6 レンタル契約の入荷工程の処理

この章では、次のトピックについて説明します。

6.1 レンタル契約の入荷工程について

品目が顧客のサイトを離れ、入荷工程を構成する一連の作業を経て在庫に到着するまで、その移動をトラッキングするには入荷工程を使用します。作業によっては、入渠、経由地域、検査など、いくつかの手順が存在する場合もあります。入荷工程は、品目をテストして品質の確認を行う検査を必要とするよう設定できます。在庫に配置する前の任意の手順中に、許容できない品目の再作業を行うことや、却下または破棄することが可能です。これらの品目は、入荷工程から外され、在庫には含まれません。

たとえば、顧客が品目破損の責任を負う場合は、その品目を却下し、(受注オーダーを使用して)顧客に請求を行ったり、在庫に戻す前に(サービス・オーダーを使用して)品目を修理に出したりする必要があります。

詳細は、『JD Edwards EnterpriseOne Applications調達管理製品ガイド』「入荷工程」を参照してください

6.2 レンタル契約に対する入荷工程の使用

この項では、レンタル契約への入荷工程使用の概要を説明し、前提条件をリストして、レンタル契約に入荷工程を使用する方法について説明します。

6.2.1 レンタル契約に対する入荷工程の使用について

レンタル契約の場合は、購買オーダーを生成して、顧客から在庫への品目の返品を開始および記録します。JD Edwards EnterpriseOneレンタル管理システムでは、金額がゼロのレンタル契約購買オーダーの原価が渡されます。

JD Edwards EnterpriseOneレンタル管理システムは、JD Edwards EnterpriseOne調達管理システムと連携して在庫への品目の返品を処理し、処分機能を使用して入荷工程から品目を削除します。品目に指定された処分タイプ(再作業、却下または破棄)に基づいて、レンタル契約関連オーダー・プログラム(P54R20)にレコードが挿入され、受注オーダーまたはサービス・オーダーが生成されます。

在庫の最終ステージに品目を移動する、または再作業、却下または破棄のために削除すると、レンタル契約明細テーブル(F54R11)、入荷確認テーブル(F43121)、入荷確認レンタル・ファイル・テーブル(F54R12)が更新され、レンタル契約明細元帳テーブル(F54R199)に元帳レコードが作成されます。

6.2.1.1 返品受信購買オーダー

レンタル固定情報プログラム(P54R01)の「返品承認生成日数」フィールドに値を指定することで、返品受信購買オーダー日付を決定するようシステムを設定できます。この固定情報に指定する値がシステム日付に加算されて、返品承認(RMA)日付が決定されます。システムにより計算された日付はレンタル契約関連オーダーの生成プログラム(R54R100)で使用され、レンタル期間の失効時に、返品受信購買オーダーが生成されます。システムにより計算される、このデフォルトの日付をレンタル契約に使用するには、レンタル・アクション定義プログラム(P54R02)で「返品承認日数を使用」オプションを選択する必要があります。

返品受信購買オーダーを処理する場合、レンタル契約明細レコードの選択基準日付の値は、返品承認日以前にする必要があります。選択基準日付の値は、アクション詳細テーブル(F54R021)から取得されます。

6.2.2 前提条件

ここで説明されているタスクの前提条件を、次に示します。

  1. レンタルの入荷工程に使用する経路コードUDCテーブル(43/RC)にコードを追加します。

  2. 入荷工程の定義プログラム(P43091)で、(43/RC UDCテーブルでレンタル契約に設定した)経路コードとビジネスユニットを関連付けます。また、品目が、ある作業から別の作業に移動されたときに更新される作業コードとフィールドも指定します。

    『JD Edwards EnterpriseOne Applications調達管理製品ガイド』「入荷工程の作成」を参照してください。

    注意:

    「入荷工程の定義」フォームにある5つの更新フィールド(「積送中」、「検査中」、「作業1」、「作業2」および「手持数量」)を使用して、経路内の在庫のステージを反映します。Yで更新できるカラムは、作業コードごとに1つのみです。最後の入荷作業でのみ、手持数量ステージを更新します。これらのフィールドの数量に関する情報はF41021に格納され、在庫状況明細プログラム(P41202)で参照できます。「入荷」カラムには、どの作業で入荷日付が取得されるかが表示されます。「支払」カラムには、商品の支払が可能な作業のステージが表示されます。

    レンタル契約では、入荷確認テーブル(F43121)および入荷確認レンタル・ファイル・テーブル(F54R12)の日付が同じになるように、入荷工程の最初のステージの「入荷」カラムはYに設定する必要があります。入荷日は請求に必要であるため、この設定を正しく行う必要があります。

