この章では、ジョブと、ジョブを管理する各種のロール、ジョブの表示、およびジョブに対して実行できる各種のアクションについて詳細に説明します。
次の情報が含まれます。
Oracle Enterprise Manager Ops Centerによって実行されるアクションで、ジョブが作成されます。このジョブは、エンタープライズ・コントローラ・システム上で実行されるか、プロキシ・コントローラによって取得されてからプロキシ・コントローラまたは管理対象アセット上で実行されます。ジョブの進行状況は、ユーザー・インタフェースで追跡および表示されます。各ジョブは1つ以上のタスクで構成され、1つ以上のターゲットを持ちます。タスクまたはターゲットごとに、ジョブの進行状況に関する情報を表示できます。
「Jobs」ペインは、ユーザー・インタフェースの下部にあり、現在のジョブとジョブ履歴のすべてがリスト表示されます。「Jobs」ペインからは、現在のジョブの進行状況を監視できる他に、ジョブ履歴も確認できます。すべてのジョブのステータスと、特定のジョブに関する詳細情報を表示でき、ジョブに対してアクションを実行できます。
ジョブの詳細を表示するには、「Job Summary」表でジョブをダブルクリックします。「Job Details」ビューには、ジョブのターゲットに加えて、次の情報も表示されます。
Running: ジョブが進行中です。
Waiting for User Input: ジョブは開始されましたが、完了する前にユーザーからの情報が必要です。
Failed: ジョブは成功しませんでした。
Partially Successful: ジョブのタスクが一部のみ正常に完了しました。複数のタスクを伴うジョブの場合には、一部のタスクが完了して他のタスクが失敗した状態です。複数のターゲットを伴うジョブの場合には、一部のターゲットに対してのみジョブが成功した状態です。
Stopped: ジョブはユーザーによって停止されました。
Scheduled: ジョブは特定の時刻に実行されるようスケジュールされています。1回のみのジョブの場合と、反復ジョブの場合があります。
Successful: ジョブは完了しました。すべてのタスクが正常に完了しました。
Job ID: ジョブの一意の識別番号。
Type of job: たとえば、検出カスタム・タイプはカスタム検出アクションの結果としてジョブを識別します。
Name of job: ジョブの名前。
Mode of job: 「Simulated」または「Actual Run」。一部のジョブはシミュレーションが可能です。シミュレートされたジョブは、必要な権限、イメージ、スペース、その他のジョブ要件が満たされているかどうかを確認します。シミュレートされたジョブを実際に実行するには、新しいジョブを作成する必要があります。
Owner of job: ジョブを起動したユーザー。
Start / Scheduled Date: ジョブが開始された、または開始をスケジュールされた日付と時刻。
Elapsed time: ジョブが実行中の場合には、これまでにジョブが実行されている合計時間。ジョブが完了している場合には、ジョブの完了に要した合計時間。
Description: ジョブの説明。
Failure policy: ジョブの失敗ポリシー。次のいずれかです。
Continue on Failure: 1つのタスクが失敗した場合に、他のタスクの実行を続けます。
Abort on Failure: 1つのタスクが失敗した場合に、残りのタスクをすべて中止します。
Rollback on Failure: 1つのタスクが失敗した場合に、残りのタスクをすべて中止し、失敗したタスクとそれまでに成功していたタスクに対してロールバック・メソッドを実行します。
Next Scheduled Time(反復スケジュールされたジョブの場合): このオプションは、ジョブ・サマリー表でのみ使用できます。ジョブの開始時刻を表示します。これ以降に実行されるようスケジュールされている場合には、次の実行時刻が表示されます。
Next Scheduled Date: ジョブが実行される次の日付。またはジョブが再度実行されない場合にはNULL。
Start Date: このジョブの実行が開始された日付/時刻。
Creation Date: このジョブが最初に作成された日付/時刻。
Sequential: タスクは1つずつ順番に実行されます。
Parallel: すべてのタスクが同時に実行されます。
Sequential_on_task: 複数のターゲットを持つタスクに適用されます。次のタスクを開始する前に、すべてのターゲットに対してタスクが完了する必要があります。
List of tasks: このオプションは、ジョブ・ターゲット詳細ビューで使用できます。次の内容が表示されます。
タスクのターゲット。
