仕入先作成フローにDQMツールが搭載されているため、同じ仕入先に複数のレコードが設定されることを防ぐことができます。

DQMは、重複排除タスクの実行に必要となる照合ルールやその他のデータ品質の設定を行うためのツールを搭載しています。また、仕入先のレコードをブレンドして、多数のソース・システムにある同じ仕入先の情報を整合するためのツールも備えています。さらに、DQMは、管理者やビジネス・ユーザーが必要に応じてデータ品質管理の措置を取ることができるようにシステム内の重複している仕入先レコードを自動的に識別するツールも備えています。

D&B統合を使用したデータ拡充

仕入先データ拡充機能を使用すると、D&Bからの詳細情報を取り込むことにより、保持している任意の仕入先のプロファイル情報を拡充できます。仕入先の情報パケットは、仕入先の登録手続き時および通常の仕入先プロファイル管理の一環として収集します。管理者またはビジネス・ユーザーは、D&Bリポジトリを対話的に検索し、仕入先情報を拡充するための様々なD&B製品を発注/購入できます。

データ公開および同期

お客様がOracle Supplier Hubを導入する主な理由の1つに、各仕入先の単一の定義を作成し、組織内で運用されている全システムでその定義を使用するという目的があります。

仕入先データ公開機能セットは、Oracle Supplier Hubを他のスポーク・システムに統合できるようにします。この機能は、更新済みの仕入先情報の公開をトリガーするために必要なビジネス・イベントを発生させるインフラストラクチャと、更新済みの仕入先情報を問い合せて使用するためにスポーク・システムで使用できるAPIを提供します。また、ハブ内で重複している仕入先レコードの有無を問い合せるためのAPIや、ソース・システムの仕入先情報を処理してハブに格納するためのAPIも提供します。

Oracle Supplier Lifecycle Management/Oracle Supplier Hubで使用できる機能

Oracle Supplier Lifecycle Management/Oracle Supplier Hubで使用できる機能には、次のようなものがあります。

両製品が同じアプリケーション・インスタンスにインストールされている場合、これらの機能はシームレスに統合されます。