Oracle E-Business Suiteアップグレード・ガイド リリース12.0および12.1から12.2 部品番号E87020-01 | ![]() 目次 | ![]() 前 | ![]() 次 |
この章では、次のトピックについて説明します。
このガイドでは、Oracle E-Business Suiteテクノロジ・スタックおよび製品のリリース12.0およびリリース12.1からリリース12.2へのアップグレードの概要を説明します。
このドキュメントおよび他のリリース12.2のドキュメントは、必要に応じて更新されます。システムのアップグレードを開始する前に、すべてのガイドおよびドキュメントの最新バージョンを入手しておいてください。関連ガイドの最新バージョンは、Oracle E-Business SuiteドキュメントWebライブラリを参照してください。
Oracle E-Business Suiteリリース12.2にアップグレードするには、データベースが最低でもバージョン11.2.0.4である必要があります。リリース12.2へのアップグレードを完了するには、データベースを11.2.0.4以上にアップグレードしておく必要があります。Oracle E-Business Suiteリリース12.2へのアップグレードのデータベース準備ガイドライン(文書ID: 1349240.1)に記載されている指示に従ってください。
注意: データベースのサポート終了スケジュールは、Oracle E-Business Suite環境の運用および計画に重要な影響を与えます。最新のデータベース・サポート・ポリシーおよびサポート終了スケジュールの詳細が記載された、My Oracle Supportナレッジ・ドキュメント『Release Schedule of Current Database Patch Sets』(文書ID: 742060.1)を確認することをお薦めします。
リリース12.2へのアップグレードを完了するには、データベースを少なくともOracle 11gリリース2 (11.2.0.4)以上にアップグレードする必要があります。
注意: 詳細は、Oracle E-Business Suiteリリース12.2へのアップグレードのデータベース準備ガイドライン(文書ID: 1349240.1)を参照してください。
アップグレード・プロセスは拡張され、簡素化されています。Rapid InstallとAutoPatchには、機能向上のための新機能が追加されています。
Rapid Installにより、Oracle E-Business Suite製品の最新の動作保証済バージョンと、動作保証済のテクノロジ・スタック・コンポーネントが提供されます。アップグレード時には、アプリケーション(中間)層コンポーネント用の新規ファイル・システムと、データベース用の新規ファイル・システムが作成されます。アップグレード後に、Rapid Installを再度実行してサーバーを構成します。
アップグレードには、スクリプトの実行やパッチの適用を指示するステップなど、様々な手動ステップも含まれています。AutoPatchを使用して、すべてのOracle Applicationsパッチと統合ドライバを適用し、Oracle E-Businesss Suiteデータベースをリリース12.2にアップグレードします。
このリリースから新たに、このガイドの付録部分に、各製品ファミリの機能変更、アップグレードに伴う停止時間を短縮するための提案、データ移行の検証方法、アップグレード・ドライバでは自動的に実行されないデータ移行の管理方法、および後日または特定のニーズが生じた時点でアップグレード可能な特定のデータセットを定義する、要求に応じたアップグレード・プロセスに関する情報が記載されています。
アップグレード計画の一環として、この情報をDBAと機能担当者が協力して慎重に検討することが重要です。これにより、アップグレード中やアップグレード後に予期せぬ停滞が発生してプロセス自体が遅れたり、システム・ユーザーが機能タスクを再開する際に混乱が生じるのを回避しやすくなります。
注意: アップグレードを成功させるには、DBAとアプリケーション担当者の協力が重要です。両者が計画プロセスの一環としてアップグレードのあらゆる側面を理解し、調整する必要があります。
この項では、リリース12.2で廃止された製品をリストします。
製品名 |
---|
* Oracle Balanced Scorecard |
* Oracle CAD-View 3D |
* Oracle Contracts Intelligence |
* Daily Business Intelligence for Quoting |
Demand-Side Product Data Synchronization for GDSN |
Document Management and Collaboration |
Global Accounting Engine |
Information Technology Audit |
Supply-Side Product Data Synchronization for GDSN |
