次の各項では、Oracle Jolt 11gリリース1 (11.1.1.3.0)の概要を示し、Oracle Jolt 11gリリース1 (11.1.1.3.0)ソフトウェア・コンポーネントをインストールするための前提条件および準備に関する情報を説明します。
Oracle Joltは、リモートのJavaクライアントがOracle Tuxedo ATMIサービスにアクセスするためのJavaクラス・ライブラリとAPIです。次の図C-1に示すように、Oracle Joltは既存のTuxedo ATMIアプリケーションの機能を拡張し、イントラネットやインターネットにも対応できます。
上の図は、Oracle Joltでサポートされている5種類のJoltクライアント・パーソナリティの中の1つを示しています(すべてのパーソナリティについて簡潔に「Oracle Joltクライアント・パーソナリティ」で説明されています)。
Oracle Joltは、企業ファイアウォール内のサーバーへの安全で信頼性のあるアクセスを可能にし、Tuxedo ATMIサービスにアクセスするJavaベースのクライアント・プログラムを作成するための、次のコンポーネントで構成されています。
次の図C-2に示すように、Joltサーバーの実装は1つ以上のJoltサーバー・ハンドラ、1つ以上のJoltサーバー・リスナー、および唯一のJoltリポジトリ・サーバーで構成され、これらはすべて同じOracle Tuxedoサーバー・マシン上で稼働します。
Joltサーバーは、Joltクライアントからのネットワーク接続の受け付け、Joltメッセージの変換、複数のクライアントの単一プロセスへの多重化、Tuxedo ATMIアプリケーションとの間でのリクエストの送受信を行います。すべてのTuxedoシステム実行可能プログラムと同様、Joltサーバー・コンポーネントはtux_prod_dir
/bin
ディレクトリに常駐しますが、tux_prod_dir
はOracle Tuxedo 11gリリース1 (11.1.1.3.0)がインストールされているディレクトリを表します。
Joltサーバー・リスナー(JSL)は、Tuxedoサーバーで稼働するリスニング・プロセスで、Joltクライアントからの接続リクエストを受け付け、同様にTuxedoサーバーで稼働するJoltサーバー・ハンドラに接続を割り当てます。また、Joltサーバー・ハンドラ・プロセスのプールを管理し、負荷に対応して起動させます。
Joltサーバー・ハンドラ(JSH)は、Tuxedoサーバーで稼働するゲートウェイ・プロセスで、JoltクライアントとTuxedo ATMIサーバー・アプリケーション間の通信を処理します。JSHプロセスはアプリケーションの管理ドメインに常駐し、ローカルのTuxedoの掲示板にクライアントとして登録されます。
各JSHプロセスは、複数のJoltクライアントを管理できます。JSHはすべてのリクエストを多重化し、1つのJoltクライアントに1つの接続で応答します。
Joltリポジトリ・サーバー(JREPSVR)は、Tuxedoサーバーで稼働し、Joltサービス定義をJoltリポジトリから取り出して、そのサービス定義をJoltサーバー・ハンドラに返します。また、Joltリポジトリ・サーバーは、JoltリポジトリへのJoltサービス定義の更新や追加のユーザー・サポートも提供します。
Joltリポジトリは、Tuxedoサーバーに常駐し、Tuxedo ATMIサービスの定義が収められている中央リポジトリです。これらのJoltリポジトリ定義情報は、JoltがTuxedoサービスにアクセスする時点で利用されます。また、Joltクライアント・アプリケーションにサービスをエクスポートしたり、Joltクライアントから定義を見えなくすることによってサービスをアンエクスポートしたりできます。リポジトリ・エディタを使用すると、クライアント・アプリケーションからは独立して、新規または既存のTuxedoサービスをテストできます。
Joltインターネット・リレーはJoltクライアントからのメッセージをJoltサーバー・リスナー(JSL)またはJoltサーバー・ハンドラ(JSH)にルーティングします。これにより、JSL、JSHおよびTuxedoアプリケーションをWebサーバーと同じマシンで実行する必要がなくなります。Joltインターネット・リレーは次のコンポーネントで構成されます。
図C-3は、Joltインターネット・リレーの接続パスを示しています。
Joltサーバーは、イントラネットのJoltクライアントには直接接続でき、インターネット上のJoltクライアントにはJoltインターネット・リレーを介して間接的に接続でき、すべて同時に接続することが可能です。Joltインターネット・リレーはJoltサーバーおよびJoltクライアントからは透過的です。
JRLY実行可能プログラム(jrly
