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Oracle Solaris 11.1 でのネームサービスおよびディレクトリサービスの作業     Oracle Solaris 11.1 Information Library (日本語)
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ドキュメントの情報

はじめに

パート I ネームサービスとディレクトリサービスについて

1.  ネームサービスとディレクトリサービス (概要)

2.  ネームサービススイッチ (概要)

3.  DNS の管理 (タスク)

4.  Oracle Solaris Active Directory クライアントの設定 (タスク)

パート II NIS の設定と管理

5.  ネットワーク情報サービス (概要)

6.  NIS の設定と構成 (タスク)

NIS の構成 -- タスクマップ

NIS の構成を始める前に

NIS とサービス管理機能

NIS ドメインの設計

NIS サーバーとクライアントを特定する

マスターサーバーの準備

ソースファイルのディレクトリ

passwd ファイルと名前空間のセキュリティー

変換用のソースファイルを準備する方法

/var/yp/Makefile の準備

NIS マスターサーバーパッケージをインストールする方法

マスターサーバーを設定する方法

1 つのマスターサーバー上で複数の NIS ドメインをサポートする方法

NIS サーバー上の NIS サービスの起動と停止

NIS サービスの自動起動

NIS サーバーサービスを手動で有効にする方法

NIS サーバーサービスを無効にする方法

NIS サーバーサービスをリフレッシュする方法

NIS スレーブサーバーの設定

スレーブサーバーを準備する

スレーブサーバーを設定する方法

スレーブサーバーで NIS を開始する方法

新しいスレーブサーバーを追加する方法

NIS クライアントの管理

ブロードキャストモードで NIS クライアントを構成する方法

特定の NIS サーバーを使用して NIS クライアントを構成する方法

NIS クライアントサービスの無効化

7.  NIS の管理 (タスク)

8.  NIS のトラブルシューティング

パート III LDAP ネームサービス

9.  LDAP ネームサービスの紹介 (概要)

10.  LDAP ネームサービスの計画要件 (タスク)

11.  LDAP クライアントと Oracle Directory Server Enterprise Edition の設定 (タスク)

12.  LDAP クライアントの設定 (タスク)

13.  LDAP のトラブルシューティング (リファレンス)

14.  LDAP ネームサービス (リファレンス)

15.  NIS から LDAP への移行 (タスク)

用語集

索引

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マスターサーバーの準備

以降のセクションでは、マスターサーバーのソースファイルと passwd ファイルを準備する方法を説明します。

ソースファイルのディレクトリ

ソースファイルは通常、マスターサーバー上の /etc ディレクトリ内にあります。ただし、マップの内容がマスターサーバー上のローカルファイルの内容と同じになるため、ソースファイルを /etc に置いたままにしておくことはお勧めできません。すべてのユーザーがマスターサーバーのマップにアクセスでき、root パスワードが passwd マップを通してすべての NIS クライアントに渡されるため、これは passwd および shadow ファイルの特殊な問題です。詳細は、passwd ファイルと名前空間のセキュリティー」を参照してください。

ただし、ソースファイルをほかのディレクトリに入れた場合は、/var/yp 内の MakefileDIR=/etc 行を DIR=/your-choice に変更する必要があります。your-choice はソースファイルを格納するためのディレクトリの名前です。これによって、サーバー上のローカルファイルをクライアント上のファイルのように扱うことができます。(最初に、元の Makefile のコピーを保存することをお勧めします。)

さらに、audit_userauth_attrexec_attr、および prof_attr NIS マップを、デフォルト以外のディレクトリから作成するようにしてください。RBACDIR =/etc/security RBACDIR=/your-choice に変更することによって /var/yp/Makefile を修正します。

passwd ファイルと名前空間のセキュリティー

セキュリティー上の理由から未承認の root アクセスを防ぐために、NIS のパスワードマップの構築に使用されるファイルには root のエントリを含めないでください。このため、パスワードマップはマスターサーバーの /etc ディレクトリに置かれたファイルから構築しないでください。パスワードマップを構築するために使用されるパスワードファイルは、そこから root エントリを削除し、未承認のアクセスから保護できるディレクトリ内に配置するようにしてください。

たとえば、マスターサーバーのパスワード入力ファイルは、ファイル自体が別のファイルへのリンクではなく、ファイルの場所が Makefile に指定されている限り、/var/yp/ などのディレクトリに格納されているか、選択したディレクトリに格納されている必要があります。Makefile で指定された構成に従って、正しいディレクトリオプションが自動的に設定されます。


注意

注意 - PWDDIR で指定されたディレクトリ内の passwd ファイルに root のエントリが含まれていないことを確認してください。


ソースファイルが /etc 以外のディレクトリ内に存在する場合は、/var/yp/Makefile 内の PWDIR パスワードマクロを、passwd および shadow ファイルが存在するディレクトリを参照するように変更する必要があります。PWDIR=/etc の行を PWDIR=/your-choice に変更します。ここで、your-choice は、passwd マップのソースファイルを格納するために使用するディレクトリの名前です。

