Oracle Human Resources Management Systems給与処理管理ガイド リリース12 E06009-01 | ![]() 目次 | ![]() 戻る | ![]() 次へ |
オラクル人事管理システムを使用すると、給与イベントと、給与処理を制御する処理パラメータを定義できます。
給与イベントとは、他の処理の前提条件として機能する定例または例外が発生することです。たとえば、特定のイベントまたはイベントのグループが按分計算または遡及計算通知をトリガーするように指定できます。
処理パラメータを使用すると、給与処理を制御する条件を設定できます。
給与イベントおよびパラメータを正しく設定できるようにするには、次の主要概念を理解する必要があります。
関連項目: 『Oracle Human Resources Management Systems給与処理管理ガイド』のOracle HRMSでのレポートと処理に関する項
給与イベントによって、特定の処理対応を示す重要な変更を識別できます。
処理要件にあわせて独自の給与イベントを定義します。関連する複数のイベントをグループ化して、1つのイベントとして処理することもできます。
データベース管理者は、オラクル人事管理システムの動作を変更して、次の一部またはすべてを実行することで標準給与計算プロセスが実行される方法を制御できます。
動的トリガーの作成。
動的トリガーの有効化または無効化。
機能領域へのトリガーのグループ化。
データベース・トリガーは、オラクル人事管理システムのインストール時にオラクル人事管理システム・データベースで作成されます。オラクル人事管理システムでは、2つのタイプのデータベース・トリガーが使用されます。
静的トリガー
動的トリガー
この2つのタイプのトリガーの違いを理解する必要があります。
静的トリガーはオラクル人事管理システムに不可欠で、通常は使用不可にできません。静的トリガーは、オラクル人事管理システム全体に適用されます。静的データベース・トリガーを使用不可にする可能性が最も高いのは、オラクル人事管理システムのサイトでの動作について技術的問題を識別するために、サポート担当者とともに作業している場合です。
動的トリガーは、HRMSシステム管理者によって選択的に有効化または無効化できるように設計されています。動的トリガーは、特定の国別仕様、ビジネス・グループおよび給与に対して有効です。たとえば、給与計算の一部を外部にアウトソーシングしている場合、オラクル人事管理システムの導入の一部として、外部インタフェースの動的データベース・トリガーを有効にできます。
データベース管理者は、次のタスクを担当します。
動的トリガーの定義
動的トリガーが更新、挿入または削除を開始するかどうかの指定
データベース管理者は、フォーム・インタフェースを使用して既存のトリガーを表示したり、新しい動的トリガーを作成できます。データベース管理者またはHRMSシステム管理者は動的トリガーを有効にして、特定の国別仕様、ビジネス・グループおよび給与、またはこれらの組合せに対して使用できます。
データベース管理者は、複数のトリガーを1回で操作できるように、トリガーを機能領域にグループ化することもできます。
オラクル人事管理システムの給与計算インタフェース・ツールキットを使用して、オラクル人事管理システムを外部の給与計算システムにインタフェースしている場合、データベース管理者は、特定の国別仕様、ビジネス・グループまたは給与のためにトリガーを有効化または無効化することができます。
オラクル人事管理システムでは、事前に定義された多数の動的トリガーが提供されています。これにより、オラクル人事管理システムで特定の情報が更新または削除されないようにしたり、オラクル人事管理システムのデータが、外部の給与計算システムのデータと食い違わないようにします。
これらのトリガーは、事前に定義された機能領域にグループ化されます。個別のトリガーは、「動的トリガーの機能領域のグループ化」ウィンドウを使用して、特定の国別仕様、ビジネス・グループおよび給与計算に関して有効または無効にすることができます。
オラクル人事管理システムでは、次の事前定義済の機能領域が提供されています。
一般給与システム・インタフェース・ツールキット
ADP給与システム・インタフェース
カナダの100給与システム・インタフェース
カナダの500給与システム・インタフェース
重複エレメント・レポート名
これらは、オラクル人事管理システムに標準として提供されている給与システム・インタフェースに対応しています。これらの給与システム・インタフェース機能領域に含まれるトリガーは、提供時に国別仕様、ビジネス・グループまたは給与に対して有効になっていません。こうしたトリガーを有効にするには、特定の国別仕様、ビジネス・グループまたは給与(あるいはそのすべて)に対してトリガーを有効にする必要があります。
Oracle以外の給与システム・インタフェースを使用していない場合、これらのトリガーのいずれも有効にする必要はありません。トリガーは「動的トリガーの定義」ウィンドウに有効として表示されますが、国別仕様、ビジネス・グループまたは給与に対して有効になっていないため、使用されません。
データベース管理者は、「処理パラメータ」ウィンドウを使用してプロセス・パラメータの代替値を選択できます。たとえば、プロセスにスレッド数を割り当てたり、ロギング用にレベルの組合せを選択できます。
