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Oracle Paymentsユーザーズ・ガイド
リリース12
E06001-01
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Oracle Paymentsについて

Oracle Paymentsの概要

Oracle Paymentsは、Oracle E-Business Suiteの一部で、他のOracleアプリケーションの資金取得および資金支出エンジンとして機能します。Oracle Paymentsは、中央の支払エンジンとして、Oracle Payablesからの請求書支払、Oracle Cash Managementからの銀行口座振替、およびOracle Receivablesからのクレジット・カードおよび銀行口座に対する精算などの取引を処理します。Oracle Paymentsは、このようなアプリケーションと他のサード・パーティ製支払システムおよび金融機関を接続するために必要なインフラストラクチャを提供します。

Oracle Paymentsで支払処理を一元化することで、採用企業には様々な利点がもたらされます。企業は、複数の組織、通貨および地域間で支払プロセスを効率的に一元化できます。資金管理者が資金のインフローおよびアウトフローを表示できるようにすることで、資本管理を改善できます。さらに、支払管理の一元化により、完全な監査証跡と制御もサポートされます。

Oracle Paymentsは、資金取得と呼ばれる入金処理、および資金支出と呼ばれる支払処理を行うために、金融機関および支払システムと統合されます。資金取得では、採用企業に借入がある顧客などの支払者からの資金の電子取得を、通常は採用企業のかわりに支払システムによって参照します。この場合、支払者は、クレジット・カード、デビット・カード、銀行口座番号などの関連する支払情報をOracle Paymentsに提供します。一方、資金支出は、仕入先などの債権者が負っている資金を支払うプロセスです。

Oracle Paymentsは、資金取得支払について、次のタイプの電子支払をサポートしています。

Oracle Paymentsでは、資金支出支払について、次のように複数の支払方法をサポートしています。

資金取得について

この項では、資金取得プロセスに関連する機能と用語について説明します。

支払方法について(資金取得)

Oracle Paymentsの資金取得側では、支払方法は、第三者支払人が第一者受取人への支払送金を選択する手段です。たとえば、ある顧客は製品またはサービスの支払を採用企業に送金します。Oracle Paymentsは、自動資金取得処理について、次のタイプの支払方法をサポートしています。

Oracle Paymentsを使用すると、次のように、資金取得支払方法を柔軟に設定できます。

オフラインおよびオンラインの支払について

この項では、次のトピックを説明します。

オフラインおよびオンラインの支払について

Oracle Paymentsでは、次のように、クレジット・カード、購買カードおよび暗証番号不要のデビット・カードについて2つの支払処理モデルをサポートしています。

資金取得銀行口座振替は、常にオフラインで行われます。

オンラインで処理できる操作のタイプは、選択した支払システム・タイプ、ゲートウェイ・モデルまたはプロセッサ・モデル、および操作モデル(ホスト・ベースまたは端末ベース)によって異なります。

プロセッサ・モデル支払システムの場合、承認操作はオンラインで行う必要があり、精算操作はオフラインでバッチされます。ゲートウェイ・モデル支払システムの場合、承認と精算の両方の操作をオンラインで行うことができます。

オンライン支払処理

オンライン支払処理は、取引が支払システムにただちに転送されるモデルです。支払システムからの結果は、ソース製品にただちに戻されます。オンライン取引は、クレジット・カード、購買カードおよび暗証番号不要のデビット・カードでサポートされています。オンライン検証取引は、電子送金でサポートされています。.

オフライン支払処理

オフライン支払処理は、取引が支払システムにただちに転送されないモデルです。ソース製品が予定されたモードで取引を発行すると、支払が以前の日付の場合、または取引がプロセッサ・モデル支払システム向けの精算の場合、支払情報はOracle Paymentsデータベースに保存され、後で支払システムに送信されます。

オフライン方法では、オフライン操作を定期的に発行するコンカレント・プログラムが使用されます。このプログラムは保存された取引を参照し、取引を支払システムに送信して、ソース製品を更新します。「オフライン操作の発行」コンカレント・プログラムは、個別のオフライン取引をゲートウェイ・モデル支払システムに発行するために使用され、「精算バッチの作成」コンカレント・プログラムは、取引のバッチをプロセッサ・モデル支払システムに発行するために使用されます。

クレジット・カード取引について

資金取得支払のうち、Oracle Paymentsはクレジット・カード取引、暗証番号不要のデビット・カード取引およびEFT取引を処理します。この項では、一般的なクレジット・カード取引のフローについて説明します。

