アーカイブの概要

Sun Storage Archive Manager (SAM-QFS) ソフトウェアは、オンラインディスクキャッシュからアーカイブメディアにファイルをコピーすることで、ファイルをアーカイブします。アーカイブメディアとしては、別のファイルシステムにあるディスクスライスを使用したり、自動または手動でロードしたストレージデバイス内のリムーバブルテープカートリッジや光磁気カートリッジを使用できます。また、Sun SAM ソフトウェアはサイトで指定された使用率しきい値で、オンラインディスク空間を自動的に維持します。これらはアーカイブファイルのデータに関連付けられているディスク領域を解放し、必要なときにオンラインディスクにファイルを復元します。

アーカイブのための設計上の考慮事項

アーカイブ環境を計画および実装するときは、次の設計上の考慮事項に注意してください:

• アクセスおよび使用のパターンは、必要なテープのタイプと数、およびドライブのタイプとライブラリなど、必要なテープシステムに非常に大きな影響を与えます。大量の書き込みが予想される場合は、ヘリカルスキャンではなくリニアスキャンのテープを使用してください。

• 次の考慮事項は、必要なドライブおよびメディアの数に影響を与えます:

  • ファイルシステムのサイズと使用パターン: ファイルの更新頻度、平均ファイルサイズ、優先されるドライブ/メディアまたはユーザーを待機するバッチジョブ

  • アーカイブポリシー: メディアコピーの数、リリースポリシー、ディスクのオーバーサブスクリプションのレベル

  • メディアの特性: サイズ、ドライブのセットアップ時間

    最高のパフォーマンスを得るためには、ファイバチャネルテープドライブとディスクデバイスに、別々のホストバスアダプタ (HBA) からアクセスします。

SAM-QFS ソフトウェアがローカルにインストールされたサーバーを管理し、アーカイブするサーバーにスタンドアロンファイルシステムを構成する場合は、現在のサーバーに少なくとも 1 つのテープライブラリを関連付けてください。このライブラリには、1 種類のメディアタイプのメディアを格納する必要があります。

次の表は、環境を拡張し過ぎないための、テープライブラリごとのアーカイブ構成のガイドラインを示しています。

表 2-1 アーカイブ構成のガイドライン

ファイルシステム内のファイルの最大数は顧客の要件によって決まります。平均的なシステムでは、1 億のファイルを 24 時間未満で復元できるべきです。ファイルを 24 時間で復元する必要がない場合は、ファイルシステム内のファイルを増やすことができます。

次の考慮事項は、アーカイブシステムが過負荷になることを防ぐために役立ちます:

• テープドライブは一度に大量のデータを書き込むよう設計されているため、うまく設計されたアーカイブシステムでは、テープドライブのロード回数が減少し、一度に書き込まれるデータの量が増加します。

• 1 つのメディアタイプに対するテープドライブが 1 つだけの場合は、startage、startsize、startcount の各アーカイブパラメータを次のように設定します:

  • startage – 8 時間以上

  • startsize – 1 本のテープ容量の 50% 以上、かつ 1T バイト以下

  • startcount – 千単位の値を使用し、500,000 を超えないこと

    リサイクラを、1 日に 4 回以上実行してはいけません。

アーカイブを使用しないファイルシステムのための設計上の考慮事項

Sun QFS ソフトウェアには、データファイルやディレクトリを作成および管理するために一定の容量のディスクキャッシュ (ファイルシステムデバイス) が必要です。ma タイプのファイルシステムには、ファイルデータ用とメタデータ用に 1 つずつ、合わせて 2 つ以上のディスクデバイスまたはパーティションが必要です。ms タイプのファイルシステムは、1 つのパーティションだけを必要とし、そこにデータとメタデータの両方が保存されます。複数のディスク装置またはパーティションによって、入出力のパフォーマンスが向上します。ファイルシステムタイプの詳細については、『Sun QFS File System 5.3 構成および管理ガイド』の「Sun QFS ファイルシステムの設計の基本」を参照してください。

ディスク装置またはパーティションに、特別なフォーマットは必要ありません。複数のインタフェース (HBA) およびディスク制御デバイスに対して複数のデバイスを構成すると、パフォーマンスが向上する場合があります。

ディスクは、ファイバチャネルまたは SCSI コントローラを使用してサーバーに接続されている必要があります。ディスクに個々のディスクパーティションを指定するか、あるいはディスク全体をディスクキャッシュとして使用できます。このソフトウェアは、Solaris ボリュームマネージャーなどのボリューム管理ソフトウェアの制御下にあるものも含め、ディスクアレイをサポートしています。

最初のファイルシステムを作成する前に、ファイルシステムの可能なレイアウトをよく把握しておいてください。ボリューム管理、ファイルシステムのレイアウト、およびファイルシステム設計のその他の面については、『Sun QFS File System 5.3 構成および管理ガイド』の第 1 章「ファイルシステムの概要」を参照してください。