この章では、Business Transaction Managementのインストールを始める前に満たす必要がある前提条件および予備設定について説明します。Business Transaction Managementは、数種類のコンポーネントで構成されています。次に示す要件には、すべてのBusiness Transaction Managementコンポーネントに関係するものも、一部のコンポーネントに関係するものもあります。
この項の要件は、Business Transaction Managementの初期構成およびBusiness Transaction Managementコンソールへのアクセスに使用するWebブラウザに関係します。
Webブラウザには、Adobe Flashプラグイン・バージョン10.1以上が必要です。
WebブラウザにInternet Explorerを使用している場合、Flash playerのActive Xコントロールを許可するように構成する必要があります。この設定の手順は、Internet Explorerのドキュメントを参照してください。
Business Transaction Managementオブザーバは、ビジネス・サービスを検出し監視するために、サービスについて記述されているWSDLおよびスキーマ・リソースにアクセスする必要があります。これらのリソースがオブザーバがアクセスできないような方法で(たとえば、認証によって)保護されていないことを確認する必要があります。
たとえば、Oracle Service Bus環境では、sbresouce.warをアンデプロイしたり、オブザーバのWSDL情報へのアクセスを妨げるようなセキュリティ・ロールを適用してはいけません。
注意: WebLogicノード・マネージャを使用する場合は、スクリプトを編集するかわりにWebLogic管理コンソールを使用して設定を調整することも可能です。 |
Oracle WebLogic Serverをインストールします。
Business Transaction Managementには、WebLogic Serverリリース10.3.6を使用することを推奨します。ソフトウェアは次の場所からダウンロードできます。http://www.oracle.com/technetwork/middleware/weblogic/downloads/wls-main-097127.html
WebLogic Serverリリース10.3.6のインストールの手順は、次の場所にあります。http://docs.oracle.com/cd/E12839_01/doc.1111/e14142/toc.htm
Oracle Application Development Framework (ADF)をインストールし、Java Required Files (JRF)テンプレートを使用するようにWebLogic Serverを構成します。Business Transaction Managementには、ADFリリース11.1.1.7を使用することを推奨します。ソフトウェアは次の場所からダウンロードできます。http://www.oracle.com/technetwork/developer-tools/adf/downloads/index.html
ADF 11.1.1.7のインストールの手順は、次の場所にあります。http://docs.oracle.com/cd/E28280_01/install.1111/e14827/toc.htm
第2章に、ADFのインストールの手順の概略が示されています。なお、ADFには、Oracle WSM Policy ManagerおよびOracle WSM-PM Extensionが含まれています。これらのコンポーネントでは、インストールの前に、データベースにMDSスキーマが存在している必要があります。ただし、Business Transaction Managementにはこれらのコンポーネントは必要ではないため、MDSに関する手順はすべてスキップすることができます。
第3章には、JRFの適用に必要な手順の概略が示されています。既存のWebLogic ServerおよびJRFテンプレートを含まないWLSドメインを使用している場合は、サーバーを開始する際に次の例外が発生します。
java.lang.ClassNotFoundException: oracle.security.jps.wls.listeners.JpsApplicationLifecycleListener
各セントラル・サーバーおよびモニターで、WebLogicサーバーのクラスパスにOracle RDBMS用の適切なデータベース・ドライバがあることを確認します。
ドライバは、BTM_Servers_*.zipのjdbcディレクトリにあります。JDK 1.5ではojdbc5.jarを、JDK 1.6ではojdbc6.jarを使用します。
セントラル・サーバーおよびモニターをインストールするすべてのWebLogicドメインが、Java Required Files (JRF)テンプレートを含んでいることを確認します。
これらのドメインのいずれかがJRFテンプレートを含んでいない場合、ドメインを拡張してテンプレートを追加します。JRFテンプレートがドメインに含まれてない場合は、サーバーを開始する際に次の例外が発生します。
java.lang.ClassNotFoundException: oracle.security.jps.wls.listeners.JpsApplicationLifecycleListener
注意: JRFテンプレートは、Oracle Application Development Framework (ADF)ランタイムの一部です。つまり、JRFテンプレートを含むようにドメインを拡張する前に、ADFランタイムをWebLogicにインストールする必要があります。ADFランタイムをインストールする際には、WebLogicのバージョンと一致したリリース・バージョンをインストールするよう注意してください。ADFランタイムは、次の場所からダウンロードできます。
