この項には次のトピックが含まれます:
この管理ガイドは、Microsoft WindowsまたはUNIXが実行されているコンピュータ上でInbound Refineryバージョン11g リリース1を設定および管理するために必要なすべての情報を提供します。
このドキュメントに含まれている情報は、製品テクノロジの進化、およびハードウェア、オペレーティング・システム、サード・パーティ・ソフトウェアの作成や変更によって、変更されることがあります。
Inbound Refineryバージョン 11g リリース1は、次のように機能が拡張されました。
IBM WebSphere Application Serverのサポート: Inbound Refineryは、IBM WebSphere Application Serverとともに使用できます。
Flash Video変換のサポート: Inbound Refineryでは、FLVフォーマットへの変換がサポートされています。
ビデオからオーディオへの変換のサポート: Inbound Refineryでは、ビデオ・ファイルからオーディオのみへの変換がサポートされています。
同時変換: Inbound Refineryでは、複数の同時インスタンスがサポートされる変換エンジンを使用している場合、複数のコンテンツ・アイテムを同時変換できます。これにより、1つのコンテンツ・アイテムによってシステムが独占されることがなくなり、リファイナリを介したコンテンツ・アイテムの処理速度が向上します。
Microsoft Office 2010のサポート: Inbound Refineryでは、OfficeドキュメントをHTMLに保存するなど、win32プラットフォーム上でのMicrosoft Office 2010の使用がサポートされています。
Adobe Photoshopスクリプティングのサポート: Inbound Refineryでは、Adobe Photoshopスクリプティングを使用した変換がサポートされています。
抽出されてInbound Refineryで使用可能になったEXIFおよびXMPデータ: Inbound Refineryは、デジタル・フォトからEXIFデータを、ネイティブ・デジタル・アセット・ファイルからXMPデータをそれぞれ抽出し、リファイナリに渡すようになりました。このデータは、「イメージ・データ」タブ下のレンディション情報・ページに表示されます。EXIFまたはXMPデータの情報を使用してコンテンツ・アイテムの検索を可能にするには、Oracle Text Searchが必要です。
動的なレンディション: Inbound Refineryでは、デジタル・アセットのチェックイン時にメタデータ入力を使用して、レンディションを動的に構成できます。たとえば、カスタム・メタデータ・フィールドをカスタム・レンディション・セットと組み合せて使用することにより、チェックイン・ページに入力したテキストをデジタル・アセットの上にウォーターマークとして表示できます。同様に、ピクセルの高さと幅を入力および使用して、特定のレンディション・サイズを作成できます。EXIFまたはXMPの新しいデータ抽出機能と組み合せて使用すると、抽出されたデータを、日時スタンプ、カメラ、位置データなどのウォーターマーク設定に使用できます。
Inbound Refineryバージョン 11g リリース1は、ドキュメント、デジタル・イメージ、動画などの電子アセット用のファイル変換を管理する変換サーバーです。変換の他に、ドキュメントとイメージに対するサムネイル機能、デジタル・イメージからEXIFデータを抽出して使用したり、Adobe PhotoshopやAdobe Illustratorなどのプログラムから生成された電子ファイルからXMPデータを抽出して使用する機能があり、ビデオのストーリーボード作成も行うことができます。Inbound Refineryは、WindowsサーバーまたはUNIXサーバーのいずれかで実行されている場合、次のような目的に使用できます。
Outside In Image Exportを使用してファイルのサムネイルを作成します。サムネイルは、コンテンツの小さなプレビュー・イメージです。
Outside In Image Exportを使用して、ファイルを複数ページのTIFFファイルに変換します。これにより、ユーザーはTIFFビューア・プラグインを使用して標準のWebブラウザでファイルを表示できます。
ストリーミングおよび様々な再生または記憶のニーズに対応するために、ビデオを複数のフォーマットに変換します。ビデオ変換では、サードパーティの変換ソフトウェア・パッケージであるTelestream社のFlipFactoryを購入して別のWindowsサーバーにインストールする必要があります。
イメージおよびグラフィックを、表示または印刷の要件を満たすように各種のフォーマットに変換します。
ファイルをPDF(Portable Document Format)に変換します。これにより、ユーザーは、PDFリーダー・プラグイン(Adobe Acrobat Readerなど)を使用して標準のWebブラウザでファイルを表示できます。ファイルをPDFに変換する場合は、次のオプションがあります。
