Oracle Sourcingインプリメンテーションおよび管理ガイド リリース12 E05613-01 | ![]() 目次 | ![]() 前へ | ![]() 次へ |
この章の内容は次のとおりです。
これまで、戦略的ソーシングは時間のかかる複雑なプロセスであるという理由から、多くの組織では、最大限の削減を図るための、全支出のソーシングができませんでした。 Oracle Sourcingでは、調達の専門家のソーシング能力を高めることで削減の機会を大幅に増やし、それぞれの機会においてより多くの利益が得られるようになります。 オンラインのコラボレーションとネゴシエーションにより、複数の組織からの参加者が、情報の交換、入札とオークション・プロセスの実行および基本契約の作成と実施を簡単に実行できます。 プロのバイヤー、ビジネスの専門家および仕入先が、より迅速で正確なソーシング・プロセスを行うためにオンラインで情報を交換します。 このアプリケーションでは、ソーシング・サイクルの時間も大幅に短縮され、仕入先約定の完全な監査証跡も作成されます。 Oracle Sourcingを使用すると、お客様の組織では、これまで未着手であった削減の機会を見つけ出し、有効に利用することができます。
Oracle Sourcingを使用すると、次のことを実行できます。
より多くの支出のソーシング
最小総費用実現のためのソーシング
即時および長期の削減の実現
より多くのソーシング・イベントをより短い時間で管理して迅速に結論を出せるため、より多くの削減の機会を見つけ出し有効に利用することができます。
より多くのソーシング機会の活用
入札パッケージを準備し、公表して応答を処理するために必要な時間により、従来、各専門家が管理できるソーシングの量が制限され、削減は手付かずになっていました。 Oracle Sourcingを使用すると、ソーシング・プロセス全体が構造化されるため、各需要のソーシングに必要な時間と労力が大幅に削減されます。 調達の専門家は、テンプレートを使用して、情報依頼(RFI)、見積依頼(RFQ)、提案依頼(RFP)および逆オークションなどのソーシング・イベントをすばやく作成できます。 ソーシング・イベントは、Oracle Purchasingからの需要を直接統合して作成することもできます。 バイヤーは、失効する基本契約を1クリックの再ネゴシエーションで新しいソーシング・イベントに即座に複製できます。 Oracle Sourcingにより、各ソーシング・イベントの実行に必要な手作業が軽減されます。 そのため、調達の専門家は費用の削減に最善を尽くすことができます。
オンライン・ネゴシエーションによる時間の短縮
Oracle Sourcingを使用すると、イベントの準備がより迅速で結論も早く出るため、基本契約を署名後ただちに実施できます。 要件の収集が構造化されるため、ソーシング・イベントの準備時間が短縮されます。 Oracle Sourcingにより、要件、修正および応答が1箇所に集約されるため、仕入先はより迅速に入札できます。 オンライン・ツールにより、仕入先の追加処理が必要なイベントがバイヤーに警告されます。 オンライン競合により、時間のかかるネゴシエーションを何度も繰り返さずに仕入先に条件を改善させることで時間を節約できます。 Oracle Sourcingで交渉された基本契約を、Oracle Purchasingでただちに実施することもできます。 そのため、より多くをソーシングするのみでなく、結果として得られる削減の実現も早くなります。
オンラインの入札比較および審査ルールによる迅速な審査決定
入札の収集および比較を手作業で行うと、審査決定に時間がかかり不正確になります。 Oracle Sourcingでは、一貫性のある構造化された形式で入札が収集され、迅速で正確な審査のためのオンライン分析が提供されます。 並べたグラフィックで比較することにより、最適価格を提示する仕入先が一目でわかります。 組織で独自のカテゴリ用にスプレッドシート・モデルが作成されている場合、Oracle Sourcingはオフライン分析用の価格設定データおよびスコアリング・データもエクスポートします。 柔軟な審査方法により、自分で仕入先を選択して最適な価格設定のためのロットおよび明細を入札したり、事前に定義されたスコアリング基準に基づいてOracle Sourcingに最適な審査をまかせることができます。 構成可能な審査ルールが、少数民族企業優先または基幹品目の複数ソーシングなどのポリシーに従って作成されます。 審査要約では審査推薦の完全なビューがソーシング・チーム・メンバーに提供され、審査承認ではポリシーおよび規制への準拠が保証されます。
