B.1 ジョブ・フレームワークの使用

B.1.1 ジョブの概要
B.1.2 ジョブとリソースのロック
B.1.3 ロックと複数のユーザー
B.1.4 ジョブの失敗とロールバック
B.1.5 ジョブとイベント
B.1.6 ジョブの状態
B.1.7 ジョブの開始
B.1.8 ジョブの中断
B.1.9 ジョブの失敗原因の特定
B.1.10 イベント/エラーの確認

Oracle VM Managerは、物理および仮想オブジェクトの構成の柔軟な方法をサポートするジョブ操作フレームワークを使用します。Oracle VM Managerは、ユーザーが個別のジョブを同時に実行する間、仮想環境の正確で一貫性がある表示を維持します。それぞれの構成変更(単一のユーザーによって実行されるトランザクション)はジョブとみなされます。

次の項では、ジョブ、各ジョブの開始および終了時のリソースのロックおよび解除方法、およびジョブの管理方法について説明します。

B.1.1 ジョブの概要

ジョブとは、1つ以上の物理または仮想オブジェクトに影響する構成の変更のことです。ジョブに含めることができるユーザー操作の例は、次のとおりです。

  • サーバー・プールの追加または削除

  • 仮想マシンへのVNICの追加

単一のジョブには1つ以上の個々の操作を含めることができます。ジョブの処理中、ジョブに含まれているリソースの左側に黄色のロックが表示されます。

B.1.2 ジョブとリソースのロック

単一のジョブには1つ以上の個々の操作を含めることができます。ジョブの処理中、ジョブに含まれているリソースの左側に黄色のロックが表示されます。

ジョブに関連するオブジェクトは、ジョブが完了または中断されるまで、他のすべてのOracle VM Managerユーザーに対してロックされます。オブジェクトの同じ権限レベルのユーザーのみがロック解除できます。これによって、一貫性のある正確な表示がすべてのユーザーに対して維持されます。

ロックされているオブジェクトの状態は、ロックが解除されるまで確認できません。Oracle VM Managerの状態は、ロックされていないオブジェクトの状態によって常に正確に反映されます。

B.1.3 ロックと複数のユーザー

様々なオブジェクトに対するジョブを実行する場合に、多くの様々なユーザーがジョブを同時に実行することがあります。たとえば、ユーザーAがFinance-Oneサーバー・プールを作成し、Oracle VM Serverを別のサーバー・プールに移動してジョブを開始するとします。同時に、ユーザーBがCommoditiesサーバー・プールのリソースを変更します。各ユーザーには、ジョブの個別のジョブ・ペインがあり、互いのオブジェクトはロックされていると表示されます。オブジェクトは、ジョブが完了するまでロックされたままになります。

ジョブを完了する前に、ロックを次の2つの方法で解除できます。

  • ロックを開始したユーザーがログアウトする。この操作はユーザーまたはOracle VM Manager管理者が実行できます。

  • Oracle VM Manager管理者が直接操作する。

ジョブが完了するときに、進行状況が「Jobs」タブに表示されます。ジョブが完了すると、すべてのロックが解除されます。

B.1.4 ジョブの失敗とロールバック

ジョブ操作は、「Job」タブに追加されるときに、Oracle VM Managerによって検証されます。操作の失敗によって次が発生します。

  • ジョブは取り消されます。

  • ジョブによって指定されたすべての操作は取り消されます。

  • Oracle VM Managerの状態は、ジョブ開始以前の状態にロールバックされます。

  • 操作のすべてのロックは解放されます。

B.1.5 ジョブとイベント

ジョブ操作が失敗すると、1つ以上のイベントが生成され、Oracle VM Managerに表示されます。イベントは、ナビゲーション・ツリーで黄色または赤色のアイコンのフラグが付けられます。エラーをクリアするには、イベントを確認する必要があります。イベントの確認の詳細は、B.1.10「イベント/エラーの確認」を参照してください。

失敗したイベントの情報を取得するには、JobsタブまたはJob Summaryペインで「Failed「Failed Job」アイコン」をクリックします。

B.1.6 ジョブの状態

Jobタブにリストされたジョブは表B.1「ジョブの状態」で定義されているのいずれかの状態になることがあります。

表B.1 ジョブの状態

ジョブの状態

定義

「Completed」

ジョブは完了しました。

「In Progress」

ジョブは進行中です。

「Aborted」

ジョブは中断されました。Oracle VM Managerは以前の状態にロールバックされ、すべてのロックが解除されました。

「Failed」

ジョブは失敗しました。Oracle VM Managerは以前の状態にロールバックされ、すべてのロックが解除されました。


B.1.7 ジョブの開始

Oracle VM Managerで変更を行うと、ジョブが開始します。実行した各変更は、別々の操作として「Job Summary」ペインに表示されます。仮想マシンの名前の変更など、ジョブ操作は、比較的小さなアクションである場合があります。新しいネットワークまたはストレージ・デバイスの作成など、操作の有効範囲がより広い場合もあります。これらのアクションのどれを実行しても、Oracle VM Managerの構成は変更されます。新しいジョブが開始されると、ジョブの進捗状況を示すために、ジョブについての情報が管理ペインの下部にある「Job Summary」ペインに表示されます。

