フォルダ構造アーカイブ機能を使用すると、コントリビューション・フォルダのOracle WebCenter Contentフォルダ構造およびその関連コンテンツをアーカイブできます。
この章の内容は、次のとおりです。
フォルダ構造アーカイブを使用すると、コントリビューション・フォルダ(Folders_gコンポーネントによりサポートされる)のフォルダ構造およびその関連コンテンツ(オプション)をアーカイブできます。フォルダの構造は、データベース表レプリケーションによってアーカイブされます。アーカイブするフォルダ(およびすべてのサブフォルダ)を構成できます。アーカイバ・ユーティリティを使用してフォルダ・アーカイブにアクセスして、後続の処理(レプリケーションや、別のコンテンツ・サーバー・インスタンスへの転送など)を行うことができます。
FolderStructureArchiveコンポーネントは、コンテンツ・サーバー・インスタンスではデフォルトでインストールされていますが、無効化されています。このコンポーネントを使用するには、コンポーネント・マネージャを使用して有効にする必要があります。
フォルダ構造のアーカイブは次のような目的で使用できます。
バックアップ・ツールとしての使用: フォルダ構造を(必要に応じてフォルダのコンテンツも含めて)バックアップして、サーバーの誤動作やその他の災害の際にリストアできる安全な場所に格納できます。
複製ツールとしての使用: フォルダ構造を(必要に応じてフォルダのコンテンツも含めて)コピーし、別のコンピュータ上にそのコピーを作成すると、複数サーバーの設定を簡素化できます。
同期ツールとしての使用: 2つのシステム(開発システムと本番システム、2つの同一の冗長システムなど)の間でフォルダ環境の同期を保つことができます。このコンポーネントを使用して作成したフォルダ・アーカイブは、別のシステムに転送またはレプリケートできます。
実装に関する次の重要な考慮事項に注意してください。
フォルダ構造アーカイブは、Site Studio Webサイトをレプリケートするためには使用できません。「フォルダ・アーカイブの構成」ページのフォルダ・ツリーには、すべてのSite Studio Webサイト・フォルダが表示されます。これらのフォルダをアーカイブして別のシステムにレプリケートできます。ただし、レプリケートされたWebサイトはターゲット・システムで適切に機能しない可能性があります。Site Studio Webサイトをレプリケートする場合は、Site Studioの組込みレプリケーション機能を使用してください。
フォルダ構造アーカイブを2つのシステム間の複製ツールまたは同期ツールとして使用する場合は、Folders_gコンポーネントのインストール時に、ソース・システムとターゲット・システムに異なる初期コレクションID(InitialColID設定)を選択することをお薦めします。初期コレクションIDが同じであると、ユーザーにターゲット・システムのフォルダの操作が許可されている場合、複製プロセスまたは同期プロセス中にコレクションIDの競合エラーが発生する可能性があります。
「フォルダ・アーカイブの構成」ページでは、ツリーで親フォルダを選択しなくてもフォルダを選択できます。これがフォルダの仮想フォルダ・パスに影響を与えることはありません。つまり、仮想パスは、[Parent_Folder]が選択されていなくても[Parent_Folder]/[Folder]のままです。アーカイブを別のコンテンツ・サーバー・インスタンスに転送またはレプリケートすると、そのサーバー上に親フォルダが存在しない場合、親フォルダが自動的に作成されますが、ソース・サーバー上の対応するフォルダのメタデータは作成されません。
2つのコンテンツ・サーバー・インスタンス間でフォルダ構造アーカイブを転送またはレプリケートする場合、ターゲット・システム上に手動でフォルダ構造を作成することはお薦めしません。ターゲット・システムに存在しないフォルダは、転送プロセスまたはレプリケーション・プロセス中に自動的に作成されます。手動でフォルダを作成してしまうと、フォルダ名は一致しているのに、その基礎となる一意の識別子(xCollectionID)が一致しないために、プロセス中に同期していないエラーが発生する可能性があります。フォルダの不一致の問題を回避するために、CollectionIsConsumptionOnly構成変数を使用して、ターゲット・システムのフォルダ環境をロックできます。
