9 レンタル契約の請求

この章の内容は次のとおりです。

9.1 レンタル契約請求処理について

レンタル契約の請求は、請求するレンタル契約の累計、請求書の作成と印刷、収益と売掛金の仕訳の記録の通常の請求処理に従います。

レンタル契約請求ワークファイルの生成プログラム(R54R300)を実行すると、請求対象のレンタル契約がレンタル契約明細テーブル(F54R11)から収集され、請求明細ワークファイル・テーブル(F4812)にレコードが作成されます。対象となるレコードは、請求方式1(定期レンタル契約請求)および2(One-Offレンタル契約請求)のF54R11レコードです。

請求ワークファイルを生成した後で、次のような標準請求処理に進む必要があります。

  • サービス請求書の生成プログラム(P48121)を使用した請求書ワークファイルの生成

  • 請求書の印刷

  • 仕訳の生成プログラム(R48131)を使用した請求書仕訳の生成

  • 売掛仕訳の作成プログラム(R48199)を使用したARおよびGL仕訳の作成

  • 総勘定元帳転記レポート・プログラム(R09801)を使用したARおよびGL仕訳の転記

R54R300プログラムを正常に実行した後で、One-Offレンタル契約請求についてF54R11テーブルのレンタル契約行の状況が900(終了)に更新されます。定期レンタル契約請求では、レンタル契約行の状況が300(請求)に更新されます。レンタル契約を終了するかレンタル請求契約行を終了すると、定期請求契約行の行の状況が900(終了)に変更されます。

9.2 レンタル契約のAAIについて

契約を請求するには、ビジネス取引を正しく処理するために勘定科目体系および特定の勘定科目値に関する情報を識別する必要があります。勘定科目体系と特定の勘定科目値は、自動仕訳(AAI)を使用して定義します。AAI値は、自動仕訳テーブル(F06904)に格納されます。プログラムによって会計機能が実行されるたびに、F06904テーブルがアクセスされます。

配賦AAIを使用して、システムによって生成される総勘定元帳入力に関連付けられた金額の配賦方法が決定されます。たとえば、JD Edwards EnterpriseOneレンタル管理では、AAIはレンタル契約の請求時の取引の記録方法を示します。

レンタル契約に関連する配賦AAIは5410(レンタル契約)です。配賦AAIプログラム(P40950)の「勘定科目の改訂」フォームには、各AAI項目とドキュメント・タイプに関する情報、総勘定元帳クラスおよび取引の影響を受ける勘定科目が表示されます。

9.3 レンタル契約請求ワークファイル・レポートの生成

この項では、レンタル契約請求ワークファイル・レポートの概要、前提条件、および次の方法について説明します。

  • レンタル契約請求ワークファイルの生成(R54R300)の実行

  • レンタル契約請求ワークファイルの生成(R54R300)の処理オプションの設定

9.3.1 レンタル契約請求ワークファイル・レポートについて

処理オプション、ユーザー・データ選択、請求方式およびその他のデータに基づいて、レンタル契約見出しテーブル(F54R10)およびレンタル契約明細テーブル(F54R11)からレコードが収集されます。最終モードで生成プログラムを実行すると、請求明細ワークファイル・テーブル(F4812)にレコードが作成されます。次に、サービス請求システムにより、売掛管理システムおよび一般会計システムの基礎になるワークファイル取引が作成されます。レンタル契約明細行を請求するには、生成プログラムを最終モードで実行する必要があります。ワークファイル生成中に税金が計算されます。

『JD Edwards EnterpriseOne Applicationsサービス管理製品ガイド』「サービス管理の契約請求について」を参照してください

9.3.1.1 レンタル契約請求ワークファイル・レポートの情報

R54R300レポートには、次の情報が含まれます。

  • F54R10およびF54R11テーブルからのレンタル契約番号、行番号および行タイプ

  • 処理オプションで指定した住所番号(顧客、出荷先、請求先または配送先)

  • F54R11テーブルからの請求開始日付および終了日付

    請求終了日付がF54R11テーブルで使用可能でない場合は、F54R11テーブルの実際終了日付が使用されます。実際終了日付がF54R11テーブルで使用可能でない場合は、予定終了日付が使用されます。

  • 請求方式(1(定期契約請求)または2(One-Off契約請求))

  • 明細請求開始および明細請求終了の日付(請求開始日付と請求終了日付から、またはR54R300プログラムの「請求終了日付」処理オプションから取得)