* Oracle Demand Planning (リリース12.2.5で廃止) |
* Oracle E-Business Intelligence |
* Oracle Enterprise Planning and Budgeting |
* Oracle Enterprise Performance Foundation |
Oracle Financial Aid |
* Oracle Financial Consolidation Hub |
* Oracle Financials and Sales Analyzers |
* Oracle Financials Intelligence |
Oracle Funds Pricing |
* Oracle Grants Proposal |
* Oracle HR Intelligence |
* Oracle Install Base Intelligence |
* Oracle Interaction Center Intelligence |
* Oracle Internal Controls Manager |
* Oracle Manufacturing Scheduling (リリース12.2.5で廃止) |
* Oracle Marketing Intelligence |
* Oracle Operational Intelligence |
Oracle Personal Portfolio |
* Oracle Process Manufacturing Intelligence |
* Oracle Procurement Intelligence |
* Oracle Product Intelligence |
* Oracle Product Lifecycle Management |
* Oracle Profitability Manager |
* Oracle Projects Intelligence |
* Oracle Public Sector Budgeting |
* Oracle Sales Intelligence |
* Oracle Service Intelligence |
** Oracle Student Recruiting |
** Oracle Student Systems |
* Oracle Supply Chain and Order Management Intelligence |
* Oracle Transportation Execution |
* Oracle Transportation Planning |
Web Analytics Daily Business Intelligence for iStore |
* 以前のリリースでこれらの製品を購入した顧客向けの移行プランがあります。詳細は、営業担当またはアカウント・マネージャにお問合せください。
** Oracle Student RecruitingおよびOracle Student Systemsを継続して使用する顧客は、このリリースにアップグレードしないでください。
以前のリリースを使用している既存の顧客には、Oracle Lifetime Support Policyに基づいてサポートが提供されます。
アップグレードにより、テクノロジ・スタックとファイル・システムが変更されるだけでなく、既存製品のアップグレード後の動作およびユーザー・インタフェースのルック・アンド・フィールに影響する特定の変更も開始されます。これらの機能面(業務関連)の変更は、日常業務の遂行における製品の使用方法にも影響します。
このガイドのリリース12.2へのアップグレードに関する機能のトピックは、次のとおりです。
変更の理由および新機能の恩恵を受ける領域
一時的に使用不可になる機能または廃止された機能
ユーザー・インタフェース、用語または概念およびメニュー・オプションの変更
すべてのトランザクション・データが予想どおりにアップグレードされたことを確認するために実行できるステップ
停止時間短縮のための提案事項
システムと製品データを準備する前に、アップグレード・プロセス、必要なツール、関連タスクの数とタイプ、およびリリース12.2におけるシステムと製品の参照方法に関する情報を収集する必要があります。ドキュメント・ロードマップは、My Oracle Supportで参照できます。
このアップグレードを完了すると、システムのリリースが12.2.0になります。本番環境で使用するには、既存のリリース12.2システムに12.2.3またはそれ以降のリリース更新パック(RUP3)を適用する必要があります。各リリース更新パックは個別の製品ファミリRUPで構成され、各RUPにはそのファミリに関連するすべてのパッチが含まれています。
RUPは定期的にリリースされます。各RUPには、以前のすべてのシステム更新が累積されて含まれています。Oracle E-Business Suite Release Notes, リリース 12.2.0の最新バージョンを確認することにより、アップグレードに影響する可能性がある新しいRUPの発表やその他の更新などの最新情報を常に把握できます。