Oracle Sourcingを使用すると、単価のみでなく総費用に基づいた最善の審査決定を下すことができます。
部門間コラボレーションによるソーシング結果の改善
優れたソーシングのためには、調達の専門家と該当案件の専門家の専門スキルを組み合せる必要があります。 しかし多くの場合、時間と距離の制約によりすべての参加者が協力することは困難です。 Oracle Sourcingのオンライン・コラボレーションを使用すると、技術、ビジネスおよび取引条件の専門家がその専門知識をソーシング・プロセスに容易に役立てることができるようになります。 これにより、ソーシング・プロセスの改善と審査決定への幅広い取組みが可能になります。 適切な仕入先との契約も、戦略的なソーシングには必要です。 Oracle Sourcingを使用すると、調達の専門家は社内にある様々な仕入先情報を参照し、新しい仕入先への参加を依頼して競争率の高い入札を実施できます。
ソーシング知識の取得によるベスト・プラクティスの活用
あるソーシング・イベントで費用節減を実現した知識とベスト・プラクティスは、多くの場合、そのイベントが終了したときまたは従業員がそのイベントを離れたときに失われてしまいます。 Oracle Sourcingでは、ソーシングの専門家がベスト・プラクティス・カテゴリの知識を再利用のために取得することができます。 過去のイベントで成功した要素はすべて、見積依頼、情報依頼およびオンライン・オークション用のカテゴリ固有テンプレート内に取得できます。 再使用可能参加依頼先リストにより、最善の仕入先が取り込まれます。 再使用可能価格設定要素により、仕入先の原価体系にあわせて最小総費用が得られるように購買が調整されます。 再使用可能ネゴシエーション形式により、最善値を実現するイベント・タイプおよび入札ルールに関する知識が取得されます。 Oracle Sourcingを使用すると、ソーシングに関する最善の知識を長期間継続して企業全体で活用することができます。
最小総費用分析および完全な入札パッケージ評価による削減金額の増加
ソーシングの専門家は、最低価格によって常に最小総費用が得られるとはかぎらないことを理解しています。 Oracle Sourcingでは、総費用を押し上げる費用増加要因および隠れた費用を特定することで最小総費用が可能になります。 価格分岐および価格要素など、複数属性の重み付けスコアリングと価格設定により、調達の専門家は、品目とサービスを戦略的に定義して、仕入先と効率的に交渉できます。 Oracle Sourcingでは、下流部門の費用に影響する入札仕入先の強みと弱みを分析するための構成可能なスコアリング基準も提供されています。 入札は、価格と、搬送日、品質、仕入先の信頼性および財務の安定性などのバイヤー定義基準との組合せを基にスコアを付けることができます。
Oracle Sourcingでは、迅速な配置とROI、およびOracle Advanced Procurement Suiteを介した一貫性のある実行により、即時の削減を実現します。
迅速な配置による削減の即時開始
購買の専門家は、わずかな率の削減でも最終的な収益に大きく貢献することを知っています。 したがって、ソーシングの専門家が100%の生産性を発揮できない日はすべてビジネスのコストとなります。 Oracle Sourcingでは、数か月ではなく数週間でソーシング組織に大きな影響を及ぼすことが可能です。 アプリケーションは、オンサイトまたはホストされた状態で実行でき、独立して動作することもOracle Advanced Procurement Suiteの一部として動作することもできます。 したがって、Oracle Sourcingを現在および次のソーシング機会に適用してただちに削減を開始する一方で、必要に応じてソリューションを拡張できます。
オープンな競合による迅速なROIの実現
