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Oracle® Fusion Middleware Oracle Business Intelligence Publisherデータ・モデリング・ガイド
11g リリース1 (11.1.1)
B66712-03
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1 データ・モデル・エディタの使用

この章では、BI Publisherのデータ・モデル・エディタでサポートされているコンポーネントおよび機能について説明します。

この章の内容は次のとおりです。

1.1 データ・モデルとは

データ・モデルとは、レポート用のデータをBI Publisherで取得および構造化する命令のセットを含んだオブジェクトです。データ・モデルは、個別のオブジェクトとしてカタログ内に存在します。

極端に簡略化すると、データ・モデルは単一のデータソースから取得される1つのデータ・セットになります(たとえば、employees表の列から返されるデータ)。また、データ・モデルは、複数のデータ・セットに加え、パラメータ、トリガーおよびバースティング定義を含む複合的なものになることもあります。

データ・モデルを構築するには、データ・モデル・エディタを使用します。

1.2 データ・モデルのコンポーネント

データ・モデルでは、次のコンポーネントをサポートしています。

1.3 データ・モデル・エディタの機能

データ・モデル・エディタは、様々なデータソース(SQL、Excelファイル、Webサービス、HTTPフィード、その他のアプリケーションなど)からの複数のデータ・セットのデータを単一のXMLデータ構造に結合するために使用します。各データ・セットは関連のないものであることも、データ・セット間にデータ・リンクを使用してリレーションシップが確立されていることもあります。

データ・モデル・エディタでは、次のタスクを実行できます。

1.4 データソースのオプションについて

BI Publisherは、各種のデータソース・タイプによるデータ・セットの作成をサポートしています。これらは、次の3つの一般的なタイプに分類できます。

最初のタイプは、BI Publisherでソースからメタデータ情報を取得できるデータ・セットです。このようなデータ・セットのタイプについては、データ・モデル・エディタのすべての機能がサポートされます。該当するデータ・セットは、次のとおりです。

2番目のタイプについては、BI Publisherでデータソースから列名とデータ型の情報を取得できますが、データの処理や構造化はできません。このようなデータ・セットのタイプについては、データ・モデル・エディタ機能の一部のみがサポートされます。該当するデータ・セットは、次のとおりです。

3番目のデータ・タイプについては、BI Publisherはソース側で生成および構造化してあるデータを取得しますが、データ・モデル・エディタで追加の変更を適用できません。該当するデータ・セットは、次のとおりです。

1.5 データ・モデル作成プロセスの概要

表1-1は、データ・モデル作成プロセスの概要のリストです。

表1-1 データ・モデル作成のプロセス

手順 参照先

データ・モデル・エディタを起動します。

第1.6項「データ・モデル・エディタの起動」


データ・モデルのプロパティを設定します。(オプション)

第1.7項「データ・モデルのプロパティの設定」


データ・モデル用のデータ・セットを作成します。

第2章「データ・セットの作成」


データ出力構造を定義します。(オプション)

第3章「データの構造化」


問合せに渡すパラメータを定義し、ユーザーがパラメータ値を選択するための値リストを定義します。(オプション)

第4章「パラメータと値リストの追加」


イベント・トリガーを定義します。(オプション)

第5.1項「トリガーについて」


(Oracle Applicationsのみ)フレックスフィールドを定義します。(オプション)

第6章「フレックスフィールドの追加」


データ・モデルをテストして、サンプル・データを追加します。

第2.16項「データ・モデルのテストとサンプル・データの生成」


バースティング定義を追加します。(オプション)

第7章「バースティング定義の追加」



1.6 データ・モデル・エディタの起動

次のいずれかの方法で、データ・モデル・エディタをBI Publisherグローバル・ヘッダーまたは「ホーム」ページから起動します。

グローバル・ヘッダーからデータ・モデル・エディタを起動するには:

  1. 「新規」をクリックしてから、「データ・モデル」をクリックしてデータ・モデル・エディタを開きます。

「ホーム」ページからデータ・モデル・エディタを起動するには:

  1. 「作成」リージョンで、「データ・モデル」をクリックします。

「データ・セット」ページがデフォルト・ページであり、図1-2のように表示されます。

図1-1 「データ・セット」ページ

データ・モデル・エディタのインタフェース

1.6.1 データ・モデル・エディタのインタフェースについて

データ・モデル・エディタは、左側がコンポーネント・ペインになり、右側が作業ペインになるように設計されています。左ペインでコンポーネントを選択すると、そのコンポーネントに該当するフィールドが作業領域に現れます。

