Oracle Essbase製品を使用することにより、企業は、重要なビジネス情報を必要なときに適切なユーザーに提供できます。企業は、Essbaseを使用して、既存の複数のデータ・ソースのデータをすばやく利用および統合し、フィルタ済の情報をユーザーのニーズに合った最適なフォーマットでエンドユーザー・コミュニティに配布します。ユーザーはなじみのあるビジネス次元に沿って、データをリアル・タイムでやり取りし、直観的に調査します。こうすることで、思考するスピードで分析を実行できます。
Essbase製品には、大規模なマルチユーザー環境で様々な分析アプリケーションを処理するための強力なアーキテクチャ機能が組み込まれています。図1に、Essbaseアーキテクチャの3層間の情報の流れの概略を示します。クライアント層(左側)には、Oracle Hyperion Smart View for Office、管理サービス・コンソールなどのEssbaseサーバー・クライアントが含まれます。中間層(中央)には、Oracle Hyperion Provider Services、Oracle Essbase Administration Servicesなどのサービスが含まれます。データベース層(右側)は、Essbaseサーバーで構成されます。クライアント層と中間層の通信、および中間層とデータベース層の通信は、HTTPを経由します。クライアント層とデータベース層の通信は、TCP/IPまたはHTTPを経由します。中間層とデータベース層でのデータ・ソースとメタデータ・カタログの通信は、ODBCドライバとJDBCドライバを経由します。
Essbaseは、対称型マルチプロセッシング・ハードウェア・プラットフォームを利用するマルチスレッドOLAPデータベースで、Webに配置可能なシンクライアント・アーキテクチャに基づいています。サーバーは、共有リソースとして動作し、すべてのデータ・ストレージ、キャッシュ、計算およびデータ・セキュリティを処理します。Essbaseサーバーのクライアントに必要な処理は、サーバーに存在するデータの取得と表示のみです。
データベース・アウトラインと計算スクリプト、アプリケーション制御、多次元データベースの情報など、すべてのEssbaseアプリケーション・コンポーネントはサーバーに存在します。Essbaseを使用すると、複数のディスク・ドライブにスパンするようにサーバー・ディスク・ストレージを構成して、大規模なデータベースを格納できます。Essbaseを使用するには、同時要求を効率的に管理できるように、サーバーでマルチスレッド・オペレーティング・システムを実行する必要があります。また、サーバーでは、アプリケーションに対するすべてのユーザー要求のトラフィック調整機能として動作するサーバー・エージェント・プロセスを実行します。
集約ストレージ・データベースは、ストレージ・データベースをブロックし、データベースの次元性の大幅な増加を可能にする代替方法を提供します。Essbaseでは、集約ストレージを使用して、幅広い分析のニーズ(財務分析、プランニング、予算作成、売上高分析、マーケティング分析、サプライチェーン分析、収益性分析)に、単一の分析インフラストラクチャで対応します。
MaxLは、Essbaseサーバーの一部である多次元データベースのアクセス言語で、Essbaseの管理タスクとメンテナンス・タスクを自動化する柔軟な方法を提供します。
システム要件の詳細は、Oracle Hyperion Enterprise Performance Management System動作保証マトリックス(http://www.oracle.com/technology/software/products/ias/files/fusion_certification.html)を参照してください。
Essbaseをインストールして構成するには、Oracle Enterprise Performance Management System Installation and Configuration Guideを参照してください。
Essbaseには、Essbaseの機能を学習するためのサンプル・アプリケーションのセットと関連データベースが用意されています。また、このドキュメントのほとんどの例は、このサンプル・アプリケーションと関連データベースに基づいています。
サンプル・アプリケーションは、Essbaseサーバーとともにインストールされます。
サンプル・アプリケーションの使用方法は、サンプル・アプリケーションの設定。を参照してください。
Administration Servicesは、データベース管理者とシステム管理者用のEssbaseへのインタフェースで、複数のEssbaseサーバーへの単一点アクセス・コンソールを提供します。管理サービス・コンソールを使用して、複数のEssbaseサーバー、アプリケーションおよびデータベースの設計、開発、維持および管理を実行できます。Smart Viewなどのクライアント・アプリケーションを開かずに、コンソールからデータをプレビューできます。また、カスタムJavaプラグインを使用して、重要な機能を活用し、拡張できます。
