アップグレードのためのEssbaseデータの準備

Essbaseステージング・ツールによって、アップグレードのためのデータの準備を単純化できます。データを複製する必要がある場合、次の手順を使用します。すべてのアプリケーションを複製する必要があります。アップグレードされた環境に一部のアプリケーションを配置したくない場合は、アップグレード・プロセス全体の完了後にそのアプリケーションを削除します。

注意:

以前のリリースからアップグレードしており、アプリケーションに127個以上のリンク・レポート・オブジェクトがある場合、次の手順を実行して、リンク・レポート・オブジェクトをエクスポートしてから、ステージング・ツールを実行します。

ヒント:

アプリケーションにあるリンク・レポート・オブジェクトの数を判別するには、MAXLコマンドquery database DBS-NAME list lro all;を使用します。たとえば、MAXL> query database sample.basic list lro all;のようになります。

リンク・レポート・オブジェクトをエクスポートするには:

  1. Essbaseの前のリリースをホストしているマシンでは、リンク・レポート・オブジェクトをエクスポートするには、次のMAXLコマンドを使用して、指定したディレクトリに、アプリケーションのリンク・レポート・オブジェクト・データをバックアップします:

    EXPORT database DBS-NAME LRO to server directory ‘directoryName’;

    次に例を示します:

    MAXL> EXPORT database Sample.Basic LRO to server directory ‘V1’;

    この例では、Sample.Basic LROデータが、ARBORPATH/appにあるSample-Basic-V1にエクスポートされます。ARBORPATHは、サーバーARBORPATHです。

  2. 次のMAXLコマンドを使用して、前のリリースのアプリケーションからリンク・レポート・オブジェクトを削除します:

    ALTER database DBS-NAME delete LRO all;

    次に例を示します:

    MAXL> ALTER database sample.basic delete LRO all;
  3. 次の手順で説明するように、ステージング・ツールを使用して、アプリケーションをリリース11.1.2.3に移行します。

  4. アップグレード・プロセスにおいて、後でリンク・レポート・オブジェクトを手動でインポートする必要があることに注意してください。

ヒント:

前のリリース環境を維持する場合は、アップグレード・プロセスの完了後に、ソース・システムのリンク・レポート・オブジェクトを再インポートします。

アップグレードのためのEssbaseデータを準備するには、前のリリースのインストールをホストしているマシンで、次のタスクを実行します:

  1. Essbaseアプリケーションのデータ検証を実行することをお薦めします:

    • Essbaseサーバーを開始します。

    • MaxLコマンドalter system resync sssを使用して、セキュリティ情報を同期します。

    • BSOアプリケーションについては、MaxLコマンドalter database applicationName.databaseName validate using default error_file;をデータベースに対して使用します。検証がエラーを返す場合、アップグレードを続行する前に、エラーのないバックアップに戻すかエラーを修正します。

    • 次のMaxLコマンドを使用して、ユーザーおよびグループ・エラーを検索します: display group all failed_sss_migration;およびdisplay user all failed_sss_migration;。コマンドがエラーを返す場合、続行する前にエラーを解決します。

    • Essbaseサーバーを停止し、すべてのアプリケーション・ファイル、データベース・ファイルおよびセキュリティ・ファイルをバックアップします。

    • Essbaseサーバーを再起動し、Administration Servicesコンソールで、データベースの全体の再構築を実行します。

  2. Administration Servicesを使用し、各アプリケーションのアプリケーション・プロパティを編集して(「一般」「起動」の順に選択)、「Essbaseサーバーの開始時にアプリケーションを開始」が選択されていないことを確認します。

    MAXLコマンドdisplay application allを使用して、すべてのアプリケーションのこのプロパティを表示して、すべてのアプリケーションでautostartupFALSEに設定されていることの確認もできます。(MAXLコマンドalter application DBSName disable autostartup;を使用して、必要に応じて各アプリケーションのプロパティをオフにします。)