  3. 仕入先/品目関係プログラム(P43090)で、ビジネスユニットの顧客および品目の関係を作成します。レンタル契約の場合は、「仕入先」フィールドに顧客住所番号を入力する必要があります。「通常の経路コード」フィールドで、レンタル契約に設定した経路コードを入力します。

    『JD Edwards EnterpriseOne Applications調達管理製品ガイド』「仕入先と品目の関係の作成」を参照してください。

  4. 購買オーダー入荷確認プログラム(P4312)の処理オプションを設定して、標準入荷工程を有効化し、システムで使用する入荷工程プログラム(P43250)のバージョンを指定します。

    6.2.4項 購買オーダー入荷確認プログラム(P4312)の処理オプションの設定」を参照してください。

  5. 入荷工程の移動/処分プログラム(P43250)の処理オプションで、受注オーダー入力プログラム(P4210)と作業オーダーの改訂プログラム(P17714)のバージョンを指定します。これらの処理オプションは、「処理オプション」フォームの「レンタル」タブにあります。

    『JD Edwards EnterpriseOne Applications調達管理製品ガイド』「入荷工程の移動/処分(P43250)の処理オプションの設定」を参照してください。

6.2.3 レンタル契約の入荷工程の処理に使用するフォーム

フォーム名
フォームID ナビゲーション
用途
レンタル契約関連オーダーの処理 W54R20A 「日次処理」(G54R10)、「レンタル契約関連オーダー」

レコードを選択して、「処理」ボタンをクリックします。

関連オーダーの照会や生成を行います。
購買オーダー入荷の処理 W4312F 「入荷工程」(G54R21)、「入荷確認」 入荷に使用可能な購買オーダーを検討します。
「入荷工程状況の処理」フォーム W43250K 「入荷工程」(G54R21)、「移動および処分」

「ロー」メニューで「処分」をクリックします。

品目に処分を適用するオーダーを選択します。

6.2.4 購買オーダー入荷確認プログラム(P4312)の処理オプションの設定

ここではJD Edwards EnterpriseOneレンタル管理に適用される処理オプションについてのみ説明します。

6.2.4.1 処理

11.入荷工程

入荷工程を有効化するかどうかを指定します。値は次のとおりです。

ブランク: 入荷工程を有効化しません。

1: 標準入荷工程を有効化します。

2: Supplier Relationship Management(SRM)の入荷工程を有効化します。

レンタル管理の場合、この処理オプションに1(標準入荷工程の有効化)の値を指定して設定する必要があります。

6.2.4.2 バージョン

4.入荷工程(P43250)

入荷工程プログラムを使用する際に使用されるバージョンを入力します。

6.2.5 レンタル契約に対する入荷工程の使用

「レンタル契約関連オーダーの処理」フォームにアクセスして、次の手順に従います。

  1. 購買オーダー行を選択して「処理」ボタンをクリックし、レンタル契約の購買オーダーを生成します。契約の購買オーダー番号を控えます。

    注意:

    返品受信購買オーダーを生成するよう設定した場合は、システムにより計算された日付がレンタル契約関連オーダーの生成プログラム(R54R100)で使用され、レンタル期間の失効時に、返品受信購買オーダーが生成されます。
  2. 購買オーダー入荷確認プログラム(P4312)にアクセスします。「購買オーダー入荷の処理」フォームで、目的の購買オーダーを検索します。購買オーダー明細を確認します。購買オーダーを入荷するには、「OK」ボタンをクリックします。

  3. 入荷工程の移動/処分プログラム(P43250)にアクセスします。「入荷工程状況の処理」フォームで、オーダーを選択し、「ロー」メニューの「処分」をクリックします。

  4. 「作業工程の処分」フォームで、在庫の次の工程ステージに移動する品目の数量をフォームの「移動」セクションに入力します。また、再作業、破棄または却下する品目の数量を、フォームの「処分」セクションに入力します。選択した削除方式を使用する理由を入力できます。

    注意:

    レンタル管理のシステム設定がOneWorldシステム制御ファイル・テーブル(F99410)でアクティブになっていて、購買オーダーがレンタル契約と関連付けられている場合は、「再作業数量」、「却下数量」および「仕損数量」処分フィールドのみが有効化されるよう設定されます。
    • 最終工程ステージに移動する数量を入力すると、レンタル契約明細テーブル(F54R11)および購買オーダー入荷確認ファイル・テーブル(F54R12)にある在庫数量が更新されます。

    • 却下する数量を入力すると、「レンタル契約関連オーダーの処理」フォームに行が自動的に挿入され、入荷工程の移動/処分プログラム(P43250)の処理オプションに指定された受注オーダー入力プログラム(P4210)のバージョンで受注オーダーが生成されます。