変換用のソースファイルを準備する方法

この手順では、NIS マップへの変換のためのソースファイルを準備する方法について説明します。

  1. 管理者になります。

    詳細は、『Oracle Solaris 11.1 の管理: セキュリティーサービス』の「割り当てられている管理権限を使用する方法」を参照してください。

  2. マスターサーバー上のソースファイルをチェックして、そこにシステムが反映されていることを確認します。

    次のファイルを確認します。

    • audit_user

    • auth_attr

    • auto.home または auto_home

    • auto.master または auto_master

    • bootparams

    • ethers

    • exec_attr

    • group

    • hosts

    • ipnodes

    • netgroup

    • netmasks

    • networks

    • passwd

    • protocols

    • rpc

    • service

    • shadow

    • user_attr

  3. これらのすべてのソースファイル (passwdshadow を除く) を、選択したソースディレクトリにコピーします。

    ソースディレクトリは、DIR マクロによって /var/yp/Makefile で定義されています。

  4. passwd および shadow ファイルを、選択したパスワードのソースディレクトリにコピーします。

    パスワードのソースディレクトリは、PWDIR マクロによって Makefile で定義されています。

  5. audit_userauth_attrexec_attr、および prof_attr ファイルを、選択した RBAC のソースディレクトリにコピーします。

    RBAC のソースディレクトリは、RBACDIR マクロによって /var/yp/Makefile で定義されています。必要に応じて、auth_attr ファイルをコピーする前に、/etc/security/auth_attr.d ディレクトリ内のファイルの内容をそのファイルのコピーにマージします。同様に、必要に応じて、exec_attr.d および prof_attr.d ディレクトリ内のファイルを exec_attrprof_attr に結合します。


    注意

    注意 - これらのファイルは、システムがアップグレードされるときは常に再マージする必要があるため、これらのローカルファイルを /etc/security/*.d ディレクトリ内のリリースファイルとは別に保管してください。


  6. /etc/mail/aliases ファイルを確認します。

    ほかのソースファイルとは異なり、/etc/mail/aliases ファイルは別のディレクトリに移動できません。このファイルは /etc/mail ディレクトリに格納されていなければなりません。詳細は、aliases(4) のマニュアルページを参照してください。


    注 - /var/yp/Makefile 内の ALIASES = /etc/mail/aliases エントリが別の場所を指すようにすることによって、NIS 固有のメールエイリアスファイルを追加できます。そのあとに make コマンドを実行すると、ALIASES エントリによって mail.aliases マップが作成されます。/etc/nsswitch.conf ファイルで files に加えて nis が正しく指定されている場合、sendmail サービスは、/etc/mail/aliases ファイルに加えてこのマップを使用します。/var/yp/Makefile の変更および使用」を参照してください。


  7. ソースファイルからすべてのコメントと、その他の余計な行や情報を取り除きます。

    これらの操作は、sedawk のスクリプトか、またはテキストエディタを使用して実行できます。/var/yp/Makefile は一部のファイルクリーニングを自動的に実行しますが、make コマンドを実行する前に、これらのファイルを手動で調べてクリーンアップすることをお勧めします。

  8. すべてのソースファイルのデータが正しい形式になっていることを確認します。

    ソースファイルのデータは、その特定のファイルに適した形式になっている必要があります。該当するマニュアルページを参照して、各ファイルが正しい形式になっていることを確認します。

/var/yp/Makefile の準備

ソースファイルをチェックしてソースファイルのディレクトリにコピーしたら、次に、これらのソースファイルを NIS サービスが使用する ndbm 形式のマップに変換する必要があります。「マスターサーバーを設定する方法」で説明されているように、これは、マスターサーバー上で呼び出されると ypinit によって自動的に実行されます。

ypinit スクリプトは、/var/yp/Makefile を使用する make プログラムを呼び出します。このファイルのデフォルトのコピーが /var/yp ディレクトリに用意されており、このコピーには、ソースファイルを目的の ndbm 形式のマップに変換するために必要なコマンドが含まれています。

デフォルトの Makefile はそのまま使用することも、変更することもできます。デフォルトの Makefile を変更する場合は、将来使用する場合の必要に備えて、必ず最初に元のデフォルトの Makefile をコピーして保管するようにしてください。次に説明する Makefile への修正のうち、必要に応じて 1 つまたは複数を実行します。

Makefile の機能は、all の下にリストされている各データベースの適切な NIS マップを作成することです。データは makedbm を通過したあと、mapname.dirmapname.pag の 2 つのファイル内に収集されます。このどちらのファイルも、マスターサーバー上の /var/yp/domainname ディレクトリ内にあります。

Makefile は、必要に応じて、/PWDIR/passwd/PWDIR/shadow、および /PWDIR/security/passwd.adjunct ファイルから passwd マップを構築します。

