DHCP サービスを使用できない共有ネットワーク構成の場合、これらのサービスを提供するように Sun Ray サーバーを構成できます。この構成は、初期の、そしてそれ以降の Sun Ray ネットワーク管理を複雑にします。利用可能な DHCP サービスで共有ネットワークを使用することについての全般的な情報については、2章Sun Ray ネットワーク環境の計画を参照してください。
utadm -A subnet
コマンドを使用して、DHCP サービスを提供するように Sun Ray サーバーを構成できます。Sun Ray サーバーは、ネットワーク/IP 情報、デバイス構成情報、またはその両方に対応するように構成できます。
表19.1「共有ネットワーク構成ワークシート」に記入して、実際の構成プロセスでいつでも情報を利用できるように準備してください。このワークシートは、外部 DHCP サービスのない共有ネットワークで Sun Ray サーバーを構成するためのものです。
斜体で提供される値は例にすぎないので、使わないようにしてください。
通常フォントで提供される値はデフォルトで、使用できます。
上付き数字 (#) は、各セクションの最後にある脚注を示しています。
ワークシートの空白行は、ワークシートを出力することを選択する場合に環境に関する追加情報を追加するために用意されています。
表19.1 共有ネットワーク構成ワークシート
アスペクトまたは変数 | デフォルト値、例、または (その他) | プライマリサーバーの値 | セカンダリサーバーの値 |
---|---|---|---|
utdam を使用して Sun Ray インターコネクトインタフェースを構成 | (開始時間を提供) | ||
| 192.168.128.0 | ||
| 192.168.128.1 | ||
| 255.255.255.0 | ||
| 192.168.128.0 | ||
|
| ||
Sun Ray サーバーを IP アドレス割り当てに使用する場合 | |||
| 192.168.128.16 | ||
|
| ||
| 192.168.128.1 | ||
| 192.168.128.1 | ||
追加サーバーリストを指定するか。(オプション) | (yes または no) | ||
|
| ||
| 192.168.128.2 |
(1) これらの値は、Sun Ray サーバーがフェイルオーバーグループの一部の場合でも、サーバーごとに異なります。
(2) これらの値は、フェイルオーバーグループ内のサーバー間で一意である必要があります。次のガイドラインは、各 Sun Ray サーバーに割り当てるアドレスを決めるのに役立つ場合があります。
X = (クライアント数 / (サーバー数 - 1)) - 1
プライマリサーバーの最初の装置アドレス = 192.168.128.16。
すべてのサーバーの最後の装置アドレス = X + 最初の装置アドレス。最後の装置アドレスが 240 より大きい場合は、240 に減らします。
セカンダリサーバーの最初の装置アドレス = 1 + 前のサーバーの最後の装置アドレス。最初の装置アドレスが 239 より大きい場合は、クラス B ネットワーク用に構成します。例: クライアントが 120 台、サーバーが 4 台。X= 39。
(3) デフォルトでは、これらの値はインタフェースホストアドレスと同じです。
この手順では、Sun Ray クライアントに DHCP サービスを提供するように Sun Ray サーバーを構成する方法を示します。
Sun Ray サーバーのスーパーユーザーとしてログインします。
Sun Ray LAN サブネットを構成します。
# /opt/SUNWut/sbin/utadm -A subnet#
ここで、
は 192.168.128.0 などのサブネット識別番号です。
subnet#
utadm スクリプトが Sun Ray インターコネクト用 DHCP の構成を開始し、DHCP デーモンを再起動してインタフェースを構成します。すると、このスクリプトがデフォルト値を一覧表示し、それらを受け入れるかどうかを尋ねてきます。
インタフェースの構成時に IP アドレスと DHCP 構成データが正しく設定されていないと、フェイルオーバー機能は正常に動作できません。特に、Sun Ray サーバーのサブネット IP アドレスをほかのサーバーのサブネット IP アドレスの複製として構成すると、Sun Ray 認証マネージャーで「メモリー不足」エラーが発生する可能性があります。
デフォルト値を評価します。
デフォルト値に問題がなく、サーバーがフェイルオーバーグループの一部でない場合は、y と答えます。
そうでない場合は n と答え、どのようなデフォルト値が表示されてもリターンキーを押して受け入れるか、ワークシートから正しい値を提供します。
utadm スクリプトから、次の入力が求められます:
新しいネットマスク (255.255.255.0)
新しい最初の Sun Ray クライアントアドレス (192.168.128.16)
Sun Ray クライアントアドレスの合計数
新しい認証サーバーアドレス (192.168.128.1)
新しいファームウェアサーバーアドレス (192.168.128.10)
新しいルーターアドレス (192.168.128.1)
追加サーバーリスト。
「yes」と答えた場合、ファイル名 (_filename_) またはサーバー IP アドレス (192.168.128.2) が要求されます。
