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Oracle VM Server for SPARC 2.2 管理ガイド Oracle VM Server for SPARC (日本語) |
パート I Oracle VM Server for SPARC 2.2 ソフトウェア
1. Oracle VM Server for SPARC ソフトウェアの概要
3. Oracle VM Server for SPARC のセキュリティー
パート II オプションの Oracle VM Server for SPARC ソフトウェア
13. Oracle VM Server for SPARC 物理から仮想への変換ツール
14. Oracle VM Server for SPARC Configuration Assistant (Oracle Solaris 10)
15. Oracle VM Server for SPARC 管理情報ベース (Management Information Base、MIB) ソフトウェアの使用
16. Logical Domains Manager の検出
アクティブなドメインを移行するときは、移行元ドメイン、ソースマシン、およびターゲットマシンに対して特定の要件と制限があります。詳細については、『Oracle VM Server for SPARC 2.2 リリースノート』の「ドメイン移行の制限」を参照してください。
ヒント - ソースマシンとターゲットマシンの両方のプライマリドメインに仮想 CPU をさらに追加することで、移行全体の時間を短縮できます。各プライマリドメインの CPU を 16 個以上にするのが最善ですが、必須ではありません。
移行処理の間にドメインの「時間が遅れ」ます。このタイムロスの問題を軽減するには、移行元ドメインと、Network Time Protocol (NTP) サーバーなどの外部時間ソースを同期します。ドメインを NTP クライアントとして設定すると、ドメインの日時は移行が完了してからすぐに修正されます。
ドメインを Oracle Solaris 10 NTP クライアントとして構成するには、『Solaris のシステム管理 (ネットワークサービス)』の「NTP の管理 (作業)」を参照してください。ドメインを Oracle Solaris 11 NTP クライアントとして構成するには、『Oracle Solaris のシステム管理 (ネットワークサービス)』の「Network Time Protocol の管理 (作業)」を参照してください。
次に、移行を実行する場合の CPU に対する要件および制限を示します。
ターゲットマシンには、移行元ドメインによって使用されている仮想 CPU の数に対応できる十分な空き仮想 CPU が存在する必要があります。
Oracle Solaris 10 OS を実行するシステムの場合、ソースマシンとターゲットマシンでプロセッサタイプが同じである必要があります。
Oracle Solaris 11 OS の場合、cpu-arch プロパティーを設定すると、プロセッサタイプが異なるシステム間で移行できます。次の cpu-arch プロパティー値がサポートされています。
native は CPU 固有のハードウェア機能を使用して、ゲストドメインが同じ CPU タイプのプラットフォーム間でのみ移行できるようにします。nativeはデフォルト値です。
generic は一般的な CPU ハードウェア機能を使用して、ゲストドメインが CPU タイプに依存しない移行を実行できるようにします。
generic 値は、native 値と比較して、パフォーマンスが低下することがあります。パフォーマンスの低下は、ゲストドメインが特定の CPU のネイティブハードウェア機能を使用する代わりに、すべてのサポートされている CPU タイプで使用可能な汎用 CPU 機能のみを使用するため、発生する可能性があります。これらの機能を使用しないことで、generic 値により、さまざまな機能をサポートする CPU を使用するシステム間で、ドメインのマイグレーションの柔軟性が得られます。
プロセッサタイプを確認するには、次のように psrinfo -pv コマンドを使用します。
