Oracle Advanced Supply Chain Planningインプリメンテーションおよびユーザーズ・ガイド リリース12 E06012-01 | ![]() 目次 | ![]() 前へ | ![]() 次へ |
この章のトピックは、次のとおりです。
Oracle Advanced Planning Suiteには、次の製品が含まれています。
Oracle Advanced Supply Chain Planning(ASCP)
Oracle Inventory Optimization
Oracle Production Scheduling
Oracle Strategic Network Optimization
このドキュメントでは、Oracle Advanced Supply Chain Planningについて説明します。
Oracle Advanced Supply Chain Planning(ASCP)は、アドバンスト・サプライ・チェーン内で供給(在庫、発注および作業指示など)の展開が必要な時期と場所を決定する、インターネット・ベースの包括的な計画ソリューションです。これは供給計画処理機能です。Oracle ASCPは、次の主要な供給計画上の問題に対処します。
最短時間でサプライ・チェーンを計画する方法
計画数と繰返しを最小限に抑える方法
サプライ・チェーン全体を計画する方法
取引先との連携方法
どこからでも計画にアクセスする方法
計画を継続的に改善する方法
すべての製造方法を計画する方法
Oracle ASCPの主な機能は、次のとおりです。
総合的な最適化、計画作成およびスケジューリング。Oracle ASCPでは、すべてのサプライ・チェーン施設を同時に計画できます。短期的な詳細計画と長期的な総計画が1つの計画内でサポートされます。また、この単一計画でショップ型、フロー、プロジェクトおよびプロセス製造など、複数の製造方法もサポートされます。
有限な生産能力計画作成とスケジューリング。Oracle ASCPでは、生産資源制約と資材制約の両方を考慮して、実現可能なサプライ・チェーン計画が生成されます。
最適化。Oracle ASCPは、特定のビジネス基準を最適化するように簡単に構成できます。Oracle ASCPの強力な数学的最適化機能にアクセスするためのプログラミングは不要です。
下位互換性。Oracle ASCPの構成部品構成は、Oracle取引システムの任意のバージョンに対して運用できます。
ワークフローによる例外メッセージ。Oracle ASCPの例外メッセージは、計画担当にアドバンスト・サプライ・チェーンにまたがる重要な問題を警告します。これらの例外を促すワークフローによりデータがルーティングされ、必要に応じて取引先からフィードバックされるため、取引先をサプライ・チェーン計画処理に効率的に含めることができます。
グローバルなアクセス可能性。Oracle ASCPのデータベース中心アーキテクチャでは、計画データは中央の計画サーバー・データベースに格納されます。これらのデータには、単純なブラウザを介してどこからでもアクセスできます。単一計画のデータに、同時に複数の計画担当がアクセスできます。
統合された計画作成と実行。Oracle ASCPの「アドバンスト・プランナ・ワークベンチ」ユーザー・インタフェースには、計画結果が表示されるのみでなく、計画担当は計画推奨を実行することもできます。計画担当は取引システムに移動せずに計画処理を実行できます。
シミュレーション機能。Oracle ASCPでは、供給、需要、計画オプションおよび生産資源のプロファイルに様々なタイプの変更を行い、変化するビジネス条件をシミュレーションできます。「プランナ・ワークベンチ」を介して入力された変更をすべて考慮して、計画を生成できます。オンライン計画、計画のコピーおよび例外を使用し、必要な数のシナリオをシミュレーションして比較できます。変更タイプの例には、確定、ソースの変更、数量や日付の変更、優先度の変更、生産資源可用性の変更、仕入先生産能力の変更および目的の重み付けの変更などがあります。
複数レベルのサプライ・チェーンを伴うビジネスでは、ダウンストリームの物流事業所と顧客からの需要を、製造事業所および在庫保管場所に対する供給計画から履行する必要があります。この物流を管理するルールは、供給が制約なしか制約付きかに応じて異なります。搬送計画プロセスは、各ソース事業所での供給計画プロセスから独立しています。
このプロセスには、次の計画の生成が含まれます。
詳細な短期(日次)計画: 物流ネットワークの各レーンの移動計画
長期的な高レベルの資材物流計画
この2つの計画に影響する制約は同じですが、モデル化される詳細のレベルが大きく異なります。
長期の場合も短期の場合も、物流ネットワーク(外部と内部)の各事業所における在庫配置をグローバルに参照でき、これらの事業所で発生する需要の要件を履行し、特定の消込パターンに対処できる必要があります。
短期的には、需要の不確定性に対処するために、各搬送先事業所でターゲット在庫レベルと最大在庫レベルを維持し、各ソース事業所での安全在庫レベルを維持する必要があります。ターゲット在庫レベルと安全在庫レベルで最大レベルが考慮されていることを常に確認してください。
搬送計画は、中央の事業所に余剰が存在する場合に、在庫をどこに配置すればよいかという質問に対する回答を提供します。余剰在庫は、必要に応じて顧客により近い事業所へとプッシュされます。
また、供給制約付きの品目には、フェア・シェア・ルールが必要になります。このフェア・シェア・ルールでは、所要量のすべてに対処できない場合に、各受入事業所で所要量の一部に対処する方法を指定します。このプロセスは、仕入先管理在庫や顧客管理在庫などのビジネス基本契約により顧客と緊密に統合することもでき、顧客と仕入先の組織をモデル化できます。
搬送計画の決定に影響する重要な制約の一部を次に示します。
配分ルールとフェア・シェア割付ルール
仕入先生産能力の制約
在庫投資
最大在庫レベルとターゲット在庫レベル
安全在庫レベルとサービス・レベルの要件
移動中リード・タイム
出荷限度
出荷、受入および輸送カレンダ
