このセクションでは、Sun Ray Software 5.3 リリースの製品要件について説明します。
Table 3.1, “サポートされる Sun Ray Software オペレーティングシステム” に Sun Ray Software 5.3 リリースのサポートされる Sun Ray Software オペレーティングシステムを示します。
Table 3.1. サポートされる Sun Ray Software オペレーティングシステム
オペレーティングシステム | サポートされるリリース |
---|---|
SPARC および x86 プラットフォーム上の Oracle Solaris |
注意: Oracle Solaris 11 はサポートされていません。 |
x86 プラットフォーム上の Oracle Linux (32 ビットおよび 64 ビット) |
|
Oracle Linux 上で認定されている Oracle 製品は、Red Hat Enterprise Linux 上でも認定およびサポートされ、両方のディストリビューション間で互換性があることを暗黙的に示しています。Oracle では、Red Hat Enterprise Linux 製品上での追加テストを実行していません。
追加のオペレーティングシステム要件については、Section 3.1.8, “Oracle Linux の追加要件”およびSection 3.1.7, “Oracle Solaris の追加要件”を参照してください。
Sun Ray Software 5.3 の新機能の多くは、Sun Ray Operating Software 11.0 for Sun Ray Clients が必要です。Sun Ray Operating Software は、Sun Ray クライアントソフトウェアの正式な名前です。
Sun Ray クライアントに Sun Ray Operating Software をインストールする方法の詳細については、Section 3.2.4, “Sun Ray Software をインストールする前にファームウェアをインストールする”を参照してください。
Sun Ray Software では、次の Windows リモートデスクトップがサポートされます。
Windows XP Professional SP2 (64 ビット)
Windows XP Professional SP3 (32 ビット)
Windows Server 2003 R2 SP2 Enterprise Edition (32 ビットおよび 64 ビット)
Windows 7 SP1 Enterprise Edition (32 ビットおよび 64 ビット)
Windows Server 2008 R2 SP1 Enterprise Edition (64 ビット)
それぞれの Windows リモートデスクトップでサポートされる機能について、Table 3.2, “Windows リモートデスクトップでサポートされる機能”に示します。一部の Windows リリースでは、特定の機能をサポートするために Windows Connector コンポーネントをインストールする必要があります。詳細については、Section 3.2.7, “Windows システムに Windows Connector コンポーネントをインストールする方法”を参照してください。
Table 3.2. Windows リモートデスクトップでサポートされる機能
Windows XP SP2 (64 ビット) | Windows XP SP3 (32 ビット) | Windows Server 2003 R2 SP2 (32 ビット/64 ビット) | Windows 7 SP1 (32 ビット/64 ビット) | Windows Server 2008 R2 SP1 (64 ビット) | |
---|---|---|---|---|---|
ビデオ高速化 | X | X | X | X | X |
USB リダイレクション | X | X | X | X | X |
オーディオ入力 | X | X | X | X | X |
強化されたネットワークセキュリティー (TLS/SSL および NLA) | X | X | X | X | X |
セッションディレクトリ/セッションブローカ | N/A | N/A | X | N/A | X |
Sun Ray Software 5.3 リリースでは、Oracle Virtual Desktop Client 3.1 リリースをサポートしています。
詳細については、Chapter 17, Oracle Virtual Desktop Clientを参照してください。
次の Sun Ray Software 機能は、Oracle Linux プラットフォームを実行する Sun Ray サーバーでサポートされていません。
スマートカードサービス (PIN ログイン、電子メール署名、その他のスマートカード関連操作) はサポートされません。
Oracle Linux の外部ストレージサブシステムの設計が原因で、USB リダイレクション Windows コンポーネントなしで外部ストレージデバイスを使用した場合のパフォーマンスは、Oracle Linux のほうが Oracle Solaris よりも大幅に低下します。外部ストレージデバイスを使用する場合は、最高のパフォーマンスを得るために、USB リダイレクションをを使用してください。
定義済みキオスクセッションタイプ (デスクトップ、ウィンドウマネージャー、一連のアプリケーションを構成する機能を提供します) は利用できません。Sun Java Desktop (JDS), Release 3, は、Oracle Solaris 向けに用意されている定義済みセッションタイプの例です。詳細については、Section 10.1, “キオスクの概要”を参照してください。
