Enterprise Managerのレポート・フレームワークである情報パブリッシャを使用すると、エンタープライズ全体で対象読者が管理対象の環境に関する情報にアクセスできるようになります。戦略的には、レポートは、エンタープライズの監視情報のビューをビジネス・インテリジェンス目的で提示するために使用されますが、管理対象ターゲットのアクティビティ、リソース使用率および構成を示すことで管理目的でも役立ちます。IT管理者は、レポートを使用して、一連の管理対象システムの可用性を示すことができます。エグゼクティブは、一定期間におけるアプリケーション(エンタープライズの電子メールなど)の可用性に関するレポートを表示できます。
注意: 情報パブリッシャ(IP)レポート・フレームワークはEnterprise Manager 12cでサポートされていますが、このフレームワークを使用した新規レポート開発は、Enterprise Manager 12cでは推奨されていません。 |
このレポート・フレームワークにより、カスタマイズされたレポートを作成および公開でき、HTMLベースの直感的なレポートをWeb経由で公開、格納、または選択した受信者に電子メールで送信できます。情報パブリッシャには、事前定義済レポートの包括的なライブラリが用意されており、これを使用することで、追加の設定や構成を行うことなく、レポートを即時に生成できます。
この章の内容は次のとおりです。
情報パブリッシャは、強力なレポートおよび公開機能を備えています。情報パブリッシャのレポートには、管理リポジトリに格納されている意思決定用の重要な情報に対する直感的なインタフェースが用意されています。一方で、Enterprise Managerのセキュリティおよびアクセス制御を利用して、この情報のセキュリティが確保されます。
情報パブリッシャの直感的なユーザー・インタフェースを使用すると、わずかな作業でレポートを作成および公開できます。情報パブリッシャを使用する主な利点は次のとおりです。
豊富なコンテンツと適切な形式を持つHTMLレポートを管理リポジトリのデータに基づいて作成するフレームワークが用意されています。
即時利用可能なレポートを使用して、システムの構成や設定を行わずに、レポートの生成を即座に開始できます。
レポートの自動生成をスケジュールし、スケジュールしたコピーの格納および対象読者への電子メールでの送信が可能です。
Enterprise Manager管理者は、レポートをビジネス・コミュニティ全体(エグゼクティブ、顧客および他のEnterprise Manager管理者)と共有できます。
情報パブリッシャには、社内の中央情報ソースとなる、機能豊富なフレームワークが用意されています。
情報パブリッシャの中核は、レポート定義です。レポート定義は、レポートの内容、ユーザー・アクセス、レポート生成のスケジュールなどのレポートのプロパティを定義することで、レポート・フレームワークに対して特定のレポートを生成する方法を指示します。
情報パブリッシャには、事前定義済レポート定義の包括的なライブラリが用意されており、追加の構成や設定を行うことなく、重要な業務やビジネス情報を提示する完全な形式のHTMLレポートを生成できます。
このHTMLレポートの生成では、次の3つの簡単な手順が実行されました。
手順1: レポート定義リストで「可用性履歴(グループ)」をクリックします。
手順2: レポートを実行するグループを選択します。
手順3: 「続行」をクリックし、完全な形式のレポートを生成します。
提供されるレポート定義は、機能カテゴリ別に体系化されており、各カテゴリの主な領域をカバーしています。
情報パブリッシャ・ホームページにアクセスするには、「エンタープライズ」メニューから、「レポート」、情報パブリッシャの順に選択します。
情報パブリッシャに付属する事前定義済のレポート定義は一般的なレポート・ニーズのほとんどに対応していますが、特別なレポートを作成することが必要な場合があります。情報に対する要件を事前定義済レポートがほぼ満たしていても、完全には満たしていない場合は、情報パブリッシャの類似作成機能を使用して、既存のいずれかのレポート定義に基づいて新しいレポート定義を作成できます。
カスタム・レポートを作成するには、次の手順を実行します。
既存のレポート定義を変更するか、最初から作成するかを選択します。既存のレポート定義がニーズをほぼ満たしている場合は、類似作成機能を使用して簡単にカスタマイズできます。
名前、カテゴリおよびサブカテゴリを指定します。Cloud Controlには、即時利用可能なレポートに使用されているデフォルトのカテゴリとサブカテゴリが用意されています。ただし、カスタム・レポートを任意の方法でも分類できます。