このリリースに関連するドキュメントを読むことが非常に重要です。これはMy Oracle SupportのOracle E-Business Suite Documentation Resources, Release 12で入手できます。このガイドの製品ドキュメント一覧に、基本的な必読ドキュメントのリストがあります。また、アップグレード・テクノロジに関するプレゼンテーション資料、複数組織に関するホワイト・ペーパー、各種コンサルティング・サービスへのリンクおよびOracle University研修コースなども確認しておくと役立ちます。
アプリケーション担当者と機能ユーザーは、システムで有効な製品に関するRelease Content Documents (RCD)、Electronic Technical Reference Manual (eTRM)および情報転送(TOI)文書に細心の注意を払う必要があります。この情報には、リリース12.2の新機能が記載されています。
インストール・コンポーネント、システム・サイジング情報、NLSに関する考慮事項、カスタマイズの管理方法などを理解します。この情報は、この章で説明します。
「リリース12.2へのアップグレード」では、システムの停止時間が開始されます。この章のタスクには、データベースのアップグレード(まだ実行していない場合)、AutoPatchを使用した必須パッチの適用などがあります。
「アップグレード後のタスク」では、アップグレード・プロセスを完了し、ユーザーがログオンするシステムと製品を準備します。
通常、アプリケーション担当者はアップグレード時に次のタスクを実行します。
アップグレード後にユーザーが経験する機能変更を把握します。このガイドの付録AからDに記載されている情報を確認してください。
トランザクション・データが意図したとおりにアップグレードまたは移行されたことを確認するために必要なタスクを実行します。
履歴データのアップグレードに最も適した方法を決定します。たとえば、すべてのOracle Financials会計データを停止時間中にアップグレードするのではなく、前会計年度のみを含めることができます。他の会計年度のアップグレードが必要になった場合は、数か月後または数年後であっても、アップグレード後にいつでも実行できます。
この項では、Rapid Installによって提供される認証済コンポーネントをリストします。一般に、CPU、メモリーおよびディスク領域(ログ・ファイルおよびバックアップ用)の要件は、通常の操作中よりもアップグレード時のほうがはるかに大きいことに注意してください。
新しいリリース12.2では、Rapid Installにより、データベース層とアプリケーション層の両方について、必須のテクノロジ・スタック・コンポーネントが自動的にインストールおよび構成されます。
データベース層では、テクノロジ・スタックには次のものが含まれます。
Oracle Database 12cリリース1 (12.1.0.2)
アプリケーション層では、テクノロジ・スタックには次のものが含まれます。
Oracle Fusion Middleware 11g PS7 (11.1.1.9.0)
Oracle WebLogic Server 11g PS5
Oracle WebLogic JSPコンパイラ
Oracle FMW 11g Java Required Files (JRF)ライブラリ(ADFおよびMDS 11gの使用を除く)
Oracle WebLogic Portlet 11g PS3 Container
JDK 7.0
Apacheバージョン2.2
Oracle EBSフォーム・ベース・アプリケーション向けOracle 10g (10.1.2) Applications Server
Oracle Application ServerのWebサービス・コンポーネントは、デスクトップ・クライアントからネットワーク経由で受信した要求を処理し、次の主要なコンポーネントを含みます。
Webリスナー(Oracle HTTP Server powered by Apache)
Javaサーブレット・エンジン(Oracle WebLogic Server、WLS)
Oracle HTTPサーバーのWebリスナー・コンポーネントは、クライアントのブラウザからの(特定のURLに対する)受信HTTP要求を受け入れ、それらの要求をWLSにルーティングします。
可能な場合には、Webサーバー自体が要求にサービスを提供します(たとえば、単純なWebページを作成するためのHTMLを返すなど)。URLによって参照されるページが高度な処理を必要とする場合は、リスナーが要求をサーブレット・エンジンに渡し、必要に応じてサーブレット・エンジンがデータベース・サーバーと通信します。
注意: 詳細は、Oracle E-Business Suite概要リリース12.2を参照してください。
システムによっては、プラットフォーム固有のリリース保守ツールが必要な場合があります。詳細は、Oracle E-Business Suite Installation and Upgrade Notesを参照して、それらをアップグレード計画に含める必要があるかどうかを確認してください。
