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Oracle® Fusion Middleware Oracle Internet Directory管理者ガイド
11g リリース1(11.1.1)
B55919-05
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A 10gと11gの違い

この付録では、Oracle Internet Directoryリリース10g(10.1.4.0.1)と11g リリース1の主な違いについて説明します。この付録には、次の項があります。

A.1 インスタンスの作成とプロセスの管理

10g Oracle Internet Directoryインスタンスの作成

10g(10.1.4.0.1)以前のリリースでは、Oracle Internet Directoryインスタンスの構成情報は、次の形式の識別名を持つ構成セットに格納されていました。

cn=configsetN,cn=osdldapd,cn=subconfigsubentry

N整数です。新規のconfigsetNエントリを作成して新規Oracle Internet Directoryインスタンスを作成し、

oidctl connect=connStr config=N inst=InstNum flags="...." start

を実行してインスタンスを起動していました。

11g Oracle Internet Directoryインスタンスの作成

11g リリース1では、インスタンスを作成する手順が変更されました。現在、Oracle Internet Directoryインスタンスの構成情報は、次の書式の識別名を持つインスタンス固有の構成エントリに格納されています。

cn=componentname,cn=osdldapd,cn=subconfigsubentry

componentnameは、Type=OIDのOracle Fusion Middlewareシステム・コンポーネントの名前(oid1など)です。インスタンス固有の構成エントリは手動で作成しません。かわりに、Type=OIDのOracle Fusion Middlewareコンポーネントを作成します。Oracle Internet Directoryコンポーネントを作成すると、インスタンス固有の構成エントリが自動的に生成されます。


注意:

configset0のエントリは11gにありますが、読取り専用であり、新規のインスタンス固有の構成エントリの生成時にデフォルトの属性値を格納するために使用されます。


最初のOracle Internet Directoryシステム・コンポーネントは、インストール時に作成されます。最初のOracle Internet Directoryシステム・コンポーネント(デフォルトではoid1)は、デフォルトではOracleインスタンス名asinst_1を使用してインストール時に作成されます。このコンポーネントに対応する構成エントリはcn=oid1,cn=osdldapd,cn=subconfigsubentryです。Oracle Internet Directoryインスタンスの追加作成には、次の2つの方法を使用します。

推奨される方法は、opmnctlを使用してシステム・コンポーネントを追加することです。opmnctlを使用したコンポーネントの追加によってインスタンスを作成する場合、インスタンスの停止および起動にはopmnctlまたはOracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlを使用し、oidctlは使用しません。第8.3.7項「opmnctlを使用したOracle Internet Directoryサーバーの起動」および第8.2.2項「Fusion Middleware Controlを使用したOracle Internet Directoryサーバーの起動」を参照してください。

インスタンスの構成属性は、Fusion Middleware Control、LDAPツールまたはOracle Directory Services Managerを使用して更新できます。第9章「システム構成属性の管理」を参照してください。

opmnctlを使用してoid2というコンポーネント名のシステム・コンポーネントを追加すると、componentname=oid2の追加インスタンスが特定のOracleインスタンス(デフォルトではasinst_1)内に構成されます。このOracle Internet Directoryのインスタンスは、ias-component=oid2を指定したopmnctlコマンドまたはFusion Middleware Controlを使用して起動および停止できます。このインスタンスのインスタンス固有の構成エントリはcn=oid2,cn=osdldapd,cn=subconfigsubentryで、このエントリの構成属性を更新してインスタンスをカスタマイズできます。インスタンス固有の構成属性の詳細は、第9.1.3項「インスタンス固有の構成エントリの属性」を参照してください。


注意:

WebLogicドメインの一部としてではなく、スタンドアロン・サーバーとしてOracle Internet Directoryが稼働している場合、oidctlを使用してインスタンスを作成できます。oidctlを使用してインスタンスを作成した場合、oidmonおよびoidctlを使用してインスタンスを停止および起動する必要があります。oidctlを使用して作成したOracle Internet Directoryインスタンスは、WebLogicサーバーに登録できないため、Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlを使用してインスタンスを管理できません。付録B「OIDCTLを使用したOracle Internet Directoryインスタンスの管理」を参照してください。


11gのレプリケーション・サーバー

インスタンスでレプリケーションを初めて開始する場合、oidctlまたはOracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlを使用します。その後は、opmnctlでコンポーネントの停止および起動時にレプリケーションを停止および起動します。管理目的でOracle Internet Directoryレプリケーション・サーバーを停止および起動する必要がある場合、oidctlまたはOracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlを使用します。

