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Oracle Solaris カーネルのチューンアップ・リファレンスマニュアル Oracle Solaris 10 8/11 Information Library (日本語) |
1. Oracle Solaris システムのチューニングの概要
例 -- /etc/system を使用したパラメータの設定
Oracle Solaris の特殊な tune および var 構造体
2. Oracle Solaris カーネルチューニング可能パラメータ
4. インターネットプロトコル群のチューニング可能パラメータ
この節では、Oracle Solaris 10 リリースの重要なチューニング拡張機能について説明します。
新しいパラメータ default_stksize では、あらゆるスレッド、カーネル、またはユーザーのデフォルトスタックサイズを指定します。lwp_default_stksize パラメータも引き続き利用できますが、すべてのカーネルスタックに作用するわけではありません。default_stksize が設定されている場合、それは lwp_default_stksize に優先します。詳細は、「default_stksize」を参照してください。
Oracle Solaris 10 リリースでは、すべての System V IPC 機能を自動構成することも、または資源制御によって制御することもできます。共有できる機能はメモリー、メッセージキュー、およびセマフォーです。
資源制御によって、ローカルシステム上で、またはネームサービス環境において、プロジェクト単位またはプロセス単位で IPC を設定できます。
旧リリースの Solaris では、カーネルのチューニング可能パラメータで IPC 機能を制御していました。これらの機能のデフォルト値を変更するには、/etc/system ファイルを変更してシステムをリブートしなければなりませんでした。
しかし、資源制御で IPC 機能を制御するようになったので、システムの稼働中に IPC機能の構成を変更できます。
これまで動作させるためにシステムチューニングが必要だったアプリケーションの多くは、デフォルト値の増大と資源の自動割り当てにより、チューニングしなくても動作する可能性があります。
次の表では、現在は廃止された IPC チューニング可能パラメータと、代わりに使用できる可能性のある資源制御を識別しています。廃止された IPC チューニング可能パラメータと資源制御との重要な違いは、IPC チューニング可能パラメータがシステム単位で設定されていたのに対し、資源制御は各プロジェクトまたは各プロセス単位で設定されることです。
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* project.max-shm-memory 資源制御は 1 つのプロジェクトにおける共有メモリー量の合計を制限していますが、以前は shmsys:shminfo_shmmax パラメータが 1 つの共有メモリーセグメントのサイズを制限していました。
資源制御についての詳細は、『Oracle Solaris のシステム管理 (Oracle Solaris コンテナ : 資源管理と Oracle Solaris ゾーン)』の「使用可能な資源制御」を参照してください。
廃止されたパラメータは、Oracle Solaris システムの /etc/system ファイルに引き続き含めることができます。その場合、これらのパラメータは、Oracle Solaris の以前のリリースの場合と同様に、デフォルトの資源制御値の初期化に使用されます。詳細は、「廃止または削除されたパラメータ」を参照してください。ただし、古いパラメータはできるだけ使用しないでください。
関連のある次のパラメータは削除されました。Oracle Solaris システムの /etc/system ファイルにこれらのパラメータが含まれている場合は、コメントになります。
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現在使用できる資源制御の一覧については、rctladm(1M) のマニュアルページを参照してください。資源制御の構成方法については、project(4) のマニュアルページ、および『Oracle Solaris のシステム管理 (Oracle Solaris コンテナ : 資源管理と Oracle Solaris ゾーン)』の第 6 章「資源制御 (概要)」を参照してください。
Oracle Solaris 10 リリースでは、NFSv4 プロトコル用の次のパラメータが新しく追加されました。
NFSv4 パラメータについては、「NFS モジュールのパラメータ」を参照してください。
Oracle Solaris 10 リリースでは、次の IP パラメータを利用できます。
Oracle Solaris 10 リリースでは、次の TCP パラメータを利用できます。
この Oracle Solaris リリースでは、次の TCP/IP パラメータは廃止されています。
ipc_tcp_conn_hash_size
tcp_compression_enabled
tcp_conn_hash_size
ip_forwarding
ip6_forwarding
xxx_forwarding
この Oracle Solaris リリースでは、ndd コマンドで次のチューニング可能パラメータを設定する代わりに、 routeadm コマンドまたは ifconfig コマンドを使用して、IP 転送を有効にしたり無効にしたりするようになりました。
ip_forwarding
ip6_forwarding
xxx_forwarding
ndd コマンドの代わりに routeadm コマンドおよび ifconfig コマンドを使用して IP 転送を設定することによって、次の利点が得られます。
すべての設定値がリブート後も維持されます。
新しい ifconfig router および -router コマンドを /etc/hostname.interface ファイルに、インタフェースの初期設定時に実行される他の ifconfig コマンドとともに組み込むことができます。
システムのすべてのインタフェース上で IPv4 または IPv6 パケットを転送できるようにするには、次のコマンドを使用します。
# routeadm -e ipv4-forwarding
# routeadm -e ipv6-forwarding
システムのすべてのインタフェース上で IPv4 または IPv6 パケット転送を無効にするには、次のコマンドを使用します。
# routeadm -d ipv4-forwarding
# routeadm -d ipv6-forwarding
旧リリースの Solaris では、システムのすべてのインタフェース上で IPv4 または IPv6 パケットを転送できるようにする場合、次のように入力します。
# ndd -set /dev/ip ip_forwarding 1
# ndd -set /dev/ip ip6_forwarding 1
旧リリースの Solaris では、システムのすべてのインタフェース上で IPv4 または IPv6 パケット転送を無効にする場合、次のように入力します。
# ndd -set /dev/ip ip_forwarding 0
# ndd -set /dev/ip ip6_forwarding 0
特定の IPv4 インタフェースまたは IPv6 インタフェースで IP 転送を有効にするには、インタフェースに合わせて次のような構文を使用します。例として、bge0 インタフェースを使用します。
# ifconfig bge0 router
# ifconfig bge0 inet6 router
特定の IPv4 インタフェースまたは IPv6 インタフェースで IP 転送を無効にするには、インタフェースに合わせて次のような構文を使用します。例として、bge0 インタフェースを使用します。
# ifconfig bge0 -router
# ifconfig bge0 inet6 -router
これまで、特定のインタフェースで IP 転送を有効にするには、次のように入力していました。
# ndd -set /dev/ip bge0:ip_forwarding 1
# ndd -set /dev/ip bge0:ip_forwarding 1
これまで、特定のインタフェースで IP 転送を無効にするには、次のように入力していました。
# ndd -set /dev/ip ip_forwarding 0
# ndd -set /dev/ip ip6_forwarding 0
実行システム上で前のいずれかの routeadm 設定値を有効にする場合は、次のコマンドを使用します。
# routeadm -u
詳細は、routeadm(1M) およびifconfig(1m) のマニュアルページを参照してください。
Oracle Solaris 10 リリースでは、変換格納バッファー (TSB) をチューニングするための新しいパラメータが追加されました。TSB パラメータについては、「SPARC システム固有のパラメータ」を参照してください。
この Oracle Solaris リリースには、TCP と同様のサービスを提供する、信頼性の高いトランスポートプロトコルであるストリーム制御伝送プロトコル (SCTP) が用意されています。SCTP チューニング可能パラメータについては、「SCTP チューニング可能パラメータ」を参照してください。