4.2 記憶域型

4.2.1 ローカル記憶域
4.2.2 共有ネットワーク接続ストレージ(NFS)
4.2.3 iSCSIストレージ接続ネットワーク
4.2.4 ファイバ・チャネル・ストレージ接続ネットワーク

Oracle VMは、様々な記憶域型を使用できるように設計されているため、構成をニーズに合わせることができます。ハードウェア設定が限られるか、フルラックのサーバーがあるかに関係なく、またはテストと一時的な内部使用のためにインストールを実行するか、すべての領域で高可用性が必要な本番環境を設計するかに関係なく、Oracle VMでは適切な記憶域ソリューションのサポートが提供されます。

Oracle VMでは、汎用のStorage Connectプラグインとベンダー固有のStorage Connectプラグインの両方を利用し、次の型の記憶域を使用できます。

4.2.1 ローカル記憶域

ローカル記憶域は、Oracle VM Serverにローカルにインストールされているハード・ディスクで構成されます。デフォルトのインストールでは、Oracle VM Serverによって最初のディスク(/dev/sda)のみが使用され、他のディスクは格納用に確保されます。

パーティションおよびデータが存在しないかぎり、デバイスはRAWディスクとして検出されます。ローカル・ディスクを使用して、仮想マシンのディスクとして論理記憶域ボリュームをプロビジョニングするのか、記憶域リポジトリをインストールするのかを選択します。ローカル・ディスクに記憶域リポジトリを配置した場合は、OCFS2ファイル・システムがインストールされます。

注意

ローカル記憶域は、サーバー・プールのファイル・システムに使用できません。

ローカル記憶域は、ディスク・サブシステム用の特別なハードウェアが必要ないため、設定が非常に簡単です。この設定の仮想化のオーバーヘッドは限られており、ディスク・アクセスは1つの物理サーバー内で内部的であるため、ローカル記憶域ではかなり高いパフォーマンスが得られます。

ただし、複数のOracle VM Serverでの構成を考えると、デメリットはすぐに明らかになります。ローカル記憶域は、当然、ローカルのままであり、異なるサーバー間で共有できません。したがって、複数のサーバーのプールを設定し、クラスタリングの利点を使用する場合でも、ローカル記憶域を使用している仮想マシンは、高可用性のメリットを得ることができず、あるサーバーから別のサーバーに移行できません。

注意

Oracle VMでは、VM間でローカルの物理ディスクを共有することは可能ですが、お薦めしません。

4.2.2 共有ネットワーク接続ストレージ(NFS)

ネットワーク接続ストレージ(通常、NFS)は、一般的に使用されているファイルベースのストレージ・システムであり、Oracle VM記憶域リポジトリのインストールに非常に適しています。記憶域リポジトリは、テンプレート、仮想ディスク・イメージ、DVD ISOファイルおよび仮想マシン構成ファイルなど、リソースの様々なカテゴリを含み、これらはすべて、リモートにある、接続されたファイル・システム上のディレクトリ構造にファイルとして格納されます。

Oracle VMでは、サーバーIPまたはホスト名を介してNFS記憶域を検出し、通常はサーバー・プール内のすべてのサーバーに記憶域を提示してそれらが同じリソースを共有できるようにします。これは、クラスタリングとともに、環境の高可用性を実現するのに役立ち、ロード・バランシングの目的で、またはハードウェア障害によりオフラインにならないように重要な仮想マシンを保護する目的で、仮想マシンをホスト・サーバー間で簡単に移行できます。

NFS記憶域は、Oracle VM Serverのファイル・システムにマウントされるNFSサーバー上の共有の形式でOracle VM Serverに公開されます。NFS共有のマウントは、NFSが公開されているネットワーク・セグメント内の任意のサーバーで実行できるため、同じプールのサーバー間だけでなく、異なるサーバー・プールでもNFS記憶域を共有できます。

パフォーマンスに関しては、NFSは、論理ボリュームまたはRAWディスクと比較して、仮想ディスクのI/Oで低速になります。これは、主にファイルベースの特性によります。ディスク・パフォーマンスを向上させるには、Oracle VMでiSCSIまたはファイバ・チャネルSANの形式でサポートされる、ブロックベースの記憶域の使用を検討する必要があります。

4.2.3 iSCSIストレージ接続ネットワーク

インターネットSCSI(iSCSI)を使用すると、記憶域エンティティをクライアント・マシンに接続でき、ディスクはローカル接続されたディスクであるかのように動作します。iSCSIは、イニシエータと呼ばれるもの(クライアント)とターゲット(記憶域プロバイダ)間の既存のIPネットワークを介してSCSIコマンドを転送することによって、この接続を可能にします。

すべてのOracle VM Serverは、iSCSI SANとのリンクを確立する場合に、構成済のネットワーク・インタフェースをiSCSIイニシエータとして使用できます。次のことは、ユーザーが行います。

  • ストレージ・サーバーによって提供されるディスク・ボリューム(iSCSI LUN)の構成

  • Oracle VM ManagerによるiSCSIストレージの検出

  • Oracle VM Managerによる、iSCSIイニシエータのグループであるアクセス・グループの設定(どのLUNがどのOracle VM Serverで使用可能かを決定することを目的とする)

iSCSI SANは、NFSなどのファイルベースの記憶域よりもパフォーマンスが高く、多くの場合、直接のローカル・ディスク・アクセスと同等です。iSCSIストレージは、リモート・サーバーから接続されるため、記憶域の高可用性と仮想マシンのライブ・マイグレーションの可能性が重要な要素であるクラスタ化されたサーバー・プール構成に最適です。

iSCSIストレージのプロビジョニングは、追加コストなしでオープン・ソースのターゲット作成ソフトウェアを使用して、またはハイエンドの専用ハードウェアを使用して(あるいはその中間の任意のものを使用して)実行できます。iSCSIの汎用のStorage Connectプラグインにより、Oracle VMは事実上、iSCSIのすべての記憶域プロバイダを使用できます。また、特定のタイプの専用のiSCSIストレージ・ハードウェアの場合はベンダー固有のStorage Connectプラグインが存在し、Oracle VM Managerは追加の対話型機能にアクセスできます(それ以外の場合、この機能は記憶域プロバイダの管理ソフトウェアを介してのみ使用可能)。この例には、LUNの作成および削除、既存のLUNの拡張などがあります。Storage Connectプラグインが使用可能かどうか、記憶域ハードウェアのサプライヤに確認してください。インストールおよび使用手順については、サプライヤのプラグイン・ドキュメントを参照してください。

4.2.4 ファイバ・チャネル・ストレージ接続ネットワーク

ファイバ・チャネルSANは、機能的にiSCSI SANとほとんど異なりません。実際、ファイバ・チャネルの方が古いテクノロジであり、ファイバ・チャネルではかわりに専用ハードウェアが使用されます(SANハードウェア上では特殊なコントローラ、クライアント・マシン上ではホスト・バス・アダプタ(HBA)、およびコンポーネント間の相互接続用には特殊なファイバ・チャネル・ケーブルとスイッチ)。

iSCSIと同様に、ファイバ・チャネル・プロトコル(FCP)を使用して、イニシエータとターゲット間でSCSIコマンドが転送され、直接ディスク・アクセスとほぼ同じ接続が確立されます。前述のiSCSI SANの同じ概念が、ファイバ・チャネルSANに同様に適用されます。この場合も、汎用およびベンダー固有のStorage Connectプラグインが存在します。記憶域ハードウェアのサプライヤによってStorage Connectプラグインの適切なドキュメントが提供されます。