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Oracle® Fusion Middleware Oracle Directory Server Enterprise Edition評価ガイド
11g リリース1 (11.1.1.7.0)
B72442-01
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4 パフォーマンス向上のためのチューニング

この章では、最高のパフォーマンスを得るためのデプロイメントのチューニングを容易にするDirectory Server機能について紹介します。Directory Server自体にも、ほとんどすべての操作のパフォーマンスを強化する機能が含まれています。

この章の内容は、次のとおりです。

4.1 キャッシュの最適化

クライアントのリクエストに対して迅速に応答できるように、Directory Serverは、ディレクトリの情報をメモリーにキャッシュします。最高のパフォーマンスを得るために、接尾辞エントリ・キャッシュの設定をチューニングして、パフォーマンスを最適化できます。Directory Serverにより、キャッシュ・サイズの制御が簡単になり、一度チューニングすると、サーバーはキャッシュ設定に厳密に従います。

デフォルトでは、エントリ・キャッシュは、負荷に応じて、完全にサーバーによって管理されています。エントリ・キャッシュ設定を変更する前に、デフォルト値を使用したときのサーバーのパフォーマンスを評価することをお薦めします。チューニングの推奨事項については、『Oracle Directory Server Enterprise Editionリファレンス』および『Oracle Directory Server Enterprise Editionデプロイメント・プランニング・ガイド』を参照してください。

dsconfコマンドを使用してキャッシュ・サイズをチューニングします。詳細は、dsconfのマニュアル・ページを参照してください。

この項では、Directory Serverのキャッシュの主な機能について説明します。

4.1.1 動的メモリーを使用する場合のしきい値の設定

Directory Serverを使用すると、キャッシュを目的とするメモリーの使用量を厳密に制御できるため、メモリーの使用量が削減されます。動的メモリーを使用する場合、最小しきい値および最大しきい値を指定します。このしきい値に達すると、Directory Serverは、接尾辞エントリ・キャッシュのメモリーの解放を試み、メモリーの使用量を制御し続けます。サーバー・キャッシュが最大しきい値に達した場合、サーバーはメモリーを積極的に解放します。パフォーマンスに影響があるのは、最大しきい値に達したときのみです。

この機能では、ソフトしきい値およびハードしきい値の2つの構成可能なしきい値が提供されます。ソフトしきい値に達すると、ディレクトリ・サーバーは、他の操作と同時にメモリーを解放しようとします。ハードしきい値に達すると、メモリーを解放している間は、キャッシュ上の操作は行われません。これらの2つのしきい値は、2つのサーバー・プロパティで定義されます。

  • heap-high-threshold-sizeは、ハードしきい値を指定します。

  • heap-low-threshold-sizeは、ソフトしきい値を指定します。

この2つのサーバー・プロパティの詳細は、serverのマニュアル・ページを参照してください。

4.1.2 エントリ・キャッシュ・のメモリー割当ての最適化

エントリ・キャッシュのサイズによって、メモリーの割当て方法が決まります。たとえば、キャッシュが2ギガバイトより小さい場合、サーバーは、メモリー・プールを1つ使用します。キャッシュ・サイズが2ギガバイトより大きい場合、サーバーは、特定のサイズに分けられた各プールを必要な数だけ使用してキャッシュ・メモリーを最適化します。

デフォルトでは、エントリ・キャッシュは、負荷に応じて、完全にサーバーによって管理されています。エントリ・キャッシュ設定を変更する前に、デフォルト値を使用したときのサーバーのパフォーマンスを評価することをお薦めします。

設定できるキャッシュ・サイズ・プロパティの詳細は、『Oracle Directory Server Enterprise Edition管理者ガイド』またはserverのマニュアル・ページを参照してください。チューニングの推奨事項については、『Oracle Directory Server Enterprise Editionリファレンス』および『Oracle Directory Server Enterprise Editionデプロイメント・プランニング・ガイド』を参照してください。

4.2 ログ管理の機能強化

このバージョンのDirectory Serverでは、時間ベースのログ・ローテーション、アクセス、エラーおよび監査ログのオンデマンド・ローテーション機能およびログ・ファイルの構成可能な権限が機能強化されています。また、プロキシ認可の際のユーザーのロギングがさらに柔軟になりました。

次の項では、Directory Serverのロギング機能の変更内容について説明します。

4.2.1 時間ベースのログ・ローテーションと削除

Directory Serverは、指定期間の後だけでなく、指定した時間でもログをローテーションしたり削除することができます。この機能を使用すると、ローテーションされた各ログ・ファイルの期間が同じになるため、ログ解析および傾向分析などの操作をより簡単に実行できるようになります。また、この機能は、特定のログ・ファイルが対象とする特定の期間を簡単に判断できるため、これを使用して監査およびセキュリティ要件を満たすこともできます。