特定のディレクトリのディスクスペース要件をTable 3.3, “ディスクスペースの要件”に示します。
Table 3.3. ディスクスペースの要件
デフォルトのインストールパス | 要件 |
---|---|
| 1 M バイト |
| 0.1 M バイト |
| 70 M バイト |
| 4.6 M バイト |
| 5 M バイト |
| 2.5 M バイト |
| データストアとログファイル用に十分なディスクスペースを確保してください。1,000 エントリの場合、およそ 1.5 M バイトのディスクスペース、64 M バイトの RAM、および 128 M バイトのスワップ空間を割り当てます。 |
| 5 M バイト |
Sun Ray サーバー用に Oracle Solaris を使用する場合は、次の要件を満たす必要があります。
全体ディストリビューションソフトウェアクラスタが必須であり、インストールされている必要があります。
Sun Ray Software をインストールする前に最新の推奨パッチセットをインストールする必要があります (My Oracle Support からダウンロードできます)。
共通デスクトップ環境 (CDE) は、将来の Oracle Solaris リリースで使用できなくなる可能性があります。ユーザーは Java Desktop System に移行することをお勧めします。Sun Ray Software の将来のバージョンで CED が Oracle Solaris リリースから公式に削除された時点で、CDE はサポートされなくなります。
Oracle Solaris 10 では、Oracle Solaris の単一インスタンス内で複数の仮想化オペレーティングシステム環境の共存を実現するためにゾーンを使用しており、システムのほかの動作を遮断してプロセスを実行することができるため、セキュリティーや制御を高めることができます。Sun Ray Software リリースは、大域ゾーンのみでサポートされます。
Sun Ray Software にはデフォルトの Oracle Linux RPM が必須であり、Sun Ray サーバーにインストールされている必要があります。必須である追加 RPM がいくつかありますが、それらは Sun Ray Software メディアパックで提供されている utpkgcheck コマンドを使用してインストールできます。
utpkgcheck コマンドは、Unbreakable Linux Network (ULN) にサーバーが登録されているか、または Oracle Linux DVD がサーバーにマウントされている必要があります。ULN の yum リポジトリが最初に確認されます。システムを ULN に登録する方法の詳細については、http://linux.oracle.com/uln_faq.html を参照してください。
次のコマンドを使用すると、Oracle Linux サーバーで見つからない RPM が表示されます。
# utpkgcheck
次のコマンドを使用すると、Oracle Linux サーバーに必須の RPM がインストールされます。
# utpkgcheck -i
インストール後セットアップ中、ファイアウォールおよび SELinux サービスは無効になっている必要があります。
Sun Ray Software 5.3 は、Java(TM) 2 Platform, Standard Edition JRE(TM) の少なくとも 1.6 の 32 ビット実装が必要です。最新の Java リリースは、http://www.oracle.com/technetwork/java/javase/downloads から入手できます。
システムにインストールされている JRE のバージョンをチェックするには、次のコマンドを使用します。
# java -version
サポートされているバージョンの JRE は、Oracle Solaris および Oracle Linux システム用の Sun Ray Software メディアパックにもバンドルされていて、解凍後 Supplemental
ディレクトリにあります。
64 ビットの JRE は、Sun Ray Software での使用には適していません。プラットフォームが 64 ビット JRE のサポートに対応している場合でも、32 ビット JRE が必要です。
Sun Ray Software インストールスクリプトでは、JRE がデフォルトで /usr/java
ディレクトリにインストールされていることを前提としています。Sun Ray Software を Oracle Linux サーバーにインストールするときにデフォルトをそのまま使用する場合は、サーバーに JRE 1.6 以降をインストールし、次に /usr/java
から新しく作成される jre
ディレクトリへのシンボリックリンクを作成します。たとえば、次のコマンドは /usr/java
ディレクトリから /usr
内にある jrel.6.0_23
ディレクトリへのシンボリックリンクを作成します。
# ln -s jre1.6.0_23 /usr/java
Sun Ray 管理ツール (管理 GUI) は、各 Sun Ray サーバー上で Web サーバーがインストールされ実行されている必要があります。管理 GUI は JavaServlet 2.4 および JavaServer Pages 2.0 仕様をサポートする Web コンテナでホストされている必要があります。Apache Tomcat 5.5 Web コンテナは、これらの標準規格を実装し、Java Runtime Environment (JRE) を持つ任意のオペレーティングシステムで実行されます。
utconfig スクリプトでは、Apache Tomcat HTTP Server の場所を求められ、自動構成するべきかどうかを確認されます。
サーバーを自動構成するには、パスを指定して「はい」と答えます。