    たとえば、請求開始日付が2014年8月20日で、請求終了日付が2014年12月12日の場合でも、「請求終了日付」処理オプション値が2014年8月31日であれば、明細請求開始は2014年8月20日で、明細請求終了は2014年8月31日です。

    One-Off請求(請求方式2)では、「明細請求開始」、「明細請求終了」および「請求期間」カラムの値はブランクです。

  • F54R11テーブルの「レンタル料単位」、「明細請求開始」および「明細請求終了」カラムを使用して計算される請求期間

  • レンタル契約見出しテーブル(F54R10)からの要求請求日(値がF54R10テーブルに存在する場合)

    そうでない場合、請求終了月の最終日が要求請求日として使用されます。

    注意:

    要求請求日が請求終了日付処理オプションで指定した日付より大きい場合、請求は処理されません。たとえば、要求請求日が31で、請求終了日付が2014年6月18日の場合、期間6(6月)の請求は処理されません。
  • 請求方式が1の場合、レンタル契約入力プログラム(P54R10)の「未処理数量」フィールドの数量

    請求方式が2の場合、数量はレンタル契約入力プログラムの「数量」フィールドから取得されます。

  • 「元帳日付」処理オプションからの期間と会計年度。

    期間と会計年度は、請求明細ワークファイル・テーブル(F4812)および請求制御マスター(F1794)に書き込まれます。

  • レンタル契約見出しテーブル(F54R10)からの請求頻度コード

    請求終了日付(処理オプションで指定)または請求終了日より前の要求請求日(F54R10テーブルで指定)に請求します。

  • F54R11テーブルからの賃貸レート

  • 会社固定情報テーブル(F0010)からの会社の基本通貨であるレンタル通貨。基本通貨が「通貨コード」フィールドで指定された取引の通貨と異なる場合、レンタル通貨は「通貨コード」フィールドの通貨になります。

  • F54R11テーブルからのレンタル請求単位(レンタル料単位)

    請求方式が1(定期請求)の場合、レンタル料単位は54R/UM UDCテーブルの値(週次、月次または日次)です。

    請求方式が2(One-Off契約請求)の場合、レンタル料単位は価格設定単位(00/UM)UDCテーブルの値です。

  • 各レンタル契約について計算された合計請求金額

  • F54R11テーブルからの請求通貨

  • F54R11テーブルの品目の税率/税域を使用してR53R300プログラムにより計算された税込み金額

    税金は、品目がF54R11テーブルで課税対象として指定され、顧客が課税対象顧客である場合にのみ計算されます。

  • AAIからのビジネスユニット、主科目および補助科目

  • 請求明細ワークファイル・テーブル(F4812)からの請求ID

    注意:

    R54R300レポートには出力されない資産番号などのその他のレンタル契約データで請求明細ワークファイル・テーブル(F4812)が更新されます。F54R11テーブルの請求先住所番号は、F4812テーブルの「所有者/売掛金」フィールドに記録されます。
  • 取引為替レートおよび請求為替レートを為替レート・プログラム(P0015A)から取得するために使用される為替レート日付

    レンタル契約入力プログラム(P54R10)で「固定為替レート」オプションを選択した場合、この日付はP54R10プログラムの「為替レート日付」フィールドから取得されます。

    「固定為替レート」オプションを選択していない場合、この日付は、R54R300プログラムの「為替レート基準日」処理オプションの値に基づきます。

  • 品目マスター(F4101)からの第2品目番号

  • レンタル契約見出しテーブル(F54R10)からの取引為替レート(固定為替レートの使用を選択した場合)

    変動為替レートの使用を選択した場合、R54R300プログラムの「為替レート基準日」処理オプションの値に基づいて取引為替レートが取得されます。

    これは、金額を基本通貨から取引通貨に換算するために使用される為替レートです。

  • レンタル契約見出しテーブル(F54R10)からの請求為替レート(固定為替レートの使用を選択した場合)

    変動為替レートの使用を選択した場合、R54R300プログラムの「為替レート基準日」処理オプションの値に基づいて請求為替レートが取得されます。

    これは、レンタル契約金額を取引通貨から請求通貨に換算するために使用される為替レートです。

9.3.1.2 請求計算

契約の合計金額の計算には、次の式が使用されます。

請求金額 = 請求期間 * 賃貸レート * 数量

請求期間は、「レンタル料単位」、「明細請求開始」および「明細請求終了」の値を使用して計算されます。

たとえば、明細請求開始 = 06/26/14、明細請求終了 = 07/31/14で、要求請求日が31、(レンタル固定情報からの)週別請求日数 = 6のレンタル契約を請求する場合は、次のようになります。