サードパーティ・アプリケーションを使用してPDFに変換:Inbound Refineryは、Windows上で実行されている場合、複数のサードパーティ・アプリケーションを使用してコンテンツ・アイテムのPDFファイルを作成できます。ほとんどの場合は、ファイルを開いて印刷する機能のあるサードパーティ・アプリケーションを使用して、ファイルがPostScriptに印刷されます。その後PostScriptファイルは、構成済のPostScriptのDistillerエンジンを使用してPDFに変換されます。Inbound Refineryでサードパーティ・アプリケーションを使用して、ファイルを直接PDFに変換できる場合もあります。このオプションを使用する場合、Inbound Refineryには、PostScriptのDistillerエンジン、PostScriptプリンタ、および変換中に使用するサードパーティ・アプリケーションが必要です。
OpenOfficeを使用してPDFに変換:Inbound Refineryは、WindowsまたはUNIXで実行されている場合、OpenOfficeを使用して一部のファイル・タイプを直接PDFに変換できます。この複数プラットフォームのオプションを使用する場合に必要なのは、OpenOfficeのみです。
Outside Inを使用してPDFに変換: Inbound RefineryにはOutside Inが組み込まれており、Windows上のWinNativeConverterとともに使用して、一部のコンテンツ・アイテムのPDFファイルを作成できます。Outside Inは、ファイルをPostScriptに印刷するために使用されます。そのPostScriptファイルは、構成済のPostScript変換エンジンを使用してPDFに変換されます。このオプションを使用する場合に必要なのは、PostScriptのDistillerエンジンのみです。
重要: 変換で使用されるサードパーティ・アプリケーション、PostScript変換エンジンおよびPostScriptプリンタは、Inbound Refineryには付属していません。実行する変換に必要なすべてのサードパーティ・アプリケーション、および任意のPostScript変換エンジンとPostScriptプリンタを入手する必要があります。 |
PDFエクスポートによるPDFへの変換:Inbound Refineryは、Oracle Outside Inテクノロジを使用して、サードパーティ・アプリケーションを使用せずにPDFに直接変換できます。これにより、LinuxおよびUNIXプラットフォームでいくつかのフォーマットをPDFに変換できるようになります。
Windowsプラットフォームでのみ、TIFF Converterオプションを使用して、TIFF(Tagged Image File Format)ファイルをPDFに変換します。次のオプションがあります。
単一ページまたは複数ページのTIFFファイルから管理対象PDFファイルを作成します。
単一のZIPファイルに圧縮された複数のTIFFファイルから管理対象PDFファイルを作成します。
TIFFからPDFへの変換中にOCR(Optical Character Recognition)を使用します。これにより、チェックインされたTIFFファイル内のテキストを索引付けできるため、ユーザーはこれらのファイルのフルテキスト検索を実行できます。
TIFFコンバータは、Windowsでのみサポートされています。
重要: Inbound Refineryには、OCRを使用してTIFFからPDFへの変換を実行するためのCVISION CVista PdfCompressorが必要です。PdfCompressorは、Inbound Refineryには付属していません。CVISIONからPdfCompressorを入手する必要があります。 |
Outside In XML Export、Search Export、およびFlexionDocかSearchMLスキーマのいずれかを使用してファイルをXML(eXtensible Markup Language)ファイルに変換します。さらに、XSLT(eXstensible Style Language Transformation)機能を使用すると、結果のXMLドキュメントをXSL(eXstensible File Language)ファイルに基づいて別のXMLドキュメントに変換し、DTD(Document Type Definition)またはスキーマに対して検証することにより、XMLドキュメントを後処理できます。XML Converterは、WindowsとUNIXの両方でサポートされています。
Windowsプラットフォームでのみ、Microsoft Officeを使用して、Microsoft OfficeドキュメントをHTMLに変換します。
Inbound Refineryは、適切なコンポーネントを有効にすることで、様々なオプションで構成できます。ほとんどのInbound Refineryオプションでは、Inbound Refineryサーバー・プロバイダと、Inbound Refineryプロバイダを使用するコンテンツ・サーバーのリポジトリのそれぞれで有効なコンポーネントが必要です。次の表に、各Inbound Refinery変換オプションに必要なコンポーネントと、各コンポーネントを有効にする必要があるサーバーを示します。