データ・モデル・エディタのツールバー(図1-2を参照)の機能は、次のとおりです。

図1-2 データ・モデル・エディタのツールバー

データ・モデル・エディタのツールバー
  • プライベート・データ・ソースの管理: 「プライベート・データ・ソースの管理」ダイアログが開きます。このダイアログでは、SQLデータ・セットで使用するプライベート・データソース接続を作成します。

  • データの表示: 「データ」タブが表示されます。このタブでは、サンプル・データの表示と生成を行います。

  • レポートの作成: レポートを作成するためのレポート・ウィザードが起動します。「データ・モデル」フィールドには自動的に、現在のデータ・モデル名が入力されます。

  • 保存/別名保存: 「保存」を選択すると作業中の内容が既存のデータ・モデル・オブジェクトに保存され、「別名保存」を選択するとデータ・モデルが新しいオブジェクトとしてカタログに保存されます。

  • ヘルプ: データ・モデル・エディタのオンライン・ヘルプが表示されます。

1.7 データ・モデルのプロパティの設定

図1-3に示す「データ・モデル」の「プロパティ」ページにアクセスするには、コンポーネント・ペインの「データ・モデル」ノードをクリックします。

図1-3 データ・モデルのプロパティ

データ・モデル・エディタのインタフェース

データ・モデルの次のプロパティを入力します。

説明 - ここに入力した説明が、カタログに表示されます。この説明は、翻訳可能です。

デフォルトのデータソース - リストからデータソースを選択します。データ・モデルには、1つ以上のデータソースからの複数のデータ・セットを含めることができます。ここで選択したデフォルトのデータソースは、新しいSQLデータ・セットを定義するときにデフォルトとして提示されます。セッションの開始後に追加された新規データソースを表示するには、「データソース・リストのリフレッシュ」を選択します。

Oracle DBデフォルト・パッケージ - Oracleデータベースに対する問合せが定義してあるときには、データ・モデル内にBeforeまたはAfterデータ・トリガー(イベント・トリガー)を含めることができます。イベント・トリガーは、RDBMSレベルの関数を実行するためにPL/SQLパッケージを使用します。イベント・トリガーまたはPL/SQLグループ・フィルタを含んでいるデータ・モデルについては、ここにデフォルトのPL/SQLパッケージを入力する必要があります。このパッケージは、デフォルトのデータソースに存在している必要があります。

データベース・フェッチ・サイズ: JDBC接続を通じて一度にフェッチされる行数を設定します。この値によって、システム・プロパティで設定した値はオーバライドされます。この値とサーバー設定のどちらもが定義されていない場合は、デフォルト値の300が使用されます。

詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Business Intelligence Publisher管理者ガイド』の一般プロパティの設定に関する項を参照してください。

スケーラブル・モードの有効化: 巨大なデータ・セットを処理するには、大量のRAMが必要になります。メモリー不足を防止するには、データ・エンジンのスケーラブル・モードを有効にします。スケーラブル・モードでは、データの処理時に、データ・エンジンがディスク領域を利用します。

バックアップ・データソース - このデータソースに対するバックアップ・データベースが設定済の場合は、「バックアップ接続の有効化」を選択してこのオプションを有効化しておき、BI Publisherでバックアップを使用する必要があるときに、そのバックアップ・データベースを選択します。


注意:

この機能を利用するには、選択したデータソースのバックアップ・データソースを使用できるようにしておく必要があります。詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Business Intelligence Publisher管理者ガイド』のバックアップ・データベースに関する項を参照してください。


1.7.1 XML出力のオプション

これらのオプションでは、XMLデータ構造の特性を定義します。これらのオプションを変更すると、そのデータ・モデルに基づいて構築されたレイアウトに影響を与えることがあります。

  • パラメータ・タグを含める - データ・モデルにパラメータを定義する場合は、このボックスを選択してXML出力ファイルにパラメータ値を含めます。データ・モデルにパラメータを追加する手順の詳細は、第4章「パラメータと値リストの追加」を参照してください。このオプションは、レポート内でパラメータ値を使用する必要がある場合に有効化します。

  • Null要素用の空のタグを含める - 出力のXMLデータにNULL値を保持する要素を含める場合に、このボックスを選択します。NULL要素を含めると、要求された要素のデータがデータソースに格納されていない場合、その要素は<ELEMENT_ID\>のように空のXMLタグとしてXML出力に含まれるようになります。たとえば、要素MANAGER_IDに格納されたデータがないときに、NULL要素を含めるように選択していると、その要素はデータ内で<MANAGER_ID />と示されます。このオプションを選択していない場合、MANAGER_IDのエントリは示されません。