  3. まだ準備していなければ、リリース11.1.2.3のファイルをダウンロードし、SystemインストーラZIPファイルを展開します。

    SystemインストーラZIPファイルをまだダウンロードしていない場合は、Oracle Software Delivery Cloudからダウンロードします。インストール用ファイルのダウンロードを参照してください。

    名前に空白がないディレクトリに、コンテンツを抽出します。

    ヒント:

    7-Zipなど、長いパス名を処理できるzipファイルの解凍プログラムを使用します。

  4. SystemInstallerExtractLocation/Migrationディレクトリ内のEssStagingTool.zipを探し、内容をEssbaseの前のリリースをホストしているマシンの空のディレクトリ(EssStagingToolExtractLocation)に展開します。

    Windowsの場合、アップグレード元のプラットフォームのバージョンのステージング・ツールを使用します。たとえば、32ビットのマシンから64ビットのマシンにアップグレードする場合、32ビットのステージング・ツールを使用します。

  5. コマンド・ラインから、EssStagingToolExtractLocationディレクトリの次のスクリプトを実行します:

    essStage.bat|sh username [agentPort]

    usernameは、管理者であるEssbaseユーザーの名前です。agentPortはオプションで、Essbaseインスタンスが実行されるポートを指定します。デフォルト値は1423です。

  6. プロンプトが表示されたら、管理者パスワードを入力します。

    ステージング・ツールは、Essbaseに対して、定義されたアプリケーションおよびディスク・ボリュームのリストを問い合せます。ASOアプリケーションの場合、ステージング・ツールは定義されたテーブルスペースのリストを問い合せます。

  7. プロンプトが表示されたら、アップグレードのためのデータを準備する方法のリストを確認し、次の方法から選択します:

    • ソースおよびターゲットの同じ名前のディスク・ボリューム、テーブルスペースおよびARBORPATH。このオプションが最も高速です。この方法を選択した場合、アップグレードするシステムは、前のリリースと同じディスク・ボリューム、テーブルスペースおよびARBORPATHを使用する必要があります。

    • ソースおよびターゲットの別の名前のディスク・ボリューム、テーブルスペースまたはARBORPATH。この方法を選択した場合、前のリリースのシステムで定義したものとは異なるディスク・ボリューム、テーブルスペースまたはARBORPATHを、アップグレード先のシステムに指定できます。

      注意:

      この方法を選択した場合、新しいARBORPATHの場所を記録しておきます。EPM Systemコンフィグレータによる構成中に、「Essbase」構成ページで、「アプリケーションの場所へのフル・パス(ARBORPATH)」にこの場所を入力します。

    • データのエクスポートによるターゲットの連結ディスク・ボリュームまたはテーブルスペース。アップグレードするシステムのディスク・ボリュームを連結する場合、この方法を選択します。この方法では、アップグレードしたシステムに後でインポートできるよう、データをテキスト・ファイルにエクスポートします。この方法は最も時間がかかるため、ディスク・ボリュームを連結する必要がある場合(たとえば、ソース・マシンにはc、dおよびeのドライブが定義されていて、ターゲット・マシンにはcドライブとdドライブのみがある場合など)にのみ使用します。このオプションでは、エクスポート時にデータ検証が行われます。

  8. この方法を、すべてのアプリケーションに適用するか、または一部のアプリケーションのみに適用するかを選択します。

    すべてのアプリケーションを複製して、essbase.secファイルの整合性を確認する必要があることに注意してください。一部のアプリケーションのみを選択した場合は、残りすべてのアプリケーションのデータを準備するための2番目の方法を選択する必要があります。

    「すべてのアプリケーションを選択」「はい」を選択した場合は、手順11に進みます。

  9. 「すべてのアプリケーションを選択」「いいえ」を選択した場合、データ準備の最初の方法として選択した方法を適用する各アプリケーションの番号を入力します。アプリケーションの選択が終了したら、[Enter]を押します。