期間パラメータやターゲット・パラメータを指定します。レポートの表示中に、これらのパラメータの入力を求められます。
レポート要素を追加します。レポート要素とは、事前定義済のコンテンツのビルディング・ブロックであり、これを使用することで、様々な情報をレポートに追加できます。レポート要素の例としては、グラフ、表、イメージなどがあります。
レポートのレイアウトをカスタマイズします。レポート要素をアセンブルした後は、レポートのレイアウトをカスタマイズできます。
レポート・パラメータを宣言することで、レポートにどのデータが表示されるかをユーザーが制御できるようになります。パラメータには、ターゲットと期間の2種類があります。
例: 問題の診断に使用されるレポート(メモリー使用率レポートなど)を定義すると、対象のターゲットの情報の表示が可能になります。
期間パラメータを指定することで、対象の期間の履歴データの分析が可能になります。
履歴データの分析
情報パブリッシャでは、次のように、様々な期間のレポートを表示できます。
過去24時間/7日間/31日間
直前のX日/週/月/年(カレンダ単位)
今週/今月/今年(現時点では今週)
任意のカスタム日付範囲。
レポート要素は、レポート定義構築のためのブロックです。一般に、レポート要素は、パラメータを受け取り、表示可能な情報を生成します。たとえば、「SQLからのグラフ」要素は、データを管理リポジトリから抽出するためのSQL問合せと、データを円、棒または線のどの形式のグラフで表示するかを指定するパラメータを受け取ります。レポート要素により、情報パブリッシャのユーザー・インタフェースを使用して、カスタム・レポート定義をアセンブルできます。
情報パブリッシャには、様々なレポート要素が用意されています。汎用レポート要素では、任意の情報をグラフ、表またはイメージの形式で表示できます。たとえば、会社のロゴや、会社のWebサイトへのリンクを表示できます。監視要素では、管理対象ターゲットの可用性やアラートなどの監視情報を表示できます。サービス・レベル・レポート要素では、可用性、パフォーマンス、使用状況および達成されたサービス・レベルが表示され、サービス・レベル合意に準拠しているかの追跡、および達成されたサービス・レベルの顧客およびエグゼクティブとの共有が可能です。
Enterprise Managerを使用すると、レポートの対話方式での表示や、柔軟なスケジュールによるレポート生成のスケジュールが可能です。たとえば、環境内のすべてのサーバーに関するインベントリ・スナップショット・レポートを毎日午前0時に生成できます。
Cloud Controlには、次のスケジュール・オプションが用意されています。
即時、または将来のある時点における1回かぎりのレポート生成
定期的なレポート生成
頻度: 任意の分数/時間数/日数/週数/月数/年数
コピーの無期限な生成または将来の特定の日付までの生成が可能です。
情報パブリッシャを使用すると、ユーザー・コミュニティ全体で簡単にレポートを共有できるようになります。Enterprise Manager管理者は、他の管理者やロールとレポートを共有できます。ただし、顧客やエグゼクティブなどのEnterprise Managerの管理者以外のユーザーとのレポート共有が必要になる場合もあります。このようなユーザーとの情報共有を容易にするため、Enterprise Managerは、ユーザーの認証を必要としない独立したレポート用Webサイトを提供します。
注意: 機密情報が損われることがないように、Enterprise Managerのレポート用Webサイトにレポートを公開できるのは、特別なシステム権限を持つEnterprise Manager管理者のみに制限されています。 |
情報パブリッシャでは、Enterprise Managerのロールと特権に従って、Enterprise Manager管理者のみが参照可能な情報に関するレポートを作成できます。レポートを共有する場合、管理者はユーザーに対し、所有者の権限付きでレポートの表示を許可できます。たとえば、システム管理者は、サーバーを使用してホストのパフォーマンス情報はDBAと共有し、ホスト・ターゲットに対する権限はDBAに付与しないようにできます。この場合、ホストのパフォーマンス・レポートを作成でき、DBAは権限を使用してそれを表示できます。これによって、ホストのホームページへのアクセス権を付与することなく、参照を許可する情報のみを参照できるようになります。