  • グループ・リスト・タグを含める - (このプロパティは、10gへの下位互換性と、Oracle Reportの移行に向けたものです)。行セットのタグを出力XMLデータに含める場合は、このボックスを選択します。グループ・リストのタグを含めると、そのグループ・リストはデータ内で別の階層として示されます。

  • XMLタグ表示 - XMLデータのタグを大文字で生成するか、小文字で生成するか、データ構造で指定した定義を保持するかを選択します。

1.7.2 データ・モデルへの添付ファイル

ページの「添付」リージョンには、アップロードしたデータ・ファイルまたは、データ・モデルに添付したデータ・ファイルが表示されます。

1.7.2.1 サンプル・データの添付

データ・モデルの構築後には、そのデータ・モデルから生成した小規模で典型的なサンプル・データのセットを添付する必要があります。サンプル・データは、BI Publisherのレイアウト編集ツールで使用します。小規模なサンプル・ファイルを使用すると、レイアウトのデザイン段階でのパフォーマンスの向上に役立ちます。

データ・モデル・エディタには、サンプル・データを生成および添付するためのオプションが用意されています。詳細は、第2.16項「データ・モデルのテストとサンプル・データの生成」を参照してください。

1.7.2.2 スキーマの添付

データ・モデル・エディタには、サンプル・スキーマをデータ・モデル定義に添付する機能があります。スキーマ・ファイルは、BI Publisherでは使用しませんが、開発者の参照用に添付できます。データ・モデル・エディタでは、スキーマの生成はサポートされません。

1.7.2.3 データ・ファイル

このレポートのデータソースとして、ローカルのMicrosoft Excel、CSVまたはXMLファイルをアップロード済の場合は、そのファイルがここに表示されます。リフレッシュ・ボタンを使用すると、このファイルをローカル・ソースによってリフレッシュできます。データソースとして使用するファイルをアップロードする方法は、第2章「データ・セットの作成」を参照してください。

図1-4に、サンプル・データとデータ・ファイルが添付されている「添付ファイル」リージョンを示します。

図1-4 サンプル・データとファイルが添付されている「添付ファイル」リージョン

「添付ファイル」リージョン

1.7.3 プライベート・データソースの管理

データ・モデル開発者は、SQLまたはMDXデータ・セットで使用するためのプライベートのJDBCおよびOLAPデータソース接続を、管理者ユーザーに依頼しなくても作成できます。ただし、管理者ユーザーも、プライベート・データソース接続を必要に応じて表示、変更および削除できます。

プライベート・データソース接続を作成するには:

  1. データ・モデル・エディタのツールバーの「プライベート・データ・ソースの管理」をクリックします。

  2. 接続タイプのタブ「JDBC」または「OLAP」を選択し、「データソースの追加」をクリックします(図1-5を参照)。

    図1-5 プライベート・データソース接続の作成

    プライベート・データソース接続管理ページ

    注意:

    ユーザーに管理者ロールが付与されている場合は、すべてのデータソース・タイプが表示されますが、そのデータソースへのプライベート接続を作成することはできません。


  3. プライベート接続名を入力し、必須フィールドに入力します。

  4. 「接続のテスト」をクリックします。確認メッセージが表示されます。

  5. 「適用」をクリックします。これで、このプライベート・データソース接続をデータ・セットで使用できるようになりました。

プライベート・データソース接続を識別するために、「(プライベート)」という単語がデータソース名の末尾に付加されます。たとえば、プライベートのJDBC接続を「My JDBC Connection」という名前で作成すると、この接続はデータソースのドロップダウン・リストに「My JDBC Connection (プライベート)」と表示されます。

プライベートのJDBC接続は、データ・モデルのデフォルトのデータソースとしてのみ使用できます。

ユーザーに管理者ロールが付与されている場合は、作成できるのはパブリックのデータソースのみです(データソースを「プライベート・データ・ソースの管理」ページから作成する場合でも)。プライベート・データソース接続の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Business Intelligence Publisher管理者ガイド』のプライベート・データソース接続に関する項を参照してください。

JDBCデータソース接続の設定方法の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Business Intelligence Publisher管理者ガイド』のデータソースへのJDBC接続の設定に関する項を参照してください。

OLAPデータソース接続の設定方法の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Business Intelligence Publisher管理者ガイド』のOLAPデータソースへの接続の設定に関する項を参照してください。