B.1.8 ジョブの中断

ジョブが実行中であるか、完了に失敗した場合、取り消すためにジョブを中断できます。たとえば、仮想マシンまたはOracle VM Serverが応答しない状態になったり、開始リクエストまたは停止リクエストへの応答に失敗する場合があります。適切なアクションはジョブを中断することです。管理者は、すべてのユーザーのジョブを中断できます。

ジョブを中断する場合、キューに入っているすべての操作はジョブ開始以前の状態にロールバックされます。オブジェクトの名前の変更など、一部のジョブ操作はすぐに完了します。仮想マシンで使用されるメモリーの調節など、他の操作は、より長くかかります。

ジョブを中断するには2つの方法があります。

  • 「Jobs」タブの使用

  • 「Job Summary」ペインの使用

ジョブを中断するための両方のプロシージャを次に示します。

「Jobs」タブを使用してジョブを中断するには、次の手順を実行します。

  1. 「Jobs」タブを選択します。

  2. 「Jobs」表でジョブを選択します。

  3. ツールバーで「Abort Job」「Abort Job」アイコンをクリックします。

「Job Summary」ペインを使用してジョブを中断するには、次の手順を実行します。

  1. 「Job Summary」ペインでジョブを選択します。

  2. Abort列で「Abort」をクリックします。

B.1.9 ジョブの失敗原因の特定

ジョブが成功する場合、それに関連付けられているすべての操作はOracle VM Managerで実行されています。「Job Succeeded」メッセージがJob Progress領域に表示されます。

ジョブが失敗する場合、Oracle VM Managerの状態はジョブ開始以前の状態に戻ります。「Details」をクリックして、ジョブのすべての操作の詳細を確認してください。

仮想マシンが開始または停止するたびにジョブがハングまたは進行中のままになる場合があります。仮想マシンは様々な理由で応答しない状態になり、結果として開始または停止リクエストへの応答に失敗することがあります。この場合の適切なアクションはジョブを中断することです。たとえば、無効なネットワークURLを指定したPXEタイプの起動を使用してPVM仮想マシンを起動すると、仮想マシンのステータスが進行中のままになります。これを解決するには、仮想マシンの起動ジョブを強制終了します。仮想マシンを編集し、正しいURLを指定します。

B.1.10 イベント/エラーの確認

オブジェクトで関連付けられているエラー・イベントが発生した場合、そのイベントを確認してエラーをクリアし、オブジェクトを通常操作に戻す必要があります。たとえば、Oracle VM Serverまたは仮想マシンの状態が「Stopped (Error)」と認識されている場合にこの処理が発生します。エラーになっているオブジェクトには、ナビゲーション・ツリーで赤色のアイコンのフラグが付けられます。Oracle VM Server、仮想マシン、リポジトリおよび記憶域オブジェクトでは、それぞれに関連付けられたエラー・イベントが発生する可能性があります。エラーのクリア方法およびオブジェクトを正常操作に戻す方法を次に示します。

Oracle VM Serverのエラー・イベントを確認するには、次の手順を実行します。

  1. 「Servers and VMs」タブをクリックします。

  2. ナビゲーション・ツリーでOracle VM Serverを選択します。

  3. 管理ペインの「Perspective」ドロップダウン・リストから「Events」を選択します。

  4. エラー・イベントを選択して「Acknowledge」「Acknowledge」アイコンをクリックするか、「Acknowledge All」「Acknowledge All」アイコンをクリックして、すべてのエラーをクリアします。

仮想マシンのエラー・イベントを確認するには、次の手順を実行します。

  1. 「Servers and VMs」タブをクリックします。

  2. ナビゲーション・ツリーで、サーバー・プールまたは仮想マシンが存在するOracle VM Serverを選択します。

  3. 管理ペインのPerspectiveドロップダウン・リストから「Virtual Machines」を選択します。

  4. 管理ペインの表で仮想マシンを選択します。「Display Selected VM Events...」「Display Selected VM Events...」アイコンをクリックします。

  5. 「Events」ダイアログ・ボックスが表示されます。エラー・イベントを選択して「Acknowledge」「Acknowledge」アイコンをクリックするか、「Acknowledge All」「Acknowledge All」アイコンをクリックして、すべてのエラーをクリアします。「Close」をクリックします。

記憶域リポジトリのエラー・イベントを確認するには、次の手順を実行します。

  1. 「Repositories」タブをクリックします。

  2. ナビゲーション・ツリーでリポジトリを選択します。

  3. 管理ペインの「Perspective」ドロップダウン・リストから「Events」を選択します。

  4. エラー・イベントを選択して「Acknowledge」「Acknowledge」アイコンをクリックするか、「Acknowledge All」「Acknowledge All」アイコンをクリックして、すべてのエラーをクリアします。

記憶域のエラー・イベントを確認するには、次の手順を実行します。

  1. 「Storage」タブをクリックします。

  2. ナビゲーション・ツリーで、「File Servers」「SAN Servers」または記憶域サーバーを選択します。

  3. 管理ペインの「Perspective」ドロップダウン・リストから「Events」を選択します。

  4. エラー・イベントを選択して「Acknowledge」「Acknowledge」アイコンをクリックするか、「Acknowledge All」「Acknowledge All」アイコンをクリックして、すべてのエラーをクリアします。