12.1. マルチモニター

12.1.1. 最適な設定を使って Sun Ray クライアントのマルチモニター構成を設定する方法
12.1.2. カスタマイズされた設定を使って Sun Ray クライアントのマルチモニター構成を設定する方法

このセクションでは、デュアルビデオコネクタを持つ Sun Ray 2FS および Sun Ray 3 Plus クライアントのマルチモニターサポートについて説明します。図12.1「マルチモニターの例」に、マルチモニター機能と Windows Connector を使用した Sun Ray 3 Plus クライアントを示します。

図12.1 マルチモニターの例

Sun Ray 3 Plus クライアントとマルチモニター機能を示す 2 つのモニターを表す図。

Sun Ray クライアントでのマルチモニターのサポートは、複数モニターを 1 つの画面として使用することを可能にする、X Resize, Rotate, and Reflect (RandR) 1.2 (RandR) 拡張によって提供されます。次のような機能が含まれます。

RandR 1.2 のサポートによって、デフォルトの Xserver として Xnewt が提供されます (Sun Ray Software と一緒に自動的にインストールされて構成されます)。DIMENSIONS パラメータの設定に utxconfig -r コマンドが使用された場合を除き、最適なマルチモニター構成が Sun Ray クライアントセッションの起動時に自動的に適用されます。その場合、画面のサイズ設定には utxconfig の値が使用されます。

セッションのマルチモニター構成はホットデスク後に保存されますが、これはモニター構成の異なるクライアント間のホットデスクによって、望ましくない結果が生じる可能性があることを意味します。セッションの動的サイズ変更機能は、この問題を解決し、新しい画面構成に基づいてセッションの表示を自動的に再構成します。詳細は、「セッションの動的サイズ変更」を参照してください。

セッションの動的サイズ変更が無効になっている場合、ホットデスク後に新しい表示構成を更新するには、最適な設定を使って自動的に行う方法と、カスタマイズされた設定を使って手動で行う方法の 2 種類があります。詳細については、「最適な設定を使って Sun Ray クライアントのマルチモニター構成を設定する方法」および「カスタマイズされた設定を使って Sun Ray クライアントのマルチモニター構成を設定する方法」を参照してください。

注記

Oracle Solaris または Oracle Linux では、gnome-display-properties GUI モニター構成ツールを使用しないでください。このツールを使用すると、クライアントの RandR 1.2 構成に悪影響を与える可能性があります。

12.1.1. 最適な設定を使って Sun Ray クライアントのマルチモニター構成を設定する方法

次のコマンドは、xrandr によって提供される最適な設定を使用して Sun Ray クライアントのマルチモニター構成を設定します。セッションの動的サイズ変更が有効になっている場合、このコマンドは必要ありません。

/opt/SUNWut/bin/utscreenresize -s all

12.1.2. カスタマイズされた設定を使って Sun Ray クライアントのマルチモニター構成を設定する方法

Sun Ray クライアント向けに特定のマルチモニター構成の作成が必要になることがあります。この例では、xrandr コマンドを使用してマルチモニター構成を表示および設定する方法を示します。詳細については、xrandr のマニュアルページを参照してください。セッションの動的サイズ変更が有効になっている場合、この手順は機能しません。

注記

Sun Ray Software では Oracle Linux 向けに更新版の xrandr コマンドを提供しており、インストールプロセス中に /opt/SUNWut/bin ディレクトリにインストールされます。/opt/SUNWut/bin/xrandr コマンドは、Sun Ray Software 環境に必要な機能を提供します。

オプションを付けずに xrandr コマンドを発行すると、クライアントの現在のマルチモニター構成が表示されます。たとえば、1280x1024 の解像度で表示する 1 つのモニターを持つクライアントで作成されたセッションの xrandr の出力を次に示します。

