この付録では、WebLogic Portal (WLP)ベースのアプリケーションの正確な監視のために提供されるサポートについて詳しく説明します。
RUEIでは、追加設定なしでWLPアプリケーションを監視することができます。自動的にWLP Webアプリケーションを検出して、ネットワーク・オブジェクトをビジネス機能に変換します。このサポートを使用すると、個々のユーザー・アクションが正しいWebアプリケーション、デスクトップ、ポータル、ブックおよびページと自動的に一致し、コンテキスト分析を得られます。
RUEIでは、ファイルベース・ポータルとストリーミング・ポータルの監視がサポートされます。ストリーミング・ポータルの場合は、ディスク・フレームワークを有効にする必要があります。ディスク・フレームワークが有効でない状態でファイルベース・ポータルを監視するには、監視対象ポータルの構成に関する追加の情報をアップロードする必要があります。この詳細は、H.3項「RUEIとWLP環境の同期化」に記載されています。ディスク・フレームワークを使用しないストリーミング・ポータルの監視はサポートされないことに注意してください。
この付録でこれから説明する監視のサポートは、WLPバージョン10.3に基づくアプリケーションについて検証されています。
WLPベースのアプリケーションのスイート定義を作成できます。作成方法は、サポートされている他のOracle Enterpriseアーキテクチャの場合と同じです。スイートを作成する手順は、10.1項「スイートの使用」に記載されています。
監視対象スイート・インスタンスがファイルベース・ポータルで、ディスク・フレームワークが有効でない場合、ポータルが環境にどのように実装されているかをRUEIが認識する必要があります。次を実行します。
create_WLP_info.pl
スクリプトを/var/opt/ruei/processor/local/download/wlp
ディレクトリから、スクリプトを実行する予定の場所にコピーします。監視対象アプリケーションで使用される.portal
ファイルを同じ場所にコピーします。
create_WLP_info.pl
スクリプトをレポータ・システムで実行します。このスクリプトによって、監視対象環境の実装に関する情報が生成されます。このスクリプトは次の必須パラメータを指定して実行してください。
perl create_WLP_info.pl -portal file
.portal
file
は、監視対象アプリケーションで使用される.portal
ファイルの名前です。
複数インスタンス環境では、目的のインスタンスごとにスクリプトを実行し、作成される.txt
ファイルを別に保存します。10.1.1項「スイート定義の作成」で説明するように、各インスタンスに別のスイート定義を作成します。
10.1.2項「構成ファイルのアップロード」で説明している手順を実行し、生成されたファイルをレポータ・システムにアップロードします。
WLPスイート・インスタンスを作成すると、WLP環境用の事前定義済Cookieが自動的に作成されます。これは、JSESSIONID
という名前のカスタムCookieとして実装されます。WLPはWebLogicテクノロジに基づいているため、事前定義済CookieはWLPアプリケーションに適しています。ただし、環境の構成によってはこのCookieを変更する必要があります。また、RUEIによって、完了したセッションのユーザーを監視および追跡するには、Cookieのパスを「/」に設定する必要があります。Cookie構成の詳細は、12.2項「Cookieテクノロジの指定」を参照してください。
RUEIでは、RESTフレームワークに基づくユーザー認証を利用するWLPアプリケーションを追加設定なしで監視することができます。ただし、監視対象ポータルで他のユーザー認証メカニズムが使用される場合には、構成する必要があります。この手順は、8.2.10項「ユーザー識別の定義」に記載されています。
WLPアプリケーションはホスト名で識別できます。一般的に、WLPスイートにアクセスする方法は2つあります。ホスト名のみを使用する方法、または完全修飾ホスト名(ドメインを含む)を使用する方法です。通常はドメインのみを指定してください。
表H-1に、WLPアプリケーションのディメンションがRUEIでどのようにレポートされるかを示します。
表H-1 WLP定義のマッピング
ディメンション・レベル | 内容 |
---|---|
Application.name |
ストリーミング・ポータル:
ファイルベース・ポータル:
|
Application. page-group |
ストリーミング・ポータル:
ファイルベース・ポータル:
|