タスクの前回のログ・エントリ、またはタスクが完了している場合にはタスクの結果。
経過時間: このタスクが実行されている合計時間。
Task execution order: タスクの実行順序。
Task progress/results: タスクの進行状況または結果。
Event logs: イベント・ログは、タスクの進行状況にあわせて生成されます。
ジョブに対して実行できるアクションは、次のとおりです。
すべてのタスクのステータスなど、ジョブに関する詳細を表示。
ジョブ中にプロンプトに応答。
実行中のジョブに割り込み、またはジョブを停止。ジョブは後から再実行できます。
履歴からジョブを削除。
部分的に成功、失敗、または停止したジョブを再実行。
前のジョブに基づいて新しいジョブIDで新規ジョブを作成。たとえば、複数ステップの複雑なジョブが成功した場合に、別のターゲットに対してジョブを繰り返す場合などです。
クラウド・ユーザーは、自身が作成したジョブのみ表示または処理を行うことができます。他のユーザーによって作成されたジョブを表示することはできません。
次の表は、この項で説明しているタスクと、そのタスクを完了するために必要なロールを示しています。適切なロールを持つ管理者は、特定のターゲットまたはターゲットのグループに対する権限を制限できます。タスクを完了するために必要なロールまたは権限がない場合は、管理者に連絡してください。各種ロールおよびロールに付与される権限の詳細は、『Oracle Enterprise Manager Ops Center管理ガイド』を参照してください。
表3-1 ジョブ管理のタスクとロール
| タスク | ロール |
|---|---|
|
Viewing Job Status |
ジョブの起動に必要なロールと同じ。 |
|
Viewing Job Details |
ジョブの起動に必要なロールと同じ。 |
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Monitoring Jobs for an Asset |
ジョブの起動に必要なロールと同じ。 |
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Answering Questions |
ジョブの起動に必要なロールと同じ。 |
|
Stopping a Job |
ジョブの起動に必要なロールと同じ。 |
|
Re-running a Job |
ジョブの起動に必要なロールと同じ。 |
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Copying a Job |
ジョブの起動に必要なロールと同じ。 |
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Deleting a Job |
ジョブの起動またはジョブ管理に必要なロールと同じ。 |
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Changing the Maximum Time for a Job |
Root access on Enterprise Controller system. |
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注意: ジョブに複数のターゲットがある場合は、適切なロールがある対象のターゲットのみが表示されます。どのターゲットについてもロールがない場合、ジョブは表示されません。 |
ジョブ管理サービスは、ジョブの実行とその監視を管理する機能を果します。ジョブ・マネージャが、タスクで指定されている命令を指定の順序どおりに1つ以上のエージェントに通信します。ジョブ・マネージャは実行の状態を監視し、成功または失敗した各操作をログに記録します。また、ジョブ・マネージャが成功または失敗をレポートするための情報の状態を保持します。ジョブ管理を利用すると、起動したジョブの種類とそのステータスに応じて、次のアクションを実行できます。
全ジョブの表示
特定ステータスの全ジョブの表示
ジョブの詳細の表示
アセットに対するジョブの監視
ジョブの検索
ジョブに対する質問への回答
ジョブの停止
ジョブの再実行
失敗したターゲットに対するジョブの再実行
ジョブのコピー
ジョブの削除
OCDoctorによるジョブのデバッグ
ジョブ・プロパティの変更
ジョブを表示するには、いくつかの方法があります。「Jobs」ペインには、現在のジョブと、削除されていない過去のジョブがすべて表示されます。また、特定のジョブの詳細を表示したり、特定ステータスを持つすべてのジョブ、あるいは特定アセットのためのすべてのジョブを表示することもできます。
Oracle Enterprise Manager Ops Centerによって実行されるすべてのジョブをリストで表示できます。