従来のクレジット・カード取引

従来のクレジット・カード取引処理には、第三者支払人、第一者受取人、発行銀行、取得銀行、支払プロセッサおよび必要に応じて支払ゲートウェイが関与します。Oracle Paymentsが直接対話する支払ゲートウェイまたは支払プロセッサは、簡略化のために支払システムと呼ばれます。

クレジット・カード取引は、承認と精算の2つのフェーズで構成されます。一般的なフローは、次のように行われます。

音声承認

クレジット・カード処理ネットワークは、取引を完了するために業者がカード所有者の発行銀行に電話する必要があることを示す照会メッセージ付きの取引を拒否する場合があります。このような場合、支払情報は電話で発行されます。取引が承認されると、業者には取引の承認コードが付与されます。この音声承認に対するOracle Paymentsによる後続取引(取得、無効など)を容易にするために、Oracle Paymentsでは、ゲートウェイ・モデルおよびプロセッサ・モデル支払システムに音声承認サポートを提供しています。

購買カードについて

購買カードは、組織が従業員に発行するクレジット・カードの一種です。通常、購買カードは、企業の商品およびサービスを購入するために従業員が使用します。支払は、企業の購買担当がカード発行者に対して行います。

購買カードは、調達カードとも呼ばれ、標準的な消費者金融カードまたは消費者チャージ・カードよりも多くの機能と制御を備えた、特別なタイプのクレジット・カードです。購買カードは、購買担当と呼ばれる組織が発行し、その組織の従業員が使用します。支払は、企業の購買担当がカード発行者に対して直接行います。クレジット・カードの場合、支払は、個別の購買担当(企業の購買担当の場合もあります)がカード発行者に対して行います。

業者は、取引の発行の数日後に支払を受け取り、購買担当は請求期間中に行われた購入金額の合計を発行銀行に支払います。購買カードを使用すると、業者は、未処理の請求書の資金を提供および調達するために必要な、コストのかかる書類処理を省くことができます。

購買カード・データ・レベル

購買カードでは、3つのレベルのデータを取得し、業者が支払システムを介して購買担当組織に送信できます。3つのレベルは次のとおりです。

レベルI:

レベルIの取引データは、基本的なデータのみで構成されます。標準的なクレジット・カード取引では、レベルIデータを支払システムに提供します。業者がレベルIデータのみを渡す場合、購買担当は購買カードの利用によって特別な利益を得ることはできません。

レベルII:

レベルII取引データは、レベルIデータ以外に、税金金額やオーダー番号などのデータで構成されます。

レベルIII:

レベルIII明細品目詳細は、品目摘要、数量、単位、価格など、特定の購買情報を提供します。この情報は、会計およびビジネス手法を合理化し、支払データと電子調達システムをマージする購買担当に役立ちます。次の表のデータは目安にすぎません。実際のフィールドは、支払システムによって異なります。

注意: Oracle Paymentsは、支払プロセッサとゲートウェイ・モデル支払システムの両方でレベルIIIデータをサポートしています。

この表は、各レベルでOracle Paymentsによって渡されるデータに関する情報を示しています。

各レベルでOracle Paymentsによって渡されるデータに関する情報
データ レベル1 レベル2 レベル3
カード番号XXX
カード所有者名XXX
カード失効日XXX
カード所有者請求先所在地X X X
通貨コードXXX
税金金額  X X
取引/オーダー番号  X X
出荷元郵便番号  X X
搬送先郵便番号  X X
割引額    X
運送費    X
関税額    X
明細品目情報    X

購買カード取引の処理

購買カード取引の取引フェーズは、クレジット・カード取引の場合と同じです。フェーズは承認と精算です。取引フェーズの詳細は、「クレジット・カード取引について」を参照してください。

Oracle Paymentsでは、一連のシード済カード番号範囲に基づいて購買カードが自動的に認識されます。Oracle Paymentsは、精算または精算バッチ操作中にゲートウェイ・オンライン要求を介して支払システムに追加情報を渡します。承認およびその他の精算操作は、クレジット・カードの場合と同じように、購買カードの同じ情報を渡します。

追加情報が渡される場合を除き、ビジネス・フローは支払システムについては購買担当側で異なりますが、業者については同じです。

資金取得銀行口座振替について

Oracle Paymentsでは、B2CモデルとB2Bモデルの両方で資金取得銀行口座振替をサポートしています。資金取得銀行口座振替機能は、顧客の銀行口座から受取人の銀行口座への支払金額の電子送金を容易にします。オンライン検証はオンラインでリアルタイムに行われますが、実際の送金取引は、オフラインで行われます。標準の口座引落し以外に、Oracle Paymentsでは受取手形の送金手段をサポートしています。ソース製品は、適切な手形交換所ネットワークへの接続を提供する支払システムへのインタフェースとして、Oracle Paymentsを使用します。