Oracle E-Business Suiteリリース12.2にアップグレードするには、データベースが最低でもバージョン11.2.0.4である必要があります。リリース12.2へのアップグレードを完了するには、データベースを11.2.0.4以上にアップグレードしておく必要があります。Oracle E-Business Suiteリリース12.2へのアップグレードのデータベース準備ガイドライン(文書ID: 1349240.1)に記載されている指示に従ってください。
アップグレードのCPU要件は、次のように多数の要因によって異なります。
データベースのサイズ
主要製品インストール・グループのデータ量
注意: 複数の主要製品を使用している場合があります。
アップグレード操作が集中している製品に関連する、長時間実行パッチ・ワーカー・プロセスの数および実行時間
要求される応答時間
追加情報: アップグレード時に使用する就業者数に関する推奨事項はOracle E-Business Suiteメンテナンス・ガイドを、本番システムのアップグレードに関する統計はOracle E-Business Suite Release 12.2: Upgrade Sizing and Best Practices(文書ID: 1597531.1)を参照してください。
アップグレードのメモリー要件を計算するには、次のことを考慮してください。
同時ユーザーの数
複数層アーキテクチャのインフラストラクチャ要件
追加情報: これらの本番システムのアップグレードに関する統計は、Oracle E-Business Suite Release 12.2: Upgrade Sizing and Best Practices(文書ID: 1597531.1)を参照してください。
追加情報: メモリーおよびスワップ領域の最小要件は、関連するOracle E-Business Suiteプラットフォーム固有のインストールおよびアップグレード・ノート(IUN)を参照してください。
標準インストールにおけるファイル・システムのディスク領域要件は、概算で次のようになります。
ノード: | 必要な領域: |
---|---|
アプリケーション・ノードのファイル・システム(OracleAS 10.1.2 Oracle Home、Oracle FMW Oracle Home、COMMON_TOP、APPL_TOPおよびINST_TOPを含む) | 64 GB (オンライン・パッチで必要な二重ファイル・システム向け - 次の注意を参照)。 |
データベース・ノードのファイル・システム(フレッシュ・インストール) | 90 GB |
データベース・ノードのファイル・システム(Vision Demoデータベース) | 200 GB |
本番データベースとVision Demoデータベースのいずれのデータベース・ノード・ディスク領域要件にも、データベース・ファイル(.dbf)および12cR1 (12.1.0.2)データベースOracle Homeが含まれます。
重要: Oracle E-Business Suiteリリース12.2でオンライン・パッチが導入されることにより、アプリケーション層で必要なディスク領域サイズが大幅に増加します。これは、オンライン・パッチで必要な二重ファイル・システムを提供するために、APPL_TOP、COMMON_TOP、INST_TOP、OracleAS 10.1.2 Oracle HomeおよびFusion Middleware Oracle Homeが実質的に複製されるためです。
次のテクノロジ統合はサポートされなくなりました。
テクノロジ統合 | 説明 |
---|---|
OSSO 10 | シングル・サインオン統合を行うには、Oracle Access Manager (10gまたは11g)およびOracle E-Business Suite AccessGateに移行する必要があります。 |
OID 10g | OID 11gにアップグレードする必要があります。 |
OBIEE 10g | Oracle Incentive Compensation (OIC)、Manufacturing Operations Center (MOC)、Advanced Planning Command Center (APCC)またはDemand Signal Repository (DSR)の各製品とともにOracle Business Intelligence Enterprise Edition (OBIEE)を使用している場合は、OBIEE 11gに移行する必要があります。 |
ODI 10g | Oracle Incentive Compensation (OIC)、Product Information Management (PIM)、Distributed Warehouse Management System (WMS)またはDemand Signal Repository (DSR)の各製品とともにOracle Data Integrator (ODI)を使用している場合は、ODI 11g (11.1.1.5.0)に移行する必要があります。 |