フォルダ・アーカイブ構造を使用して2つのシステム間のレプリケーションを設定した場合、ソース・システムに作成または移動されたフォルダは、コンテンツがソース・フォルダに追加された時点でターゲット・システムに自動的に作成または移動されます。また、ソース・システムでフォルダのメタデータを変更した場合、これらの変更は(コンテンツがターゲット・フォルダに追加された時点で)ターゲット・システムにも自動的に反映されます。ソース・システムで削除されたフォルダはすべて、ターゲット・システムで自動的に削除されます。フォルダが削除されると、その情報はすべて失われます。ただし、ソース・システム上で削除されたフォルダは、ターゲット・システムで自動的には削除されません(つまり、2つのシステムが非同期になります)。これは、Folders_gコンポーネントでは削除されたフォルダを追跡しないためです。フォルダが削除されると、その情報はすべて失われます。アーカイバ・ユーティリティでは、レプリケーション・プロセスを開始するときには、ターゲット・システムから削除するフォルダを把握していません。
同様に、フォルダの移動によってそのフォルダがアーカイブ済フォルダ内に存在しなくなった場合、このフォルダのアーカイブおよびレプリケートは行われなくなります。たとえば、/FolderA、/FolderA/SubfolderA、/FolderBおよび/FolderB/SubfolderBというフォルダが存在するシステムについて考えてみます。/FolderAはアーカイブされるよう設定されているが、/FolderBはそうでない場合、SubfolderAを/FolderBに移動すると、レプリケートされなくなります。しかし、/FolderAと/FolderBが両方ともアーカイブされる場合、SubfolderAを移動してもレプリケートされます。
フォルダ・アーカイブ構造を使用してフォルダおよびコンテンツ・アイテムのアーカイブまたはレプリケーションを設定した場合、フォルダおよびコンテンツ・アイテムのショートカットのアーカイブまたはレプリケートは行われません。
フォルダ構造アーカイブ・コンポーネントとともに文書フォルダ・アーカイブ・コンポーネントを使用することをお薦めします。フォルダのインストール時に、アーカイブ時にコンテンツのフォルダ構造を保持することを選択した場合、このコンポーネントはフォルダ・アドオンとともにインストールされます。フォルダに属するコンテンツ・アイテムをインポートする際にターゲット・システムにフォルダ構造が存在しない場合、このコンポーネントによりそのシステム上にフォルダ構造が作成されます。ターゲット・システム上に(同じまたは異なるxCollectionIDを持つ)同一のフォルダ構造が存在する場合は、ターゲット・システムにインポートされるコンテンツ・アイテムのxCollectionIDが、ターゲット・システム上の既存フォルダのものと一致することが確認されます。
フォルダ内にあるソース・システムのコンテンツ・アイテムについて検討します。そのコンテンツ・アイテムのxCollectionIDは8であり、フォルダの名前はFolderAです。ここで、文書フォルダ・アーカイブ・コンポーネントを使用して、ターゲット・システムにそのコンテンツ・アイテムをアーカイブすると仮定します。FolderAがターゲット・システムの同じレベルに存在しない場合、文書フォルダ・アーカイブによりターゲット・システムにFolderAが作成され、そのフォルダにコンテンツ・アイテムがインポートされます。通常、FolderAのxCollectionIDは、ソース・システムのFolderAのものとは異なります。FolderAがターゲット・システムの同じレベルにすでに存在するが、xCollectionIDが異なる(たとえば7)場合、文書フォルダ・アーカイブはそのフォルダを削除しません。フォルダを保持しながら、転送されるコンテンツ・アイテムのxCollectionIDを8から7に変更して、コンテンツ・アイテムが正しいフォルダに属するようにします。
フォルダ構造アーカイブには独自の組込みアーカイブ機能が備わっています。この機能には、コントリビューション・フォルダの管理構成ページからアクセスします。
機能の違い
フォルダ構造アーカイブは組込みのアーカイブ機能とともに使用できますが、その機能にはいくつかの重要な違いがあります。
アプリケーションではフォルダ構造の一部を選択してエクスポートできますが、組込みのコントリビューション・フォルダ・アーカイブ機能ではフォルダ構造全部をエクスポートできるのみです。
アプリケーションでは増分アーカイブ(前のバージョンと比較して変更のあったフォルダのみが含まれるアーカイブ)を作成できますが、組込みのコントリビューション・フォルダ・アーカイブ機能では、変更されていないアイテムがあってもすべてのアイテムが含まれるアーカイブしか作成できません。
アプリケーションでは(フォルダ構造アーカイブの変数の値に応じて)フォルダ構造とフォルダ・コンテンツの両方をアーカイブに含めることができますが、組込みのコントリビューション・フォルダ・アーカイブ機能ではフォルダ構造しかエクスポートできず、フォルダ内のコンテンツはエクスポートできません。
組込みのコントリビューション・フォルダ・アーカイブ機能とは異なり、アプリケーションでは複数のソース・フォルダ・アーカイブを作成できます。これらはすべて、アーカイバ・ユーティリティを使用して、同じターゲット・コンテンツ・サーバー・インスタンスにインポート、転送またはレプリケートできます。
処理の違い