請求開始から請求終了までの日数 = 36

請求開始から請求終了までの作業日数 = 31

請求終了月(7月)の日数 = 31

請求終了月(7月)の作業日数 = 27

前述の値を使用すると、請求期間は次のように計算されます。

レンタル料単位が月次の場合、請求期間 = 請求開始から請求終了までの作業日数/請求終了月の作業日数 = 31/27= 1.14

レンタル料単位が週次の場合、請求期間 = 請求開始から請求終了までの作業日数/(レンタル固定情報からの)週の請求日数 = 31/6= 5.16

レンタル料単位が日次の場合、請求期間 = 請求開始から請求終了までの作業日数 = 31

レンタル固定情報プログラム(P54R01)では、1週間の請求日数を指定するか、請求日数の取得に使用されるカレンダを入力するオプションがあります。「週別請求日数」固定情報を指定した場合、請求日数はその週の作業日数に基づきます。請求日数 = 5の場合、土曜日と日曜日は非請求対象日です。請求日数 = 6の場合、日曜日は非請求対象日です。請求日数 = 7の場合は、すべての曜日が請求対象日です。

「週別請求日数」固定情報を指定せず、かわりにレンタル固定情報プログラム(P54R01)で作業日カレンダを入力した場合は、特定の作業日カレンダを使用して請求期間が計算されます。

月次および日次のレンタル料単位(賃貸レート単位)では、期間全体の作業日カレンダを参照して請求期間が計算されます。週次レンタル料単位では、最後の部分的な週についてのみ作業日カレンダが使用されます。7日間の完全な週については作業日(W)と平日(E)が規則的か不規則かを確認するためにカレンダは使用されません。完全な週の不規則なEおよびWは請求期間に反映されません。

9.3.1.3 請求計算のバリエーション

例1: 基本通貨が請求通貨と異なる場合、R54R300では契約が海外の契約と見なされ、次のように計算されます。

請求金額 = 請求期間 * (賃貸レート * 請求為替レート) * 数量

固定為替レートを使用する場合、F54R10テーブルの請求為替レートが使用されます。

変動為替レートを使用している場合、R54R300プログラムの「為替レート基準日」処理オプションで指定した値に基づいて請求為替レートが取得されます。

例2: 基本通貨が請求通貨と同じだが取引通貨と異なる場合、R54R300では契約が国内の契約と見なされ、次のように計算されます。

請求金額 = 請求期間 * 品目基本価格ファイル・テーブル(F4106)の単価 * 数量

R54R300レポートには、レンタル契約明細テーブル(F54R11)の賃貸レートの値が表示されますが、この値は計算に使用されません。かわりに、F4106テーブルの単価が使用され請求金額が計算されます。

例3: 基本通貨、請求通貨および取引通貨がすべて異なる場合、R54R300では契約が海外の契約と見なされます。

固定為替レートを使用する場合、R54R300では、F54R10テーブルの請求為替レートが使用され、次のように計算されます。

請求金額 = 請求期間 * (賃貸レート * 請求為替レート) * 数量

変動為替レートを使用している場合、R54R300では、R54R300プログラムの「為替レート基準日」処理オプションで指定した値に基づいて取引為替レートおよび請求為替レートが取得され、次のように計算されます。

請求金額 = 請求期間 * (F4106テーブルの単価 * 取引為替レート * 請求為替レート) * 数量

9.3.1.4 部分入荷の請求

顧客が数回に分けて品目を返却する場合、レンタル契約請求ワークファイルの生成プログラム(R54R300)は、請求書日付から最初の入荷日付まで、前回の入荷日付から次回の入荷日付までなど、複数の期間に渡り、請求終了日付まで契約行を請求します。

たとえば、レンタル契約の請求開始日付が2014年1月1日で、レンタルされた合計数量は43個とします。2014年12月1日に顧客が12個返却します。これが最初の入荷日です。したがって、2014年1月1日から2014年12月1日の期間の43個に対して顧客に請求します。R54R300レポートには、この期間の行がすべての明細とともに表示されます。この時点で、顧客にまだレンタルされている未処理数量は43 - 12 = 31です。