ログを時間間隔に応じてローテーションするか、ログ・ファイルのサイズに応じてローテーションするかを指定できます。次の図は、DSCCを使用して、ログ・ローテーションを1週間に1度午前0時に実行し、またサイズ制限が100メガバイトを超えたときにログ・ファイルをローテーションするよう構成していることを示しています。

config-log-rotate.pngの説明が続きます
図config-log-rotate.pngの説明

rotation-timeログ・プロパティの詳細は、logのマニュアル・ページを参照してください。

たとえば、アクセス・ログの現在の構成をコマンドラインで次のように表示することができます。

$ dsconf get-log-prop -p 20390
enabled                   :  on
level                     :  default
max-age                   :  1M
max-disk-space-size       :  500M
max-file-count            :  10
max-size                  :  100M
min-free-disk-space-size  :  5M
path                      :  /install-path/sA1/logs/access
perm                      :  600
rotation-interval         :  1d
rotation-min-file-size    :  unlimited
rotation-time             :  undefined
verbose-enabled           :  N/A

コマンドラインを使用して、アクセス・ログのローテーション間隔を次のように変更できます。

$ dsconf set-log-prop -p 20390 rotation-interval:2d

4.2.2 オンデマンド・ログ・ローテーション

Directory Serverアクセス、エラーおよび監査ログを手動でローテーションできます。この機能は、ファイルを調べているときに、サーバーの現在のログ・ファイルへの書込みを停止する場合に便利です。時間ベースのログ・ローテーションの他に、システム・スケジューラ・ユーティリティを備えたこの機能を使用することもできます。

DSCCを使用して、アクセス・ログをローテーションできます。次の図は、ロギング構成スクリーンおよび「ログ・ファイルをただちにローテーション」ボタンを示しています。このボタンをクリックすると、現在のログ・ファイルを閉じて新しいログを開始できます。

rotatelog.pngの説明が続きます
図rotatelog.pngの説明

コマンドラインからアクセス・ログをローテーションするには、次のように入力します。

$ dsconf rotate-log-now -p 20390

rotate-log-nowサブコマンドの詳細は、dsconfのマニュアル・ページを参照してください。

4.2.3 構成可能なログ・ファイル権限の設定

Directory Serverは、ログ・ファイルの作成に使用される権限を構成する機能を提供し、ログの権限をデフォルト値から変更できます。この機能で、サーバーを起動するユーザーが実行できる操作を厳密に制御することができます。同時に、ログに含まれている重要な時間依存の情報にアクセスする特定のアプリケーションおよび他のユーザーを許可することができます。

Directory Serverでは、ログ・ファイルの作成に使用される権限を指定できます。

次の図に示すとおり、dsconfコマンドを使用するか、DSCCを使用して、ログ・ファイルの作成権限を設定できます。

log-permissions.pngの説明が続きます
図log-permissions.pngの説明

permログ・プロパティの詳細は、logのマニュアル・ページを参照してください。

4.2.4 永続検索の監視と管理

サーバーで実行されている永続検索の数を監視したり、永続検索の最大数を設定することができるようになりました。永続検索の数を監視するには、cn=monitorの下に保存されているcurrentpsearches属性の値を表示します。永続検索の最大数を設定するには、コマンドdsconf set-server-prop max-psearch-count:numberを使用します。この機能は、永続検索に関連したパフォーマンスの問題をトラブルシューティングしたり防止する場合に便利です。

4.3 参照先

この章に記載の機能の詳細は、次のドキュメントを参照してください。

機能 ドキュメント

Directory Serverのパフォーマンス要件

『Oracle Directory Server Enterprise Editionデプロイメント・プランニング・ガイド』パフォーマンス要件の定義に関する説明

キャッシュおよびDirectory Serverによるそれらの使用方法の概要

『Oracle Directory Server Enterprise Editionリファレンス』キャッシュおよびDirectory Serverによるそれらの使用方法に関する説明

パフォーマンス向上を目的としたキャッシュ設定のチューニング

『Oracle Directory Server Enterprise Editionデプロイメント・プランニング・ガイド』キャッシュ設定のチューニングに関する説明

Directory Serverロギングの概要

『Oracle Directory Server Enterprise Editionリファレンス』の第10章のDirectory Serverのロギングに関する説明

Directory Serverログの管理

『Oracle Directory Server Enterprise Edition管理者ガイド』の第14章のDirectory Serverのロギングに関する説明