表1-1 Inbound Refinery: すべての変換に必須
コンポーネント名 | コンポーネントの説明 | 有効にするサーバー |
---|---|---|
InboundRefinery |
Inbound Refineryを有効にします。 |
Inbound Refineryサーバー |
InboundRefinerySupport |
コンテンツ・サーバーとInbound Refineryの併用を有効にします。 |
コンテンツ・サーバー |
表1-2 PDF変換: PDFフォーマットへの変換用
コンポーネント名 | コンポーネントの説明 | 有効にするサーバー |
---|---|---|
PDFExportConverter |
Inbound Refineryで、Oracle OutsideInを使用してネイティブ・フォーマットをPDFに直接変換できます。サードパーティのツールの使用は不要です。PDFエクスポートは迅速なマルチ・プラットフォームの機能であり、同時変換を可能にします。 |
Inbound Refineryサーバー |
WinNativeConverter |
Inbound Refineryで、ネイティブ・アプリケーションまたはOutsideInXを使用して、ネイティブ・ファイルをPostScriptファイルに変換し、そのPostScriptファイルをサードパーティのDistillerエンジンを使用してPDFに変換できます。このコンポーネントを使用できるのは、Windowsプラットフォームのみです。このコンポーネントは、非推奨のPDFConverterコンポーネントで以前使用できた機能に取って代わるものです。 WinNativeConverterにより、Windowsプラットフォームのネイティブ・アプリケーションを使用する際に、すべてのPDF変換オプションに最良のレンディション品質が提供されます。WinNativeConverterでは同時変換は許可されません。 WinNativeConverterでは、ネイティブのOfficeアプリケーションを使用して、Inbound RefineryをWord、Excel、PowerpointおよびVisioで作成されたネイティブのMicrosoft OfficeファイルをHTMLに変換することもできます。 |
Inbound Refineryサーバー |
OpenOfficeConversion |
Inbound RefineryがOpen Officeを使用してサポート対象ファイルをPDFに変換できる、プラットフォーム間サポートが提供されます。OpenOfficeConversionでは、WinNativeConverterと同様に同時変換は許可されませんが、WinNativeConverterとは異なりUNIXプラットフォームがサポートされます。 |
Inbound Refineryサーバー |
表1-3 Digital Asset Manager: イメージ・アセットおよびビデオ・アセットの変換用
コンポーネント名 | コンポーネントの説明 | 有効にするサーバー |
---|---|---|
DAMConverter |
Inbound Refineryでデジタル・アセットを複数のレンディションに変換できます。 |
Inbound Refineryサーバー |
DamConverterSupport |
コンテンツ・サーバーでデジタル・アセット管理機能をサポートできます。このコンポーネントは、ZipRenditionManagementコンポーネントに大きく依存しています。 |
コンテンツ・サーバー |
DigitalAssetManager |
デジタル・アセット管理のユーザー・インタフェースを、レンディションの作成とZIPファイルのアーカイブの管理に使用するコンポーネントとの緊密な統合に使用できます。このコンポーネントは、ContentBasketコンポーネントに大きく依存しています。 |
コンテンツ・サーバー |
ContentBasket |
ユーザーが、コンテンツ・アイテムのレンディションを選択し、その内容をバスケット下にあるデジタル・アセット・バスケットと呼ばれる個人の記憶領域に格納できるようにします。 |
コンテンツ・サーバー |
ZipRenditionManagement |
コンテンツ・サーバーで、Inbound Refineryによって作成され、ZIPファイルに圧縮されたデジタル・アセットのレンディションにアクセスできます。 |
コンテンツ・サーバー |
表1-4 XML Converter: XMLレンディションおよびXLS変換用
コンポーネント名 | コンポーネントの説明 | 有効にするサーバー |
---|---|---|
XMLConverter |
Inbound Refineryで、プライマリWeb表示可能ファイルまたは独立したレンディションとしてFlexionDocおよびSearchMLスタイルのXMLを生成できます。また、Xalan XSLトランスフォーマを使用して、XSL変換を処理できます。 |