utadm スクリプトにより、構成値が再度一覧表示され、これらを受け入れるかどうかを尋ねられます。
そうしない場合は n と答え、手順 3 で提供した答えを訂正します。
値が正しい場合は、y と答えます。utadm スクリプトは Sun Ray クライアントファームウェアバージョンを構成し、DHCP デーモンを再起動します。
フェイルオーバーグループ内のセカンダリサーバーごとに、この手順を繰り返します。
ルーターが Sun Ray サーバーとクライアントの間にある場合は、ルーターに bootp 転送を構成します。
次のセクションでは、図19.1「代替共有ネットワークトポロジの例」に示す共有ネットワーク B、C、および D 上での Sun Ray クライアント配備の例を示します。
図19.1「代替共有ネットワークトポロジの例」のサブネット B は、範囲 130.146.59.0/24
の IP アドレスを使用する、直接接続された共有サブネットです。Sun Ray サーバー helios
は、hme0
ネットワークインタフェースを通じてインターコネクトに接続され、IP アドレス 130.146.59.5
が割り当てられています。配備前の 3 つの質問に対する答えは次のようになります。
このサブネット上のクライアントは、基本 IP ネットワークパラメータをどの DHCP サーバーから取得するか。
共有サブネットシナリオでは、Sun Ray サーバーの DHCP サービスまたは外部 DHCP サービスのどちらがクライアントに基本ネットワークパラメータを提供するかを選択する必要があります。このサブネットに対応できる DHCP インフラストラクチャーをすでに持つエンタープライズの場合は、そこから基本ネットワークパラメータが提供されるはずです。そのようなインフラストラクチャーが存在しない場合は、基本ネットワークパラメータを提供するように Sun Ray サーバーを構成します。
このサブネット上のクライアントは、ファームウェアダウンロードなどの機能をサポートする追加構成パラメータを、どの DHCP サーバーから取得するか。
管理者は、クライアントに追加構成パラメータを提供するかどうか、その場合はこの目的のために Sun Ray サーバーの DHCP サービスまたは外部 DHCP サービスのどちらを使用するかを選択する必要があります。直接接続された共有サブネットでは、追加パラメータをまったく提供せずにクライアントを配備できますが、新規ファームウェアをダウンロードする機能など、クライアントのいくつかの機能が使用できなくなるため、この構成は望ましくありません。
すでに確立された DHCP インフラストラクチャーの管理者は、追加の Sun Ray 構成パラメータを提供するためにそのインフラストラクチャーを再構成できない、またはそうすることを避けたい場合があるので、通常は Sun Ray サーバーからこれらのパラメータを提供するほうが便利です。このセットアップは、確立されたインフラストラクチャーが追加パラメータを提供できるときでも望ましい場合があります。このセットアップでは、Sun Ray サーバーでのソフトウェアアップグレードやパッチインストールによって追加構成パラメータの値を変更する必要があるときに、SRSS コマンドを使用してそれらの値を管理できます。
たとえば、新しいクライアントファームウェアを配布するパッチは、クライアントに配布されたファームウェアバージョン文字列を自動的に更新できます。ただし、ファームウェアバージョンパラメータが外部 DHCP サービスから提供される場合は、管理者がパッチで配布される新しいファームウェアバージョンを反映するために、外部 DHCP 構成ルール内のファームウェアバージョンパラメータ文字列を手動で編集する必要があります。この作業は時間がかかり、誤りも起きやすく、不必要です。
このサブネット上のクライアントはどのようにして Sun Ray サーバーを見つけるか。
オプションの追加構成パラメータのいずれかを使用して、Sun Ray サーバーの場所をクライアントに報告してください。追加構成パラメータがクライアントにまったく提供されていない場合、クライアントは Sun Ray サーバーの場所の手がかりを得られません。このような場合、クライアントはブロードキャストベースのメカニズムを使用して、Sun Ray サーバーの場所を発見しようとします。ただし、クライアントブロードキャストパケットはローカルサブネットだけに伝達されるため、リモートサブネットの場合、ブロードキャストは Sun Ray サーバーに到達できず、接続を確立できません。
次の例は、直接接続された共有サブネットの 2 つの構成を示しています。最初の例では、Sun Ray サーバーが基本ネットワークパラメータと追加パラメータの両方を提供します。2 番目の例では、外部 DHCP サービスが基本ネットワークパラメータを提供しますが、追加パラメータはクライアントに提供されないため、ローカルサブネットブロードキャスト発見メカニズムによって Sun Ray サーバーとの接続を確立する必要があります。
もっとも一般的なケース、つまり外部 DHCP サーバーが基本ネットワークパラメータを提供し、Sun Ray サーバーが追加パラメータを提供する例を、「リモートサブネットへの配備」で示します。
この例で、配備前の 3 つの質問に対する答えは次のようになります。