)はtux_prod_dir
/udataobj/jolt/relay
ディレクトリに常駐し、JRAD実行可能プログラムはtux_prod_dir
/bin
ディレクトリに常駐します。
Joltクラス・ライブラリは、Jolt APIを実装するクラス・ファイルで構成されています。これらのクラスによって、JavaクライアントはOracle Tuxedo ATMIサービスを呼び出すことができるようになります。Joltクラス・ライブラリには、通信属性、通知、ネットワーク接続、トランザクション、およびサービスについての設定、検索、管理および呼出しを行う機能が含まれています。
Joltクラス・ライブラリ・ファイルはtux_prod_dir
/udataobj/jolt
ディレクトリに常駐し、次のJARファイルに格納されています。
Jolt JARファイルの内容を表示するには、JDK 1.3(またはそれ以上)ソフトウェアへのパスがPATH
変数の最初に含まれていることを確認した後、tux_prod_dir
/udataobj/jolt
ディレクトリに移動して次のコマンドを入力します。
prompt> jar -tvf filename.jar
prompt> jar -tvf jolt.jar
0 Thu Aug 08 07:19:02 EDT 2002 META-INF/
68 Thu Aug 08 07:19:02 EDT 2002 META-INF/MANIFEST.MF
547 Thu Aug 08 07:19:00 EDT 2002
bea/jolt/ApplicationException.class
741 Thu Aug 08 07:19:00 EDT 2002 bea/jolt/BData.class
951 Thu Aug 08 07:19:00 EDT 2002 bea/jolt/ByteArrayUtil.class
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Oracle JoltBeansには、Oracle Jolt用のJavaBeans対応インタフェースが用意されています。JoltBeansは、Joltクライアントを作成するため、JavaBeans対応の統合開発環境(IDE)で使用されるBeansコンポーネントです。
JoltBeansは、JoltBeansツールキット(Oracle Jolt用のJavaBeans対応インタフェースで、JoltServiceBean、JoltSessionBean、JoltUserEventBeanが含まれる)とJolt GUI Bean (Jolt対応Abstract Window Toolkit (AWT) BeanとJolt対応Swing Bean)の2つのJava Beanのセットで構成されています。Oracle Joltをこれらのコンポーネントに分離することにより、クライアントおよびサーバー・アプリケーションのトランザクション・コンポーネントおよびインターネット・コンポーネントを別々に実装し、大規模なインターネットおよびイントラネット・サービスに要求される安全性およびスケーラビリティを確保できます。
Javaプログラマは、Oracle Joltを使用して既存および新規のTuxedoアプリケーションをリモートに起動するクライアント・アプレットおよびアプリケーションを作成する以外にも、HTTPリクエストに応じてサーバー側Javaタスクを実行するHTTPサーブレットを作成できます。この後者のJolt接続により、単純なWebクライアントであっても、汎用サーブレットをサポートするWebアプリケーションを通じてTuxedoアプリケーション・サービスにアクセスできるようになります。
Oracle Joltでは、次のタイプのJavaクライアント・パーソナリティをサポートしています。
jolt.jar
(およびその他のJoltクラス・パッケージ、ただしjoltjse.jar
およびjoltwls.jar
を除く)がダウンロードおよびインストールされている必要があります。jolt.jar
(および場合によってはjoltadmin.jar
)がインストールされている必要があります。jolt.jar
およびjoltjse.jar
がインストールされている必要があります。Jolt HTTPサーブレットは、Joltセッション・プール・クラスを使用して、単純なブラウザ・クライアントに代わってTuxedoサービスを起動します。このため、このサーブレットはWebサーバー上のすべてのJoltトランザクションを処理します。これにより、単純なブラウザ・クライアントは直接JoltサーバーとOracle Tuxedoに接続せずにOracle Tuxedoサービスを呼び出すことができます。
jolt.jar
、joltjse.jar
、およびjoltwls.jar