JPDKポートレット・プロデューサ | 専用のJPDKポートレット・プロデューサ実装に基づくE-Business Suiteポートレットを使用している場合は、それらを移行してWSRP標準に準拠したポートレット・プロデューサ実装を使用する必要があります。 |
BPEL 10g | EBS 12.1.3とともにBPEL 10gを使用している場合は、外部システムとしてSOA Suite 11gに移行する必要があります。 |
SES 10g | 11i、12.0.x、12.1.1および12.1.2を使用していて12.2にアップグレードする場合は、SES 11gへのアップグレードも必要になります。 |
次のスキーマは、Oracle E-Business Suiteリリース12.2では使用されなくなりました。完全に不要になったことを確認した後、これらのスキーマを削除できます。
スキーマ名 | スキーマID |
---|---|
Oracle Single Sign On | ORASSO ORASSO_DS ORASSO_PA ORASSO_PS ORASSO_PUBLIC |
Oracle Internet Directory | ODS |
OracleAS Certificate Authority | OCA ORAOCA_PUBLIC |
Discoverer OLAP | D4OSYS |
Discoverer Portlet Providerメタデータ | DISCOVERER5 |
Oracle Portal-to-GoおよびOracleAS Wireless | PTG WIRELESS |
Oracle Warehouse Builder | OWBRT_SYS OWBSYS_AUDIT |
Oracle Warehouse Builder統合用のE-Business Suite製品スキーマDSRおよびMOC | DDROWNER DDRUSER DSROWNER MTHUSER |
Oracle Business Intelligenceアプリケーション | OBIA |
MapViewer | MVDEMO |
OracleAS UDDI Registry | UDDISYS |
SOA Suite | ORABPEL |
Oracle RAC環境を使用している場合、単一のOracle RACノード上でのみ、リリース12.2のアップグレードを実行する必要があります。
これは、アップグレードにおける経過時間のほとんどが、DML (INSERT、UPDATE、DELETE)を実行するジョブによって消費されるためです。これらのジョブは複数の就業者とパラレル・サーバーを使用し、通常、同じオブジェクトとブロックに同時にアクセスしようとします。その結果として増えるクラスタ・ノード間の通信(および関連クラスタの待機時間)は、追加のCPUを使用することで得られるスループットの増加分をはるかに上回ります。
アップグレード・プロセスは、システム・アーキテクチャと、アップグレード後のOracle Applications製品の使用方法に影響します。Oracle E-Business Suite概要には、Oracle E-Business Suiteの複数層アーキテクチャ、拡張機能、言語サポート、ファイル・システム構造および基本データ・モデルに関する情報など、このリリースのアーキテクチャの詳細が記載されています。
アプリケーション層には2つの役割があります。ビジネス・ロジックを処理する各種サーバーおよびサービス・グループのホスティングと、デスクトップ層とデータベース層の間の通信管理です。この層のアーキテクチャは(データベース層およびデスクトップ層とは異なり)、Oracle E-Business Suiteリリース12.2で大幅に変更されました。
3つのサーバーまたはサービス・グループにより、Oracle E-Business Suiteの基本アプリケーション層が構成されています。
Webサービス
フォーム・サービス
コンカレント処理サーバー
リリース12.2では、Webサービスおよびフォーム・サービスはOracle Application Serverで提供されます。これらは、シングル・プロセスであるという意味でサーバーではなくなっています。
ヒント: アプリケーション層では、異なるプラットフォームを混在させて使用しないことをお薦めします。これにより、ダウンロードに必要なパッチが1セットのみになるため、保守が容易になります。
Oracle E-Business Suiteリリース12.2では、2つのアプリケーション層ORACLE_HOMEを使用します。1つはOracleAS 10.1.2 ORACLE_HOMEであり、もう1つはOracle Fusion Middleware (FMW) ORACLE_HOMEです。この組合せにより、Oracle E-Business Suiteは最新のOracleテクノロジを活用できるようになります。
このアーキテクチャの重要な機能は、次のとおりです。
Oracle E-Business SuiteモジュールはOracleAS 10.1.2 ORACLE_HOME外に配置され、frmweb実行ファイルもこのORACLE_HOME外から起動されます。
