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留保金とは、契約の履行に顧客が確実に満足できるように、顧客が支払を留保する金額です。たとえば、顧客に請求する金額の10%を留保金として認める場合があります。留保金の計算方法を指定するには、最初に留保金規則を設定します。留保金規則テーブル・プログラム(P5204)を使用して、留保金規則を設定します。
留保金規則を設定した後で、米国公共事業契約の作成/編集プログラム(P52G01M)でそれらを資金調達レベル契約に割り当てます。資金調達レベル契約から、その資金調達レベル契約のすべての請求行に留保金規則が割り当てられます。契約によっては、一部の請求行の条件が異なる場合があります。この場合は、請求行レベルで留保金規則を変更できます。
ここでは、留保金規則の概要とPGCA契約の留保金規則の設定方法について説明し、PGCA契約の留保金の設定および計算の例を示します。
留保金規則テーブル・プログラム(P5204)を使用して、留保金の計算方法の規則を設定します。留保金規則を設定する場合は、最初に留保金を計算する請求行タイプを選択します。原価、手数料、報酬請求行タイプ、またはこれら3つのタイプの組合せに対して留保金の計算を選択できます。
また、留保金額を累計できるようにするかどうかを指定することもできます。留保金額を累計できるように指定すると、以前の関連する請求書金額と留保金額および現在の請求書金額を使用して留保金額が計算されます。
最後に、留保金(完了率)、留保率および完了率の決定に使用される配賦元金額を計算するパーセントを指定します。予定値、報酬金額または資金調達金額を配賦元金額として選択できます。
留保金を計算する請求行タイプを1つのみ選択した場合は、その請求行タイプの累計請求書金額が留保金規則で指定された対応する配賦元金額の完了率を超えるまで留保金が計算されます。その後、計算された留保金額がその請求行タイプに適用されます。たとえば、次のように留保金規則R01を設定するとします。
含める請求行タイプ: 原価金額。
完了率ソース: 資金調達金額。
留保率: 10。
完了率: 85。
留保金規則R01を使用して、原価の累計請求書金額が契約の原価資金調達金額の85%を超えるまで、10%の留保金が計算されます。計算された留保金は、請求書の原価請求行に適用されます。
複数の請求行タイプを選択した場合は、選択したすべての請求行タイプの累計請求書金額が留保金規則で指定された対応する配賦元金額の完了率を超えるまで、留保金が計算されます。つまり、各請求行タイプの完了率を超えると、留保金は計算されません。たとえば、別の留保金規則R02を次のように設定するとします。
含める請求行タイプ: 原価および手数料金額。
完了率ソース: 資金調達金額。
留保率: 10。
完了率: 85。
留保金規則R02を使用して、原価および手数料の累計請求書金額の合計が契約の資金調達原価および資金調達手数料金額の合計の85%を超えるまで、10%の留保金が計算されます。この例では、最初に留保金額の合計が計算されてから、その合計に対するパーセントが請求書の原価および手数料の請求行に割り当てられます。留保金を計算する現在の請求書の合計金額のうち原価および手数料金額が占めるパーセントに基づいて、留保金額が割り当てられます。
「例: PGCA契約の留保金の設定および計算」を参照してください。
フォーム名 |
フォームID | ナビゲーション |
用途 |
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留保金規則の処理 | W5204A | 「テーブル情報」(G5241)、「留保金規則テーブル」を選択します。 | 既存の留保金規則を検索および選択します。 |
留保金規則テーブルの改訂 | W5204D | 「留保金規則の処理」フォームで、「追加」をクリックします。 | PGCA契約の留保金規則を追加します。 |
契約に設定されている原価請求行に対して、対象の規則に関連付けられている留保金額を計算するように選択します。原価請求行タイプには、間接労務費、タイム・アンド・マテリアル、単価、総額、追加料金、マイルストーン、進捗、原価加算および適用済間接費が含まれます。
契約に設定されているすべての手数料請求行に対して、対象の規則に関連付けられている留保金額を計算するように選択します。
契約に設定されているすべての報酬請求行に対して、対象の規則に関連付けられている留保金額を計算する場合に選択します。
以前の関連する請求書金額と留保金額、および現在の関連する請求書金額を使用して留保金額を計算するように選択します。このチェックボックスを選択しないと、現在の関連する請求書金額のみを使用して留保金額が計算されます。