Oracle Essbase Studioは、データ・モデリング、キューブの設計および分析アプリケーションの構築に関するタスクを実行するための単一の環境を提供することによって、キューブの構築を簡単にします。Essbase Studioでは、ウィザード方式のユーザー・インタフェースを採用し、通常、Essbaseアプリケーションを構築するための基となる様々なデータ・ソース・タイプのモデリングをサポートします。
単一の共通のメタデータ・リポジトリ(カタログ)では、企業に構築されたすべてのEssbaseアプリケーションに関するすべてのメタデータを取り込み、一番低い粒度でメタデータを再利用できます。このカタログによって、Essbase Studioでは、企業全体に広がる様々なアプリケーションで共有されている共通のメタデータがあることを認識できます。
Essbase Studioでは、複数のドリルスルー・オプションをサポートします: そのオプションは、リレーショナル・データベース、カスタムSQL、URL (Oracle Business Intelligence Enterprise EditionやOracle Hyperion Financial Data Quality ManagementのURLなど)、およびJavaメソッドです。Essbase Studioでは、メタデータの関係のグラフィカル表示を使用した系列追跡もサポートします。これにより、ユーザーは、アプリケーションの系列を追跡して、そのメタデータ・コンポーネント、最後にはその系列の元であるデータ・ソースにたどり着くことができます。
オプションの製品コンポーネントであるOracle Essbase Integration Servicesは、Essbaseデータベースに保管されているデータと、リレーショナル・データベースに保管されている詳細データの間のギャップを埋めるためのメタデータ駆動環境を提供します。ハイブリッド分析機能によって、ビジネス・ユーザーには意思決定のための詳細情報が、ITマネージャには大規模な分析アプリケーションの設計や維持におけるより高いモジュール性が提供されます。ハイブリッド分析では、Essbaseデータベースの一部をリレーショナル・データベースに保管することが可能になります。この保管されたリレーショナル・データは、対応するEssbase階層にマッピングされます。
Provider Servicesは、Essbase for Java API、Smart ViewおよびXMLAクライアントに対する中間層のデータソース・プロバイダです。Provider Servicesは、同時性の高い分析シナリオをサポートするとともに、Webに対応した分散エンタープライズ環境における拡張性と信頼性を提供します。
Smart Viewは、Essbase、Oracle Hyperion Financial Management、Oracle Hyperion PlanningおよびOracle Hyperion Enterprise Performance Management Workspaceのデータに共通のMicrosoft Officeインタフェースを提供します。Smart Viewを使用すると、Microsoft Excel、WordおよびPowerPointインタフェースで、データを表示、インポート、操作、配信および共有できます。
Essbase API (Essbaseへの開発者のインタフェース)を使用すると、カスタマイズされたアプリケーションを作成できます。『Oracle Essbase APIリファレンス』は、API関数の完全な一覧を提供しています。
Essbaseの開発者用製品を使用すると、ユーザーにプログラミングの知識があるかどうかにかかわらず、カスタマイズされたエンタープライズ分析アプリケーションを迅速に作成、管理および配置できます。
これらの製品(たとえば、Application BuilderやOracle Hyperion Application Builder for .NET)は、包括的な一連のアプリケーション・プログラミング・インタフェース、ドラッグ・アンド・ドロップ・コンポーネントおよびサービスを提供します。
Oracle Hyperion Enterprise Performance Management Systemのライフサイクル管理には、Oracle Enterprise Performance Management System製品のアプリケーション、リポジトリ、または個別のアーティファクトを製品環境およびオペレーティング・システムの間で移行する一貫した方法があります。一般的には、Oracle Hyperion Shared Services Consoleのライフサイクル管理インタフェースは、ライフサイクル管理をサポートするすべてのEPM System製品に対して一貫しています。ただし、EPM System製品では、ライフサイクル管理インタフェースでアーティファクトのリスト表示、およびエクスポートとインポートのオプションの表示が異なります。
ライフサイクル管理には、次の機能があります:
アプリケーションおよびフォルダの表示
アーティファクトの検索
アプリケーションから他のアプリケーションへの直接的な移行
ファイル・システムとの間の移行