組込みのコントリビューション・フォルダ・アーカイブ機能を使用してフォルダ構造全体をエクスポートし、(コントリビューション・フォルダ・ユーザー・インタフェースを使用して)それを別のコンテンツ・サーバー・インスタンスにインポートした場合、そのサーバーの既存のフォルダ構造はすべて削除されて、インポートされた構造に置き換わります。
フォルダ構造アーカイブを使用してアーカイブを作成し、(アーカイバ・ユーティリティを使用して)それを別のコンテンツ・サーバー・インスタンスにインポート、転送またはレプリケートした場合、既存のフォルダ構造が削除されることはなく、アーカイブされた構造は既存の構造にマージされます。
注意: Folders_gコンポーネントの組込みのアーカイブ機能の詳細は、Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter Contentの管理を参照してください。 |
この項では、フォルダ構造アーカイブの操作について説明します。
新規のフォルダ構造アーカイブを作成する手順は、次のとおりです。
コンテンツ・サーバー・インスタンスに管理者としてログインします。
「管理」→「フォルダ・アーカイブの構成」を選択します。
「フォルダ・アーカイブの構成」ページの「コレクション名」リストで、新規のフォルダ構造アーカイブが属するアーカイブ・コレクションを選択します。
「アーカイブ名」フィールドで、新規のフォルダ構造アーカイブの名前を指定します。
重要: アーカイブに含まれるフォルダを選択する前にアーカイブ名を指定してください。フォルダを選択してからアーカイブ名を指定すると、追加をクリックしても何も行われません(フォルダ・ツリーは完全に閉じて、フォルダ選択は失われます)。 |
影付きの領域で、フォルダ構造アーカイブに含めるすべてのフォルダを選択します。親フォルダのチェック・ボックスをクリックすると、その子フォルダもすべて自動的に選択されます。子フォルダを個別に選択および選択解除することもできます。親フォルダは、サブフォルダもすべて選択された場合にのみ選択されます。子フォルダのいずれかの選択を解除すると、その親フォルダの選択も自動的に解除されます。これは、子フォルダの仮想フォルダ・パスのプロパティには影響しません。
「追加」をクリックします。フォルダ・アーカイブが正常に追加されたことを示すメッセージが表示されます。アーカイブが「アーカイブ名」リストと、コンテンツ・サーバー・インスタンスの現在のアーカイブのリストに追加されます。第32.4.3項を参照してください。
既存のフォルダ構造アーカイブの定義を使用してそれを変更し、更新したアーカイブを作成できます。フォルダ構造アーカイブを更新する手順は、次のとおりです。
コンテンツ・サーバー・インスタンスに管理者としてログインします。
「管理」→「フォルダ・アーカイブの構成」を選択します。
必要に応じて、「フォルダ・アーカイブの構成」ページで、アーカイブを「コレクション名」リスト内の別のコレクションに割り当てます。
「アーカイブ名」リストで、更新するフォルダ構造アーカイブの名前を選択します。影付きの領域内のフォルダ・アーカイブ・ツリーが、アーカイブの現在の選択内容を反映するように更新されます。
注意: 選択したアーカイブを別の名前で保存することはできません。「アーカイブ名」フィールド内の名前を変更して「追加」をクリックする場合、そのアーカイブは新規アーカイブとみなされるため、フォルダを再び選択してから「追加」をクリックする必要があります。 |
「フォルダ・アーカイブの構成」ページでフォルダ構造アーカイブを定義する際は、親フォルダを選択しなくてもフォルダを選択できます。
親フォルダのチェック・ボックスをクリックすると、その子フォルダもすべて自動的に選択されます。子フォルダを個別に選択および選択解除することもできます。親フォルダは、サブフォルダもすべて選択された場合にのみ選択されます。子フォルダのいずれかの選択を解除すると、その親フォルダの選択も自動的に解除されます。これは、子フォルダの仮想フォルダ・パスのプロパティには影響しません。
注意: デフォルトでは、親フォルダが選択されていない場合、そのソース・コレクションIDはその子フォルダに渡されません。親フォルダを選択していなくてもフォルダのソース・コレクションIDが保持されるようにするには、AllowMigrationOfParentFoldersMeta変数を |
「更新」をクリックします。フォルダ・アーカイブが正常に更新されたことを示すメッセージが表示されます。このアーカイブをさらに処理するには、第32.4.3項を参照してください。
新規のフォルダ構造アーカイブを作成すると、そのファイルがIntradoc_Dir
/archives/
Archive_Name
ディレクトリに格納され、アーカイバ・ユーティリティのコンテンツ・サーバー・インスタンスの現在のアーカイブのリストに追加されます。
「名前」列には、アーカイブの作成時にアーカイブに割り当てられた名前が表示されます。第32.4.1項を参照してください。「説明」列には常に、アーカイブの目的を示すために「フォルダ構造を持つアーカイブ。」と表示されます。