(use /opt/SUNWut/bin/xrandr on Oracle Linux)
% xrandr
Screen 0: minimum 640 x 480, current 1280 x 1024, maximum 10240 x 10240
DVI1 connected 1280x1024+0+0 (normal left inverted right) 361mm x 288mm
   1280x1024      59.9*+   74.9     65.9
   1152x900       65.8
   1024x768       74.9     69.8     59.9
   800x600        59.9
   640x480        59.4 

この出力では、「Screen」行に、現在のすべての画面の解像度 (1280x1024) と使用可能な最大解像度 (10240x10240) が表示されています。DVI1 という名前の 1 行の出力があります。この行は、クライアントの DVI ポート (または 2 つの DVI を持つクライアントの 1 つ目の DVI) に接続された 1028x1024 モニターを示しています。この出力に使用可能なすべての解像度が一覧表示されます。現在のモードは「*」で示され、最適なモードは「+」で示されます。

デュアルモニタークライアントにホットデスクしたあとに、クライアントの画面構成は変わりませんが、RandR 情報は最適なモードを反映して更新されます。たとえば、1600x1200 と 1920x1200 のモニターを持つクライアントに対してホットデスクを実行すると、次のような xrandr の出力が表示されます。

(use /opt/SUNWut/bin/xrandr on Oracle Linux)
% xrandr
Screen 0: minimum 640 x 480, current 1280 x 1024, maximum 10240 x 10240
DVI1 connected 1280x1024+0+0 (normal left inverted right) 451mm x 338mm
   1600x1200      59.9 +
   1280x1024      74.9*    65.9     59.9
   1152x900       75.8     75.0     65.8
   1024x768       74.9     59.9
   800x600        59.9
   640x480        59.4
DVI2 connected (normal left inverted right)
   1920x1200      59.9 +
   1600x1200      59.9
   1280x1024      74.9     65.9     59.9
   1152x900       75.8     75.0     65.8
   1024x768       74.9     59.9
   800x600        59.9
   640x480        59.4

この新しいクライアントでは、DVI1 と DVI2 の 2 つの出力が一覧表示されます。DVI2 は「接続されている」状態ですが、現在のモードで構成されていません。両方の出力には「+」で示される最適モードがありますが、DVI1 ではまだ現在のモードとして 1280x1024 を使用しています。

この画面を DVI1 と DVI2 の両方に最適なモードで再構成する最善の方法は、前のセクションで説明した utscreenresize コマンドを使用することです。ただし、各モニターに特定の解像度を選択する場合は、xrandr コマンドの --output オプションを使用する必要があります。たとえば、両方のモニターで 1600x1200 を使用する場合は、次の xrandr コマンドを発行します。

(use /opt/SUNWut/bin/xrandr on Oracle Linux)
% xrandr --output DVI1 --mode 1600x1200 --output DVI2 --mode 1600x1200 --right-of DVI1 

次に、DVI1 と DVI2 が 1600x1200 の解像度であり、DVI2 が画面の 1600,0 から始まる新しいマルチモニターの構成を示します。

(use /opt/SUNWut/bin/xrandr on Oracle Linux)
% xrandr
Screen 0: minimum 640 x 480, current 3200 x 1200, maximum 10240 x 10240
DVI1 connected 1600x1200+0+0 (normal left inverted right) 451mm x 338mm
   1600x1200      59.9*+
   1280x1024      74.9     65.9     59.9
   1152x900       75.8     75.0     65.8
   1024x768       74.9     59.9
   800x600        59.9
   640x480        59.4
DVI2 connected 1600x1200+0+0 (normal left inverted right) 519mm x 324mm
   1920x1200      59.9 +
   1600x1200      59.9*
   1280x1024      74.9     65.9     59.9
   1152x900       75.8     75.0     65.8
   1024x768       74.9     59.9
   800x600        59.9
   640x480        59.4 

DVI2 で 1920x1200 は「最適」としてマークされたままですが、現時点では 1600x1200 を使用している点に注意してください。