2014年12月10日に顧客がさらに20個返却します。これが2回目の入荷日です。したがって、2014年12月2日から2014年12月10日の期間の31個に対して顧客に請求します。R54R300レポートには、この期間の行がすべての明細とともに表示されます。この時点で、顧客にまだレンタルされている未処理数量は31 - 20 = 11です。

2014年12月25日に顧客が残りの数量を返却します。これが請求最終日です。したがって、2014年12月11日から2014年12月25日の期間の11個に対して顧客に請求します。R54R300レポートには、この期間の行がすべての明細とともに表示されます。未処理数量はゼロとなります。

9.3.2 前提条件

ここで説明されているタスクの前提条件を、次に示します。

  • 伝票タイプの管理プログラム(P40040)で伝票タイプXRが4(レンタル契約)に設定されていることを確認。

  • 配賦AAIプログラム(P40950)の「勘定科目の改訂」フォームでレンタル契約AAI(5410)の会計規則を設定。

9.3.3 レンタル契約請求ワークファイルの生成(R54R300)の実行

定期処理(G54R20)、レンタル請求ワークファイルの生成

9.3.4 レンタル契約請求ワークファイルの生成(R54R300)の処理オプションの設定

処理オプションを使用して、プログラムのデフォルト処理を指定できます。

9.3.4.1 デフォルト

1.請求終了日付

レンタル契約の請求終了日付の計算に使用される値を指定します。値は次のとおりです。

1: システム日付の月の最終日を使用します。

2: システム日付の年の最終日を使用します。

3: システム日付を使用します。

請求終了日付の入力

「請求終了日付」フィールドをブランクのままにし、かわりに請求終了日付として使用する日付を入力できます。この処理オプションをブランクのままにすると、システム日付が使用されます。

2.元帳日付

レンタル契約の元帳日付を指定します。この処理オプションをブランクのままにすると、請求終了日付が使用されます。

3.補助元帳

「補助元帳」フィールドのデフォルト値として使用される値を指定します。値は次のとおりです。

ブランク: デフォルトの補助元帳なし

1: 契約番号

2: 顧客番号

3: 配送先番号

4: 略式品目番号

4.表示する住所録番号

請求レポートに表示される住所録番号を指定します。値は次のとおりです。

ブランク: 顧客番号

1: 出荷先番号

2: 請求先番号

3: 配送先番号

5.為替レート基準日

レンタル契約が変動為替レートを使用するように設定されている場合、この処理オプションを使用して、請求金額の為替レートを取得するために使用する日付を指定します。値は次のとおりです。

ブランク: システム日付を使用します。

1: 請求方式1(定期契約請求)の場合、明細請求開始日付が使用されます。請求方式2(One-Off契約請求)の場合、明細請求開始日付は自動入力されず、請求開始日付が使用されます。

2: 請求終了日付を使用します。

3: 元帳日付を使用します。

9.3.4.2 処理

1.処理するモード(テストまたは最終)

レンタル請求生成プログラム(R54R300)がテスト・モードと最終モードのどちらで処理されるかを指定します。値は次のとおりです。

ブランク: レポートをテスト・モードで処理します。

1: レポートを最終モードで処理します。

2.ワーク・センター/レポート

エラーが記録される場所を指定します。値は次のとおりです。

ブランク: エラーをワーク・センターに記録します。

1: エラーをレポートに記録します。

9.3.4.3 印刷

1.詳細の印刷

請求書セクションを印刷するかどうかを指定します。詳細セクションには、為替レート日付、取引為替レート、請求為替レート、第2品目番号および品目記述などの追加情報が含まれます。

ブランク: 詳細セクションを印刷しません。

1: 詳細セクションを印刷します。

9.3.4.4 Vertex

1.レンタル契約税タイプ

レンタル契約の課税方法を指定します。この処理オプションは、VertexのQuantum Sales and Use Taxソフトウェア(サード・パーティの税計算ソフトウェア)が導入されている場合にのみ使用します。値は次のとおりです。

LEASE: リース税金

PURCH: 購入税

RENTAL: レンタル税

SALE: 売上税

SERVIC: サービス税

2.ビジネスユニット地理コードがない場合のサイト地理コードの使用

ビジネスユニットに有効な地理コードが定義されていない場合に出荷元およびオーダー承認にサイト地理コードが使用されるかどうかを指定します。この処理オプションをブランクのままにし、ビジネスユニットに有効な地理コードがない場合は、エラーが発生します。値は次のとおりです。

ブランク: サイト地理コードを使用しません。

1: サイト地理コードを使用します。