このサブネット上のクライアントは、基本 IP ネットワークパラメータをどの DHCP サーバーから取得するか。
Sun Ray サーバーから。
このサブネット上のクライアントは、ファームウェアダウンロードなどの機能をサポートする追加構成パラメータを、どの DHCP サーバーから取得するか。
Sun Ray サーバーから。
このサブネット上のクライアントはどのようにして Sun Ray サーバーを見つけるか。
クライアントは、Sun Ray サービスの再起動時に提供される追加構成パラメータによって Sun Ray サーバーの場所を認識します。
基本パラメータと追加パラメータの両方を共有サブネットに提供するように、Sun Ray サーバーを構成します。
共有サブネット上のクライアント用 DHCP サービスは、utadm -A subnet
コマンドによって構成されます。この例で、共有サブネットのネットワーク番号は 130.146.59.0
であるため、適切なコマンドは utadm -A 130.146.59.0 です。
# /opt/SUNWut/sbin/utadm -A 130.146.59.0 Selected values for subnetwork "130.146.59.0" net mask: 255.255.255.0 no IP addresses offered auth server list: 130.146.59.5 firmware server: 130.146.59.5 router: 130.146.59.1 Accept as is? ([Y]/N): n netmask: 255.255.255.0 (cannot be changed - system defined netmask) Do you want to offer IP addresses for this subnet? (Y/[N]): y new first Sun Ray address: [130.146.59.4] 130.146.59.200 number of Sun Ray addresses to allocate: [55] 20 new auth server list: [130.146.59.5] To read auth server list from file, enter file name: Auth server IP address (enter <CR> to end list): If no server in the auth server list responds, should an auth server be located by broadcasting on the network? ([Y]/N): new firmware server: [130.146.59.5] new router: [130.146.59.1] Selected values for subnetwork "130.146.59.0" net mask: 255.255.255.0 first unit address: 130.146.59.200 last unit address: 130.146.59.219 auth server: 130.146.59.5 firmware server: 130.146.59.5 router: 130.146.59.1 auth server list: 130.146.59.5 Accept as is? ([Y]/N): ### Building network tables - this will take a few minutes ### Configuring firmware version for Sun Ray All the units served by "helios" on the 130.146.59.0 network interface, running firmware other than version "2.0_37.b,REV=2002.12.19.07.46" will be upgraded at their next power-on. ### Configuring Sun Ray Logging Functions ### stopped DHCP daemon ### started DHCP daemon #
utadm で最初に示されるデフォルト値は適切ではありませんでした。具体的には、utadm はクライアントが共有サブネット上で発見されたときに、IP アドレスなどの基本ネットワークパラメータが外部 DHCP サービスから提供されることを前提としているため、このサーバーから 130.146.59.0
サブネット上の IP アドレスが提供されることはありません。ただし、この例では、Sun Ray サーバーから IP アドレスを提供する必要があるので、管理者は最初の「Accept as is?」プロンプトに n と答えることで、さまざまなパラメータの代替値を提供する機会を与えられました。130.146.59.200
から始まる 20 個の IP アドレスが、このサブネット上の DHCP クライアントへの割り当てに使用可能になりました。
utstart コマンドを発行して Sun Ray サーバーの Sun Ray サービスを再起動し、共有サブネット上の Sun Ray サービスを完全に活性化します。