NIS マスターサーバーパッケージをインストールする方法

通常、NIS マスターサーバーパッケージは、Oracle Solaris リリースの必要に応じてインストールされます。システムをインストールしたときにこのパッケージが含まれていなかった場合は、次の手順を使用してこのパッケージをインストールします。

  1. 管理者になります。

    詳細は、『Oracle Solaris 11.1 の管理: セキュリティーサービス』の「割り当てられている管理権限を使用する方法」を参照してください。

  2. NIS マスターサーバーパッケージをインストールします。
    # pkg install pkg:/service/network/nis

マスターサーバーを設定する方法

ypinit スクリプトは、マスターサーバー、スレーブサーバー、およびクライアントを、NIS を使用するように設定します。また、最初に make コマンドを実行して、マスターサーバー上にマップも作成します。

ypinit コマンドを使用して、マスターサーバー上に NIS マップの新しいセットを構築するには、次の手順を完了します。

  1. NIS マスターサーバー上の管理者になります。

    詳細は、『Oracle Solaris 11.1 の管理: セキュリティーサービス』の「割り当てられている管理権限を使用する方法」を参照してください。

  2. /etc/inet/hosts ファイルを編集します。

    各 NIS サーバーのホスト名と IP アドレスを追加します。IPaddress FQDN-hostname aliases の形式を使用します。

    例:

    129.0.0.1    master.example.com master
    129.0.0.2    slave1.example.com slave1
    129.0.0.3    slave2.example.com slave2
  3. 新しいマップをマスターサーバーに作成します。
    # /usr/sbin/ypinit -m
  4. NIS サーバーの名前を入力します。

    ypinit から、NIS スレーブサーバーになるほかのマシンのリストを入力するよう求められたら、作業しているサーバーの名前を、/etc/inet/hosts ファイルで指定した NIS スレーブサーバーの名前とともに入力します。

  5. NIS ドメイン名が設定されていることを確認します。
    # domainname
    example.com
  6. y を入力して、致命的でないエラーが発生した場合にプロセスを停止することを選択します。

    ypinit から、致命的でないエラーが最初に発生したときに手順を終了するか、または致命的でないエラーが発生しても続行するかを尋ねられたら、y を入力します。y を選択すると、ypinit は最初の問題が発生したときに終了します。その場合は、その問題を解決してから ypinit を再起動できます。ypinit を初めて実行する場合はこの手順に従うようにしてください。処理を継続する場合は、発生する問題をすべて手動で解決してから ypinit を再起動します。


    注 - マップファイルの一部が存在しないと、致命的でないエラーが発生することがあります。これは NIS の機能に影響を与えるエラーではありません。マップが自動的に作成されない場合は、必要に応じて手動で追加します。すべてのデフォルトの NIS マップの詳細については、「デフォルトの NIS マップ」を参照してください。


  7. ソースファイルを削除するかどうかを選択します。

    ypinit コマンドから、/var/yp/domain-name ディレクトリ内の既存のファイルを破棄してもよいかどうか尋ねられます。このメッセージは、NIS が以前に設定されている場合にだけ表示されます。通常、以前のインストールのファイルをクリーンアップする場合は、ソースファイルを削除することを選択します。

  8. ypinit コマンドは、サーバーのリストを作成したあと make コマンドを起動します。

    このプログラムは、/var/yp にある Makefile (デフォルトファイルまたは変更したファイルのどちらか) に含まれている手順を使用します。make コマンドは、指定されたファイルから残っているコメント行をすべて削除します。また、指定したファイルに対して makedbm を実行して適切なマップを作成し、各マップにマスターサーバー名を設定します。

    Makefile によってプッシュされているマップが、マスター上の domainname コマンドによって返されたドメイン以外のドメインに対応している場合は、次のように、ypinit シェルスクリプト内で変数 DOM の正しい ID を指定して make を起動することによって、それらのマップが正しいドメインに確実にプッシュされるようにすることができます。

    # make DOM=domain-name passwd

    このコマンドによって、マスターサーバーが属するドメインではなく目的のドメインに passwd マップが転送されます。

  9. 必要に応じて、ネームサービススイッチに変更を加えます。

    「ネームサービススイッチの管理」を参照してください。

1 つのマスターサーバー上で複数の NIS ドメインをサポートする方法

通常、NIS マスターサーバーがサポートする NIS ドメインは 1 つだけです。ただし、マスターサーバーを使用して複数のドメインをサポートする場合は、追加のドメインをサポートするようにサーバーを設定するときに、「マスターサーバーを設定する方法」で説明されている手順を少し変更する必要があります。

  1. NIS マスターサーバー上の管理者になります。

    詳細は、『Oracle Solaris 11.1 の管理: セキュリティーサービス』の「割り当てられている管理権限を使用する方法」を参照してください。

  2. NIS ドメイン名を変更します。
    # domainname sales.example.com
  3. NIS ファイルを作成します。
    # make DOM=sales.example.com