また、次のように、ビジネス・グループごとに異なる値を持つパラメータ・グループも作成できます。
スレッド4、ロギング値Nを含むグループAを作成します。
スレッド1、ロギング値GMFの組合せを含むグループBを作成します。
ユーザー・プロファイル・オプションの「HR: 処理パラメータ・グループ名」を使用して、職責のパラメータ・グループを指定します。この職責を使用して給与処理を実行すると、このパラメータ・グループに選択した値がOracle Payrollで使用されます。グループで指定されなかったパラメータについては、デフォルト値が使用されます。プロファイル・オプションをブランクにした場合、すべてのパラメータでデフォルト値が使用されます。
ロギング・パラメータは、文字の組合せによって識別されます。「ロギング」タブを使用して、ロギング・カテゴリを使用可能にします。たとえば、ロギングをRGEに設定すると、次のロギング・カテゴリの組合せを表します。
R - ルーティング
G - 一般
E - エレメント・エントリ
「動的トリガー定義」ウィンドウは次の目的で使用します。
既存のトリガーを検索します。既存のトリガーは静的トリガーと呼ばれます。
新規トリガーを作成します。新規に作成されたトリガーはすべて、動的に生成されたトリガーと呼ばれます。
トリガーを使用可能および使用不可にします。
注意: Oracle以外の給与計算製品を使用している場合は、このウィンドウを使用しないでください。「動的トリガー機能領域グループ」ウィンドウを使用して、ビジネス・グループおよび関連トリガーを使用可能にしてください。
既存のトリガーを検索する手順は、次のとおりです。
動的に生成されたトリガーまたは静的データベース・トリガーを選択します。
検索の範囲を制限するアプリケーションを選択します。これは、トリガーを所有するアプリケーションを意味するわけではありません。これは、トリガーが適用される表を所有するアプリケーションを意味します。
次のいずれかを入力します。
表名
トリガー名
表名とトリガー名
トリガーの処理またはトリガーの処理の組合せを選択します。
トリガー・タイプを選択します(静的データベース・トリガーのみ)。
全て - 既存のすべてのトリガーを表示
各行の前
各イベントの前
各行の後
各イベントの後
各行のかわり
各イベントのかわり
文
注意: これらの基準は動的に作成されたトリガーには当てはまりません。動的に作成されたトリガーは、必ず各行の後で実行されるように定義されます。
動的トリガーを使用可能および使用不可にする手順は、次のとおりです。
警告: この説明は、動的データベース・トリガーにのみ当てはまります。静的データベース・トリガーは、決して使用不可にしないでください。
検索基準に一致するデータベース・トリガーが検出されたら、トリガーが使用可能か使用不可かを確認できます。トリガーが使用可能なときには「使用可能」フラグがチェックされ、使用不可なときにはフラグがチェック解除されています。
「使用可能」フラグをチェックしたりチェック解除することにより、トリガーのステータスを変更できます。
変更は即時に有効になります。
動的トリガーを作成する手順は、次のとおりです。
動的データベース・トリガーを選択します。
トリガーの摘要を入力します。この摘要は、生成されたコード中にコメントとして表示されます。
このトリガーで操作する表を選択します。
トリガーの処理タイプを選択します。
挿入 - このトリガーは挿入後に作成できます。
更新 - このトリガーは更新後に作成できます。
削除 - このトリガーは削除後に作成できます。
動的トリガーの作成では、次の操作はサポートされません。
静的トリガーの作成で使用可能な、挿入、更新および削除処理の組合せ
「各行の後」タイプではないトリガー
トリガーの定義を保存します。
トリガーの定義を保存した後で、トリガーが実行される表を変更したり、トリガーが実行する処理を変更することはできません。このためには、トリガーを削除して、正しい詳細を含めたトリガーを再作成する必要があります。
「動的トリガー機能領域グループ」ウィンドウは、機能領域のすべてのトリガーを1つのグループにまとめるために使用します。個々のトリガーを使用可能にするのではなく、単一の操作で領域全体のすべてのトリガーを使用可能または使用不可にすることができます。
他社の給与計算製品と一緒にOracle Human Resourcesを使用するお客様では、事前定義データとして、機能領域別グループが提供されています。しかし、他社の給与計算製品のユーザーは、このグループのサブセットを定義し、事前定義されたグループに優先して使用することもできます。
動的トリガーを機能領域別にグループ化する手順は、次のとおりです。
新しい機能領域の摘要を入力するか、既存の機能領域を問い合せます。
次のブロックから、次のいずれかを選択します。
国別仕様
ビジネス・グループ
給与
国別仕様、ビジネス・グループまたは給与の名称を選択します。
機能領域に割り当てる各トリガーの摘要を選択します。
この国別仕様、ビジネス・グループまたは給与のグループを使用可能または使用不可にします。
国別仕様のみ、ビジネス・グループのみ、または給与のみのグループを指定できますが、これらの組合せも自由に指定できます。未選択のままにすると、すべての状況でトリガーが実行されます。
事前定義されたグループから選択したトリガーを有効にする手順は、次のとおりです。