# /opt/SUNWut/sbin/utstart A warm restart has been initiated... messages will be logged to /var/opt/SUNWut/log/messages.
この例で、配備前の 3 つの質問に対する答えは次のようになります。
このサブネット上のクライアントは、基本 IP ネットワークパラメータをどの DHCP サーバーから取得するか。
外部 DHCP サービスから。
このサブネット上のクライアントは、ファームウェアダウンロードなどの機能をサポートする追加構成パラメータを、どの DHCP サーバーから取得するか。
クライアントには追加パラメータが提供されません。
このサブネット上のクライアントはどのようにして Sun Ray サーバーを見つけるか。
ローカルサブネットブロードキャスト発見メカニズムを使用することで。
この例では、Sun Ray サーバーはクライアント初期化にまったく関与しません。ただし、デフォルトでは Sun Ray サーバーは直接接続された専用インターコネクト上にあるクライアントだけには応答するため、Sun Ray サーバー上での構成手順は必要です。共有サブネット上のクライアントに応答するのは、utadm -L on コマンドが実行された場合だけです。この例のように utadm -A subnet
コマンドを実行して共有サブネットに対して Sun Ray サーバーの DHCP を活性化すると、utadm -L on が暗黙的に実行されます。utadm -A subnet
を実行しなかった場合は、管理者が utadm -L on を手動で実行し、サーバーが共有サブネット上のクライアントにセッションを提供する必要があります。
外部 DHCP サービスを構成します。
このサブネット上のクライアントに基本ネットワークパラメータを提供するように外部 DHCP インフラストラクチャーを構成する方法を決めることは、このドキュメントの範囲を超えています。次のガイドラインに留意してください。
外部 DHCP サービスがこのサブネットへの独自の直接接続を持たない場合、管理者はこのサブネット上の DHCP トラフィックを外部 DHCP サービスに配信するように DHCP リレーエージェントを構成する必要があります。このようなリレーエージェントの場所はこのサブネット内のルーター上であることが多く、この場合は 図19.1「代替共有ネットワークトポロジの例」の r22-59
という名前のルーターです。このトピックの概要については、「DHCP を使用した Sun Ray クライアント初期化要件」を参照してください。
既存の外部 DHCP サービスでは、新しいクライアントをサポートするために、このサブネット用の IP アドレス割り当てを増やす必要がある場合があります。DHCP クライアントがサブネットに追加配備されるたびにこの要件が適用されます。また、アドレスを早く再利用できるように、このサブネット上のアドレスのリース時間を減らすことをお勧めします。
次のコマンドを実行して、共有サブネットからのクライアント接続を受け入れるように、Sun Ray サーバーを構成します:
# /opt/SUNWut/sbin/utadm -L on ### Turning on Sun Ray LAN connection NOTE: utstart must be run before LAN connections will be allowed
utstart コマンドを発行して Sun Ray サーバーの Sun Ray サービスを再起動し、共有サブネット上の Sun Ray サービスを完全に活性化します。
# /opt/SUNWut/sbin/utstart A warm restart has been initiated... messages will be logged to /var/opt/SUNWut/log/messages.
図19.1「代替共有ネットワークトポロジの例」 のサブネット C および D はリモート共有サブネットです。
サブネット C は範囲 130.146.22.0/24
の IP アドレスを使用します。サブネット D は範囲 130.146.71.0/24 の IP アドレスを使用します。helios
という名前の Sun Ray サーバーは、どのサブネットにも直接接続されていません。この特性により、これらはリモートと定義されます。配備前の 3 つの質問に対する答えは次のようになります。
このサブネット上のクライアントは、基本 IP ネットワークパラメータをどの DHCP サーバーから取得するか。
共有サブネットシナリオでは、Sun Ray サーバーの DHCP サービスと外部 DHCP サービスのどちらがクライアントに基本ネットワークパラメータを提供するかを、管理者が選択する必要があります。
このサブネットに対応できる DHCP インフラストラクチャーをすでに持つエンタープライズの場合は、そこから基本ネットワークパラメータが提供されるはずです。そのようなインフラストラクチャーが存在しない場合は、基本ネットワークパラメータを提供するように Sun Ray サーバーを構成します。
このサブネット上のクライアントは、ファームウェアダウンロードなどの機能をサポートする追加構成パラメータを、どの DHCP サーバーから取得するか。
管理者は、クライアントに追加構成パラメータを提供するかどうかを選択し、その場合は、Sun Ray サーバーの DHCP サービスと外部 DHCP サービスのどちらから提供するかを選択する必要があります。