すべてのジョブを表示するには、次の手順を実行します。
UIの下部にある「Jobs」ペインをクリックして展開します。
「Jobs」ペインが、次の図のように表示されます。
「Jobs」ペインで、「All Jobs」アイコン(前述の図でハイライト表示されています)をクリックします。
進行中のジョブ、ユーザー入力を待機中のジョブ、失敗したジョブ、部分的に成功したジョブ、停止したジョブ、スケジュールされたジョブ、成功したジョブなどすべてのジョブが表示されます。
特定のステータスのジョブ(進行中のジョブ、ユーザー入力を待機中のジョブ、失敗したジョブ、部分的に成功したジョブ、停止したジョブ、スケジュールされたジョブ、成功したジョブなど)を表示する場合は、それぞれのジョブ・ステータスのアイコンをクリックします。選択したステータスのジョブが表示されます。
ジョブに関する詳細情報、たとえばジョブを構成しているタスクのステータスなどを表示できます。
ジョブ詳細を表示するには、次の手順を実行します。
「Jobs」ペインでジョブを選択します。
「View Job Details」アイコン(前述の図でハイライト表示されています)をクリックするか、ジョブをダブルクリックします。「Job Details」ウィンドウが表示されます。
ターゲットの全体的なステータスが左側に表示されます。右側の表には、すべてのターゲットがリストされます。
ターゲットを選択し、「Display Selected Target Details」アイコン(前述の図でハイライト表示されています)をクリックします。ターゲットをダブルクリックしてターゲットの詳細を表示することもできます。
「Job Target Details」ウィンドウが表示されます。
ログを表示するにはタスクをダブルクリックします。イベントのログとタスクのプロパティが表示されます。
「View Target Logs」ウィンドウにタスク・ログがすべて表示されます。テキスト領域に表示されるため、コピーが可能です。
ログをテキスト・ファイルとして保存するには、「Export Logs」をクリックします。
「Selected Task Target Log」を選択して「Save」をクリックし、ログをテキスト・ファイルとして保存します。
「Full Job Log」を選択して「Save」をクリックし、ログをテキスト・ファイルとして保存します。
実行中のジョブでも完了したジョブでも、特定のアセットに対するジョブを表示できます。
特定のアセットに対するジョブのみを表示するには、次の手順を実行します。
「Navigation」ペインの「Assets」で、アセットを選択します。
中央のペインで「Jobs」タブをクリックします。
「Current」と「Historical」のジョブがリストされます。
ジョブを選択してダブルクリックすると、ジョブの詳細が表示されます。
起動しているジョブに対してアクションを実行できます。実行されるアクションは、ジョブの現在のステータスによって異なります。ジョブが停止しておりユーザー入力を待機している場合は、質問に回答してジョブを再開できます。ジョブが実行中の場合は、停止できます。ジョブが完了している場合は、全体を再実行、失敗したターゲットに対してのみ再実行、コピーして新しいジョブを作成、またはジョブを削除することができます。
ジョブによっては、完了するためにユーザー入力が必要です。レスポンスを必要とするジョブは、ステータスが「Waiting for User Input」です。ユーザー入力を指定するには、次の手順を実行します。
「Waiting for User Input」ステータスのジョブを選択します。
「Answer Questions」アイコンをクリックします。
各質問に対して「Yes」または「No」を選択するか、「Yes to All」または「No to All」をクリックします。
各質問に答えたら、「Submit」をクリックすると、同じジョブIDと実行IDでジョブが再発行されます。
実行中のジョブは停止できます。進行中のタスクはすべて割り込まれ、まだ開始されていないタスクは中止されます。ジョブの完了ステータスは、完了したタスク、割り込まれたタスク、開始されていないタスクの数によって異なります。
ジョブを停止するには、次の手順を実行します。
実行中のジョブを選択します。
「Stop Selected Jobs」をクリックします。
「Stop Job」をクリックして確定します。
ジョブが完了している場合、新しい実行IDで繰り返すことができます。
ジョブを再実行するには、次の手順を実行します。
UIの下部にある「Jobs」ペインをクリックして展開します。
再実行する、失敗したジョブを選択します。
「Re-Run Selected Jobs」をクリックします。
「Run Job」をクリックします。
ジョブが、新しい実行IDで再実行されます。