Inbound Refineryサーバー |
XMLConverterSupport |
コンテンツ・サーバーで、XML変換およびXSL変換をサポートできます。 |
コンテンツ・サーバー |
表1-5 TIFF Converter: TIFFファイルからPDFへの変換用
コンポーネント名 | コンポーネントの説明 | 有効にするサーバー |
---|---|---|
TiffConverter |
Inbound Refineryで、単一ページまたは複数ページのTIFFファイルをテキスト検索が可能なPDF Completeに変換できます。 |
Inbound Refineryサーバー |
TiffConverterSupport |
コンテンツ・サーバーで、TIFFからPDFへの変換をサポートできます。 |
コンテンツ・サーバー |
表1-6 HTML Converter: Microsoft OfficeドキュメントからHTMLへの変換用
コンポーネント名 | コンポーネントの説明 | 有効にするサーバー |
---|---|---|
MSOfficeHtmlConverterSupport |
コンテンツ・サーバーで、Inbound RefineryによってネイティブのMicrosoft OfficeからHTMLに変換されたファイルが、ZIPファイルでコンテンツ・サーバーに返されることをサポートできます。コンテンツ・サーバーには、ZipRenditionManagementコンポーネントがインストールされている必要があります。 |
コンテンツ・サーバー |
ZipRenditionManagement |
コンテンツ・サーバーで、Inbound Refineryによって作成されてZIPファイルに圧縮されたHTMLのレンディションにアクセスできます。 |
コンテンツ・サーバー |
Inbound Refineryは、ファイル変換を管理し、コンテンツ・サーバーへのプロバイダとして機能します。ファイルがコンテンツ・サーバーにチェックインされると、ファイル・システムまたはデータベースのネイティブ・ファイル・リポジトリにネイティブ・ファイルのコピーが格納されます。ネイティブ・ファイルのフォーマットは、Microsoft Wordなど、ファイルが元々作成されたフォーマットです。
ファイル・フォーマットが変換対象として設定されていない場合、ネイティブボールト・ファイルを指すネイティブ・ファイルまたはHCSTファイルのコピーをWebで表示可能なファイル・リポジトリに配置するように、コンテンツ・サーバーを構成できます。これは、ファイルがネイティブ・フォーマットのままライブラリに渡されることを意味します。このため、ファイルを表示するには、ネイティブ・ファイルを開くことができるアプリケーションがユーザーのコンピュータにインストールされている必要があります。
ファイル・フォーマットが変換対象として設定されている場合、コンテンツ・サーバーは変換キューに変換ジョブを作成します。次に、コンテンツ・サーバーは、リファイナリ・プロバイダのうちアクティブになっているリファイナリの1つ(変換を受け入れるように構成され、ビジーでないリファイナリ)に変換ジョブを配信しようとします。コンテンツ・サーバーは、アクティブなリファイナリに変換パラメータを送信します。リファイナリがジョブを受け入れない場合、コンテンツ・サーバーは次に使用可能なリファイナリに配信しようとします。リファイナリがジョブを受け入れると、コンテンツ・サーバーは変換データと変換対象ファイルが格納されているZIPファイルをリファイナリにアップロードします。さらに、コンテンツ・サーバーは、変換ジョブの追跡に使用するエントリをRefineryJobsテーブルに配置します。リファイナリは、変換ジョブをその変換前キューに配置します。
次に、リファイナリは指定された変換を実行しようとします。リファイナリは、変換ジョブの処理を完了すると、変換ジョブをその変換後キューに配置します。コンテンツ・サーバーは、リファイナリを定期的にポーリングし、そのRefineryJobsテーブル内の変換ジョブが完了したかどうかを調べます。リファイナリが変換ジョブの処理の完了を報告すると、コンテンツ・サーバーは変換されたファイル(たとえば、Webで表示可能なサムネイル・ファイルやPDFファイルなど)をリファイナリからダウンロードし、変換ジョブをその変換後キューに配置し、必要な場合は変換後機能を起動します。
変換が正常に行われた場合、Webで表示可能なサムネイル・ファイルやPDFファイルなどの変換されたファイルを、コンテンツ・サーバーのユーザーがWebブラウザを介して使用できるようになります。ビデオ、イメージまたはグラフィック・ファイルの場合、コンテンツ情報ページの「レンディション情報」タブで追加レンディションおよびレンディション情報を参照できます。
変換に失敗した場合、ネイティブ・ファイルのコピーをWebで表示可能なファイル・リポジトリに配置するようにコンテンツ・サーバーを構成できます。この場合、ユーザーがこのファイルを表示するには、ネイティブ・ファイルを開くことができるアプリケーションがユーザーのコンピュータにインストールされている必要があります。