Oracle® Fusion Middleware Oracle Directory Server Enterprise Edition評価ガイド 11g リリース1 (11.1.1.7.0) B72442-01 |
|
![]() 前 |
![]() 次 |
この章では、最高のパフォーマンスを得るためのデプロイメントのチューニングを容易にするDirectory Server機能について紹介します。Directory Server自体にも、ほとんどすべての操作のパフォーマンスを強化する機能が含まれています。
この章の内容は、次のとおりです。
クライアントのリクエストに対して迅速に応答できるように、Directory Serverは、ディレクトリの情報をメモリーにキャッシュします。最高のパフォーマンスを得るために、接尾辞エントリ・キャッシュの設定をチューニングして、パフォーマンスを最適化できます。Directory Serverにより、キャッシュ・サイズの制御が簡単になり、一度チューニングすると、サーバーはキャッシュ設定に厳密に従います。
デフォルトでは、エントリ・キャッシュは、負荷に応じて、完全にサーバーによって管理されています。エントリ・キャッシュ設定を変更する前に、デフォルト値を使用したときのサーバーのパフォーマンスを評価することをお薦めします。チューニングの推奨事項については、『Oracle Directory Server Enterprise Editionリファレンス』および『Oracle Directory Server Enterprise Editionデプロイメント・プランニング・ガイド』を参照してください。
dsconf
コマンドを使用してキャッシュ・サイズをチューニングします。詳細は、dsconfのマニュアル・ページを参照してください。
この項では、Directory Serverのキャッシュの主な機能について説明します。
Directory Serverを使用すると、キャッシュを目的とするメモリーの使用量を厳密に制御できるため、メモリーの使用量が削減されます。動的メモリーを使用する場合、最小しきい値および最大しきい値を指定します。このしきい値に達すると、Directory Serverは、接尾辞エントリ・キャッシュのメモリーの解放を試み、メモリーの使用量を制御し続けます。サーバー・キャッシュが最大しきい値に達した場合、サーバーはメモリーを積極的に解放します。パフォーマンスに影響があるのは、最大しきい値に達したときのみです。
この機能では、ソフトしきい値およびハードしきい値の2つの構成可能なしきい値が提供されます。ソフトしきい値に達すると、ディレクトリ・サーバーは、他の操作と同時にメモリーを解放しようとします。ハードしきい値に達すると、メモリーを解放している間は、キャッシュ上の操作は行われません。これらの2つのしきい値は、2つのサーバー・プロパティで定義されます。
heap-high-threshold-size
は、ハードしきい値を指定します。
heap-low-threshold-size
は、ソフトしきい値を指定します。
この2つのサーバー・プロパティの詳細は、serverのマニュアル・ページを参照してください。
エントリ・キャッシュのサイズによって、メモリーの割当て方法が決まります。たとえば、キャッシュが2ギガバイトより小さい場合、サーバーは、メモリー・プールを1つ使用します。キャッシュ・サイズが2ギガバイトより大きい場合、サーバーは、特定のサイズに分けられた各プールを必要な数だけ使用してキャッシュ・メモリーを最適化します。
デフォルトでは、エントリ・キャッシュは、負荷に応じて、完全にサーバーによって管理されています。エントリ・キャッシュ設定を変更する前に、デフォルト値を使用したときのサーバーのパフォーマンスを評価することをお薦めします。
設定できるキャッシュ・サイズ・プロパティの詳細は、『Oracle Directory Server Enterprise Edition管理者ガイド』またはserverのマニュアル・ページを参照してください。チューニングの推奨事項については、『Oracle Directory Server Enterprise Editionリファレンス』および『Oracle Directory Server Enterprise Editionデプロイメント・プランニング・ガイド』を参照してください。
このバージョンのDirectory Serverでは、時間ベースのログ・ローテーション、アクセス、エラーおよび監査ログのオンデマンド・ローテーション機能およびログ・ファイルの構成可能な権限が機能強化されています。また、プロキシ認可の際のユーザーのロギングがさらに柔軟になりました。
次の項では、Directory Serverのロギング機能の変更内容について説明します。