搬送計画は、次の方法でこれらの制約を満たします。
競合需要に対する供給不足のフェア・シェア割付の提供
最大、ターゲットおよび安全在庫レベルなど、複数の在庫レベルのモデル化
中央の物流センターから供給を転送する前の、地域物流センターにおける在庫の再残高計算
組織間の出荷の連結による出荷能力の稼働率の改善
グローバル予測の受入れと各需要を満たす最善の施設の選択
組織間転送に関する文書の作成
Oracle Transportation Planningとの統合による詳細な輸送計画の提供
搬送計画を使用する主なメリットは、次のとおりです。
不足気味の供給状況(仕入先からの供給数量の到着遅延や、割付戦略による製造プラントの生産不足など)に対処する能力が向上します。
顧客のサービス・レベルを向上し、事前の在庫再残高計算を通じて在庫コスト全体を削減できます。
ロード・バランシングを通じて資材移動のコスト(出荷コスト)を削減できます。
消費パターンに動的に従って補充できます。
在庫の償却(消耗と損傷)を最小限に抑えることができます。
フェア・シェア割付を通じてサービス・レベルを向上できます。
在庫および物流方針のグローバルな参照可能性と施行を向上できます。
「物流プランナ・ワークベンチ」を使用し、社内受注と社内購買依頼を同時にリリースして再計画することで、物流プランナの生産性を向上できます。
搬送計画の焦点は、物流環境での最終品目に置かれています。そのため、必要以上の供給の生産が提示されることはなく、製造能力と構成部品が考慮されることもありません。追加購入された供給と仕入先生産能力モデルは考慮されます。構成部品リストにOracle Bills of Materialを使用したキット(軽度の組立)は考慮されますが、受注組立、受注ピックおよび受注構成は考慮されません。
搬送計画は、そのアップストリームおよびダウンストリームで使用可能な他のOracle Advanced Planning Suite製品と連携しています。
Oracle Demand Planningにより、物流計画に独立需要が提供されます。
Oracle Advanced Supply Chain Planningの製造計画により、物流計画に供給が提供されます。
Oracle Inventory Optimizationの計画により、物流計画に時間別の安全在庫情報が提供されます。
物流計画により、社内購買依頼と社内受注のリリースを通じてOracle Transportation Planningが駆動されます。
物流計画は、Oracle Global Order Promisingに製品可用性情報を提供します。
搬送計画は、Oracle Collaborative Planningフロー「オーダー予測の公開」(外部仕入先および組織としてモデル化された仕入先の両方が対象)、「供給コミットの公開」、「仕入先生産能力の受入」および「安全在庫レベルの公開」と連携して動作します。
物流会社は、搬送計画のみを使用してビジネス計画を作成できます。
製造および物流会社は、製造計画と物流計画を組み合せて自社の計画を作成できます。製造および物流計画には、次のタイプがあります。
主要生産計画(MPP): 通常、物流施設が含まれ、製造施設は含まれません。主要生産計画を使用して、製造プラントでの生産に対する全需要を集計します。通常、この計画は独立需要により提供され、この計画により製造計画およびスケジュール作成プロセスが起動されます。
基準生産計画(MPS)と資材所要量計画(MRP): 通常、製造施設が含まれ、物流施設は含まれません。基準生産計画と資材所要量計画を使用して完全な生産計画を作成します。通常、この計画は主要生産計画により提供され、この計画により製造実行と搬送計画が提供されます。製造計画の場合は、2レベル計画アプローチまたは単一計画アプローチを使用できます。2レベル・アプローチでは基準生産計画と資材所要量計画の両方を使用し、単一計画アプローチでは資材所要量計画のみを使用します。
物流計画(DRP): 通常、物流施設が含まれ、製造施設は含まれません。物流計画を使用して、完成品を倉庫ネットワーク上でサプライ・チェーンにより製造プラントから移動する運送業者の推奨に従って、転送計画を作成します。通常、この計画は供給計画から提供され、この計画により物流実行が起動されます。供給計画は主要生産計画、基準生産計画または資材所要量計画のいずれかです。
様々なビジネスで、それぞれ異なる物流および製造プロセス・フローが使用されます。ここでは、様々なビジネス・タイプのサンプル・プロセス・フローを示します。
販売代理店または小売業者
物流ネットワークを通じて再販製品を購入します。製造能力はありませんが、軽度のキッティングが行われることはあります。仕入先管理在庫は、顧客サイトに保有されることがあります。単一物流計画をお薦めします。
製造業者
物流センターのネットワークを所有する製造業者。ネットワークには、顧客サイトにある仕入先管理在庫も含めることができます。次のことをお薦めします。
すべての製造施設とすべての計画品目を含む制約付き主要生産計画。この計画はグローバル予測とローカル予測を使用して提供されます。受注と予測の両方を取得する場合は、物流施設の追加が必要になることがありますが、この種の施設は主要生産計画で計画されません。必要に応じて、Cレベルの品目に資材所要量計画を使用できます。
すべての物流施設を含み、需要計画として主要生産計画を使用する物流計画。主要生産計画での供給が、物流計画の制約となります。主要生産計画の計画対象組織に、物流計画により新規供給数量が作成されることはありません。主要生産計画は、今後の供給がある組織の供給計画としてのみリストされます。
物流計画を使用して、制約なし需要の明細書を制約付き主要生産計画に提供します。
複数プラントまたは複合製品の製造業者: 物流センターのネットワークを所有する製造業者。ネットワークには、顧客サイトで保有される仕入先管理在庫を含めることもできます。2レベルのスケジュール計画アプローチを使用する製造業者です。次のダイアグラムに、このビジネス・タイプの計画ビジネス・フローを示します。