  10. 「すべてのアプリケーションを選択」「いいえ」を選択した場合、残りすべてのアプリケーションに使用するデータ準備の方法を選択します。

    ソースおよびターゲットの同じ名前のディスク・ボリューム、テーブルスペースおよびARBORPATHまたはソースおよびターゲットの別の名前のディスク・ボリューム、テーブルスペースまたはARBORPATHを選択した場合、ステージング・ツールは、残りのアプリケーションに対して、データのエクスポートによるターゲットの連結ディスク・ボリュームまたはテーブルスペースを自動的に選択します。

  11. 選択したデータ準備の方法に応じて、次の手順は異なります:

    • ソースおよびターゲットの同じ名前のディスク・ボリューム、テーブルスペースおよびARBORPATHを選択した場合、「Y」を入力して、データの準備を続行します。

      ステージング・ツールは、ファイル転送のためのessbase.cfgessbase.sec、データおよびアプリケーションを準備します。

    • ソースおよびターゲットの別の名前のディスク・ボリューム、テーブルスペースまたはARBORPATHを選択した場合、次を実行します:

      1. アップグレードするマシンの新しいARBORPATHの場所を指定して、[Enter]を押します。現在のリリースのARBORPATHが、参照の括弧の中に表示されます。

        ヒント:

        指定するARBORPATHは、EPM_ORACLE_INSTANCEとして使用するディレクトリ(デフォルト・インストールではOracle/Middleware/user_projects/epmsystem1)にすることはできません。(EPM_ORACLE_INSTANCEは空のディレクトリにする必要があります。)

        ヒント:

        ARBORPATHは、アプリケーションの場所です; 以前のリリースでは、インストール場所の参照にARBORPATHを使用していました。現在は、ESSBASEPATHがインストール場所の定義に使用されます。詳細は、『Oracle Essbaseデータベース管理者ガイド』Essbaseのファイルの格納方法の理解に関する項を参照してください。

      2. プロンプトが表示されたら、アップグレードするマシンの新しいディスク・ボリュームを指定して、[Enter]を押します。現在のリリースのディスク・ボリュームが、参照の括弧の中に表示されます。

      3. プロンプトが表示されたら、アップグレードするマシンの新しいデフォルトのテーブルスペースを指定して、[Enter]を押します。現在のリリースのデフォルトのテーブルスペースが、参照の括弧の中に表示されます。(この手順は、ASOアプリケーションのみに適用されます。)

      4. 「Y」を入力して、データの準備を続行します。

      ステージング・ツールは、ファイル転送のためのessbase.cfgessbase.sec、データおよびアプリケーションを準備し、必要に応じて、ARBORPATH、ディスク・ボリュームおよびテーブルスペースへの内部参照を更新します。後で、アップグレード・プロセスでスクリプト(editagtsec.msh)を実行して、移行したアプリケーションのessbase.secのディスク・ボリューム設定を更新する必要があります。

    • データのエクスポートによるターゲットの連結ディスク・ボリュームまたはテーブルスペースを選択した場合:

      1. データのエクスポート先のディレクトリを指定し、「Y」を入力して、データの準備を続行します。

        ツールは、エクスポートするデータのリストを準備し、指定したエクスポート・ディレクトリにデータをコピーします。ツールでは、Essbaseをシャットダウンしてから、ファイルをコピーします。Essbaseをシャットダウンできない場合、Essbaseをシャットダウンするよう求められます。

      2. Essbaseをシャットダウンするよう求められた場合、シャットダウンし、[Enter]を押して続行します。

      ステージング・ツールは、データ・ファイル、エクスポート済のデータとそれをインポートするスクリプト、およびセキュリティ・ファイルを編集するスクリプトを準備します。

      このオプションを使用する場合、プロセス中に後で次の追加タスクを実行する必要があることに注意してください: スクリプト(editagtsec.msh)を実行して、移行したアプリケーションのessbase.secのディスク・ボリューム設定を更新する必要があります。スクリプト(importdata.msh)を使用して、アップグレード・プロセスにおいて、後でLROおよびデータを手動でインポートする必要があります。

