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Oracle® Fusion Middleware Oracle Directory Server Enterprise Edition管理者ガイド
11g リリース1 (11.1.1.7.0)
B72439-01
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1 Directory Serverのツール

Oracle Directory Server Enterprise Edition(ODSEE)には、レプリケートされた環境で複数のサーバー、インスタンスおよび接尾辞を管理するためのブラウザ・インタフェースおよびコマンドライン・ツールが用意されています。この章では、Directory Server管理ツールの概要について説明します。

この章の内容は、次のとおりです。

1.1 Directory Serverの管理の概要

Directory Serverの管理フレームワークについては、このドキュメント・セットの別のドキュメントで説明しています。

1.2 DSCCを使用する場合とコマンドラインを使用する場合の判断

Directory Server Enterprise Editionには、Directory ServerとDirectory Proxy Serverを管理するためのユーザー・インタフェースが2つあります。ブラウザ・インタフェースであるDirectory Service Control Center(DSCC)とコマンドライン・インタフェースです。

1.2.1 DSCCを使用して手順を実行できるかどうかの判断

このマニュアルの手順のほとんどは、コマンドラインまたはDSCCを使用して実行できます。このマニュアルの手順は、コマンドラインを使用して手順を実行する方法を説明しています。ほとんどの場合、DSCCを使用しても同じ作業を実行できます。DSCCが特定の手順に使用できる場合、手順の初めにその旨が表記されています。

DSCCのオンライン・ヘルプには、DSCCを使用してこのマニュアルの手順を実行する詳細な指示が記載されています。

1.2.2 DSCCを使用した方がよい場合

DSCCは、次の項で説明するように、一部の操作と作業をコマンドラインから実行するより簡単に実行できます。一般に、いくつかのサーバーに適用するコマンドは、DSCCを使用した方がうまくいきます。

1.2.2.1 サーバーと接尾辞のレプリケーション状態の表示

DSCCは、DSCCに登録されているすべてのサーバー・インスタンスと構成されているすべての接尾辞、およびそれぞれの状態を表に表示します。

サーバーの表は、「ディレクトリサーバー」タブにあり、サーバーの稼働状態を示します。サーバーのとりうる状態のリストは、Directory Serverのオンライン・ヘルプを参照してください。

接尾辞の表は「接尾辞」タブにあり、エントリの数やレプリケートされてない変更の数や経過時間など、レプリケーション状態の情報を示します。この表に表示される情報の詳細は、Directory Serverのオンライン・ヘルプを参照してください。

1.2.2.2 サーバーのグループの管理

サーバー・グループによって、サーバーの監視や構成を円滑に行えます。グループを作成し、そのグループにサーバーを割り当てられます。たとえば、地理的な位置や機能によってサーバーをグループ化できます。サーバーが多数ある場合、グループ内のサーバーのみが「ディレクトリサーバー」タブに表示されるようにサーバーにフィルタを適用できます。また、あるサーバーのサーバー構成(たとえば、索引やキャッシュ設定など)をグループ内の他のすべてのサーバーにコピーすることもできます。サーバー・グループの設定と使用方法の詳細は、Directory Serverのオンライン・ヘルプを参照してください。

1.2.2.3 構成設定のコピー

DSCCでは、既存のサーバー、接尾辞、またはレプリケーション承諾の構成設定を1つまたは複数の他のサーバー、接尾辞、またはレプリケーション承諾にコピーできます。これらの作業の実行方法の詳細は、Directory Serverのオンライン・ヘルプを参照してください。

1.2.2.4 レプリケーションの構成

DSCCを使用すると、レプリケーション・トポロジをすばやく簡単に設定できます。単純にサーバー・インスタンスを作成し、DSCCによって提供される手順を使用して、各サーバーのロールを割り当てます。DSCCによってレプリケーション承諾が自動的に作成されます。DSCCを使用してレプリケーションを構成する方法の詳細は、Directory Serverのオンライン・ヘルプを参照してください。

1.3 Directory Serverのコマンドライン・ツール

DSCCで実行する作業のほとんどは、コマンドライン・ツールを使用して実行できます。これらのツールによって、コマンドラインから直接Directory Serverを管理し、スクリプトを使用してサーバーを管理できます。

