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Oracle Applicationsシステム管理者ガイド - 構成
リリース12
E05661-01
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タイム・ゾーン・サポート

ユーザー優先タイム・ゾーン

Oracle E-Business Suiteのリリース12は、ユーザー優先タイム・ゾーン・サポートと呼ばれる機能を標準で備えています。ほとんどの従来のE-Business Suiteの実装では、すべてのユーザーは企業タイム・ゾーンでシステムと対話していました。このタイム・ゾーンは通常、システムを実装している会社の本社所在地およびデータベース所在地のタイム・ゾーンです。つまり、リモート・ユーザーは、本社所在地との時差を考慮する必要があります。

ユーザー優先タイム・ゾーン機能を使用すると、ユーザーは日付と時間フィールドの表示および入力の両方にローカル・タイム・ゾーンを指定できます。この機能の主な利点は次のとおりです。

この付録では、ユーザー優先タイム・ゾーン機能、制限事項、実装の詳細を説明します。

タイム・ゾーンの概念

概念的に、日付フィールドには次の2つのタイプがあります。

時間構成要素付きの日付フィールドは、すべてのタイム・ゾーンで表示できるため、エンド・ユーザーにとって最も意味のあるタイム・ゾーンで表示されます。一般的に、ユーザーは自分のタイム・ゾーン(ローカル)で日付を表示することを希望します。ユーザー優先タイム・ゾーン機能を有効化すると、日付と時間フィールドは表示用にユーザーの優先タイム・ゾーンに変換できます。

一方、時間構成要素なしの日付フィールドでは、特定の時間を含まない日付を変換できないため、異なるタイム・ゾーンで表示できません。このような日付は、1つのタイム・ゾーンで入力され、表示される場所に関係なく(おそらく異なるタイム・ゾーン)、一般的にそのタイム・ゾーンの1日として表示されます。通常、Oracle E-Business Suiteでは、これらの日付定義に企業タイム・ゾーンを使用します。時間構成要素なしの日付は、企業の本社に対する日付(企業日)を表します。

ただし、このルールにはいくつかの例外があります。たとえば、時間構成要素なしの日付は、ANSI日付として保持され、それらが表示されるタイム・ゾーンとは別の日付を表します。このような場合、たとえば、1月1日に発生する利益は、世界中どこで有効化されても、その日に開始されます。つまり、1月1日のタイム・ゾーンに存在するすべての個人に適用されます。

多くの時間構成要素なしの日付は、会計期間へのポインタを表します。これらの日付は取引が発生した日時を正確に示すものではなく、取引が計上される会計期間を示しています。これは、実装している企業の会計予測に基づいた財務バケットです。たとえば、Payables請求書またはReceivables請求書の請求書日付は、表示者に基づいて変更されることはありません。それらは、表示者またはそのローカル・タイム・ゾーン関係なく、その日(したがって、その期間)の請求書として分類されます。

複数タイム・ゾーンを使用する場合のOracle Applicationsの詳細な設定は、OracleMetaLink Note 402650.1『User Preferred Time Zone Support in Oracle E-Business Suite Release 12』を参照してください。その他のグローバリゼーション関連トピックでのタイム・ゾーンの説明は、『Oracle Applications概要』の「グローバリゼーション・サポート」を参照してください。

アップグレードの考慮事項

すでにユーザー優先タイム・ゾーン機能が搭載されている11.5.10 CU2以降のバージョンからE-Business Suiteをアップグレードしている場合は、アップグレード時の考慮事項はありません。アップグレードは透過的で、関連機能の変更点はありません。

ユーザー優先タイム・ゾーン機能が搭載されていないか使用されていないリリースからリリース12にアップグレードしているE-Business Suite顧客の場合、ユーザー優先タイム・ゾーン・サポートを有効化する際に、既存のタイム・ゾーン設定を考慮する必要があります。

11.5.10(CU2付き)より前のリリースでは、次の2つの方法のいずれかでタイム・ゾーン時差に対処できました。

詳細は、『Oracle Applicationsリリース11iから12へのアップグレード・ガイド』を参照してください。

実装の詳細

この項では、ユーザー優先タイム・ゾーン機能の実装に関する技術的な考慮事項について説明します。

3.1 テクノロジ・スタック要件

ユーザー優先タイム・ゾーン機能を正常に動作させるためには、次のすべての項目が必要となります。

次に、これらの要件について詳しく説明します。

タイム・ゾーン・ファイル

timezlrg.datファイルを使用してデータベースを開始する必要があります。このファイルには、Oracle E-Business Suite内で使用されるタイム・ゾーン定義が含まれています。UNIX環境で使用する場合は、次のコマンドを使用してください。

setenv ORA_TZFILE $ORACLE_HOME/oracore/zoneinfo/timezlrg.dat 

データベース起動前に

データベースは標準の企業タイム・ゾーンで起動する必要があります。UNIX環境で使用する場合は、次のコマンドを使用してください。

setenv TZ <Timezone Code>  [For example, ‘America/Los_Angeles’]

SQL*Plusで次のコマンドを実行すると、設定を検証できます。

select to_char(SYSDATE, ‘DD-MON-RRRR HH24:MI:SS’)
from dual;

返された日付と時間が企業タイム・ゾーンと一致しているか確認できます。

3.1.2 アプリケーション・プロファイルと作業環境

プロファイル・オプション「サーバー・タイム・ゾーン」(SERVER_TIMEZONE_ID)は、サイト・レベルで標準の企業タイム・ゾーン(サーバーが実行されるように設定されたタイム・ゾーン)に設定する必要があります。

注意: このプロファイル・オプションは、既存のデータが更新されないように、設定後は変更しないでください。

ユーザーは、優先タイム・ゾーンをユーザー・レベルで指定できます。これは、HTMLベースのアプリケーションでタイム・ゾーン作業環境を設定するか、フォーム・ベースのアプリケーションで「クライアント・タイム・ゾーン」プロファイル・オプションを設定することにより指定できます。大部分のプロファイル・オプション同様、ユーザーは変更を確定するために一度ログアウトして、再度ログインする必要があります。優先タイム・ゾーンは、必要に応じて変更できます。

プロファイル・オプション「タイム・ゾーン変換の有効化」(ENABLE_TIMEZONE_CONVERSIONS)は、サイト・レベルでデフォルト値「No」に設定されています。これにより、すべての日付が企業タイム・ゾーンで継続表示されます。この値を「Yes」に設定すると、すべての日付と時間フィールドからユーザー優先タイム・ゾーンへの自動変換が有効化されます。

重要: この変更をユーザーに通知しないと、ユーザーは、ローカル・タイムではなく企業タイムで作業していると認識を続け、結果的にデータの誤入力または誤解釈が発生する可能性があります。

既存のプロファイル「コンカレント: 複数タイム・ゾーン」(CONC_MULTI_TZ)の動作に注意してください。これは、バッチ処理を実行する古い機能でした。このプロファイルを「Yes」に設定すると、SYSDATE-1への「要求の発行」画面の「開始予定日」に表示されるデフォルト値が変更されます。新規のユーザー優先タイム・ゾーン機能を有効化すると、このプロファイルは不要となるため、「No」に設定する必要があります。

3.1.3 環境変数FORMS_APPSLIBS

この環境変数は、Oracle E-Business Suite環境内のOracle Formsを多面的に管理する変数です。インストール時の設定のままにし、変更しないでください。

フォーム・ベース・アプリケーションの起動

タイム・ゾーン機能は、「パーソナル」ホームページまたは「ナビゲータ」ポートレット経由でログインするOracle E-Business Suite内のユーザー・インタフェースに基づいたOracle Formsでのみ使用可能です。たとえば、URLを直接ブラウザのアドレス・バーに入力してFormsを起動することは、ブートストラップ目的でのみサポートされ、タイム・ゾーン機能や、言語設定および日付書式などの別の機能では有効化されません。