5.2 ネットワークの使用

Oracle VMのネットワークでは1つ以上のネットワーク機能を実行できます。Oracle VMのネットワーク機能は次のとおりです。

Oracle VM環境の構成の最初の手順は、Oracle VM Serverを検出することです。Oracle VM ServerおよびOracle VM Managerは異なるサブネット上に存在できますが、この手順では、Oracle VM ManagerホストおよびすべてのOracle VM Serverが同じネットワーク上で通信できることが前提となります。最初のOracle VM Serverが検出されると、管理ネットワークが自動的に作成され、Oracle VM Serverが接続されているサブネットからその名前が付けられます。Oracle VM Managerによって検出された各追加のOracle VM Serverによって、既存の管理ネットワークにエントリが追加されるか、または新しい管理ネットワークが作成されます(Oracle VM Serverが以前に検出されたことのないサブネットにサーバーが接続されている場合)。Oracle VM環境の各サーバーは、Oracle VM Managerのデータベースの単一の管理ネットワーク・オブジェクトに属し、管理用に指定されている1つのインタフェースのみを使用します。

警告

Oracle VM Managerと検出および所有されたOracle VM Serverは、相互にアクセス可能であれば異なるサブネット上で使用できますが、ネットワーク・アドレス変換(NAT)はこの構成ではサポートされません。NATを使用すると、Oracle VM Serverの実際の管理IPと検出時に提供されたIPで相違が発生します。

各Oracle VM Server上のネットワーク・ポートは、Oracle VM Serverのインストール時に管理インタフェースとして指定され、ボンディングされたインタフェースとして構成されます。ポートはこのボンドに追加または削除できます。作成された管理ネットワークは、サーバーに管理ネットワーク上のポートがない場合にのみ再度削除できます。

管理ネットワークの設定が完了したら、他のタイプのネットワークの作成を計画します。特定のネットワークに対して選択されたポートは、追加のネットワークの作成時に再度選択することはできません。ネットワーク・ボンディングとVLANグループを組み合せて使用すると、既存のポートを使用して環境に必要なすべてのネットワークを作成できます。ネットワーク・ボンディングの詳細は5.3項「ネットワーク環境の構築」を、VLANグループの詳細は5.6項「VLANグループおよびVLANセグメント」を参照してください。

図5.1 Oracle VM ネットワークの例

この図は、Oracle VM環境におけるネットワーク・アーキテクチャの例を示します。

図5.1「Oracle VMネットワークの例」は、分割ネットワーク機能を持つOracle VM環境の例を示しています。各Oracle VM Serverは、所属先のサーバー・プールにかかわらず、管理ネットワークに接続されています。

各サーバー・プールでは、ハートビート機能およびライブ・マイグレーションに個別のネットワークが使用されます。この種類のネットワーク・トラフィックは個々のサーバー・プールのレベルで発生するため、ネットワークにゲートウェイは必要ありません。ハートビートおよびライブ・マイグレーション機能に複数のネットワークを作成した場合でも、サーバーは機能ごとに1つのネットワークにのみ属することができます。

通常、仮想マシン(VM)のトラフィックは専用ネットワークを経由しますが、他のネットワーク機能と組み合せることができます。この例では、専用のVMネットワークにインターネット(または企業のWide Area Network)へのルートがあります。ネットワーク・インフラストラクチャで許可されるのと同じ数の仮想マシン・ネットワークを作成できます。

最初の2つのサーバー・プールは、イーサネット・ベースの記憶域プロバイダを使用して記憶域ネットワークに接続されます。イーサネット・ベースの記憶域は、NFSファイル・サーバーまたはiSCSI LUNのいずれかとして提供されます。サーバー・プール3にはファイバ・チャネル・ストレージが割り当てられており、接続されているすべてのハードウェア・コンポーネントにファイバ・チャネル・スイッチおよびホスト・バス・アダプタ(HBA)が必要です。仮想マシンのネットワークと同様、記憶域計画を実装するのに必要な数の記憶域ネットワークを作成します。