Directory Serverは、指定期間の後だけでなく、指定した時間でもログをローテーションしたり削除することができます。この機能を使用すると、ローテーションされた各ログ・ファイルの期間が同じになるため、ログ解析および傾向分析などの操作をより簡単に実行できるようになります。また、この機能は、特定のログ・ファイルが対象とする特定の期間を簡単に判断できるため、これを使用して監査およびセキュリティ要件を満たすこともできます。
ログを時間間隔に応じてローテーションするか、ログ・ファイルのサイズに応じてローテーションするかを指定できます。次の図は、DSCCを使用して、ログ・ローテーションを1週間に1度午前0時に実行し、またサイズ制限が100メガバイトを超えたときにログ・ファイルをローテーションするよう構成していることを示しています。
rotation-time
ログ・プロパティの詳細は、logのマニュアル・ページを参照してください。
たとえば、アクセス・ログの現在の構成をコマンドラインで次のように表示することができます。
$ dsconf get-log-prop -p 20390 enabled : on level : default max-age : 1M max-disk-space-size : 500M max-file-count : 10 max-size : 100M min-free-disk-space-size : 5M path : /install-path/sA1/logs/access perm : 600 rotation-interval : 1d rotation-min-file-size : unlimited rotation-time : undefined verbose-enabled : N/A
コマンドラインを使用して、アクセス・ログのローテーション間隔を次のように変更できます。
$ dsconf set-log-prop -p 20390 rotation-interval:2d
Directory Serverアクセス、エラーおよび監査ログを手動でローテーションできます。この機能は、ファイルを調べているときに、サーバーの現在のログ・ファイルへの書込みを停止する場合に便利です。時間ベースのログ・ローテーションの他に、システム・スケジューラ・ユーティリティを備えたこの機能を使用することもできます。
DSCCを使用して、アクセス・ログをローテーションできます。次の図は、ロギング構成スクリーンおよび「ログ・ファイルをただちにローテーション」ボタンを示しています。このボタンをクリックすると、現在のログ・ファイルを閉じて新しいログを開始できます。
コマンドラインからアクセス・ログをローテーションするには、次のように入力します。
$ dsconf rotate-log-now -p 20390
rotate-log-now
サブコマンドの詳細は、dsconfのマニュアル・ページを参照してください。
Directory Serverは、ログ・ファイルの作成に使用される権限を構成する機能を提供し、ログの権限をデフォルト値から変更できます。この機能で、サーバーを起動するユーザーが実行できる操作を厳密に制御することができます。同時に、ログに含まれている重要な時間依存の情報にアクセスする特定のアプリケーションおよび他のユーザーを許可することができます。
Directory Serverでは、ログ・ファイルの作成に使用される権限を指定できます。
次の図に示すとおり、dsconf
コマンドを使用するか、DSCCを使用して、ログ・ファイルの作成権限を設定できます。
perm
ログ・プロパティの詳細は、logのマニュアル・ページを参照してください。
この章に記載の機能の詳細は、次のドキュメントを参照してください。
機能 | ドキュメント |
---|---|
Directory Serverのパフォーマンス要件 |
『Oracle Directory Server Enterprise Editionデプロイメント・プランニング・ガイド』のパフォーマンス要件の定義に関する説明 |
キャッシュおよびDirectory Serverによるそれらの使用方法の概要 |
『Oracle Directory Server Enterprise Editionリファレンス』のキャッシュおよびDirectory Serverによるそれらの使用方法に関する説明 |
パフォーマンス向上を目的としたキャッシュ設定のチューニング |
『Oracle Directory Server Enterprise Editionデプロイメント・プランニング・ガイド』のキャッシュ設定のチューニングに関する説明 |
Directory Serverロギングの概要 |
『Oracle Directory Server Enterprise Editionリファレンス』の第10章のDirectory Serverのロギングに関する説明 |
Directory Serverログの管理 |
『Oracle Directory Server Enterprise Edition管理者ガイド』の第14章のDirectory Serverのロギングに関する説明 |