確立された DHCP インフラストラクチャーの管理者は、追加 Sun Ray 構成パラメータを提供するために再構成できない、またはそうすることを避けたい場合があるので、通常は Sun Ray サーバーからそれらを提供するほうが便利です。このセットアップは、確立されたインフラストラクチャーが追加パラメータを提供できるときでも望ましい場合があります。このセットアップでは、Sun Ray サーバーでのソフトウェアアップグレードやパッチインストールによって追加構成パラメータの値を変更する必要があるときに、Sun Ray Software コマンドを使用してそれらの値を管理できます。
たとえば、新しいクライアントファームウェアを配布するパッチは、クライアントに配布されたファームウェアバージョン文字列を自動的に更新できます。ただし、ファームウェアバージョンパラメータが外部 DHCP サービスから提供される場合は、管理者がパッチで配布される新しいファームウェアバージョンを反映するために、外部 DHCP 構成ルール内のファームウェアバージョンパラメータ文字列を手動で編集する必要があります。この種の作業は時間がかかり、誤りも起きやすく、不必要です。
このサブネット上のクライアントはどのようにして Sun Ray サーバーを見つけるか。
オプションの追加構成パラメータのいずれかを使用して、Sun Ray サーバーの場所をクライアントに報告してください。追加構成パラメータがクライアントにまったく提供されない場合、クライアントは Sun Ray サーバーを発見できないため、ブロードキャストベースのメカニズムを使用して Sun Ray サーバーの場所を発見しようとします。ただし、クライアントブロードキャストパケットは、ローカルサブネットだけに伝達されるため、リモートサブネット上の Sun Ray サーバーに到達できず、接続を確立できません。
次の 2 つの例は、代表的なリモート共有サブネット構成を示しています。最初の例では、外部 DHCP サーバーが基本ネットワークパラメータを提供し、Sun Ray サーバーが追加パラメータを提供します。これは、確立された DHCP インフラストラクチャーを持つエンタープライズに Sun Ray を配備する場合によくある構成です。
2 番目の例では、基本ネットワークパラメータと最小限の追加パラメータ (クライアントが Sun Ray サーバーに接続するのに十分なもの) が外部 DHCP から提供されます。この場合、DHCP サービスは Cisco のルーター内です。このシナリオは理想的とは言えません。
ファームウェアパラメータがクライアントに配布されないため、新しいファームウェアをダウンロードできません。管理者は、たとえば、クライアントを定期的にサブネットから外して、すべての追加構成パラメータが提供されるインターコネクトまたはほかの共有サブネットに接続するなど、クライアントに新しいファームウェアを提供するためのほかの手段を用意する必要があります。
この例では、クライアントを図19.1「代替共有ネットワークトポロジの例」のサブネット C に配備し、配備前の 3 つの質問に対する回答は次のようになります。
このサブネット上のクライアントは、基本 IP ネットワークパラメータをどの DHCP サーバーから取得するか。
外部 DHCP サービスから。
このサブネット上のクライアントは、ファームウェアダウンロードなどの機能をサポートする追加構成パラメータを、どの DHCP サーバーから取得するか。
Sun Ray サーバーから。
このサブネット上のクライアントはどのようにして Sun Ray サーバーを見つけるか。
クライアントは、Sun Ray サービスの再起動時に提供される追加構成パラメータによって Sun Ray サーバーの場所を認識します。次のように utadm -A subnet
コマンドを使用して、共有サブネット上のクライアント用に DHCP サービスを構成します。
外部 DHCP サービスを構成します。
このサブネット上のクライアントに基本ネットワークパラメータを提供するように外部 DHCP インフラストラクチャーを構成する方法を決めることは、このドキュメントの範囲を超えています。次のガイドラインに留意してください。
外部 DHCP サービスがこのサブネットへの独自の直接接続を持たない場合、管理者はこのサブネット上の DHCP トラフィックを外部 DHCP サービスに配信するように DHCP リレーエージェントを構成する必要があります。このようなリレーエージェントの場所はこのサブネット内のルーター上であることが多く、この場合は 図19.1「代替共有ネットワークトポロジの例」の r22-59
という名前のルーターです。このトピックの概要については、「DHCP を使用した Sun Ray クライアント初期化要件」を参照してください。
既存の外部 DHCP サービスでは、このサブネットが新しいクライアントをサポートできるように、IP アドレス割り当てを増やす必要がある場合があります。DHCP クライアントがサブネットに追加配備されるたびにこの要件が適用されます。また、アドレスを早く再利用できるように、このサブネット上のアドレスのリース時間を減らすことをお勧めします。
DHCP トラフィックが Sun Ray サーバーへ配信されるようにします。
Sun Ray サーバーがこのサブネットへの独自の直接接続を持たないため、管理者はサブネットの DHCP トラフィックを Sun Ray サーバーに配信するように DHCP リレーエージェントを構成する必要があります。このようなリレーエージェントの場所はこのサブネット内のルーター上であることが多く、この場合は 図19.1「代替共有ネットワークトポロジの例」の r22-59
という名前のルーターです。このトピックの概要については、「DHCP を使用した Sun Ray クライアント初期化要件」を参照してください。
