Oracle B2Bのプロセス・フローの最後のステップは、図6-1に示すアグリーメントの作成およびデプロイです。
取引パートナ・アグリーメントは、起動側とレスポンダの2つの取引パートナがビジネス文書を交換できるようにする条件を定義します。取引パートナ、取引パートナ識別子、ドキュメント定義およびチャネルを指定します。
項目は次のとおりです。
詳細は、次の説明を参照してください。
第9章「デプロイメントの管理」で、アグリーメントのエクスポート方法およびデプロイメント状態の管理方法を確認してください。
第7章「データのインポートとエクスポート」で、アグリーメントのエクスポート方法を確認してください。
アグリーメントは、2つの取引パートナ(ホスト取引パートナと1つのリモート取引パートナ)で構成され、パートナ間の1種類のビジネス・トランザクションを表します。たとえば、AcmeとGlobalChipsが相互のEDIFACT交換とRosettaNet交換の両方に参加する場合は、交換ごとにアグリーメントを作成します。一部の交換は双方向であり、それぞれの方向に対してアグリーメントが必要です。
たとえば、AcmeがGlobalChipsにGeneric Fileプロトコルで送信するカスタム・ドキュメントを使用して販売注文を送信する場合、Acmeが注文を送信するアウトバウンド方向のアグリーメントおよび、Acmeが受信者となるインバウンド方向のアグリーメントを作成します。アグリーメントのコンポーネント(たとえばドキュメント定義)を変更すると、そのコンポーネントは自動的にアグリーメント内で有効になります。
アグリーメントの作成は、B2Bトランザクションの設計の最終ステップです。アグリーメントを作成する前に、ドキュメント定義の作成と取引パートナの構成を完了しておく必要があります。詳細は、第4章「ドキュメント定義の作成」および第5章「取引パートナの構成」を参照してください。
図6-2に、アグリーメントを操作するためのOracle B2Bインタフェースを示します。ホスト取引パートナとのリモート取引パートナのアグリーメントを参照するには、リモート取引パートナ名をクリックします。
図6-3に、アグリーメントの作成ステップを示します。
ステップ1: リモート取引パートナの指定
ホスト取引パートナはアグリーメントに自動的に含まれるため、リモート取引パートナのみ指定が必要になります。これには2つの方法があります。アグリーメント追加前に「パートナ」リージョンからパートナを選択するか、ホスト取引パートナを選択し、「アグリーメント」リージョンで「追加」をクリックし、「新規アグリーメント」リージョンで「パートナの選択」アイコンをクリックします。
ステップ2: ドキュメント定義の選択
ドキュメント定義はホスト取引パートナに対して選択され、図6-4に示すように、「ドキュメント定義の選択」ダイアログに反映されます。
アウトバウンド・アグリーメントおよびインバウンド・アグリーメントの両方が必要な交換に関しては、次の手順を実行します。
アウトバウンド・アグリーメントに対して、ホスト取引パートナが送信者になるドキュメント定義を選択します(図6-4のAcme --> GlobalChips)。
インバウンド・アグリーメントに対して、ホスト取引パートナが受信者になるドキュメント定義を選択します(図6-4のAcme <-- GlobalChips)。
ステップ3: アグリーメントIDおよび名前の入力
任意のアグリーメントIDおよび名前を入力します。トラッキング目的で1つの値のみ必要な場合は、これらのフィールドに同じ値を入力できます。
ステップ4: 検証、トランスレーションおよび機能確認オプションの選択
表6-1に、アグリーメントの作成時に使用可能な検証、トランスレーションおよび機能確認を示します。
表6-1 アグリーメントのオプション
| オプション | 説明 |
|---|---|
|
検証 |
ドキュメントを構成済ECSファイルと対照して検証できるようにする場合に選択します。 |
|
トランスレーション |
XMLとネイティブ・フォーマット(EDIやHL7など)の間でトランスレーションを可能にする場合に選択します。「トランスレーション」が選択されていない場合(トランスレーションなし)は、B2BでFAを処理プロパティの値に関係なく、B2Bで機能確認を含むビジネス・メッセージを相関付けることはできません。プロパティの詳細は、B.1項「Fusion Middleware Controlで設定するプロパティ」を参照してください。 |
|
機能確認 |
成功または失敗基準の機能確認を可能にする場合に選択します。 |
|
B2Bによって処理されるFA |
「true」に設定すると、B2Bでは、インバウンドEDIの機能確認(FA)メッセージとHL7メッセージが自動生成されます。このオプションが「true」の場合は、インバウンドFAメッセージが消費されます。このオプションを「false」に設定すると、B2BではFAドキュメントが自動生成されません。このため、バックエンド・アプリケーション(ミドルウェア)でFAを生成し、アウトバウンド・メッセージとしてB2Bに提供する必要があります。このオプションを「false」に設定すると、インバウンドFAドキュメントはバックエンド・アプリケーションに戻されます。 ドキュメントにFAが不要な場合(アグリーメント・レベル設定で指定)、このオプションは無視されます。このプロパティのデフォルト値は「true」です。 詳細は、第B.1項「Fusion Middleware Controlで設定するプロパティ」を参照してください。 「B2Bによって処理される機能確認」を「false」に設定した場合は、インバウンドFAがバックエンド・アプリケーションに送信されるように「インバウンド機能確認の通知」も「false」に設定する必要があります。「B2Bによって処理される機能確認」を「false」に設定し、「インバウンド機能確認の通知」を「true」に設定した場合、受信する997(FAドキュメント)では通知のみが生成され、997ドキュメント自体はバックエンド・アプリケーションに送信されません。 |