# psrinfo -pv The physical processor has 8 virtual processors (0-7) SPARC-T4 (chipid 0, clock 2548 MHz)
移行するドメインで Oracle Solaris 11 OS を実行している場合、プロセッサ周波数と STICK 周波数値が異なるソースシステムとターゲットシステム間でドメインを移行できます。cpu-arch プロパティー値が設定されていなくてもこのタイプの移行は可能です。ただし、移行するドメインで Oracle Solaris 10 OS を実行している場合は、プロセッサ周波数と STICK 周波数値が一致している必要があります。
STICK 周波数を確認するには、次のように prtconf -pv コマンドを使用します。
# prtconf -pv | grep stick-frequency stick-frequency: 05f4bc08
注 - STICK レジスタがインクリメントする周波数は、フルスピードの CPU 周波数から導かれます。ただし、両方のマシンで CPU 周波数が同じであっても、正確な STICK レジスタ周波数が若干異なるために移行がブロックされる可能性があります。
ターゲットマシン上に、ドメインの移行に対応できる十分な空きメモリーが存在する必要があります。さらに、移行が終了するまで次に示すいくつかのプロパティーが維持される必要があります。
同じ数、同じサイズのメモリーブロックを作成できる必要があります。
メモリーブロックの物理アドレスが一致する必要はありませんが、移行が終了するまで同じ実アドレスが維持される必要があります。
また、ターゲットマシンの使用可能メモリーのレイアウトと移行元ドメインのメモリーのレイアウトに互換性がある必要があります。互換性がないと、移行は失敗します。特に、ターゲットマシンのメモリーが複数の小さいアドレス範囲に分割されているのに、移行元ドメインには単一の大きいアドレス範囲が必要な場合、移行は失敗します。次の例は、この場合について示したものです。ターゲットマシンの 2 つのメモリーブロックに、2G バイトの空きメモリーがあるとします。
# ldm list-devices memory MEMORY PA SIZE 0x108000000 1G 0x188000000 1G
移行元ドメイン ldg-src にも 2G バイトの空きメモリーがありますが、これは単一のメモリーブロックに配置されています。
# ldm list -o memory ldg-src NAME ldg-src MEMORY RA PA SIZE 0x8000000 0x208000000 2G
このようなメモリーレイアウトの場合、移行は失敗します。
# ldm migrate-domain ldg-src t5440-sys-2 Target Password: Unable to bind 2G memory region at real address 0x8000000 Domain Migration of LDom ldg-src failed
注 - 移行のあと、移行されたドメインが再起動されるまで、移行されたドメインでのメモリーの動的再構成 (Dynamic Reconfiguration、DR) は無効になります。再起動が完了すると、移行されたドメインでメモリー DR が再度有効になります。
物理デバイスに直接アクセスするドメインは移行できません。たとえば、I/O ドメインは移行できません。ただし、物理デバイスが関連付けられているデバイスは移行できます。
移行元ドメインによって使用されるすべての I/O サービスが、ターゲットマシン上で使用できる必要があります。つまり、次に示す状態になっている必要があります。
移行元ドメインで使用されている各仮想ディスクバックエンドが、ターゲットマシンで定義されている必要があります。定義する仮想ディスクバックエンドは、ソースマシンと同じボリュームおよびサービス名である必要があります。バックエンドへのパスはソースマシンとターゲットマシンで異なる場合がありますが、同じバックエンドを参照している必要があります。
注意 - ソースマシンとターゲットマシンで仮想ディスクバックエンドへのパスが同じストレージを参照していなくても、移行は成功します。ただし、ターゲットマシンでのドメインの動作は予測不能になり、ドメインを使用できない可能性があります。この問題を解決するには、ドメインを停止し、設定の問題を修正してから、ドメインを再起動します。これらの手順を実行しない場合、ドメインは矛盾した状態のままになる可能性があります。 |
移行元ドメインの各仮想ネットワークデバイスには、対応する仮想ネットワークスイッチがターゲットマシン上に必要です。各仮想ネットワークスイッチの名前は、ソースマシンでデバイスが接続されている仮想ネットワークスイッチと同じである必要があります。