これで、フォルダ構造アーカイブをさらに処理できるようになります。標準のアーカイバ機能はすべて使用できます。たとえば、アーカイブを別のコンテンツ・サーバー・インスタンスに転送またはレプリケートできます。
フォルダ構造のアーカイブの動作を変更するために使用できる構成変数がいくつか用意されています。この項では、このような変数のタイプについて説明します。
フォルダ構造アーカイブの変数は、IdcHomeDir
/components/FolderStructureArchive/folderstructurearchive_environment.cfg
ファイルで設定されています。これは読取り専用ファイルなので、設定を変更する場合は「管理サーバー」: 「一般構成」ページを使用してください。
次の構成パラメータがサポートされています。
ArchiveFolderStructureOnly=true|false: この変数がtrueに設定されている場合、アーカイブにはフォルダ構造のみが含められ、構造内のコンテンツ・アイテムは含められません。この変数を使用すると、バックアップや同一の複数サーバー設定を行う目的で、フォルダ構造のコピーを作成できます。デフォルトはfalse
です。つまり、コンテンツ・アイテムがフォルダ・アーカイブに含められます。
AllowArchiveNoneFolderItem=true|false: この変数がtrue
に設定されている場合、フォルダ構造内にないコンテンツ・アイテムもアーカイブに含められます。どのフォルダにも属していないコンテンツがフォルダ構造アーカイブに含められます。falseに設定されている場合、フォルダ構造内のコンテンツ・アイテムのみがエクスポートされます。この構成変数を使用すると、フォルダとコンテンツのレプリケーションを同時に設定できます。そうしない場合は、フォルダおよび標準のコンテンツに対する追加のレプリケーションが必要となります。デフォルトはtrueです。つまり、フォルダ構造内にないコンテンツもフォルダ・アーカイブに含められます。
AllowMigrationOfParentFoldersMeta=true|false: この変数がtrue
に設定されている場合、「フォルダ・アーカイブの構成」ページで親フォルダが選択されていなくても、フォルダのソース・コレクションIDが保持されます(親フォルダから移行されます)。デフォルトはfalseです。つまり、特定の親フォルダを選択しない限り、親フォルダのメタデータは渡されません。
重要: 構成パラメータ値を変更した後は、必ずコンテンツ・サーバー・インスタンスを再起動してください。 |
Folders_gコンポーネントの変数は、IdcHomeDir
/components/Folders_g/folders_environment.cfg
ファイルで設定されています。これは読取り専用ファイルなので、設定を変更する場合は「管理サーバー」: 「一般構成」ページを使用してください。
フォルダ構造アーカイブとともに使用できるFolders_g構成変数は、次のとおりです。
CollectionIsConsumptionOnly=true|false: この変数がtrue
に設定されている場合、コンテンツ・サーバー・インスタンスのフォルダ環境はロックされます。つまり、サーバーはフォルダ・データのみを受け取るように設定されます(消費)。RWD権限を持つユーザーは、フォルダを作成、移動、変更または削除できません。管理者権限を持つユーザーは、フォルダの作成はできませんが、フォルダの移動、変更および削除はできます。
この設定は一般に、アーカイブの転送またはレプリケーションのターゲットのコンテンツ・サーバー・インスタンスに対して設定する必要があります。これにより、ターゲット・サーバーのフォルダを手動で操作した場合にソース・サーバーとターゲット・サーバーが同期しなくなるエラーを回避できます。
デフォルトの設定はfalse
です。つまり、コンテンツ・サーバー・インスタンスのフォルダ環境はロックされません。
レプリケーション設定において、ソース・システムで削除されたフォルダがターゲット・システムで自動的に削除されることはありません。ターゲット・システムをコンサンプション専用モードで使用している場合でも、システム管理者は、ターゲット・システム上の影響を受けるフォルダを手動で削除できます。(フォルダの作成はできませんので注意してください。)
注意: ユーザーがターゲット・サーバーのフォルダを操作できる場合は必ず、Folders_gコンポーネントのインストール時にソース・サーバーに選択した初期コレクションID(InitialColID設定)とは別の設定をターゲット・サーバーに選択してください。そうしない場合、コレクションIDの競合エラーが発生することがあります。 |
重要: 構成パラメータ値を変更した後は、必ずコンテンツ・サーバー・インスタンスを再起動してください。 |