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Business Transaction Managementセントラル・サーバーまたはモニターをインストールする各WebLogicサーバーは、セントラル・サーバーおよびモニターが確実にお互いと接続できるよう、一意に識別できることを確認します。次のいずれかを実行します。
ホスト・マシンに割り当てられている各IPアドレスによって、そのマシンが一意に識別できることを確認します。
WebLogicサーバーの「リスニング・アドレス」プロパティがサーバーを一意に識別するホスト名またはIPアドレスに設定されていることを確認します。
このプロパティを設定するには、WebLogic管理コンソールで「環境」→「サーバー」に移動し、対象のサーバーをクリックして「構成/一般」タブを表示します。
注意: マシンがネットワーク上の他のマシンと共有のIPアドレスを持っている場合、またはマシンが別々の仮想マシンとして扱われる複数のIPアドレスを持っている場合は、ドメインの「リスニング・アドレス」プロパティを前述のように設定する必要があります。 |
セントラル・サーバーおよびモニターでは、WebLogicサーバーへのメモリー割当てが適切に設定されていることを確認します。以下で、メモリー割当てを制御するJavaオプションを設定する2つの方法を説明します。管理対象サーバーの起動および停止方法に応じた適切な方法を使用します。
ノード・マネージャを使用して管理対象のサーバーをリモートで開始および停止する場合は、サーバーのJavaメモリー・オプションを次の方法で設定します。
WebLogic Administration Consoleを開きます。
管理対象サーバーを選択します。
「構成」→「サーバーの起動タブを選択します。
次のJavaオプションを「引数」フィールドに入力します。フィールド内のすべてのエントリはスペースで区切ります。
64ビットのホストでは、次のようにします。
-Xms5120m -Xmx5120m -XX:MaxPermSize=512m
32ビットのホストでは、次のようにします。
-Xms3072m -Xmx3072m -XX:MaxPermSize=256m
管理対象サーバーをローカル・スクリプト・ファイルを実行することによって開始および停止する場合は、サーバーのJavaメモリー・オプションを次の方法で設定します。
テキスト・エディタで、ドメイン用のsetDomainEnvスクリプト・ファイルを開きます。
WindowsシステムではsetDomainEnv.cmdを、UNIX系システムではsetDomainEnv.shを開きます。これらのスクリプト・ファイルは、インストールしたWebLogicのuser_projects\domains\domain_name\binディレクトリにあります。
次の設定を見つけ、指定された値以上に設定されていることを確認します(環境によっては、これより高い値に設定する必要があるかもしれません)。
64ビットのホストでは、次のようにします。
MEM_ARGS=-Xms5120m -Xmx5120m
-XX:MaxPermSize=512m
32ビットのホストでは、次のようにします。
MEM_ARGS=-Xms3072m -Xmx3072m
-XX:MaxPermSize=256m
このようなエントリはいくつかあります。すべてに設定を行ってください。
WebLogicのバージョンによっては、次のように32ビットと64ビットの設定が別になっている可能性があります。
set WLS_MEM_ARGS_64BIT=-Xms5120m -Xmx5120m set WLS_MEM_ARGS_32BIT=-Xms3072m -Xmx3072m set MEM_MAX_PERM_SIZE_64BIT=-XX:MaxPermSize=512m set MEM_MAX_PERM_SIZE_32BIT=-XX:MaxPermSize=256m
その場合は、すべてを指定された値に設定します。
メイン・サーバー(btmMain.ear)をインストールするWebLogicサーバー上に管理ユーザーを設定します。
Business Transaction Managementは、WebLogicで定義されたロールを自身のアプリケーション・ロールにマッピングします。詳細は、第6.4.2項「WebLogicユーザーのBusiness Transaction Managementロールへのマッピング」を参照してください。
Business Transaction Managementシステム・サービスには、永続する情報やログ・メッセージを格納するためにデータベースを使用するものがあります。このデータベースには、Oracle 10gまたは11g RDBMSを使用し、SQL認証モードおよびTCP/IP接続をサポートするように構成する必要があります。
Business Transaction Managementを構成する前に、データベースをインストールし、構成します。
Oracle 10gまたはOracle 11gデータベースをインストールします。ソフトウェアは以下からダウンロードできます。http://www.oracle.com/technetwork/database/enterprise-edition/downloads/index.html
Business Transaction Managementでは、Oracle 11gリリース11.2.0.4の使用が推奨されています。このリリースを簡単にインストールする方法は、My Oracle Supportのパッチ13390677を検索することです。このパッチをダウンロードすると、LinuxまたはSolaris用の完全なインストーラを入手できます。
必要なデータベース・ユーザーを作成します。
次のSQL文を使用して、既存のユーザーを削除し、必要なユーザーを作成します。password
はそのユーザーのパスワードです。