すべての主要なサービスはFMW ORACLE_HOMEから開始されます。
以前のリリースからの主要な変更点は、次のとおりです。
FMW ORACLE_HOME (Web ORACLE_HOMEまたはJava ORACLE_HOMEとも呼ばれます)により、Oracle E-Business Suiteの12.2以前の12.xリリースで使用されていたOracleAS 10.1.3.ベースのORACLE_HOMEが置き換えられます。
アップグレードの場合、重大なシステム停止時間とは、ユーザーがシステムにログオンできなかったり、Oracle E-Business Suiteを使用できない期間を指します。この停止時間を短縮するために実行できる処理がいくつかあります。たとえば、アップグレード前に特定の製品固有のタスクを実行しておくと、停止時間を大幅に短縮できます。同様に、Oracleのクローニング方法論とテスト・ファイル・システムを使用して本番システムをアップグレードすることも有効な方法です。
この項では、アップグレードに必要な停止時間に影響する問題と、停止時間を短縮するための推奨処理の概要を説明します。
Oracle E-Business Suiteリリース12のアップグレードによる停止時間を最小化するためのベスト・プラクティス(文書ID: 1581549.1)およびExpress Diagnosis of Oracle E-Business Suite Release 12 Upgrade Performance Issues(文書ID: 1583752.1)を参照してください。
アップグレードを開始する前に、システム全体をバックアップしておくことをお薦めします。
開始する前に、データベース初期化パラメータの要件を確認してください。Database Initialization Parameters for Oracle E-Business Suite Release 12(文書ID 396009.1)を参照してください。
この項では、システムの検査とシステムに適用するアップグレード・ステップの決定に使用できるツールを説明します。
保守ウィザードは、Oracle Supportにより提供されるツールで、アップグレードおよびコード行の保守プロセスをガイドします。ここでは、多数のマニュアルや他のドキュメント(このマニュアル、Oracle E-Business Suiteインストレーション・ガイド: Rapid Installの使用方法、Oracle E-Business Suiteリリース・ノートなど)からの指示が採用されており、アップグレードに必要な活動の全容が提供されます。
保守ウィザードを使用すると、Applications環境から取得した基準に基づいて必要なステップを動的にフィルタし、アップグレード・タスク数を削減できます。結果のレポートには、システムに必要となる重要なパッチなど、特定のアップグレードを完了するために実行する必要になる処理の指示が手順を追って詳細に示されます。また、多数のタスクが自動的に実行されるため、エラーの可能性や重要なタスクを意図せずに省く可能性を低減できます。
保守ウィザードの特長は、次のとおりです。
統合され、パーソナライズされた一連の手順が表示されます。
重要な活動の検証を有効にして、ダウンストリームでの問題発生を回避できます。
すべてのタスクのログおよびステータス情報が更新されます。
プロジェクト管理者は、様々なアップグレード・タスクのグループを複数のユーザーに割り当てることができます。
多数の必須パッチが自動的にダウンロード、マージおよびインストールされます。
プロジェクト管理ユーティリティが提供され、各タスクの所要時間と完了ステータスが記録されます。
追加情報: 保守ウィザードの設定および使用方法は、Master Issue List for the Maintenance Wizard (文書ID: 215527.1)を参照してください。
保守モード機能により、Oracle E-Business Suiteの通常の実行時操作と保守に伴うシステム停止時間が明確に分離されます。パッチの適用時に最適なパフォーマンスを確保して停止時間を短縮するには、ワークフロー・ビジネス・イベント・システムを停止して機能セキュリティを設定してから、AutoPatchセッションを開始する必要があります。これにより、必要なセキュリティが提供され、パッチの適用中はユーザーがOracle E-Business Suiteの機能を使用できなくなります。
注意: Oracle E-Business Suiteメンテナンス・ガイドの保守モードの使用を参照してください。Oracle E-Business Suiteメンテナンス・ガイドのパッチ適用ユーティリティも参照してください。
アップグレード実行時間のベースラインを算出し、アップグレードに関する問題に事前に対処できるようにするために、既存システムのコピー(クローン)と本番システムと類似したハードウェアを使用して、テスト・アップグレードを実行することをお薦めします。特に、システムがカスタマイズされている場合は、複数のアップグレード・テストをお薦めします。