移行定義ファイルの保存およびロード
選択されたアーティファクトの表示
移行の監査
移行のステータスの表示
ファイル・システム上でのすばやい変更のための個々のアーチファクトのインポートおよびエクスポート
Shared Services Consoleのライフサイクル管理インタフェースに加え、ライフサイクル管理ユーティリティと呼ばれるコマンドライン・ユーティリティには、ソースから移行先にアーティファクトを移行させる代替方法を備えています。ライフサイクル管理ユーティリティは、Windowsタスク・スケジューラやOracle Enterpriseマネージャなど、サードパーティ製スケジュール・システムともあわせて使用できます。
最後に、ユーザーがライフサイクル管理機能をカスタマイズして拡張できる、ライフサイクル管理アプリケーション・プログラミング・インタフェース(API)があります。
Oracle Hyperion Enterprise Performance Management Systemライフサイクル管理の詳細は、『Oracle Hyperion Enterprise Performance Management Systemライフサイクル管理ガイド』を参照してください。
Essbase製品は、既存のビジネス・インテリジェンス・インフラストラクチャと統合できます。Essbase製品を使用すると、情報技術(IT)のオーバーヘッドを最小限に抑えながら、重要なビジネス情報に対する企業ユーザーの分析要求を満足できるため、組織は既存のIT投資から最大の収益を実現できるようになります:
Essbase製品を使用すると、所有しているデータ・ウェアハウス、レガシー・システム、Online Transaction Processing (OLTP)システム、Enterprise Resource Planning (ERP)システム、e-ビジネス・システム、Customer Relationship Management (CRM)アプリケーション、Webログ・ファイル、その他の外部データ・ソース内のデータを組織で活用できるようになります。データベース統合のために、Integration Servicesには、グラフィカル・ツールのセット、データ統合サービス、およびリレーショナル・データベースまたはデータ・ウェアハウス環境に結合されたメタデータ・カタログが用意されています。
中間層フレームワークによって、EssbaseアプリケーションのためのWebに対応した分散プラットフォームが作成されるため、Essbase製品の機能が拡張されます。それにより、Webベースの環境で多数のユーザーの分析ニーズに応えることが可能になります。Provider Servicesによって、クラスタリングおよびフェイルオーバー・サポートが提供されるため、プラットフォームの拡張性と信頼性が向上するとともに、24時間x7日間稼働環境におけるミッション・クリティカルなアプリケーションがサポートされます。
ビジネス・ユーザーの大規模なコミュニティでは、データをリアル・タイムに操作して、業績をすばやく分析できます。Essbase製品を使用すると、使い慣れたビジネス次元に従ってデータを整理して提供することができ、ユーザーはデータを直感的に表示および調査して、そのデータを実用的な情報に変換することが可能です。
Essbaseには、要求の厳しい分析要件を満たすための強力な計算機能が含まれています。豊富な機能ライブラリを使用すると、高度で複雑なビジネス・ロジックや関係を簡単に定義できます。Essbaseにより、ユーザーはカスタム定義のマクロや関数、複数のデータベースにまたがる計算機能などを使用して、計算機を柔軟に構築、カスタマイズおよび拡張できるようになります。マルチプロセッサ・システムでは、DBAは複数スレッドで計算を実行するための単一の計算要求を構成して、計算速度を向上させることができます。
集約ストレージ・データベースは、ブロック・ストレージ・データベースに代わるデータベースであり、特定のタイプのアプリケーションについては、データベースの集約時間が大幅に短縮されます。
Essbaseには、データ更新とマルチユーザーの再計算を含む、独特のマルチユーザーの読取りおよび書込み機能があります。フロントエンド・ツールを使用しているビジネス・ユーザーは、データをサーバーに書き戻し、計算スクリプトを使用してサーバー上でデータを再計算できます。これは、高度なモデリングおよびプランニング・アプリケーションをサポートするための重要な機能です。
この堅牢なマルチレベルのセキュリティ・モデルにより、サーバーレベル、データベースレベルおよびセルレベルのセキュリティが提供されます。データのアクセス、表示および書込み機能の完全制御は、管理を通じて実現されます。EPM Systemのセキュリティにより、Oracle Internet DirectoryやMicrosoft Active DirectoryなどのLDAP対応ディレクトリを含む様々な外部ユーザー・ディレクトリ、およびリレーショナル・データベースとの統合が可能になります。
Essbaseには、ユーザーが効果的な多次元アプリケーションを開発するときに役立つ、多くの重要な利点があります。ユーザーには、次のことが可能です: