この章では、Oracle WebCenter Contentの概要を説明し、WebCenter Contentがお客様の組織にもたらす数多くの利点について、その一部を紹介します。
この章の内容は次のとおりです。
このガイドでは、Oracle WebCenter Contentの使用方法について説明しています。このガイドは、次の部に分かれています。
第I部では、Oracle WebCenter Contentとコンテンツ管理の概要を説明し、WebCenter Contentの操作のあらゆる面に共通する概念を示します。第II部では、Oracle WebCenter ContentにWebインタフェースからアクセスする方法、およびデスクトップ・アプリケーションからアクセスする方法について説明します。
このドキュメントに含まれている情報は、製品テクノロジの進化、およびハードウェア、オペレーティング・システム、サード・パーティ・ソフトウェアの作成や変更によって、変更されることがあります。ブラウザ、データベース、Webサーバーおよびオペレーティング・システムの技術的な特徴により、オラクル社では第三者製品のすべてのバージョンおよび機能との互換性を保証することはできません。
Oracle WebCenter Contentは、電子メールやレポート、メモ、スライド・プレゼンテーションなどに含まれる、毎日ユーザーが使用する情報を管理します。Oracle WebCenter Contentは、この情報を保管、整理、保護して、必要とするユーザーのみがこの情報にアクセスできるようにします。さらに最も重要な点として、必要なときに情報をすばやく検索でき、そのドキュメントを作成したソフトウェアを所有していない場合であっても、標準のWebブラウザを使用して情報を表示できます。
コミュニケーションは組織の原動力となり、グローバルなビジネス計画から個人用のタスク・リストに至るまで、あらゆることの効率的な調整と実施に役立ちます。今日の組織に必要な情報は、オフィス・ドキュメント、個人の電子メール、メモ、ビデオ会議など、構造化されていない様々なタイプのコンテンツに取り込まれています。管理されないままでは、重要な情報が失われ、ビジネス・プロセスに無理が生じ、ドキュメントへの適切なアクセス権が適切なユーザーに与えられず、不正確な古い情報に基づいて間違った意思決定をすることになります。Oracle WebCenter Contentを使用すれば、すでに毎日使用しているアプリケーションにより、快適な環境で重要な情報を検索できます。
ユーザーに合った設計
標準のWebブラウザを使用してドキュメントを提供できるほか、WindowsエクスプローラやMicrosoft Word、Excel、Outlookなどの使い慣れたデスクトップ・アプリケーションを使用することもできます。重要な契約をワークフローに流したり、他のユーザーが最新の設計仕様を確認できるようにしたり、チームのためにトレーニング・ビデオをアップロードしたりすることができます。Oracle WebCenter Contentでは、Windowsエクスプローラやお気に入りのWebブラウザなどを使用して、様々な方法でコンテンツを検索し、表示できます。
時間の節約
プロジェクト、顧客、法的問題に関する重要な情報を1件見つけるために、どれだけの時間を費やしていましたか。その情報は電子メールに書かれている場合も、スライド・プレゼンテーションに含まれている場合もあります。Oracle WebCenter Contentは、必要な情報をすぐに取得するために役立つ強力な検索手段を備えています。
リスクの低減
ドキュメントを重視するコンプライアンス要件の厳格化により、コンプライアンスの証拠資料を保管および取得する必要性もまた高まっています。Oracle WebCenter Contentのレコード管理機能を使用すれば、レコードと保存ポリシーを管理でき、情報を簡単に取得できるので、時間の節約とリスクの低減が可能です。
ニーズへの対応
リッチ・メディア業界、たとえば広告、遠隔学習、Web開発などイメージとビデオを使用する必要がある業種でコンテンツ管理が必要な場合は、Oracle WebCenter Contentを使用すればこれらのデジタル・アセットを簡単に効率よく管理できます。高解像度のソース・ビデオを1台のサーバーに保管し、サイズ変更した変換済ビデオを別のストリーミング・サーバーから配信できます。あるいは、宣伝資料をフォリオにグループ化し、ワークフローに流し、zipで圧縮ファイルにしてベンダーに配信できます。Oracle WebCenter Contentを使用すれば、これらすべてのオプションを実現できます。
Oracle WebCenter Contentは、ビジネス情報を共有、管理および配布するための自動化されたシステムを提供します。この情報はドキュメントやその他のタイプのコンテンツに含まれており、このガイドではドキュメント、コンテンツ、およびファイルという用語が同じ意味で使用されることがよくあります。たとえばイメージ変換が有効になっている場合など、ケースによっては複数のファイルが1つのドキュメントとして一緒に管理されることがあります。どの用語が使用されている場合であっても、情報は電子的に格納され、1つのアイテムとして管理されます。Oracle WebCenter Contentは、探している情報を見つける手段を提供するとともに、許可を受けたユーザーのみがドキュメントを使用できるようにドキュメントへのアクセスを制御することによって、アイテムを管理します。
あらゆる標準Webブラウザから最新の情報に迅速かつセキュアにアクセスできます。手紙、レポート、製品図面、スプレッドシート、マニュアル、販促資料などのほとんどあらゆるタイプのコンテンツを1つの強力なコンテンツ管理システムで管理できます。
標準的なビジネス・ドキュメント管理、つまりビデオ、イメージ、またはレコードの管理のために、Oracle WebCenter Contentは機能を完備した使いやすいユーザー環境を提供します。Webブラウザを使用してコンテンツにアクセスするほかに、Oracle WebCenter Contentはオフィス・アプリケーションと緊密に統合された環境を必要とするユーザーのためにいくつかの代替機能を用意しています。デスクトップ・インタフェースとWebDAVインタフェースを使用すれば、ドキュメントを表現するフォルダとファイルを使用して、デスクトップから基本的なコンテンツ管理アクションを実行できます。
このガイドを通じて次の用語が使用されており、用語の定義を理解するためにこの表を役立ててください。
Oracle WebCenter Contentのフォルダは、フォルダ構造を参照してドキュメントをすばやく見つけることができるように、ドキュメントを整理するために使用されます。Oracle WebCenter Contentのフォルダには、主に次の2種類があります。
従来型のフォルダ。これは、コンピュータ・ファイル・システム内のファイルを整理するために使用するフォルダと同様です。
問合せフォルダ、または保存された検索。これは、保存した検索条件に基づいたドキュメントの集まりです。
Oracle WebCenter Contentの従来型のフォルダは、お使いのコンピュータにあるフォルダと同様ですが、1つ重要な違いがあります。つまり、これらのフォルダにはメタデータが関連付けられており、フォルダ内に整理されたドキュメントにフォルダ・メタデータを自動的に割り当てる(伝播する)lことができます。フォルダ・メタデータを伝播すれば時間の節約になり、フォルダにドキュメントをアップロードするだけで、セキュリティやその他のメタデータを手動で割り当てなくてもドキュメントがセキュアで容易に検索できるようになります。
問合せフォルダは、実際には従来の意味でのフォルダではなく、問合せフォルダをクリックすると実行される保存済の検索条件です。これにより、ファイル・システムを参照しているような感覚で、実際にはメタデータを使用してコンテンツを検索できます。たとえば、今日のドキュメントという問合せフォルダを作成して、クリックすると今日チェックインされたすべてのドキュメントが表示されるようにすることができます。ユーザーがドキュメントを特定のフォルダにアップロードしなくても、コンテンツは毎日変更されます。これは、フォルダをクリックすれば現在の日付にアップロードされたすべてのドキュメントがOracle WebCenter Contentによって検索され、リストに表示されるからです。
Oracle WebCenter Content内でアクセス可能なすべてのアイテム(フォルダまたはドキュメント)へのショートカットを作成できます。ショートカットはアイテムを指示しており、ユーザーは関係のあるアイテムにアクセスする方法を簡単に整理できます。たとえば、複数のプロジェクトで作業していて、それぞれのプロジェクトに仕様ドキュメントが必要で、それぞれの仕様ドキュメントは関連したプロジェクト・フォルダに保管されているとします。この場合は、それぞれの仕様ドキュメントへのショートカットを含むフォルダを作成できます。このようにすれば、複数のプロジェクト・フォルダを検索して目的のドキュメントを見つけるかわりに、個人用フォルダをクリックすればすべての仕様ドキュメントのショートカットが一覧表示されるので、目的のドキュメントにすばやく便利にアクセスできます。
ドキュメントを、そのメタデータ、フルテキストまたはそれらの組合せによって検索できます。検索結果には、表示権限があるドキュメントのみが表示されます。
1つ以上のメタデータ・フィールドに対して検索語を指定できます。システムの構成方法によって、検索語が語全体と一致するか一部と一致するか、フィールドの先頭または末尾に出現するかを指定する検索演算子を使用できます。また、検索語の1つ以上の文字と一致するワイルドカード文字を使用することもできます。
検索フォームを簡略化またはカスタマイズするために、管理者は、1つ以上のメタデータ・プロファイルを作成して、フォームに含めるメタデータ・フィールドを指定できます。
クイック検索機能を使用して、ホームページからいつでも検索できます。選択したフィールドまたはサポートされているすべてのフィールドに対して検索語を指定できます。システムがフルテキスト検索用に構成されている場合は、クイック検索でもドキュメントのテキストで検索語が検索されます。
イメージやビデオなどのデジタル・アセットを管理するようにOracle WebCenter Contentを構成すれば、ビジネス・ニーズを満たす様々なサイズ、フォーマット、解像度のイメージやビデオを迅速に検索、グループ化、変換およびダウンロードできます。これは、組織全体で使用するものの一貫性を維持するために役立ちます。たとえば、組織のロゴは、広告、Webページ、プレゼンテーションなど、様々なサイズで使用できます。あるいは、会社の研修ビデオは、対象者に提供したり、テープをコピーするために、イントラネット上で様々なストリーミング・フォーマットで利用できます。
Windowsエクスプローラ、Microsoft Outlook、Lotus Notesおよびその他のアプリケーションとのより密接な統合によりWebDAVクライアント環境を拡張できるOracle WebCenter Content: Desktopもまた用意されています。詳細は、第17章を参照してください。
フォリオは、Oracle WebCenter Contentに保存されたコンテンツを編成するための論理グループ(フレームワーク)です。フォリオは、契約や売上情報など、コンポーネントの一部が共通で一部が固有であるドキュメントのグループを編成し、標準化された順序と階層に収集する場合に役立ちます。また、1つ以上のワークフロー・プロセスの一部としてドキュメントのグループを作成およびレビューする場合にも役立ちます。
簡易フォリオでは、1つ以上のアイテムを単一レベルに収集します。詳細フォリオでは、コンテンツをフォルダの階層に編成できます。
拡張フォリオには、フォルダ(ノードと呼ばれる)、コンテンツのプレースホルダ(スロットと呼ばれる)、およびドキュメントを入れることができます。これらのエレメントは、デフォルトでは標準のファイル・システムと似た階層構造で表示されます。
ドキュメントの管理には、次のように共通する要素がいくつかあります。
ドキュメントにアクセスするためにログインする
必要なドキュメントを検索する
ドキュメントとそのプロパティを表示する
管理するドキュメントをアップロードする
必要なドキュメントをダウンロードする
ドキュメントを使いやすいように整理する
ワークフローを使用して他のユーザーとドキュメントを共有する