1. Oracle VM Server for SPARC ソフトウェアの概要
A. Oracle VM Server for SPARC 物理から仮想への変換ツール
Oracle VM Server for SPARC P2V ツールのインストール
Oracle VM Server for SPARC P2V ツールのインストール
B. Oracle VM Server for SPARC Configuration Assistant
C. Logical Domains Manager の検出
D. Logical Domains Manager での XML インタフェースの使用
Oracle VM Server for SPARC P2V ツールは、既存の物理システムを、チップマルチスレッド (Chip Multi-Threading、CMT) システム上の論理ドメインで実行される仮想システムに自動的に変換します。ソースシステムは、次のいずれかにすることができます。
Solaris 8 以降の OS を実行している、任意の sun4u SPARC ベースのシステム
Oracle Solaris 10 OS を実行しており、論理ドメイン内で実行されていない、任意の sun4v システム
物理システムから仮想システムへの変換は、次のフェーズで実行されます。
収集フェーズ。物理ソースシステムで実行されます。収集フェーズでは、ソースシステムについて収集された構成情報に基づいて、ソースシステムのファイルシステムイメージが作成されます。
準備フェーズ。ターゲットシステムの制御ドメインで実行されます。準備フェーズでは、収集フェーズで収集された構成情報に基づいて、ターゲットシステムに論理ドメインが作成されます。ファイルシステムイメージは、1 つ以上の仮想ディスクに復元されます。P2V ツールを使用して、プレーンファイルまたは ZFS ボリュームに仮想ディスクを作成できます。また、物理ディスクや LUN、または作成したボリュームマネージャーのボリュームに仮想ディスクを作成することもできます。このイメージは、論理ドメインとして動作できるように変更されます。
変換フェーズ。ターゲットシステムの制御ドメインで実行されます。変換フェーズでは、標準の Solaris アップグレードプロセスを使用して、作成された論理ドメインが、Oracle Solaris 10 OS で実行される論理ドメインに変換されます。
P2V ツールについては、ldmp2v(1M) のマニュアルページを参照してください。
次の節からは、物理システムから仮想システムへの変換が各フェーズで実行される方法について説明します。
収集フェーズは、変換対象のシステムで実行されます。一貫性のあるファイルシステムイメージを作成するには、システムの動作を最小限に抑えて、すべてのアプリケーションを停止する必要があります。論理ドメインに移動されるすべてのファイルシステムが確実にマウントされるようにするため、ldmp2v コマンドにより、すべてのマウント済み UFS ファイルシステムのバックアップが作成されます。移動する必要がないマウント済みファイルシステム (SAN ストレージ上のファイルシステムや、他の手段で移動するファイルシステムなど) は除外することができます。そのようなファイルシステムを除外するには、-x オプションを使用します。-x オプションにより除外されたファイルシステムは、ゲストドメイン上に再作成されません。-O オプションを使用して、ファイルとディレクトリを除外できます。
ソースシステムでの変更は不要です。唯一の条件は、制御ドメイン上に ldmp2v スクリプトがインストールされていることです。ソースシステムに flarcreate ユーティリティーが存在していることを確認してください。
準備フェーズでは、収集フェーズで収集されたデータを使用して、ソースシステムに相当する論理ドメインを作成します。
次のいずれかの方法で ldmp2v prepare コマンドを使用できます。
接続モード。このモードでは、自動的に仮想ディスクが作成され、ファイルシステムのデータが復元されます。
ソースシステム上にあるものと同じサイズで、論理ドメインと必要な仮想ディスクを作成します。
ディスクをパーティションに分割し、ファイルシステムを復元します。
/、/usr、および /usr ファイルシステムの合計サイズが 10 ギガバイト未満であれば、Oracle Solaris 10 OS の大容量ディスクに関する要件を満たすように、これらのファイルシステムのサイズが自動的に調整されます。-x no-auto-adjust-fs オプションを使用するか、-m オプションを使用してファイルシステムのサイズを手動で変更することで、自動サイズ変更を無効にできます。
論理ドメインの OS イメージを変更して、物理ハードウェアへのすべての参照を、論理ドメインに適したバージョンに置き換えます。これにより、通常の Solaris アップグレードプロセスを使用して、システムを Oracle Solaris 10 OS にアップグレードできます。変更には、/etc/vfstab ファイルを更新して新しいディスク名を記述することが含まれます。Solaris Volume Manager または Veritas Volume Manager (VxVM) によりカプセル化されているすべての起動ディスクは、このプロセス中に自動的にカプセル化を解除されます。カプセル化が解除されたディスクは、プレーンディスクスライスに変換されます。VxVM がソースシステムにインストールされている場合、P2V プロセスにより、作成されたゲストドメイン上で VxVM が無効になります。
非接続モード。仮想ディスクの作成と、ファイルシステムのデータ復元を手動で行う必要があります。このモードでは、ディスクのサイズと数、パーティション分割、およびファイルシステムの配置を変更できます。このモードの準備フェーズでは、論理ドメインの作成と、OS イメージの変更手順のみをファイルシステム上で実行します。
クリーンアップモード。論理ドメインと、ldmp2v により作成されたベースのバックエンドデバイスすべてを削除します。
変換フェーズでは、論理ドメインは Solaris アップグレードプロセスを使用して Oracle Solaris 10 OS にアップグレードされます。アップグレード操作により、すべての既存のパッケージが削除され、Oracle Solaris 10 sun4v パッケージがインストールされます。これにより、sun4u から sun4v への変換が自動的に行われます。変換フェーズでは、Oracle Solaris DVD iso イメージ、またはネットワークインストールイメージを使用できます。Custom JumpStart を使用して、完全に自動化された、操作不要のアップグレード処理を実行することもできます。