11gのOIDMON

11g リリース1では、OIDMONがOracle Internet Directoryのすべてのプロセス(ディスパッチャ、ディレクトリ・サーバーおよびレプリケーション・サーバー)のステータスを監視してOPMNにレポートします。OIDMONのこの監視により、Fusion Middleware ControlはOracle Internet Directoryのステータスを正確にレポートできます。

A.2 構成属性の場所

Oracle Internet Directoryの構成情報は、DIT内の構成属性に格納されます。構成属性とその場所、および管理手順の詳細は、第9章「システム構成属性の管理」を参照してください。

10g(10.1.4.0.1)では、構成可能な多くのOracle Internet Directory属性は、DSEルートとconfigsetエントリ(cn=configset0,cn=osdldapd,cn=subconfigsubentryなど)にありました。11g リリース1では、これらの大半がインスタンス固有の構成エントリまたはDSA構成エントリに移動しました。

10g(10.1.4.0.1)でインスタンス固有の構成セットにあった属性の大半は、11g リリース1ではインスタンス固有の構成エントリに格納されています。また、DSA構成エントリにあった一部の属性はインスタンス固有となり、インスタンス固有の構成エントリに移動されました。


注意:

  • 11gへのアップグレード時、属性は新しい場所にデフォルト値で作成されます。アップグレード前の属性値は、属性が11gで同じ場所にないかぎり保持されません。

  • 属性をコマンドラインから管理する場合、コマンドラインまたはLDIFファイルで指定する識別名が、属性の11gでの場所を反映していることを確認します。


表A-1に、10gの属性とその属性の10gと11gでの場所、および11gでのデフォルト値を示します。次の表で、インスタンス固有とは、属性がインスタンス固有の構成エントリ(cn=oid1,cn=osdldapd,cn=subconfigsubentryなど)にあることを意味し、DSA構成はcn=dsaconfig,cn=configsets,cn=oracle internet directoryのことです。DSA構成エントリの属性は、Oracle Internet Directoryのすべてのインスタンスとコンポーネントで共有されます。

表A-1 10gの属性の新しい場所

属性 10gでの場所 11gでの場所 11gでのデフォルト値

orclanonymousbindsflag

ルートDSE

インスタンス固有

1

orcldataprivacymode

DSA構成

DSA構成

0

orcldebugflag

ルートDSE

インスタンス固有

0

orcldebugforceflush

DSA構成

インスタンス固有

0

orcldebugop

ルートDSE

インスタンス固有

511

orclecacheenabled

ルートDSE

DSA構成

1

orclecachemaxentries

ルートDSE

DSA構成

100000

orclecachemaxentsize

DSA構成

DSA構成

1000000

orclecachemaxsize

ルートDSE

DSA構成

200000000

orclenablegroupcache

ルートDSE

インスタンス固有

1

orcleventlevel

ルートDSE

インスタンス固有

0

orclldapconntimeout

DSA構成

インスタンス固有

0

orclmatchdnenabled

ルートDSE

DSA構成

1

orclmaxcc

コンフィグセット

インスタンス固有

2

orclmaxconnincache

DSA構成

インスタンス固有

100000

orclnwrwtimeout

DSA構成

インスタンス固有

30

orcloptcontainsquery

ルートDSE

DSA構成

0

orcloptracklevel

DSA構成

インスタンス固有

0

orcloptrackmaxtotalsize

DSA構成

インスタンス固有

100000000

orclpkimatchingrule

DSA構成

DSA構成

2

orclrefreshdgrmems

DSA構成

DSA構成

0

orclsaslauthenticationmode

コンフィグセット

インスタンス固有

auth-conf

orclsaslcipherchoice

コンフィグセット

インスタンス固有

Rc4-56、des、3des、rc4、rc4-40

orclsaslmechanism

コンフィグセット

インスタンス固有

DIGEST MD5、EXTERNAL

orclsdumpflag

DSA構成

インスタンス固有

0

orclservermode

ルートDSE

インスタンス固有

rw

orclserverprocs

コンフィグセット

インスタンス固有

1

orclsizelimit

ルートDSE

インスタンス固有

10000

orclskewedattribute

DSA構成

DSA構成

objectclass

orclskiprefinsql

DSA構成

DSA構成

0

orclsslauthentication

コンフィグセット

インスタンス固有

1

orclsslenable

コンフィグセット

インスタンス固有

0

orclsslversion

コンフィグセット

インスタンス固有

3

orclsslwalleturl

コンフィグセット

インスタンス固有

File:

orclstatsdn

DSA構成

DSA構成


orclstatsflag

ルートDSE

インスタンス固有

1

orclstatslevel

ルートDSE

インスタンス固有

0

orclstatsperiodicity

DSA構成

インスタンス固有

30

orcltimelimit

ルートDSE

インスタンス固有

3600

orcltlimitmode

DSA構成

DSA構成

1


A.3 デフォルト・ポート

Oracle Internet Directoryのインストール時、Oracle Identity Management 11gインストーラは特定の手順に従ってSSLおよび非SSLポートを割り当てます。まず、非SSLポートとして3060の使用を試みます。そのポートが使用できない場合、3061から3070のポートを試し、次に13060から13070のポートを試します。同様に、SSLポートとして3131を試し、次に3132から3141のポート、その後13131から13141のポートを試します。

Oracle Internet Directoryで特権ポートを使用する場合、staticports.iniを使用してインストール時にデフォルトをオーバーライドできます。(『Oracle Fusion Middleware Oracle Identity Managementインストレーション・ガイド』を参照してください。)インストール後に、ポート番号を再設定することもできます。第7.2.8項「Enabling Oracle Internet Directoryの特権ポートでの実行の有効化」を参照してください。


注意:

Oracle Internet Directoryの旧バージョンから11g リリース1へアップグレードする場合、旧バージョンのポート番号が保持されます。


A.4 サーバー・デバッグの有効化

10gでは、サーバーを起動する際にデバッグ・オプションを使用するか、ルートDSEにあるorcldebugflagを設定してデバッグを有効にすることができました。

11gでは、サーバーの起動時にデバッグ・オプションを使用してデバッグを有効にすることはできません。ディレクトリ・サーバーのデバッグは、属性orcldebugflagを変更することにより有効にします。この属性は、次の形式の識別名を持つインスタンス固有の構成エントリにあります。

cn=componentname,cn=osdldapd,cn=subconfigsubentry

orcldebugflagは、Fusion Middleware Controlの「サーバー・プロパティ」ページの「ロギング」タブまたはldapmodifyを使用して変更できます。たとえば、次のLDIFファイルを使用して、システム・コンポーネントoid1のOracle Internet Directoryインスタンスを大容量トレースのデバッグ用に構成できます。

dn: cn=oid1,cn=osdldapd,cn=subconfigsubentry
changetype: modify
replace: orcldebugflag
orcldebugflag: 1

詳細は、第24章「ロギングの管理」を参照してください。

レプリケーション・サーバーのデバッグは、レプリケーション構成セットの属性orcldebuglevelを変更して有効にします。

表42-4「レプリケーション構成セットの属性」に、次の識別名を持つレプリケーション構成セットの属性とその説明を示します。

cn=configset0,cn=osdrepld,cn=subconfigsubentry

orcldebuglevelの変更には、ldapmodifyまたはFusion Middleware Controlの「共有プロパティ」、「レプリケーション」タブを使用できます。詳細は、第42章「レプリケーション構成属性の管理」を参照してください。

A.5 コマンドライン・ツール

ほとんどのコマンドで、環境変数ORACLE_INSTANCEの設定が必要になりました。

新しいオプションがopmnctlおよびoidctlに追加されました。

一部のOracle Internet Directory管理ツールおよびバルク・ツールは、接続先のOracle Databaseを指定するconnect引数をとります。10gでは、コマンドラインにconnect引数を含めなかった場合、環境変数ORACLE_SIDの値がデフォルトで使用されました。11g リリース1では、connect引数を使用してデータベースを指定する必要があります。Oracle Internet DirectoryとOracle Databaseは同じORACLE_HOMEにインストールされないため、ORACLE_SIDは無関係です。したがって、connect=oiddbのようにconnect引数を使用してデータベースを指定する必要があります。

A.6 パス名

Oracle Fusion Middleware 11g リリース1では、更新可能なファイルはORACLE_INSTANCE下にインストールされ、製品バイナリの大半はORACLE_HOME下に格納されます。その結果、大部分の構成ファイルとログ・ファイルのパス名が10g(10.1.4.0.1)と異なります。表A-2に例を示します。