r22-59
が Cisco IOS を実行している場合は、ip helper-address
コマンドを使用して DHCP リレーエージェントを活性化し、4 番の 10/100 Ethernet ポートの DHCP ブロードキャストを 130.146.59.5
の Sun Ray サーバーへリレーするようにできます。
r22-59> interface fastethernet 4 r22-59> ip helper-address 130.146.59.5 r22-59>
外部 DHCP サービスもこのサブネットへの接続を持たない場合は、クライアントからの要求を次のサービスに転送するように DHCP リレーエージェントを構成します。
外部 DHCP サービス (クライアントが基本ネットワークパラメータを取得できるようにする)
Sun Ray サーバーの DHCP サービス (クライアントが追加パラメータを取得できるようにする)
Cisco IOS ip helper-address
コマンドには複数のリレー先アドレスを指定できるため、たとえば図19.1「代替共有ネットワークトポロジの例」のように外部 DHCP サービスがサブネット B の 130.146.59.2
に接続できる場合、適切なシーケンスは次のようになります。
r22-59> interface fastethernet 4 r22-59> ip helper-address 130.146.59.2 130.146.59.5 r22-59>
IOS との対話の詳細は、IOS の具体的なリリース、ルーターのモデル、ルーターにインストールされているハードウェアによって異なります。
追加パラメータを共有サブネットに提供するように、Sun Ray サーバーを構成します。
utadm -A subnet コマンドを使用して、共有サブネット上でクライアント用に DHCP サービスを構成します。この例で、共有サブネットのネットワーク番号は
130.146.22.0
であるため、適切なコマンドは utadm -A 130.146.22.0 です。
# /opt/SUNWut/sbin/utadm -A 130.146.22.0 Selected values for subnetwork "130.146.22.0" net mask: 255.255.255.0 no IP addresses offered auth server list: 130.146.59.5 firmware server: 130.146.59.5 router: 130.146.22.1 Accept as is? ([Y]/N): n new netmask:[255.255.255.0] Do you want to offer IP addresses for this subnet? (Y/[N]): new auth server list: [130.146.59.5] To read auth server list from file, enter file name: Auth server IP address (enter <CR> to end list): If no server in the auth server list responds, should an auth server be located by broadcasting on the network? ([Y]/N): new firmware server: [130.146.59.5] new router: [130.146.22.1] 130.146.22.6 Selected values for subnetwork "130.146.59.0" net mask: 255.255.255.0 no IP addresses offered auth server list: 130.146.59.5 firmware server: 130.146.59.5 router: 130.146.22.6 Accept as is? ([Y]/N): ### Building network tables - this will take a few minutes ### Configuring firmware version for Sun Ray All the units served by "helios" on the 130.146.22.0 network interface, running firmware other than version "2.0_37.b,REV=2002.12.19.07.46" will be upgraded at their next power-on. ### Configuring Sun Ray Logging Functions ### stopped DHCP daemon ### started DHCP daemon #
この例で、utadm で最初に示されるデフォルト値は適切ではありません具体的には、utadm がどの共有サブネットについてもデフォルトルーターのアドレスのホスト部分が 1 であると推定するため、このサブネット上のクライアントで使用されるデフォルトルーターアドレスは正しくありませんでした。この推定は、図19.1「代替共有ネットワークトポロジの例」の直接接続されたサブネット B については適切でしたが、サブネット C については正しくありません。
このサブネット上のクライアントにとって適切なルーターアドレスは 130.146.22.6
(ルーター r22-59
のポート 4) であるため、管理者は最初の「Accept as is?