注意: Oracle Paymentsは、口座引落しおよび受取手形送金について、Oracle Receivablesと標準で統合されます。

電子送金(EFT)オンライン検証

EFTオンライン検証は、一部の支払システムが提供するリアルタイムのサービスで、EFT取引で使用される第三者支払人の銀行口座を検証します。EFTオンライン検証サービスでは、第三者支払人の銀行口座手段が存在し、その銀行口座に対する不正のアラートがないことが保証されます。電子送金取引は、リアルタイムでは行われません。したがって、通常は、銀行口座がまだ開いており、十分な資金があることは保証できません。EFTオンライン検証は、次のように、妥当性チェックをサポートします。

暗証番号不要のデビット・カード取引について

暗証番号不要のデビット・カード取引は、従来は分割請求者と見なされていた優良業界の第一者受取人に、一部の支払システムが提供する支払方法の一種です。暗証番号不要のデビット・カード取引は、銀行口座振替と同様に、顧客の銀行口座から受取人の銀行口座への支払金額の電子送金を容易にします。ただし、暗証番号不要のデビット・カードの場合、支払者はクレジット・カード取引の場合と同じようにカードを使用します。支払者は、暗証番号を指定せずに、デビット・カード支払プロセスを開始します。第一者受取人は支払者を認証し、取引と後続の調整について100%の信頼性を想定します。

取引は、処理のためにデビット・ネットワークに送信されます。現在、Star、NYCEおよびPulseの3つのデビット・ネットワークが、暗証番号不要のデビット・カード支払をサポートしています。

暗証番号不要のデビット・カード取引の承認と取得は、すべての支払システムで単一ステップで処理されます。暗証番号不要のデビット・カード取引を承認した後、取引を変更することはできません。支払要求が承認されると、支払者の口座にリアルタイムで請求されます。取引に関連付けられた係争、エラーまたは変更は、支払者と第一者受取人の間でオフラインで処理できます。

暗証番号不要のデビット・カード取引の精算ステップには柔軟性があります。Paymentechなど、このステップで取引を完了する必要がある支払システムもあれば、このステップをサポートしていない支払システムもあります。ただし、暗証番号不要のデビット・カード取引は、クレジット・カードおよび購買カード取引と同じバッチを共有します。したがって、支払システムでは取引を差別化して精算します。

ゲートウェイ・モデル支払システムのプロセス・フロー

ほとんどのゲートウェイ・モデル支払システムは、暗証番号不要のデビット・カード取引を単一ステップで処理します。承認要求を受信した後、支払システムはデビット・ネットワークに取引を送信します。承認要求を承認した後、支払者の口座に請求されます。第一者受取人の口座は、後でクレジットされます。暗証番号不要のデビット・カード取引は、承認と資金取得が2つのステップに分かれるクレジット・カード取引のプロセス・フローとは異なります。

プロセッサ・モデル支払システムのプロセス・フロー

ほとんどのプロセッサ・モデル支払システムでは、暗証番号不要のデビット・カードのフローは、支払ゲートウェイの場合と同じです。ただし、Paymentechなどの一部のプロセッサ・モデル支払システムでは、取引を完了するために追加の精算ステップが必要です。第一者支払人の口座は精算後にクレジットされ、送金が完了したことになります。

資金支出について

この項では、次のトピックを説明します。

支払方法について(資金支出)

Oracle Paymentsの資金支出側では、支払方法は買掛/未払金文書の支払属性です。支払方法は、第一者支払人が第三者受取人に対して行う支払の手段を示します。支払方法には、支払方法を買掛/未払金文書に割り当てる方法を決定する検証やルールなど、支払処理の初期段階で使用される他の情報も含まれます。資金支出支払方法の例は、次のとおりです。

Oracle Paymentsは一部の支払方法をシードしますが、ユーザーは独自の支払方法を定義することもできます。

Oracle Payables担当者などのソース製品ユーザーは、請求書などの買掛/未払金文書を入力するときに支払方法を選択する必要があります。ソース製品はOracle Payments設定を使用して、各買掛/未払金文書でデフォルトとなる支払方法を設定し、ユーザーの支払方法の選択肢を制限して、効率的な支払処理が行われるようにします。