主なディレクトリ・サーバーのコマンドは、dsadmdsconfおよびdsutilです。これらのコマンドを使用して、バックアップ、LDIFへのエクスポート、証明書の管理、ユーザーやロールの管理などを行えます。これらのコマンドの詳細は、dsadmについての説明dsconfについての説明およびdsutilについての説明のマニュアル・ページを参照してください。

dsconfdsmigdsccmonおよびdsutilはLDAPベースのコマンドなので、認証を行うにはこれらのコマンドのユーザー・バインドDNとパスワードを指定する必要があります。一方、dpadmコマンドとdsadmコマンドはインスタンス・ファイルで動作します。

この項では、Directory Serverコマンドライン・ツールの次の情報について説明します。

1.3.1 Directory Serverコマンドの場所

Directory Serverコマンドライン・ツールは、デフォルト・インストール・ディレクトリにあります。

install-path/bin

インストール・ディレクトリは、オペレーティング・システムによって異なります。すべてのオペレーション・システムのインストール・パスは、「デフォルト・パスとコマンドの場所」にリストされています。

1.3.2 dsconfの環境変数の設定

dsconfコマンドでは、いくつかのオプションが必要となりますが、それらは環境変数によってあらかじめ設定できます。コマンドを使用する際にオプションが指定されていない場合や、環境変数が設定されていない場合は、デフォルト設定が使用されます。次のオプションに対して環境変数を構成できます。

-D user DN

ユーザーのバインドDN。環境変数: LDAP_ADMIN_USER。デフォルト: cn=Directory Manager

-w password-file

ユーザーのバインドDNのパスワード・ファイル。環境変数: LDAP_ADMIN_PWF。デフォルト: パスワード入力用のプロンプトを表示する。

-h host

ホスト名。環境変数: DIRSERV_HOST。デフォルト: local host

-p LDAP-port

LDAPポート番号。環境変数: DIRSERV_PORT。デフォルト: 389

-e, --unsecured

dsconfがデフォルトで開くクリア接続を指定します。環境変数: DIRSERV_UNSECURED。この変数が設定されていない場合、dsconfはデフォルトでセキュアな接続を開きます。

詳細は、dsconfに関する説明のマニュアル・ページを参照してください。

1.3.3 dsadmdsconfの比較

次の表に、dsadmコマンドとdsconfコマンドの比較を示します。

表1-1 dsadmコマンドとdsconfコマンドの比較


dsadmコマンド dsconfコマンド

説明

ローカル・ホストで直接実行する必要がある管理コマンド。次に例を示します。

  • サーバーの起動または停止

  • サーバー・インスタンスの作成

リモート・ホストから実行できる管理コマンド。次に例を示します。

  • レプリケーションの有効化

  • キャッシュ・サイズの設定

注意

サーバーは停止している必要があります(dsadm stopコマンドとdsadm infoコマンドを除く)。

サーバーはサーバー・インスタンス・パス(instance-path)によって特定されます。

サーバー・インスタンス・パスへのOSアクセス権を持っている必要があります。

サーバーが稼働している必要があります。

サーバーはホスト名(-h)、ポート(-p)、またはLDAPSセキュア・ポート(-P)によって特定されます。

ポート番号を特定しないと、dsconfはデフォルト・ポート(LDAPの場合は、389)を使用します。

たとえば、ユーザーcn=admin,cn=Administrators,cn=configなど構成データへのLDAPアクセス権を持っている必要があります。


1.3.4 dsadmdsconfおよびdsutilを使用するためのヘルプの表示

dsadmコマンド、dsconfコマンドおよびdsutilコマンドの使用方法の詳細は、dsadmについての説明dsconfについての説明およびdsutilについての説明のマニュアル・ページを参照してください。