」プロンプトに n
と答えて、さまざまなパラメータに対して別の値を提供する機会が与えられました。
utstart コマンドを発行して Sun Ray サーバーの Sun Ray サービスを再起動し、共有サブネット上の Sun Ray サービスを完全に活性化します。
# /opt/SUNWut/sbin/utstart A warm restart has been initiated... messages will be logged to /var/opt/SUNWut/log/messages.
この例では、クライアントを図19.1「代替共有ネットワークトポロジの例」のサブネット D に配備し、配備前の 3 つの質問に対する回答は次のようになります。
このサブネット上のクライアントは、基本 IP ネットワークパラメータをどの DHCP サーバーから取得するか。
外部 DHCP サービスから。
このサブネット上のクライアントは、ファームウェアダウンロードなどの機能をサポートする追加構成パラメータを、どの DHCP サーバーから取得するか。
クライアントには、ファームウェアダウンロードをサポートしたり、ほかの高度なクライアント機能を活性化するために必要な追加パラメータは提供されません。
このサブネット上のクライアントはどのようにして Sun Ray サーバーを見つけるか。
外部 DHCP サービスは、クライアントが Sun Ray サーバーの場所を認識するように、1 つの追加パラメータを提供します。
この例では、Sun Ray サーバーはクライアント初期化にまったく関与しません。ただし、デフォルトでは Sun Ray サーバーは直接接続された専用インターコネクト上にあるクライアントだけには応答するため、Sun Ray サーバー上での構成手順は必要です。共有サブネット上のクライアントに応答するのは、utadm -L on コマンドが実行された場合だけです。この例のように utadm -A subnet
コマンドを実行して共有サブネットに対して Sun Ray サーバーの DHCP を活性化すると、utadm -L on が暗黙的に実行されます。utadm -A subnet
を実行しなかった場合は、管理者が utadm -L on を手動で実行し、サーバーが共有サブネット上のクライアントにセッションを提供する必要があります。
外部 DHCP サービスを構成します。
このサブネット上のクライアントに基本ネットワークパラメータを提供するように外部 DHCP インフラストラクチャーを構成する方法を決めることは、このドキュメントの範囲を超えています。ただし、この例では、図19.1「代替共有ネットワークトポロジの例」の Cisco IOS ベースのルーター r22-71
(10/100 Ethernet ポート 3 経由で 130.146.71.0
サブネットに接続) から DHCP サービスが提供されることを前提としています。このルーターは、次の方法で、基本ネットワークパラメータと Sun Ray サーバーの場所を提供するように構成できます。
r22-71> interface fastethernet 3 r22-71> ip dhcp excluded-address 130.146.71.1 130.146.71.15 r22-71> ip dhcp pool CLIENT r22-71/dhcp> import all r22-71/dhcp> network 130.146.71.0 255.255.255.0 r22-71/dhcp> default-router 130.146.71.4 r22-71/dhcp> option 49 ip 130.146.59.5 r22-71/dhcp> lease 0 2 r22-71/dhcp> ^Z r22-71>
IOS との対話の詳細は、IOS の具体的なリリース、ルーターのモデル、ルーターにインストールされているハードウェアによって異なります。
X Window Display Manager の標準オプションである DHCP オプション 49 で、130.146.59.5
が Sun Ray サーバーのアドレスとして識別されます。ベンダー固有オプション AltAuth
および AuthSrvr
が存在しないため、クライアントはローカルサブネットにブロードキャストすることで Sun Ray サーバーを検索しようとします。ブロードキャストで応答がない場合、クライアントは X Window Display Manager の t
オプションで提供されるアドレスを使用します。
この例は、X Window Display Manager のオプションの正規の使用法ではありませんが、ベンダー固有オプションを提供できないリモートサブネット配備では、クライアントがサーバーに接続できるようにするおそらく唯一の方法です。
utadm -L on を実行して、共有サブネットからのクライアント接続を受け入れるように、Sun Ray サーバーを構成します。
# /opt/SUNWut/sbin/utadm -L on ### Turning on Sun Ray LAN connection NOTE: utstart must be run before LAN connections will be allowed #
utstart コマンドを発行して Sun Ray サーバーの Sun Ray サービスを再起動し、共有サブネット上の Sun Ray サービスを完全に活性化します。
# /opt/SUNWut/sbin/utstart A warm restart has been initiated... messages will be logged to /var/opt/SUNWut/log/messages.