あとで utconfig -w コマンドを使用して HTTP サーバーを構成する場合は、「いいえ」と答えます。
Sun Ray Software メディアパックには、Supplemental/Apache_Tomcat
の下に Apache Tomcat 5.5 アーカイブが含まれています。Tomcat 5.5 の最新バージョンは、http://tomcat.apache.org からダウンロードできます。
Sun Ray 構成スクリプトは、デフォルトでポート 1660 を Sun Ray 管理ツール (管理 GUI) 用に使用します。このポートを利用できない場合は、utconfig コマンドを実行するときに新しいポートを構成できます。
詳細については、「Apache Tomcat をインストールする方法」を参照してください。
Table 3.4, “Web ブラウザの要件”に、Sun Ray 管理ツール (管理 GUI) 向けにテスト済みでサポートされるブラウザを示します。
Table 3.4. Web ブラウザの要件
オペレーティングシステム | ブラウザのサポート |
---|---|
Oracle Solaris 10 9/10 以降 | Firefox 3.6.16 |
Oracle Solaris 10 9/10 以降、Trusted Extensions を統合 | Firefox 3.6.16 |
Oracle Linux 5.6 | Firefox 3.6.13 |
Oracle Linux 5.7 | Firefox 3.6.18 |
Sun Ray Software 5.3 のみを使用するフェイルオーバー環境で新しい Sun Ray サーバーを構成すると、デフォルトでサービスポート 7012 が使用されます。
Sun Ray サーバー上に LDAP (Lightweight Data Access Protocol) サーバーを構成済みの場合は、Sun Ray データストアと共存できます。ただし、Sun Ray データストアで使用するために予約されているポート 7012 は使用しないでください。
Sun Ray Software のバージョンが混在しているフェイルオーバーグループで新しい Sun Ray サーバーを構成する場合は、プライマリサーバーが Sun Ray Software 5.3 を実行していることを確認する必要があります。
セカンダリサーバーが Sun Ray Software 5.3 を実行している場合は、特別な配慮は必要ありません。utreplica ユーティリティーは、プライマリでのポート番号と自動的に同期します。
さまざまなバージョンの Sun Ray サーバーソフトウェアを実行するサーバーから成る混在フェイルオーバーグループを構成することは可能ですが、推奨されません。詳細については、Chapter 6, フェイルオーバーグループを参照してください。
Tomcat 5.5 がシステムにすでにインストールされている場合は、次の手順を省略でき、Sun Ray Software の構成時にパスを適宜指定します。
スーパーユーザーとして、Sun Ray サーバーでシェルウィンドウを開きます。
% su -
Apache_Tomcat
ディレクトリに変更します。たとえば:
# cd <media_pack_directory>/Supplemental/Apache_Tomcat
Tomcat アーカイブを適切なディレクトリ (/opt
など) に展開します。
Oracle Solaris の場合
Tomcat アーカイブは GNU tar 拡張を使用していて、GNU 互換バージョンの tar コマンド (gtar など) を使用して解凍する必要があります。
# /usr/sfw/bin/gtar -xvz -C /opt -f apache-tomcat-5.5.20.tar.gz
Oracle Linux の場合
# tar -xvz -C /opt -f apache-tomcat-5.5.20.tar.gz
(省略可能) Sun Ray Software インストールスクリプトのデフォルトの場所へのシンボリックリンクを作成します。
# ln -s apache-tomcat-5.5.20 /opt/apache-tomcat
次のセクションでは、Sun Ray システムのポートとプロトコルの使用状態についてまとめます。
サーバーの動的/UDP ポートの範囲は、utservices-low
および utservices-high
UDP サービス定義で定義される範囲に制約され、/etc/services
でのそれぞれのデフォルト値は 40000 および 42000 です。この範囲の再定義では、ポートの制約が狭くなりすぎないようにしてください。接続されている Sun Ray クライアントごとに複数のポートを提供できるように、十分なポートの範囲にする必要があります。
クライアントで使用される範囲には、次のものが含まれます
クライアントの動的/TCP ポートは 32768 - 65535 の範囲である。
クライアントの動的/UDP ポートは 4096 - 65535 の範囲である。
ALP レンダリングトラフィック (ALP-RENDER) はクライアントで常に 32767 より大きい UDP ポート番号を使用する。
Table 3.5, “Sun Ray クライアント - サーバー間のポートおよびプロトコル”に、Sun Ray クライアント - サーバー間のポートおよびプロトコルを示します。この表には、「フロー」列の二重矢印は、最初のパケットの方向を示します。ほとんどの場合、クライアント (Sun Ray クライアントまたは Oracle Virtual Desktop Client) が応答を開始します。
Table 3.5. Sun Ray クライアント - サーバー間のポートおよびプロトコル
