MPI とパフォーマンスアナライザについて

MPI とは Message Passing Interface であり、並列および分散コンピューティングに使用される標準化された API です。このドキュメントは、MPI を使用し、クラスタなどの分散システムで動作するアプリケーションの開発経験があることを前提としています。このドキュメントでは、分散コンピューティング環境の設定方法や MPI の使用方法については説明していません。

パフォーマンスアナライザを使って MPI アプリケーションを検査すると、次の疑問を解決できます。

• MPI コードのチューニングによってパフォーマンスが大幅に向上するか。

• MPI パフォーマンスは同期またはデータ転送を特徴とするか。

• プログラムにロードインバランスが含まれているか。

• プログラム実行の 1 回の反復にかかる時間はどれくらいか。

• プログラムパフォーマンスの均衡化にかかる時間はどれくらいか。

• プログラム実行におけるメッセージ受け渡しパターンはなにか。

• もっとも重要なのはロングまたはショートメッセージのどちらか。

• メッセージを送信するプロセスはメッセージを受信するプロセスと同期するか。

前述のリストは範囲が広すぎて 1 冊のドキュメントでは扱いきれませんが、このチュートリアルでは次を含むパフォーマンスアナライザのいくつかの新機能の使い方を案内します。

• MPI タイムライン。アプリケーションの実行中に発生した MPI アクティビティーのグラフィカル表示。

• MPI チャート。散布図とヒストグラムを生成して MPI 関数と MPI メッセージのパフォーマンスデータを図形化するツール。

• MPI データズームおよびデータフィルタリング。「MPI タイムライン」および「MPI チャート」のデータのビューを広げたり狭めたりするために使用できる 1 組のコントロール。

「MPI タイムライン」タブは、テストプログラムの実行からのデータをタイムラインとして示します。最初、タイムラインのビューにはすべての MPI 関数と MPI メッセージがグラフィカル表示された、実行の始めから終わりまでが含まれています。この表示を拡大したり、完全なビューから移行し、場合によっては 1 つの関数と同程度の粒度の細かさで、しっかりと焦点を絞り込んだビューまで狭めたりする方法を習得します。「MPI タイムライン」タブは、「MPI チャート」タブとともに、データのズーム、パン、および検査を行う多数のさまざまな方法を提供します。「MPI チャート」タブを使用すると、関数やメッセージに関する統計データをグラフィカルチャートで表示でき、実行時に何が発生しているのかを確認するのに役立ちます。

パフォーマンスアナライザについての詳細は、『Oracle Solaris Studio 12.3: パフォーマンスアナライザ』を参照してください。