事前定義されたグループの中のいくつかのトリガーのみを使用可能にする場合には、事前定義されたグループを使用不可にし、選択したトリガーを含めた、新しいグループを作成します。次に、新しいグループを使用可能にします。
従業員データが変更されると、その従業員の現行または遡及給与計算の実行結果にも変更が及ぶ場合があります。次に例を示します。
差額遡及 - 従業員は調整を現在の給与期間に受けるが、この調整が前回の給与期間で最初に発生している場合
再計算: 変更が現在の給与期間に限定される場合
按分: 別の給与期間に按分ベースで発生した調整が、適切な割合で現在の給与期間に適用される場合
これらの重大な変更がいつ発生したかを識別するために、各変更を表イベントとして定義し、イベントが検出された際の処理を指定できます。
また、複数のイベントを単一グループとして処理できるように、一連の関連イベントを1つのイベント・グループにまとめることもできます。
関連項目: 『Oracle HRMS Compensation and Benefits Management Guide』のイベント・グループの定義に関する項
主キー情報および列名の詳細は、『Oracle HRMS Technical Reference Manual』を参照してください。
表イベントは、「表イベント更新」ウィンドウで定義します。
表イベントの定義
表名を選択します。
表の主キーを選択します。
このイベントを有効にする期間を定義します。定義するには、開始日および終了日を選択します。
行レベル・イベントの選択
変更の詳細は、行レベル・イベントとして入力します。
イベント・タイプを選択し、このイベントを開始するデータベース更新のタイプを指定します。次の選択肢があります。
挿入 - このイベント・タイプを選択した場合、変更は行レベルのみで行われ、「列名」フィールドは使用できません。
削除 - このイベント・タイプを選択した場合、変更は行レベルのみで行われ、「列名」フィールドは使用できません。
更新 - このイベント・タイプを選択した場合、更新は行レベルに限定されないため、列名も指定する必要があります。
列名を選択します。
変更タイプを選択します。遡及通知および按分の場合は変更タイプを選択する必要はありません。継続計算のイベントを定義する場合のみ選択する必要があります。この場合、次の変更タイプから選択します。
DATE_EARNED - 給与計算の再計算を、対象日に基づいてトリガーします。
DATE_PROCESSED - 給与計算の再計算を、計算の有効日に基づいてトリガーします。税金情報を再計算する場合、この選択肢を使用します。
PAYMENT - 支払前処理の再計算をトリガーします。
COST_CENTRE - 原価計算プロセスの再計算をトリガーします。
REPORTS: レポートを生成する全イベントを追跡します。ただし、すでに変更タイプとして「DATE_EARNED」を選択している場合は、「REPORTS」タイプが含まれているため、「REPORTS」を別途選択肢として指定する必要はありません。
処理パラメータを使用すると、給与処理を制御する条件を設定できます。「処理パラメータ」ウィンドウを使用してパラメータ値を定義し、パラメータ・グループを作成します。デフォルト・グループを作成してグローバル値を指定することも、独自のグループを定義して処理条件のカスタマイズ・セットを提供することもできます。
注意: 独自のグループを作成した場合、ユーザー・プロファイル・オプションの「HR: 処理パラメータ・グループ名」で職責に対してこのグループを選択してください。カスタマイズしたパラメータを使用して給与処理を実行する際に、その職責を使用します。
パラメータ・グループを保守する手順は、次のとおりです。
次のいずれかを実行します。
デフォルト・グループを定義または保守するには、「デフォルト・グループ」チェック・ボックスを選択します。これは、選択したパラメータ値をすべての処理とビジネス・グループのデフォルト値とする場合にのみ実行してください。
独自のパラメータ・グループを作成するには、グループの名称を入力します。
注意: 名前指定パラメータ・グループは、デフォルト・グループとして使用可能にできません。
プロセス・パラメータを保守する手順は、次のとおりです。
「パラメータ」タブで、変更するパラメータの名称を選択するか、パラメータ名を入力します。
入力可能なパラメータの詳細は、『Oracle Human Resources Management Systems Implementation Guide』のテクニカル・エッセイ: 給与計算処理パラメータに関する項を参照してください。
パラメータ名の値を入力します。たとえば、「トレース」にはYまたはNの値があります。
注意: 「トレース」はNに設定することをお薦めします。Yに設定すると、給与処理で余分な処理負荷がかかります。
選択したパラメータに値を指定しないと、グローバル・レベルの値がグループ・レベルのデフォルト値として使用されます。ただし、グループ・レベルで値が指定されている場合は、グループ・レベルの値がグローバルなパラメータ値より優先されます。
ロギング・パラメータを保守する手順は、次のとおりです。
「ロギング」タブを選択します。
使用可能にするロギング・カテゴリをそれぞれ選択します。
使用不可にするロギング・カテゴリの選択をすべて解除します。
変更内容を保存します。