  • サブコマンドのリストを取得するには、次の該当コマンドを入力します。

    $ dsadm --help
    
    $ dsconf --help
    
    $ dsutil --help
    
  • サブコマンドの使用方法についての説明を表示するには、次の該当するコマンドを入力します。

    $ dsadm subcommand --help
    
    $ dsconf subcommand --help
    
    $ dsutil subcommand --help
    

1.3.5 dsconfを使用した構成プロパティの変更

dsconfの様々なサブコマンドを使用して、ユーザーは構成プロパティを表示したり、変更したりできます。

  • Directory Serverで使用する構成プロパティをリストするには、次のように入力します。

    $ dsconf help-properties
    
  • 特定のプロパティを見つけるには、ヘルプ・プロパティの出力を検索します。

    たとえば、UNIXプラットフォームを使用している場合は、リフェラルに関連するプロパティをすべて検索するには、次のコマンドを使用します。

    $ dsconf help-properties | grep -i referral
    SER  referral-url                       rw  M  LDAP_URL | undefined
         Referrals returned to clients requesting a DN not stored in this 
         Directory Server (Default: undefined)
    SUF  referral-mode                      rw     disabled|enabled|only-on-write
         Specifies how referrals are used for requests involving the suffix 
         (Default: disabled)
    SUF  referral-url                       rw  M  LDAP_URL | undefined
         Server(s) to which updates are referred (Default: undefined)
    SUF  repl-rewrite-referrals-enabled     rw     on|off                 
         Specifies whether automatic referrals are overwritten (Default: off)
    

    プロパティは、接尾辞(SUF)やサーバー(SER)などターゲット・オブジェクトによってグループ化されることに注意してください。rwキーワードは、そのプロパティが読書き可能であることを示します。MMキーワードは、そのプロパティが複数の値を持つことを示します。

  • サーバー属性を表示するには、冗長モードを使用します。たとえば、UNIXシステムでは次のように入力します。

    $ dsconf help-properties -v | grep -i referral-mode
    SUF  referral-mode    rw  disabled|enabled|only-on-write  nsslapd-state
      Specifies how referrals are used for requests involving the suffix
      (Default: disabled)
    

個々のプロパティの詳細は、各プロパティのマニュアル・ページを参照してください。このマニュアル・ページは、Oracle Directory Server Enterprise Editionのマニュアル・ページ・リファレンスにあります。

1.3.6 dsconfによる複数値プロパティの設定

特定のDirectory Serverプロパティは複数の値を使用できます。これらの値を指定する構文は、次のとおりです。

$ dsconf set-container-prop -h host -p port container-name \
 property:value1 property:value2

たとえば、サーバーに対して複数の暗号化方式を設定するには、次のコマンドを使用します。

$ dsconf set-server-prop -h host1 -p 1389 ssl-cipher-family:SSL_RSA_WITH_RC4_128_MD5 \
 ssl-cipher-family:SSL_DHE_RSA_WITH_3DES_EDE_CBC_SHA

すでに値が含まれている複数値プロパティに値を追加するには、次の構文を使用します。

$ dsconf set-container-prop -h host -p port container-name property+:value

すでに値が含まれている複数値プロパティから値を削除するには、次の構文を使用します。

$ dsconf set-container-prop -h host -p port container-name property-:value

たとえば、前述のシナリオで、暗号化方式のリストにSHA暗号化方式を追加するには、次のコマンドを実行します。

$ dsconf set-server-prop -h host1 -p 1389 \
 ssl-cipher-family+:TLS_ECDHE_ECDSA_WITH_AES_256_CBC_SHA

このリストからMD5暗号化方式を削除するには、次のコマンドを実行します。

$ dsconf set-server-prop -h host1 -p 1389 ssl-cipher-family-:SSL_RSA_WITH_RC4_128_MD5

1.3.7 dsutilコマンドの操作

dsutilコマンドが正常に動作するには、次のACIを作成する必要があります。

$ldapmodify -h host -p port -D cn=admin,cn=Administrators,cn=config -w - -c 
dn: cn=config
changetype: modify
add: aci
aci: (targetattr="*")(version 3.0; acl "Allow the Suffix Manager to browse the tree"; \
allow (read,search,compare)userdn = "ldap:///$USERSFXADMIN";)
aci: (targetattr="nsslapd-rootpw")\
(version 3.0; acl "Prevent the Suffix Manager from accessing passwords"; \
deny (all)userdn = "ldap:///$USERSFXADMIN";)
aci: (targetattr="userPassword")\
(version 3.0; acl "Prevent the Suffix Manager from accessing passwords"; \
deny (all)userdn = "ldap:///$USERSFXADMIN";)
aci: (targetattr="dsKeyedPassword")\
(version 3.0; acl "Prevent the Suffix Manager from accessing passwords"; \
deny (all)userdn = "ldap:///$USERSFXADMIN";)

dsutilコマンドの詳細は、dsutilを参照してください。

1.3.8 マニュアル・ページ

マニュアル・ページには、Directory Serverで使用するコマンドと属性すべての説明が記載されています。さらに、マニュアル・ページにはデプロイメントでコマンドを使用する方法についての有用な例もいくつか記載されています。