がインストールされている必要があります。Joltクライアント・パーソナリティ、WebLogic Connectivity for Oracle Tuxedoは、Oracle Jolt for Oracle WebLogic Serverとも呼ばれています。
JavaアプレットまたはスタンドアロンJavaクライアント・アプリケーションとして動作している場合、Oracle Joltは次の機能をサポートしています。
Oracle Joltでは、自動的にJavaメッセージをネイティブOracle Tuxedoデータ型およびバッファに変換し、Oracle Tuxedoデータ型およびバッファをJavaメッセージに変換し直します。
Oracle Joltでは、Joltセッション(接続)プールの作成および使用をサポートし、効率性、アベイラビリティおよび信頼性を高めています。
Oracle Joltでは、セッション・プールで障害が発生した場合に、Joltクライアントを停止せずにJoltセッション・プールをリセットするオプションをサポートしています。たとえば、TuxedoサーバーがクラッシュしたりJoltサーバー・ハンドラが停止した場合、Joltクライアントを停止せずにJoltセッション・プールをリセットできます。
Oracle Jolt 11gリリース1 (11.1.1.3.0)サーバー(JSL、JSH、JREPSVR)およびJoltインターネット・リレー(JRLY、JRAD)コンポーネントを使用するには、使用環境に2MBのディスク領域が必要です。Oracle Jolt 11gリリース1 (11.1.1.3.0)のシステム要件およびサポートするプラットフォームは、「Oracle Tuxedo 11gリリース1 (11.1.1.3.0)プラットフォーム・データ・シート」を参照してください。
「Oracle Joltクライアント・パーソナリティ」で説明されているとおり、Oracle Jolt 11gリリース1 (11.1.1.3.0)は次の4つのクライアント・タイプをサポートしています。
図C-1に、Jolt 11gリリース1 (11.1.1.3.0)アプレットおよびアプリケーションのクライアント・タイプの要件を示します。
図C-2は、Webサーバー内で動作するHTMLベースのJoltクライアント・クラスによって実装される残りの3つのJoltクライアント・タイプの要件を示します。表には、Oracle Jolt 11gリリース1 (11.1.1.3.0)の動作が保証されているWebサーバーが記されています。
サンプルのインストール手順は、「Oracle WebLogic ServerへのOracle Jolt 11gリリース1 (11.1.1.3.0)のインストール」を参照してください。
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注意: | JSE Connectivity for Oracle Tuxedoは、Oracle Tuxedoアプリケーション環境でのサーブレットの処理を単純化するJolt Webアプリケーション・サーバーの名前です。JSEはJava Servlet Engineの略称です。 |
Oracle Joltには、次のクライアントの要件があります。
Javaには様々な実装がありますが、機能は大きく異なりません。Oracle Jolt 11gリリース1 (11.1.1.3.0)はJDK 1.5.0_0_9に基づいています。
Oracle Joltのクラス・ライブラリは、図C-3に示すブラウザおよびJDKのバージョンと互換性があります。
Oracle Jolt 11gリリース1 (11.1.1.3.0)クライアントは、Oracle Jolt 1.2、1.2.1、8.0、8.1、9.0、9.1または10.0サーバー実装と相互運用が可能で、クライアントはOracle Jolt 11gリリース1 (11.1.1.3.0)の新機能を使用できます。
Oracle Jolt 1.2、1.2.1、8.0、8.1、9.0、9.1、10.0クライアントはOracle Jolt 11gリリース1 (11.1.1.3.0)サーバー実装と相互運用が可能ですが、Oracle Joltサーバー側コンポーネントがOracle Jolt 11gリリース1 (11.1.1.3.0)にアップグレードされて新機能が追加されても、Oracle JoltクライアントはOracle Jolt 1.2、1.2.1、8.0、8.1、9.0、9.1、または10.0の機能しか使用できません。
Windowsシステムでは、Oracle Jolt 11gリリース1 (11.1.1.3.0)によって自動的に2つのMicrosoftのダイナミック・リンク・ライブラリ(DLL)、MSVCRT.DLL
およびMSVCRP71.DLL
がインストールされます。
Oracle Joltの詳細は、次のドキュメントを参照してください。