支払プロセス・プロファイルについて

支払プロセス・プロファイルは、買掛/未払金文書に割り当てられる支払属性で、Oracle Paymentsによる買掛/未払金文書、支払および支払指図の処理を指定します。支払プロセス・プロファイルには、支払指図フォーマットや伝送の指定など、複数のタイプの情報が含まれます。

ソース製品ユーザーまたはOracle Payments支払管理者は、支払プロセス・プロファイルを買掛/未払金文書に割り当てることができます。有効な支払プロセス・プロファイルの選択は、Oracle Payments設定で作成される支払プロセス・プロファイルの使用ルールによって決定されます。支払プロセス・プロファイルの使用ルールは、支払方法、支払通貨、第一者組織または当方銀行口座に基づくことができます。

支払は、属性の中でも、同じ支払プロセス・プロファイルを持つ買掛/未払金文書から作成されます。支払指図は、属性の中でも、同じ支払プロセス・プロファイルを持つ支払から作成されます。したがって、支払プロセス・プロファイルは、支払プロセスのすべてのステップでOracle Paymentsの動作を指定できます。

買掛/未払金文書について

買掛/未払金文書は、支払のためにOracle Paymentsに送信されるソース製品内の取引です。Oracle Payablesでの買掛/未払金文書の例は請求書です。支払プロセスでは、買掛/未払金文書は実際の支払にグループ化されます。

支払について

支払とは、印刷済の支払文書または電送を経由して、個人または組織間で資金を1回振り替えることです。次の図は、「支払指図の作成」プログラムによって支払がどのように処理されるかを示しています。「支払指図の作成」プログラムでは、同じ支払プロセス・プロファイルを持つ支払が、同じ支払指図に入れられます。

支払処理

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支払指図について

支払指図は、支払総計情報とともに1つ以上の支払を含んでおり、「支払指図の作成」プログラムの実行によって作成されます。設定に応じて、支払指図を小切手などの支払文書に印刷される支払ファイルに変換することも、処理または支出のために支払システムまたは金融機関に伝送される支払ファイルに変換することもできます。支払指図と支払の間の関係を確認するには、「支払の処理」というタイトルの図を参照してください。

支払システムまたは金融機関に電子送金される各支払指図は、支払ファイルに関連付けられます。この支払ファイルには、支払システムまたは金融機関に支払方法を指示するデータが含まれます。通常、電子送金される支払ファイルには次の情報が含まれます。

支払プロセス要求について

支払プロセス要求は、Oracle Payments支払サービスのソース製品によって作成される要求です。支払プロセス要求は、買掛/未払金文書の選択処理中にソース製品から発生し、支払対象の1つ以上の買掛/未払金文書が含まれます。また、Oracle Paymentsとソース製品による、要求とオプションの支払処理指図の識別を可能にするための情報も含まれます。ソース製品は、ユーザーの処理またはコンカレント・プログラムを介して支払プロセス要求をOracle Paymentsに発行できます。

支払プロセス要求がOracle Paymentsに発行されると、「支払作成」プログラムは買掛/未払金文書を検証し、文書属性と支払プロセス・プロファイル・グループ化ルールに従って買掛/未払金文書を支払にグループ化した後、支払を検証します。同じ支払にグループ化できるのは、支払プロセス・プロファイル、支払方法および支払フォーマットが同じ買掛/未払金文書のみです。

支払プロセスについて

支払プロセスは、Payablesなどのソース製品で請求書などの買掛/未払金文書を支払う必要がある時点から開始します。ソース製品ユーザーは、買掛/未払金文書を支払プロセス要求にグループ化し、要求をOracle Paymentsに発行します。Oracle Payments内では、「支払作成」プログラムが、発行された買掛/未払金文書を取得して検証し、支払にグループ化した後、支払を検証します。各支払は、1つ以上の買掛/未払金文書で構成されます。次に、「支払指図の作成」プログラムにより支払が支払指図にグループ化され、支払指図が検証されます。各支払は、選択した処理のタイプに応じて、印刷される小切手、または単一の電子送金取引を表します。各支払指図は、支払金額やクレジット化または請求対象の口座など、1つ以上の支払に関連する情報を含む、1つの支払ファイルになります。電子支払の場合、支払ファイルには、金融機関が必要とする形式の支払指図が含まれます。実際に支払を行うには、小切手を印刷するか、外部システムまたは金融機関に支払指図を電子的に伝送します。

次の図は、上位レベルの支払プロセスを示しています。

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