留保金計算で完了率として使用する配賦元金額を選択します。値は次のとおりです。
Schedule of Values: 留保金計算で完了率の予定値金額を使用します。
Funded Amount: 留保金計算の完了率に、契約に対して設定されている資金調達金額を使用します。
Awarded Amount: 留保金計算の完了率に、契約に対して設定されている報酬金額を使用します。
このフィールドの値は、ユーザー定義コード(UDC)テーブル52G/PCに格納されます。これらの値はハードコード化されています。
留保率を入力します。パーセンテージは整数で入力してください。たとえば、留保率が10.5%の場合は、「10.5」と入力します。
配賦元金額に対して留保金が計算される最大パーセントを入力します。
この例では、PGCA契約の留保金の設定および契約の請求書の留保金の計算方法を示します。
この例は、設定した留保金規則を示しています。
この規則に基づいて、完了率の決定時に資金調達金額が使用され、資金調達レベル契約の資金調達原価および資金調達報酬金額の合計の85%以上を請求するまで留保金は計算されません。請求書金額の85%から100%までは、請求書金額の100%が留保されます。
この例は、契約の資金調達および報酬金額を示しています。
図 11-3 完成した「Edit Funding Level」フォーム: 「Contract Amounts」タブの例
この例は、留保金規則R01が資金調達レベル契約に割り当てられていることを示しています。
図 11-4 完成した「Edit Funding Level」フォーム: 「Billing/Revenue」タブの例
この留保金規則および契約の金額に基づいて、資金調達原価限度額および資金調達報酬限度額の合計の85%以上を請求するまで留保金は計算されません。したがって、89,250.00 USD((100,000 + 5,000) × .85)を請求するまで留保金は計算されません。
この例は、契約の初回請求書に対して請求書の生成(R52121)を実行したときに計算される請求書および留保金額を示しています。
留保金が計算される金額の合計は63,800.00 USDです。留保金規則は原価および報酬金額でのみ留保金を計算するように設定されているため、手数料に500.00 USDは含まれません。
63,800.00 USDは89,250.00 USDよりも少ないため、この請求書の留保金は計算されません。この資金調達レベル契約の留保金規則に従って、資金調達レベル契約の原価および報酬金額の累計請求書合計が資金調達レベル契約の資金調達原価限度額および資金調達報酬限度額の合計の85%を超えるまで、留保金は計算されません。
この例は、2番目の請求書の請求書および留保金額を示しています。
留保金が計算される金額の合計は4,907.00 USDです。前の請求書の63,800.00 USDと組み合せて、原価および報酬の合計請求済金額は68,707.00 USDです。この金額は89,250.00 USDよりまだ少ないため、この請求書の留保金は計算されません。この請求書の報酬金額は契約の報酬限度額の100%ですが、留保金を計算するかどうかの決定には報酬金額と原価金額の合計が使用されるため、この金額に対して留保金は計算されません。
この例は、契約の3番目の請求書に対して請求書の生成(R52121)を実行したときに計算される請求書および留保金額を示しています。
3番目の請求書では、合計請求書金額が89,250.00 USDを超えるため、次の手順を使用して留保金が計算されます。
すべての前および現在の原価および報酬金額を加算することで、留保金を計算する合計金額を決定します。
66,207 + 2,500 + 31,320 + 2,500 = 102,527
89,250を102,527から減算して、合計留保金額を計算します。
102,527 - 89,250 = 13,277の合計留保金
現在の請求書について留保金が計算される合計金額に対する原価および報酬金額のパーセントを判断し、合計留保金のこのパーセントを各金額に配賦します。
原価金額配賦: (31,320.00 / 33,820) × 13, 277 = 12,295.55
報酬金額配賦: (2,500 / 33,820) × 13,277 = 981.25
この例は、契約の4番目の請求書に対してR52121プログラムを実行したときに計算される請求書および留保金額を示しています。
原価金額の100%について留保金が計算されるため、留保金額は973.00 USDです。