ジョブが部分的に完了、失敗、または停止した場合、失敗または不完全なターゲットに対してジョブを繰り返すことができます。
失敗したターゲットに対してジョブを再実行するには、次の手順を実行します。
ジョブを選択してジョブの詳細を表示します。
失敗した1つ以上のターゲットをリストから選択し、「Re-Run Selected Failed Targets」、「OK」の順にクリックします。
失敗したターゲットに対して、同じ実行IDでジョブが再実行されます。
古いジョブを新しいジョブのテンプレートとして使用し、OSまたはファームウェアの更新ジョブをコピーできます。
ジョブをコピーするには、次の手順を実行します。
コピーするジョブを選択し、「Copy Job」をクリックします。
既存のジョブの情報を使用して、新規ジョブのウィザードが表示されます。
ジョブの情報を変更してスケジュールを選択し、「Submit Job」をクリックします。
新規ジョブが、新しいジョブIDで発行されます。
ジョブを削除すると、キューから完全に削除されます。再実行や再開はできなくなり、ジョブ詳細も使用できなくなります。
ジョブを削除するには、次の手順を実行します。
削除するジョブを選択します。
「Delete Selected Jobs」をクリックし、「Delete Jobs」をクリックして確定します。
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注意: 実行中のジョブは削除できません。実行中のジョブをまず停止してから削除してください。 |
管理対象アセットで実行されているジョブをデバッグできます。このアクションは、アセットに対してOCDoctorの--troubleshootオプションを使用して自己診断を実行します。
ジョブをデバッグするには、次の手順を実行します。
ジョブを選択し、「Debug Job Using OCDoctor」アイコンをクリックします。
新しい自己診断を実行する場合は「Run New Self Diagnosis」を選択し、以前の自己診断の結果を表示する場合は「Work on Previous Self Diagnosis」を選択します。「Work on Previous Self Diagnosis」を選択した場合は、以前の自己診断の結果が表示され、自己診断を再実行できます。
「Attempt to Fix Issues」を選択して問題の修正を試みるか、「Collect Logs」を選択してターゲットからログ・ファイルを収集します。
サマリー情報を確認したら、「Finish」をクリックして自己診断ジョブを起動します。
ジョブの詳細を確認するか、ウィザードを再実行して「Work on Previous Self Diagnosis」を選択し、自己診断で収集されたデータを表示します。
エンタープライズ・コントローラは、ジョブ管理のために、ジョブとタスクのタイムアウト値などいくつかの変数を設定します。この値を変更すると、パフォーマンスが向上する場合があります。ジョブとタスクのタイムアウト値は、次のとおりです。
jobtypeweight.FirmwareProvisioningJob: ファームウェア・プロビジョニング・ジョブの相対的な重みを設定する値です。この値は、Oracleサポートから指示されないかぎり変更しないでください。
taskTimeOut: タスクがタイムアウトして失敗となるまでの時間(分単位)を設定する値です。
tierTimeOut: プロキシ・コントローラによって取得されていないジョブが失敗するまでの時間(分単位)を設定する値です。
totalAllowedWeight: この値は、Oracleサポートから指示されないかぎり変更しないでください。
totalDispatchWeight: 並行して実行できるジョブの重みの合計を設定する値です。エンタープライズ・コントローラ・システムで追加のジョブを処理できる場合には、この値を大きくします。
ジョブ・マネージャの値を変更するには、次の手順を実行します。
「Navigation」ペインで「Administration」を選択し、「Enterprise Controller」を選択して「Configuration」タブをクリックします。
ドロップダウン・メニューで、ジョブ・マネージャのプロパティを選択します。
値を編集し、「Save」をクリックします。
ジョブの進行状況を追跡するには、「Job Details」を表示します。ジョブが正常に完了しない場合は、Oracle Solarisシステムで/var/cacao/instances/oem-ec/logs/cacao.*というログ・ファイルを調べてください。
アクションの実行の手順、またはこの機能のロールの詳細は、次のリソースを参照してください。
『Oracle Enterprise Manager Ops Center管理ガイド』