ソーシングの改善により、イベントを節約できます。 Oracle Sourcingを使用する組織では、現仕入先でもより明確な要件を提供することで仕入先のリスクが軽減されます。リスクの軽減により、仕入先はさらに低い入札を実行できます。Oracle Sourcingは、今日すでにオープンされている需要についても費用の節減を実現できます。
一貫性のある実行と準拠による長期削減の実現
最善の購買基本契約でも、一貫性を持って実行されないかぎりほとんど価値はありません。 Oracle SourcingをOracle Advanced Procurement Suite内で使用すると、購買依頼から支払まで一貫して実行することができ、組織に対してより多くの削減が提供されます。 Oracle Procurement Contractsを使用すると、契約提出物の組込みトラッキングへの準拠が促されます。 Oracle Purchasingでは、Oracle Sourcingで交渉された基本契約がシームレスに実行されます。 Oracle iProcurementに配置された従業員セルフサービス方式の購買依頼は、Oracle Sourcingで交渉された価格で優先仕入先に自動的にデフォルト設定されます。 Oracle Daily Business Intelligenceは、契約の稼働状況と準拠をモニターし、新たな機会を見つけるための基礎作業を行います。 Oracle Advanced Procurement Suiteは、購買基本契約を企業全体で実装および実施することでOracle Sourcingの価値を利用します。
Oracle SourcingはE-Business Suiteの調達モジュールと緊密に統合されています。 Oracle E-Business Suiteを使用すると、企業では、顧客プロセスの効率的管理、製品の製造、受注の出荷、支払の収集などを、統合情報アーキテクチャ上に構築されたアプリケーションからすべて実行できます。 この情報アーキテクチャには、顧客、仕入先、従業員および製品など、ビジネスに関するすべての側面が、単一の定義で提供されています。 1つのモジュールまたはスイート全体が実装されるかによって、 Oracle E-Business Suiteでは、調達の専門家が統合された情報を企業間で共有し、より適切な情報を使用してより賢明な決定を下せるようにします。
Oracle Sourcingを使用した一般的なビジネス・フローには、次の3つがあります。
ソーシング・バイヤーは、Oracle Purchasingの需要ワークベンチ機能を使用して承認済の購買依頼明細を選択し、暫定的なオークションやソーシング見積依頼に需要を集約できます。 バイヤーは、Oracle Sourcingを終了しなくても需要ワークベンチを使用できます。 基になる購買依頼明細情報は、ソーシング・ドキュメントのライフサイクル全体で保持されます。
需要ワークベンチを使用した新規ドキュメントの作成
Oracle Purchasingのバイヤーは、包括購買契約(BPA)を選択し、新規オークションやソーシング見積依頼の基準として使用できます。BPA(ヘッダー、添付、価格分岐を含む)の詳細は、暫定ネゴシエーションおよび元のBPA明細を参照するソーシング明細にコピーされます。
既存の包括購買契約からの新規ドキュメントの作成
Oracle Sourcingのバイヤーは、ソーシング・ドキュメントをOracle Sourcingで直接定義できます。在庫品目を選択し、商品とサービスを直接入力できます。品目の多くは、スプレッドシートのアップロード機能を使用した迅速な入力が可能です。
Oracle Sourcingにおけるドキュメントの直接作成
バイヤーは調達プロセス全体にわたって情報を表示できます。Oracle Purchasingのユーザーは、標準発注または包括購買契約の元となった審査を表示することが可能です。同様に、Oracle iProcurementによる購買依頼の作成者は、その購買依頼に関する交渉が行われているネゴシエーションを表示できます。 Oracle iSupplier Portalにアクセスした仕入先は、発注からその基礎となるソーシング・ドキュメントや見積にOracle Sourcingでドリルダウンできます。