クライアントポート/フロー | プロトコル | サーバーポート/フロー | ピア | 重要度/コメント |
---|---|---|---|---|
66/UDP (BOOTPC/DHCPC) ブロードキャスト =>> ユニキャスト =>> | DHCP | 67/UDP (BOOTPS/DHCPS) <= ブロードキャスト <= ユニキャスト | DHCP サービス | 必須 ネットワークおよび構成パラメータの発見 |
動的/UDP ユニキャスト =>> | TFTP | 69/UDP (TFTP) <= ユニキャスト | TFTP サービス | 推奨 ファームウェアのダウンロード (構成パラメータのダウンロード) |
動的/UDP ユニキャスト =>> | DNS | 53/UDP (domain) <= ユニキャスト | DNS サービス | 省略可能 サーバー名の検索用 |
514/UDP (syslog) ユニキャスト =>> | Syslog | 514/UDP (syslog) | Syslog サービス | 省略可能 イベントの報告 |
動的/UDP ブロードキャスト =>> | ALP-DISCOVERY | 7009/UDP (utauthd-gm) <= ユニキャスト | Sun Ray サーバー | 省略可能 サブネット上の Sun Ray サーバーの発見 |
動的/TCP ユニキャスト =>> | ALP-AUTH | 7009/TCP (utauthd) <= ユニキャスト | Sun Ray サーバー | 必須 存在、制御、ステータス |
動的/UDP でポート番号 >= 32768 ユニキャスト =>、NAT が使用中の場合は ユニキャスト =>> | ALP-RENDER | 動的/UDP、utservices-low および utservices-high の制約付き <<= ユニキャスト、NAT が使用中の場合は <= ユニキャスト | Sun Ray サーバー | 必須 画面上の描画、ユーザー入力、オーディオ |
5498/UDP ユニキャスト =>> | ALP-AUDIO-IN | 動的/UDP、utservices-low および utservices-high の制約付き | Sun Ray サーバー | 省略可能 インバウンドオーディオ |
動的/TCP ユニキャスト =>> | ALP-DEVMGR | 7011/TCP (utdevmgr) <= ユニキャスト | Sun Ray サーバー | 省略可能 デバイス管理 |
7777/TCP ユニキャスト => | ALP-DEVDATA | 動的/TCP <<= ユニキャスト | Sun Ray サーバー | 省略可能 デバイスデータ転送 |
7013/UDP (utquery) ユニキャスト => | ALP-QUERY | 動的/UDP <<= ユニキャスト <<= ブロードキャスト | 任意 | 省略可能 utquery サポート |
CR 12301209 により、キーボードが入力に応答しなくなることがあります。この問題を回避するには、ICMP メッセージを Sun Ray サーバーからクライアントに送ることを許可します。
Table 3.6, “Sun Ray サーバー - サーバー間のポート”に、Sun Ray サーバー - サーバー間のポートを示します。
Table 3.6. Sun Ray サーバー - サーバー間のポート
Sun Ray サーバーポート | プロトコル | ポート | ピア | メモ |
---|---|---|---|---|
<<=ARP=>> | サブネット上のすべて | IP と MAC のマッピング | ||
一時使用 | SYSLOG/UDP ユニキャスト =>> | 514 (SYSLOG) | Syslog サーバー | ステータス報告 (必要な場合) |
7009 (UTAUTHD) | <<=UTAUTHD-GM/UDP=>> ブロードキャストまたはユニキャスト | 7009 (UTAUTHD) | Sun Ray サーバー | グループ発見 (必要な場合) |
7011 (UTDEVMGRD) | <<=UTDEVMGRD/TCP=>> | 7011 (UTDEVMGR) | SR グループメンバー | デバイスの制御およびステータス |
7008 (UTRCMD) | <<=UTRCMD/TCP=> | 特権 | SR グループメンバー | リモート実行 |
<<=ICMP ECHO=> | 任意 | 管理: 存在 | ||
7010 (UTAUTH-CB) | <<=UTAUTH-CB/TCP=> | 一時使用 | 任意 | 管理: 制御とステータス |
7012 (UTDS) | <<=UTDS/TCP=> | 一時使用 | 任意 | データストア (必要な場合) |
7007 (UTSESSIOND) | <<=UTSESSION/TCP=> | 一時使用 | 任意 | セッションメンバー |
7011 (UTDEVMGR) | <<=UTDEVMGR/TCP=> | 一時使用 | 任意 | デバイスクライアント |
1660 (HTTP) | <<=HTTP/TCP=> | 一時使用 | Localhost | Web GUI (構成した場合) |
1661 (HTTPS) | <<=HTTPS/TCP=> | 一時使用 | Localhost | Web GUI (構成した場合) |
7007 (UTSESSIOND) | <<=UTSESSION/TCP=> | 特権 | Localhost | セッション管理 |
基本的な Windows Connector 操作 (RDP ポートアクセス) の場合、Windows サーバーのファイアウォールは、インバウンド接続用に TCP ポート 3389 が開いている必要があります。Sun Ray サーバー (Windows Connector を実行) のファイアウォールは、アウトバウンド接続用に TCP ポート 3389 が開いている必要があります。