    ステージング・ツールは、各アプリケーションの処理ステータスを表示します。

    ステージング・ツールでサンプル・アプリケーションに「ファイル[%s]を開けません」というエラーが表示された場合、このメッセージを無視できます。EPM Systemインストーラによって、新しいホスト・マシンにサンプル・アプリケーションがインストールされます。

    ステージング・ツールは、指定したARBORPATH、ディスク・ボリュームの場所およびテーブルスペースの場所に、すべてのファイルおよびディレクトリをコピーすることに注意してください。

  12. 処理されたファイルを転送する方法を確認し、方法を選択し、「Y」を入力して続行します。

    • マウント済またはマップ済のファイル・システムにファイルを自動的にコピー。このオプションを選択した場合、ステージング・ツールによって、各宛先ARBORPATH、テーブルスペース、ディスク・ボリュームおよびエクスポート・データ・ディレクトリのマウント済ドライブの場所を入力するよう求められます。データ準備の方法で指定したARBORPATHパスと同じマウント済パスを指定します。テーブルスペースの宛先パスは、データ準備の方法で指定したテーブルスペースにマップする必要があります。ディスク・ボリューム・パスの宛先パスは、ディスク・ボリュームだけでなく完全なパスにマップする必要があります。

      既存の空のディレクトリを指定します。

      ファイル転送中にエラーが発生した場合、ステージング・ツールは閉じられ、Essbaseはシャットダウンされます。

      ステージング・ツールでは、ファイル転送指示を含むファイルも準備されます。何らかの理由でコピー処理が失敗した場合、EssStagingToolExtractLocation/work/FileTransferSteps.txtにある指示に従って、Essbaseをアップグレードするマシンにデータを手動でコピーします。

    • ファイル転送指示のリストを取得。このオプションを選択した場合、ステージング・ツールはデータをエクスポートし、ファイル転送指示を含むファイルを準備します。詳細はEssStagingToolExtractLocation/work/FileTransferSteps.txtを確認し、手順に従って、Essbaseをアップグレードするマシンにデータを手動でコピーします。

    • 「終了」。アプリケーション・プロセス中に障害またはエラーが発生した場合、ステージング・ツールを終了し、エラーを修正し、ステージング・ツールを再起動できます。

      ステージング・ツールで再作成できるように作業ディレクトリを削除します。

    ステージング・ツールは、ファイル転送の完了時を記録し、Essbaseをシャットダウンします。

  13. 必要に応じて、ファイルの所有者がEssbaseをインストールするユーザーと同じであることを確認するように、ターゲット・マシンのファイルを更新します。

    EssStagingToolExtractLocation/work/FileTransferSteps.txtには、更新するファイルのリストが含まれます。

  14. (オプション)ステージング・ツールのアクションの詳細は、ログ・ファイルEssStagingToolExtractLocation/essStaging.logを確認してください。

    EPM Systemコンフィグレータによる構成中にこのログを使用して、指定したオプションを通知できます。

    ステージング・ツールのエントリでの間違えに気付いた場合は、再実行できます。

  15. 新しいリリースをホストしているターゲット・マシンでessbase.cfgに必須の更新を適用: DISKVOLUMESSSAUDITSSAUDITRおよびTransactionLogLocation設定を、新しいディレクトリの場所を反映するように更新します。

注意:

ステージング・ツールは、トランザクション・ロギングと再実行の機能に関連するARBORPATH/app/appname/dbname/Replayをコピーします。Essbaseの特定のリリースではトランザクション・ロギングと再実行を新たに実装することをお薦めしているため、次に進む前に、アップグレードしたシステムでこれらのファイルを削除することをお薦めします。ベスト・プラクティスとしては、LOGLOCATIONReplayのディレクトリのファイルを定期的にバックアップします。

アップグレード用のEssbaseデータの準備が完了したら、データの複製に戻って他のEPM System製品のデータを複製します。