|
ドキュメント再試行間隔 |
ドキュメント再試行の間隔を分単位で入力します。再試行の構成の詳細は、第5.5.5項「配信再試行オプションの構成」を参照してください。 |
|
ドキュメント再試行数 |
メッセージを再試行する回数を入力します。再試行の構成の詳細は、第5.5.5項「配信再試行オプションの構成」を参照してください。 |
ステップ5: リモート取引パートナのチャネルの選択
リモート取引パートナ設定時に作成したチャネルのリストを使用できます(リスニング・チャネルはアグリーメントの一部ではありません)。
ステップ6: 識別子の追加
ホスト取引パートナとリモート取引パートナの識別子タイプがリストされます。このアグリーメントに適用する識別子を選択します。[Shift]キーを押しながらクリックすると、複数の識別子を選択できます。
アウトバウンド・アグリーメントの場合は、表6-2にリストされている識別子タイプを交換プロトコルで使用します。
表6-2 交換プロトコルで使用する識別子タイプ
| 交換プロトコル | 識別子タイプ |
|---|---|
|
Generic File-1.0 |
名前 |
|
Generic FTP-1.0 |
名前 |
|
Generic SFTP-1.0 |
名前 |
|
Generic AQ-1.0 |
名前 |
|
Generic JMS-1.0 |
名前 |
|
AS2-1.1 |
名前、AS2識別子 |
|
AS1-1.0 |
名前、AS1識別子 |
|
ebMS-1.0、ebMS-2.0 |
名前、ebMS識別子 |
|
RosettaNet-V02.00、RosettaNet-01.10 |
名前、DUNS |
|
MLLP交換 |
名前、MLLP ID |
|
Generic HTTP-1.0 |
名前、Generic識別子 |
|
Generic Email-1.0 |
名前、Generic識別子 |
識別子タイプの詳細は、第10章「タイプの作成」を参照してください。
ステップ7: アグリーメントの保存および検証
「保存」をクリックすると、アグリーメントの検証も同時に行われます。
アグリーメントを作成する手順は、次のとおりです。
「パートナ」タブをクリックします。
「アグリーメント」リージョンで「追加」をクリックします。
「パートナの選択」をクリックします。
リモート取引パートナを選択します。
「ドキュメント定義の選択」をクリックします。
起動側のドキュメント定義を選択します。
アグリーメントIDおよび名前を入力します。
表6-1の説明に従って、「検証」、「トランスレーション」および「機能確認」オプションから選択します。
オプションの説明、コールアウト(作成済の場合)、開始日および終了日を入力します。
リモート取引パートナとホスト取引パートナの間で交換されるメッセージのフォーマットを変換するには、コールアウトを使用します。第13章「コールアウトの管理」を参照してください。
アグリーメントは、ここに入力した終了日より後になると、期限切れになるためデプロイできなくなります。
ホスト取引パートナの場合は、「追加」をクリックして識別子を選択します。
リモート取引パートナの場合は、チャネルを選択します。
リモート取引パートナで、「追加」をクリックして識別子を選択します。
「保存」をクリックします。
アグリーメントを作成した後は、デプロイできます。「管理」 > 「デプロイ」ページにアグリーメントがリストされます。続行するには、第6.3項「アグリーメントのデプロイ」を参照してください。
デプロイメントは、設計時リポジトリからランタイム・リポジトリにアグリーメントをアクティブ化するプロセスです。
アグリーメントのデプロイ後は、「デプロイメントの管理」タブおよび「レポート」タブを使用します。詳細は、次の説明を参照してください。
アグリーメントの作成、保存および検証を完了した後は、そのアグリーメントを次の方法でデプロイできます。
同じページ(「パートナ」 > 「アグリーメント」タブ)の「デプロイ」ボタン(図6-2を参照)。
「管理」 > 「デプロイ」ページ(図6-5を参照)。このオプションを使用して、デプロイする複数のアグリーメントを同時に選択します。
|
注意: b2b.deploy.validation=falseプロパティを設定して、デプロイメント時の検証をオフにしてください。
このプロパティは、Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlで設定します。プロパティを変更する場合は、SOAサーバーを再起動する必要があります。詳細は、B.1項「Fusion Middleware Controlで設定するプロパティ」を参照してください。 |
「デプロイ」タブからアグリーメントをデプロイする手順は、次のとおりです。
「管理」タブをクリックします。
「デプロイ」タブをクリックします。
検索パラメータを使用してデプロイ対象のアグリーメントを検索するために、「検索」をクリックします。
1つ以上のアグリーメントを選択し、「デプロイ」をクリックします。