たとえば、移行元ドメインの vnet0 が switch-y という名前の仮想スイッチサービスに接続されている場合、ターゲットマシン上のドメインは、switch-y という名前の仮想スイッチサービスを提供する必要があります。
注 - 移行先ドメインが必要なネットワークリソースにアクセスできるように、ターゲットマシン上の物理ネットワークが正しく設定されている必要があります。正しく設定されていない場合、一部のネットワークサービスが移行完了後のドメインで使用できなくなる可能性があります。
たとえば、ドメインが正しいネットワークサブネットに確実にアクセスできる必要があるような場合です。また、ドメインがターゲットマシンから必要なリモートシステムに到達できるよう、ゲートウェイ、ルーター、またはファイアウォールを適切に設定することが必要な場合もあります。
移行元ドメインによって使用されていた、自動的に割り当てられる範囲内の MAC アドレスは、ターゲットマシンで使用可能である必要があります。
仮想コンソール端末集配信装置 (vcc) サービスがターゲットマシン上に存在し、1 つ以上のポートが空いている必要があります。移行時には明示的なコンソール制約は無視されます。移行先ドメイン名をコンソールグループとして使用し、制御ドメインの最初の vcc デバイスで使用可能なポートを使用して、移行先ドメインのコンソールが作成されます。デフォルトのグループ名との間に衝突がある場合、移行は失敗します。
NIU ハイブリッド I/O リソースを使用するドメインを移行できます。NIU ハイブリッド I/O リソースを指定する制約は、ドメインの必須要件ではありません。使用可能な NIU リソースが存在しないマシンにこのようなドメインを移行した場合、制約は維持されますが、この制約が満たされることはありません。
暗号化装置のあるプラットフォームで、暗号化装置がバインドされているゲストドメインが暗号化装置の動的再構成 (Dynamic Reconfiguration、DR) をサポートしているオペレーティングシステム上で実行されている場合は、そのゲストドメインを移行できます。
次の Oracle Solaris OS バージョンでは、暗号化装置の DR がサポートされています。
Solaris 10 10/09 以降の OS
Solaris 10 5/08 OS とパッチ ID 142245-01 以降
移行の開始時に、Logical Domains Manager は移行元ドメインが暗号化装置の DR をサポートしているかどうかを判定します。サポートされている場合、Logical Domains Manager はドメインからすべての暗号化装置の削除を試みます。移行の完了後、移行したドメインに暗号化装置が再度追加されます。
注 - ターゲットマシンで暗号化装置の制約を満たすことができない場合でも、移行処理はブロックされません。このような場合、移行先ドメインの暗号化装置の数が移行処理前よりも減少する可能性があります。
ソースマシンまたはターゲットマシン上でアクティブな遅延再構成処理が実行されている場合、移行を開始できません。移行の進行中、遅延再構成処理はブロックされます。
電源管理 (PM) のエラスティックポリシーが有効なソースマシンまたはターゲットマシンでは、ドメインの移行がサポートされていません。移行の処理中にソースマシンまたはターゲットマシンの PM ポリシーがパフォーマンスからエラスティックに切り替えられた場合、ポリシーの切り替えは移行が完了するまで延期されます。ソースマシンまたはターゲットマシンでエラスティックポリシーが有効な間に、ドメインの移行が試みられた場合、移行コマンドはエラーを返します。
マシンでの移行が完了するまで、移行中のドメインの状態や構成が変更される可能性がある操作はブロックされます。ドメイン自体に対するすべての操作のほか、マシン上のほかのドメインに対するバインドや停止などの操作もブロックされます。
ドメインの移行を実行するには、Logical Domains Manager と、移行元ドメインで実行している OS の間の調整が必要です。移行元ドメインが OpenBoot またはカーネルデバッガ (kmdb) で実行中の場合、この調整は不可能です。そのため、移行元ドメインの CPU が 1 つだけではない場合、移行の試行は失敗します。移行元ドメインの CPU が 1 つだけの場合、特定の要件および制限が満たされているときは移行が続行されます。『Oracle VM Server for SPARC 2.2 リリースノート』の「ドメイン移行の制限」を参照してください。