表A-2 変更されたパス名の例

ファイル名 10g(10.1.4.0.1)での場所 11g リリース1での場所

Orclpwdlldap1

OidpwdrSID

ORACLE_HOME/ldap/admin

ORACLE_INSTANCE/OID/admin

Tnsnames.ora

ORACLE_HOME/network/admin

ORACLE_HOME/config

Oidldapd*.log

oidmon*.log

ORACLE_HOME/ldap/log

ORACLE_HOME/diagnostics/logs/OID/componentName

bulkload.log

bulkdelte.log

catalog.log

ORACLE_HOME/ldap/log

ORACLE_HOME/diagnostics/logs/OID/tools

bulkload中間ファイル

ORACLE_HOME/ldap/load

ORACLE_HOME/OID/load

opmnctl

ORACLE_HOME/opmn/bin

ORACLE_INSTANCE/bin

opmn.xmll

ORACLE_HOME/opmn/conf

ORACLE_INSTANCE/config/OPMN/opmn


A.7 グラフィカル・ユーザー・インタフェース

11g リリース1には、Oracle Directory ManagerおよびOracle Internet Directory Grid Control Plug-inが存在しません。これらの機能は、Oracle Directory Services ManagerとOracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlに置き換えられました。

詳細は、次の項を参照してください。

A.8 監査

リリース11g リリース1では、Oracle Internet DirectoryはOracle Fusion Middlewareと統合された監査フレームワークを使用します。

監査は、Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware ControlまたはWebLogic Scripting Tool wlstを使用して構成できます。

属性orclAudFilterPresetによって、10g(10.1.4.0.1)で使用されている監査レベルが置き換えられます。NoneLowMediumAllまたはCustomに設定できます。

Oracle Internet Directoryガベージ・コレクタはもう必要ありません。

A.9 参照整合性

参照整合性が完全に実装しなおされました。コマンドラインまたはOracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlを使用して構成できます。

A.10 サーバー・チェーン

サーバー・チェーンで、Microsoft Active DirectoryおよびSun Java System Directory Server(以前のSunONE iPlanet)に加えてNovell eDirectoryがサポートされるようになりました。属性mapUIDtoADAttributeshowExternalGroupEntriesshowExternalUserEntriesおよびaddOrcluserv2ToADUsersは、Oracle Internet Directory 10g(10.1.4.0.1)から追加されています。

A.11 レプリケーション

LDAPベースのレプリケーションは、Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlを使用して設定および管理できます。個別の「レプリケーション」ページでレプリケーション・サーバーを制御する属性を調整できます。

LDAPベースのレプリケーションをマルチマスター・ディレクトリ・レプリケーション・グループに使用できるようになりました。この目的でOracle Databaseアドバンスト・レプリケーション・ベースのレプリケーションを使用する必要がなくなりました。ただし、Oracle Single Sign-Onをレプリケートする必要がある場合、Oracle Databaseアドバンスト・レプリケーション・ベースのレプリケーションを使用する必要があります。

A.12 Oracle Directory Integration Platform

10g(10.1.4.0.1)では、Oracle Directory Integration Platformサーバーは、LDAPサーバーやレプリケーション・サーバーと同様にOIDMONで制御されていました。11g リリース1では、Oracle Directory Integration PlatformはJ2EEアプリケーションとして再実装され、Oracle Internet Directoryサーバーとは別に起動および停止されます。


関連項目:

『Oracle Fusion Middleware Oracle Directory Integration Platform管理者ガイド』


A.13 Oracle Single Sign-OnとOracle Delegated Administration Services

Oracle Fusion Middleware 11g リリース1には、Oracle Single Sign-OnもOracle Delegated Administration Servicesも含まれていません。ただし、Oracle Internet Directory 11g リリース1は、Oracle Single Sign-On 10g(10.1.4.3.0)以上およびOracle Delegated Administration Services 10g(10.1.4.3.0)以上と互換性があります。

A.14 Javaコンテナ

Oracle Application Server 10gでは、Oracle Containers for JavaのインスタンスでJavaアプリケーションが実行されていました。現行リリースでは、それらはWebLogicのインスタンスで実行されます。Oracle Directory Services ManagerとOracle Directory Integration Platformは、WebLogic管理対象サーバーで実行されるJavaコンポーネントです。

CプログラムのOracle Internet Directory LDAPサーバーおよびレプリケーション・サーバーはシステム・コンポーネントで、この変更による影響を受けません。Javaサーバー・プラグインは oidldapdサーバー自体の内部にあるJVMで実行されます。これは、Java Native Interface(JNI)を使用して実装されます。


関連項目: