2.6 記憶域

2.6.1 Oracle VMが記憶域に接続する方法
2.6.2 記憶域要素の使用方法

Oracle VM記憶域のすべての側面について説明するには、記憶域機能のプロビジョニングと使用の両方の側面について説明する必要があります。以降の項で、次の2つの重要な質問に対する答えについて説明します。

2.6.1 Oracle VMが記憶域に接続する方法

Oracle VMは、Oracle Storage Connectプラグインを介して記憶域に接続されます。Storage Connectプラグインは、パッケージ化されてRPMパッケージとして分散され、Oracle VM Serverにデプロイされます。これらは、ブロックベースの任意の記憶域に対するストレージ・アレイ・プラグインと、ネットワーク・ファイル・システムベースの任意の記憶域に対するファイル・システム・プラグインの2つの主なカテゴリに分類されます。

どちらのカテゴリにも汎用プラグインが含まれます。NFS記憶域、iSCSIまたはファイバ・チャネルSANおよびローカル記憶域を検出、登録および使用するための標準機能が提供されます。Oracle VMでサポートされる記憶域のタイプの詳細は、4.2項「記憶域型」を参照してください。汎用プラグインで許可される標準操作は、Oracle VM Serverに提供される記憶域要素を検出して使用できるという点でパッシブです。汎用プラグインでは、記憶域ハードウェア上の対話型管理操作は利用できません。

また、オラクル社では、記憶域パートナと連携し、記憶域ハードウェア・ベンダーに呼びかけて特定のハードウェア用のOracle Storage Connectプラグインを開発しています。これらのベンダー固有のプラグインは記憶域ハードウェアの特定のブランドまたは製品ラインでのみ使用できますが、汎用プラグインと比較して、Oracle VM Managerで実行可能な操作が追加されています。たとえば、汎用ストレージ・アレイ・プラグインは記憶域ホストのLUNのみを検出し、記憶域要素にアクセスできるサーバーを定義するアクセス・グループを1つだけ所有します。一方、ベンダー固有のストレージ・アレイ・プラグインはLUNの作成や変更などの対話型の操作を実行でき、様々なアクセス・グループを構成してより詳細な記憶域アクセス管理を実行できます。Oracle Storage Connectプラグインの詳細は、4.3項「Storage Connectプラグイン」を参照してください。

プラグインを使用することの主な利点は次のとおりです。

  • 柔軟性。既存の記憶域インフラストラクチャを使用および統合し、ファイルベースまたはブロックベースのソリューションを選択し、テスト用またはあまり重要でない仮想マシンのローカル記憶域を使用します。選択した使用可能なハードウェアまたは新しいハードウェアに応じて、汎用プラグインまたはベンダー固有のプラグインを使用します。

  • スケーラビリティ。必要な記憶域の増加に合わせて、希望の記憶域プロバイダを追加し、それらをサーバー・プールに提示します。より大きな記憶域の要件が一時的なものである場合は、記憶域の量を再度削減します。要件およびプリファレンスに従って、冗長性とマルチパス機能を備えた記憶域をプロビジョニングします。

  • 拡張性。記憶域をアップグレードする場合は、ベンダー固有のプラグインの追加機能について考慮してください。Oracle Storage Connectプラグインが有効なハードウェアを選択する場合は、RPMについて製造業者に問い合せ、この記憶域ハードウェアへのアクセス権を持つOracle VM Serverにプラグインをインストールします。

2.6.2 記憶域要素の使用方法

Oracle VMでは、仮想マシンの作成および管理に不可欠な環境リソースを格納するための場所が常に必要となります。こういったリソースには、VMテンプレートおよびアセンブリ、ISOファイル(仮想DVDイメージ)、VM構成ファイル、およびVM仮想ディスクがあります。このようなリソースのグループが格納される場所を記憶域リポジトリといいます。記憶域リポジトリを、これらのリソースへのアクセス権が必要なOracle VM Server(通常はサーバー・プール内のすべてのサーバー)に提示します。

記憶域リポジトリは、NFSファイル・システムまたはストレージ・アレイの物理ディスク(LUN)に構成できます。ただし、物理ディスク上の記憶域リポジトリでは、そのリポジトリへのアクセス権を持つサーバーは、クラスタ化されたサーバー・プールのメンバーである必要があります。クラスタ化されていないサーバー・プールの場合は、ファイル・サーバーの記憶域のみが使用可能です。記憶域リポジトリの使用方法の詳細は、4.8項「記憶域リポジトリの管理」を参照してください。

クラスタリングでは、環境に別の記憶域要素(サーバー・プール・ファイル・システム)が追加されます。サーバー・プールの作成時、その新しいサーバー・プールに指定されたサーバー・プール・ファイル・システムは、そのファイル・システムがNFS共有、FC LUNまたはiSCSI LUNとしてOracle VM Serverによってアクセスされるかどうかにかかわらず、OCFS2ファイル・システムとしてアクセスされ、フォーマットされます。このフォーマットによって、グローバル・ディスク・ハートビートの領域を含め、ファイル・システムにいくつかの管理領域が作成されます。サーバー・プール・ファイル・システムは、クラスタリングおよびOracle VM環境の高可用性構成で重要な役割を果たします。サーバー・プールのクラスタリングの詳細は、6.2項「サーバー・プール・クラスタ」を参照してください。

最も具体的でOracle VMのすべてのユーザーから参照できる記憶域要素は、仮想マシン・ディスクです。VMディスクは、記憶域リポジトリのディスク・イメージ・ファイルまたはRAW物理ディスクのいずれかです。物理ディスク(LUN)が使用されている場合、物理マシンと同じ方法で直接VMにアタッチされます。仮想マシンの操作の詳細は、第7章「仮想マシンの管理」を参照してください。また、サーバー・プール内のすべてのOracle VM Serverから共有アクセスされる記憶域の場所にあるVMディスクの可用性は、VM高可用性にとって不可欠です。