Application.page-name |
ストリーミング・ポータル:
ファイルベース・ポータル:
|
構造の各要素の意味は、次のとおりです。
action
は、ユーザーによって実行される(REST)アクションの名前です。「All pages」グループではアクションのみがレポートされます。「WLP」グループではアクションのためのレポート・オプションもあります。最低レベルのアクションでは、関連するポートレット(存在する場合)に関する情報がレポートされます。重要な情報についてはH.8項「既知の制限事項」を参照してください。
book
は、ページがリクエストされるブックのタイトルです。
desktop
は、ポータルで使用されるデスクトップの名前です。
page
は、リクエストされるページのタイトルです。
portal
は、Webアプリケーション内で使用されるポータルの名前です。
web-app
は、使用されるWebアプリケーションの名前です。
図H-1に、ストリーミング・ポータルのRUEIでのレポートの例を示します。
表H-2に示すWLP固有のデータ・アイテムがRUEIでレポートされます。
表H-2 WLP固有のデータ・アイテム
項目 | 説明 |
---|---|
WLP suite/Code |
WebLogicスイートのコード。このデータを使用して、監視対象の様々なWebLogicスイートを区別することができます。 |
WLP suite/Name |
「Configuration」の「Suites」で定義したWebLogicスイートの名前。このデータを使用して、監視対象の様々なWebLogicスイートを区別することができます。 |
WLP book/Name |
ポートレットがあるページを含むWebLogicブックの名前。 |
WLP desktop/Name |
WebLogicデスクトップの名前。これをWebLogicポータル、WebLogic Webアプリケーションおよびスイートの名前(「Configuration」の「Suites」で定義)と組み合せると、RUEIでのアプリケーション名になります。 |
WLP page/Name |
WebLogicページの名前。ポートレットはページに含まれます。ページそのものはWebLogicブックに含まれます。 |
WLP portal/Name |
WebLogicポータルの名前。これをWebLogicデスクトップ、WebLogic Webアプリケーションおよびスイートの名前(「Configuration」の「Suites」で定義)と組み合せると、RUEIでのアプリケーション名になります。 |
WLP portlet/Name |
WebLogicポートレットの名前。 |
WLP action/Action |
アクションの名前。WebLogicアクションはページで実行されます。 |
WLP action/Portlet |
ポートレットを伴うアクションの名前。WebLogicアクションはページで実行され、ポートレットを伴うことがあります。このレベルには関連するポートレットが表示されます。 |
WLP Web application/Name |
WebLogic Webアプリケーションの名前。これをWebLogicポータル、WebLogicデスクトップおよびスイートの名前(「Configuration」の「Suites」で定義)と組み合せると、RUEIでのアプリケーション名になります。 |
現在、RUEIではWLPのすべての機能はサポートされません。特に次の制約事項がすでに判明しています。
レポートは、最後にアクティブになった部分に基づいて行われます。したがって、1人のエンド・ユーザーが複数のブラウザ・ウィンドウで同時に参照しているとき、レポートされるページ名に間違った情報が含まれることがあります。
ポートレット・レベルのレポートは非常に限られています。ストリーミング・ポータルの場合、アクションにポートレット(「move portlet on page」など)が含まれ、ポートレット定義ラベルがレスポンス・コンテンツまたはアクションのURLで検出されると、ポートレット定義ラベルが「WLP」グループでレポートされます。「All pages」グループではポートレットはレポートされません。
ファイルベース・ポータルの場合、アクションにポートレットが含まれるときはインスタンス・ラベルがレポートされます。ファイルベース・ポータルにはポートレット定義ラベルがないためです。ファイルベースのポートレット・インスタンス・ラベルがレポートされるのは、ポータル構成ファイルがアップロードされる場合のみです(H.3項「RUEIとWLP環境の同期化」を参照)。
ディスク・フレームワークが有効になっていないストリーミング・ポータルの監視はサポートされません。