    • 再作業する数量を入力すると、「レンタル契約関連オーダーの処理」フォームに行が自動的に挿入され、入荷工程の移動/処分プログラム(P43250)の処理オプションに指定された作業オーダーの改訂プログラム(P17714)のバージョンでサービス・オーダーが生成されます。

    • 破棄する数量を入力すると、「レンタル契約関連オーダーの処理」フォームが起動されず、関連オーダー行は挿入されません。

  5. 「入荷工程の処分」フォームで「OK」ボタンをクリックし、品目の移動処理を続行します。「レンタル契約関連オーダーの処理」フォームが表示されます。「レンタル契約関連オーダー」フォームの「数量」列に却下および再作業数量が自動入力されます。却下された品目には受注オーダーを生成し、再作業される品目にはサービス・オーダーを生成します。

    品目数量を再作業または却下する処分入力を作成すると、次の処理が行われます。

    • レンタル契約明細テーブル(F54R11)の数量フィールドの更新

    • 入荷確認テーブル(F43121)へのデータの書込み

    • 入荷確認レンタル・ファイル・テーブル(F54R12)へのデータの書込みおよび処分タイプの割当て

      各処分タイプ(再作業、却下、破棄または在庫)について、それぞれの数量がゼロではない場合、F54R12テーブルに行が挿入されます。F54R12テーブル内の「入荷日付」カラムが、数量を顧客から入荷した日付で更新されます。

    • レンタル契約明細元帳テーブル(F54R199)での元帳アクション13(処分)による元帳レコードの作成

6.3 修理後の品目の在庫への移動

この項では、修理後の品目の移動の概要、および修理済品目の在庫への移動方法について説明します。

6.3.1 修理後の品目の在庫への移動について

入荷工程プロセス中に再作業のために移動された品目の修理が完了したら、品目を在庫に戻す必要があります。在庫内の指定された保管場所に品目数量を戻すには、在庫の更新プロセスを完了する必要があります。

次の作業オーダー・プログラムのいずれかを使用して、在庫の更新プロセスを完了できます: 計画ワークベンチ・プログラム(P13700)、作業オーダーの処理プログラム(P48201)およびサービス管理ワークベンチ・プログラム(P90CD020)。

6.3.2 修理後の品目の在庫への移動に使用するフォーム

フォーム名
フォームID ナビゲーション
用途
作業オーダーの処理 W48201F 「作業オーダー」(G54R13)、「作業オーダーの管理」 作業オーダーを検索します。
作業オーダーの改訂 W17714A 「作業オーダーの処理」フォームで、作業オーダーを選択し「選択」をクリックします。 計画外保守の作業オーダーの変更
設備作業オーダーの検索 W13700B 「作業オーダー」(G54R13)、「設備作業オーダーの管理」 設備作業オーダーを検索します。
作業オーダー - [作業オーダー記述]の管理 W13714B 「設備作業オーダーの検索」フォームで、作業オーダーを選択し「選択」をクリックします。 計画外保守の作業オーダーの変更
サービス作業オーダーの検索 W90CD020B 「作業オーダー」(G54R13)、「サービス・オーダーの管理」 サービス作業オーダーを検索します。
サービス作業オーダー - [作業オーダー記述]の管理 W90CD002B 「サービス作業オーダーの検索」フォームで、作業オーダーを選択し「選択」をクリックします。 サービス作業オーダーを変更します。
複数保管場所からの選択 W42053B 「作業オーダーの改訂」フォームで、「フォーム」メニュー、「設備情報」をクリックして、次に「在庫の更新」をクリックします。

「作業オーダー - [作業オーダー記述]の管理」フォームで、「在庫の更新」リンクをクリックします。

「サービス作業オーダー - [作業オーダー記述]の管理」フォームで、「在庫の更新」リンクをクリックします。

移動する品目の数量および保管場所を指定します。

6.3.3 修理後の品目の在庫への移動

「複数保管場所からの選択」フォームにアクセスします。

注意:

「複数保管場所からの選択」フォームにアクセスするには、計画ワークベンチ・プログラム(P13700)、作業オーダーの処理プログラム(P48201)およびサービス管理ワークベンチ・プログラム(P90CD020)の改訂フォーム内の「在庫の更新」メニューまたはリンクをクリックします。入荷工程プロセス中に作成されたレンタル契約サービス・オーダーにのみ、「在庫の更新」メニューまたはリンクが表示されます。

修理後に品目を在庫に戻すには、次のようにします。

  1. 「複数保管場所からの選択」フォームで、在庫内の指定した保管場所に移動する品目の数量を入力します。

  2. 「複数保管場所からの選択」フォームで「OK」ボタンをクリックします。使用している作業オーダー・プログラムに応じて、「作業オーダーの改訂」、「作業オーダー - [作業オーダー記述]の管理」、または「サービス作業オーダー - [作業オーダー記述]の管理」フォームが表示されます。品目はまだ在庫に移動されていません。

  3. 「作業オーダーの改訂」、「作業オーダー - [作業オーダー記述]の管理」、または「サービス作業オーダー - [作業オーダー記述]の管理」フォームで「OK」ボタンをクリックします。「複数保管場所からの選択」フォームで行った変更を含めて、行った変更が保存されます。同時に、品目元帳テーブル(F4111)が更新され、在庫状況テーブル(F41202)内の手持ち数量が更新されて、品目の再作業済数量がレンタル契約明細テーブル(F54R11)の「再作業数量」フィールドから「在庫数量」フィールドに移動され、レンタル契約関連オーダー・テーブル(F54R20)の「在庫更新済」フィールドが更新されます。これらのテーブルのいずれかの更新中に障害が発生すると、すべてのテーブルの変更が元に戻されます。

    注意:

    「作業オーダーの改訂」フォームで行った更新を保存せずに、「複数保管場所からの選択」フォームで行った変更を保存するオプションが用意されています。このオプションを使用するには、まず「作業オーダーの改訂」フォームで「取消」または「閉じる」ボタンをクリックする必要があります。

    「作業オーダーの改訂」、「作業オーダー - [作業オーダー記述]の管理」、または「サービス作業オーダー - [作業オーダー記述]の管理」フォームで「取消」または「閉じる」ボタンをクリックすると、「在庫の更新の確認」ウィンドウが表示されます。このウィンドウは、「複数保管場所からの選択」フォームに変更を行った場合のみ表示されます。在庫を更新するには、「在庫の更新の確認」ウィンドウで「OK」ボタンをクリックします。次のテーブルが更新されます: 品目元帳テーブル(F4111)、在庫状況(F41202)、レンタル契約明細(F54R11)、レンタル契約関連オーダー(F54R20)。これらのテーブルのいずれかの更新中に障害が発生すると、すべてのテーブルの変更が元に戻されます。

    品目を在庫に移動した後、「在庫の更新」メニューまたはリンクはフォーム上で使用できません。

6.4 レンタル契約の入荷と処分の検討

この項では、レンタル契約入荷/処分プログラム(P54R12)の概要、およびこのプログラムの使用方法について説明します。

6.4.1 レンタル契約入荷/処分プログラム(P54R12)について

部分返却および処分に関連付けられている取引を照会するには、レンタル契約入荷/処分プログラム(P54R12)を使用します。ルール設定に従って在庫が返却されたこと、および契約請求行が正しく更新されたことを確認できます。

6.4.2 レンタル契約の入荷と処分の検討に使用するフォーム

フォーム名
フォームID ナビゲーション
用途
レンタル契約入荷/処分の処理 W54R12B 「入荷工程」(G54R21)、「レンタル契約入荷/処分」

または、「レンタル契約明細の改訂」フォームで「ロー」メニューから「入荷履歴」にアクセスします。

部分返却および処分に関連付けられているレンタル契約レコードを照会します。

6.4.3 レンタル契約入荷/処分プログラム(P54R12)の使用

「レンタル契約入荷/処分の処理」フォームにアクセスします。

6.4.3.1 「一般」タブ

レコードをフィルタするには、「一般」タブのフィールドを使用します。このタブには、レコードのフィルタに使用できる次のオプションも含まれています。

入荷/処分

レコードの入荷エントリのみを表示するには、「入荷」オプションを選択します。

レコードの処分エントリのみを表示するには、「処分」オプションを選択します。

レコードの入荷と処分の両方のエントリを表示するには、「すべて」オプションを選択します。

6.4.3.2 「日付」タブ

日付または日付範囲でレコードをフィルタするには、日付フィールドを使用します(たとえば、開始日付の開始と終了の日付フィールドの範囲に含まれるすべてのレコードなど)。

6.4.3.3 グリッド

入荷日付

購買オーダー行を入荷した日付が、このフィールドに自動入力されます。入荷工程の最初のステージの設定で「入荷」カラムがYに設定されていない場合、入荷日付は自動入力されません。

この日付がレンタル契約の請求に使用されます。

処分タイプ

処分タイプに関連付けられているコードがこのフィールドに自動入力されます。値は次のとおりです。

0: 入荷

1: 再作業

2: 却下

3: 破棄

4: 在庫