ユーザー優先タイム・ゾーンがサポートされている製品では、特別なアップグレード・ステップは不要です。
一部のOracle E-Business Suite製品のアップグレード計画には、アップグレード処理の対象として最も有効なデータ・セットを選択する作業が含まれます。アップグレード対象から除外された履歴データは、後日または必要になった時点でアップグレードできます。たとえば、リリース12.2へのアップグレードには前会計年度のみを含めておき、残りのデータは12.2へのアップグレードによる停止時間外にアップグレードできます。
この項では、アップグレード中の翻訳、言語およびキャラクタ・セットの管理に関する、いくつかの重要な考慮事項を説明します。
アップグレードを完了するには、データベースにアメリカ英語以外の各言語用に追加領域が必要になります。必要な領域は、アメリカ英語以外に有効な言語の数やデータベース・キャラクタ・セットなどに応じて異なり、特に、顧客がシステムに作成したデータ量によっても大きく異なるため、システムに必要な追加領域は予測できません。
注意: APPL_TOPで各有効言語に必要な推奨最小領域については、該当するリリース・レベルのOracle E-Business Suite NLS Release Notesを参照してください。
アップグレード後ステップおよび終了ステップを含めてアップグレード・プロセス全体が完了するまでは、既存のApplicationsリリース・ステータスを保持する必要があります。ベース言語も同一に保つ必要があり、新規言語は有効化できません。
アップグレード・プロセスの完了後に、新規言語の有効化またはベース言語の変更が可能になります。インストール済の言語または有効な言語の無効化または削除はサポートされていません。
注意: Oracle E-Business Suiteメンテナンス・ガイドの「NLS言語の追加および保守」の項を参照してください。
APPL_TOPキャラクタ・セットは設定できません。データベース・キャラクタ・セットとして選択した値と同じ値に自動的に設定されます。
注意: Oracle E-Business Suiteメンテナンス・ガイドの「ライセンス・マネージャ」を参照してください。新しいキャラクタ・セットへのApplicationsインストールの移行も参照してください。
カスタマイズ環境では、アップグレード時に特に注意する必要があります。このガイドに記載されている手順は、Oracle E-Business Suite開発者ガイドとOracle E-Business Suiteフォーム・ベース製品のユーザー・インタフェース標準に記載されているとおり、Oracle E-Business Suiteのカスタマイズ標準に従っていることを前提としています。
カスタマイズを保持し、アップグレード時の影響を最小限に抑えるには、次の手順を実行します。
『Oracle E-Business Suite開発者ガイド』の指示に従って、システムをカスタマイズし、カスタマイズをアップグレードします。
カスタマイズに関するすべてのドキュメントを保持します。
アップグレード前にカスタマイズをバックアップしておきます。
注意: コンカレント・プログラム定義、メニュー、値セットまたはOracle E-Business Suiteで提供される他のシード・データのカスタマイズはサポートされていません。これらのカスタマイズは、アップグレード・プロセスにより上書きされます。
ファイルは様々な理由で名前が変更されるため、アップグレード時は意図せず上書きされないように保護しておくことをお薦めします。したがって、<ファイル名>old、<ファイル名>newまたはその他の汎用指定を使用してファイル名を変更した場合は、アップグレードの開始前に意味のある名前に再度変更してください。
このリリースのヘルプ・ファイルはHTML形式で、容易に変更できます。以前のカスタマイズ・ヘルプ・ファイルをHTMLに変換すると、アップグレード後のシステムに再適用できます。カスタマイズ・ヘルプ・ファイルをHTMLに変換せずに再適用する場合は、アップグレード前のカスタマイズ・ヘルプ・ファイルを参照用に保存しておくことが重要です。
注意: Oracle E-Business Suiteセットアップ・ガイドの「Oracle E-Business Suiteヘルプのカスタマイズ」を参照してください。
この項に記載されている情報は、このリリースの特定のApplications製品に該当します。システムで有効な他の製品については、Release Content Documentsを参照してください。
注意: 付録AからCに、このリリースのOracle E-Business Suite製品の変更点が記載されています。製品固有のドキュメントについては、付録D「製品ドキュメント一覧」も参照してください。
この項で説明する製品に対する変更は、多数のOracle E-Business Suite製品に影響します。不必要な混乱を回避するために、機能担当者はアップグレード開始前に確認作業を完了しておく必要があります。
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