DROP USER sphereDB CASCADE; DROP USER transactionDB CASCADE; DROP USER measurementDB CASCADE; DROP USER messageLogDB CASCADE; CREATE USER sphereDB IDENTIFIED BY password; GRANT CONNECT, RESOURCE TO sphereDB; GRANT ANALYZE ANY TO sphereDB; GRANT CREATE TABLE, CREATE VIEW TO sphereDB; CREATE USER transactionDB IDENTIFIED BY password; GRANT CONNECT, RESOURCE TO transactionDB; GRANT ANALYZE ANY TO transactionDB; GRANT CREATE TABLE, CREATE VIEW TO transactionDB; CREATE USER measurementDB IDENTIFIED BY password; GRANT CONNECT, RESOURCE TO measurementDB; GRANT ANALYZE ANY TO measurementDB; GRANT CREATE TABLE, CREATE VIEW TO measurementDB; CREATE USER messageLogDB IDENTIFIED BY password; GRANT CONNECT, RESOURCE TO messageLogDB; GRANT ANALYZE ANY TO messageLogDB; GRANT CREATE TABLE, CREATE VIEW TO messageLogDB;
データベース・ユーザーに関する注意
データベース・ユーザーは同じOracleインスタンスまたは別のインスタンスに作成することができます。ただし、各Business Transaction Managementコンポーネントが必要なデータベースにアクセスできるようにする必要があります。各Business Transaction Managementコンポーネントに必要なデータベース・アクセスの完全な明細は、表4-1「Business Transaction Management通信プロトコル」を参照してください。
Business Transaction Managementを構成する際に(第6.5項「Business Transaction Managementの初期構成」を参照)、システムによって自動的に適切なデータベース表が作成されます。
最初の3つのデータベース(sphereDB、measurementDBおよびtransactionDB)用のスキーマを手動で作成したい場合は、DBAが事前に作成することができます(下記の注意を参照)。これらの表および索引をシステムに自動的に作成させる場合は、データベース・ユーザーに表の作成、索引の作成、ビューの作成および分析の権限が必要です。4番目のスキーマ(messageLogDB)は、監視対象のアプリケーションの変化に応じてシステムが表を動的に作成および削除する必要があるため、事前に手動で作成することはできません。このデータベース用に、ユーザーは表の作成、表の削除、索引の作成、ビューの作成および分析の権限が必要です。なお、ユーザーに関連付けられたロールに権限を割り当てるのみでは十分ではありません。明示的に権限をユーザーに割り当てる必要があります。
注意: DBAは、datastoreUtil ユーティリティを使用してsphereDB、measurementDBおよびtransactionDBデータベース用の表および索引を手動で作成できます。このユーティリティは、適切なスキーマ定義を生成します。このユーティリティを使用したスキーマ定義の生成についてのドキュメントは、第15章「datastoreUtilユーティリティ」にあります。 |
モニター・グループをデプロイする場合は、モニター・グループのメンバーが、グループ内で情報を共有するためのデータベースを提供する必要があります。特定のモニター・グループ内の各モニターは、JDBCを使用して同じモニター・グループ・データベースに書き込みができる必要があります。モニター・グループのレプリケートされたインスタンスをネットワーク内に広く分散させることはできますが、すべてこの同じデータベースにアクセスできる必要があります。
モニター・グループ・データベース用に、メッセージ・ログ・データベース・スキーマ(messageLogDB)を使用することも、別のスキーマを作成することもできます。別のスキーマを作成する場合、monitorGroupDBをデータベース・ユーザー名に使用することを推奨します。別のスキーマを使用すると、パフォーマンスのボトルネックが発生した場合に、代替ドライブまたは物理ロケーションに再配置できるようになります。
必要に応じて、datastoreUtil
ユーティリティを使用してモニター・グループ・データベース・スキーマを手動で作成できます(第15章「datastoreUtilユーティリティ」を参照)。スキーマを手動で作成しない場合は、モニター・グループの設定後にシステムによって自動的にスキーマが作成されます。
設定方法を含むモニターの詳細は、第7章「モニターのインストール」を参照してください。
Business Transaction Managementデータベースのサイジングの参考として、My Oracle Support (support.oracle.com)でDoc ID 1487044.1 (BTMリリース12cのデータベース・スペース要件の見積り)を参照してください。このドキュメントには、管理者がBusiness Transaction Managementデータベースに必要なリソースの見積りを行う際に役立つスプレッドシートが含まれています。このドキュメントは正確さを増すために更新されるので、常にMy Oracle Supportから最新バージョンを取得するようにしてください。