1 ADFデスクトップ統合の概要

この章では、ADFデスクトップ統合について紹介し、フレームワークの概要を示します。また、Microsoft ExcelをFusion Webアプリケーションと統合する利点についても説明します。

この章の内容は次のとおりです。

• 1.1項「ADFデスクトップ統合の概要」

• 1.2項「ADFデスクトップとMicrosoft Excelの統合の概要」

1.1 ADFデスクトップ統合の概要

Fusion Webアプリケーションのエンド・ユーザーの多くは、Microsoft Excelなどのデスクトップ・アプリケーションを使用して、Webアプリケーションでも使用される情報を管理します。ADFデスクトップ統合には、Oracle Application Development Framework (Oracle ADF)開発者が、Fusion Webアプリケーションによって提供される機能をデスクトップ・アプリケーションに拡張するためのフレームワークが備わっています。これによって、エンド・ユーザーは企業のネットワークから切断されている間もOracle ADFの機能を使用できます。また、エンド・ユーザーは、複雑な計算や大量のデータのアップロードといった情報管理業務を簡単かつスムーズに実行するために、使い慣れたExcelのユーザー・インタフェースが備わっているADFデスクトップ統合を好む傾向があります。

ADFデスクトップ統合は、Oracle ADFアーキテクチャの一部です。Oracle ADFアーキテクチャの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Application Development Framework開発者ガイド』のOracle ADFアーキテクチャに関する項を参照してください。

図1-1は、ADFデスクトップ統合のアーキテクチャを示します。これは次のコンポーネントから構成されます。

• ADFデスクトップ統合

• ADFデスクトップ統合のリモート・サーブレット

• ADFモデル・レイヤー

図1-1 ADFデスクトップ統合のアーキテクチャ

ADFデスクトップ統合の詳細は、次のURLにあるOracle Technology Network (OTN)のADFデスクトップ統合のページを参照してください。

http://www.oracle.com/technetwork/developer-tools/adf/overview/index-085534.html

1.2 ADFデスクトップとMicrosoft Excelの統合の概要

ADFデスクトップ統合では現在、Microsoft Excel 2007およびそれ以降の他のバージョンのMicrosoft Excelとの統合をサポートしています。

注意: このガイドでは、Fusion Webアプリケーションと統合するExcelワークブックを示す用語として、統合Excelワークブックを使用します。これは、Fusion Webアプリケーションと統合されていなかったり、Oracle ADFの機能を使用して構成されていないワークブックと区別するためでもあります。

1.2.1 統合Excelワークブックの作成の概要

統合Excelワークブックの作成は、表1-1の手順を実行します。

表1-1 統合Excelワークブックを作成する手順

使用ツール	プロセス
JDeveloper	Fusion Webアプリケーションを作成します。 Fusion Webアプリケーションの作成の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Application Development Framework Fusion開発者ガイド』を参照してください。 Microsoft Excelで必要な要素を公開するデータ・コントロールを追加します。 Excelで使用するOracle ADFバインディングを公開するページ定義ファイルを作成します。 詳細は、4.3項「統合Excelワークブックのページ定義ファイルの使用」を参照してください。
Excel	Oracle ADF機能で構成するExcelワークブックを作成します。 詳細は、4.2項「Fusion Webアプリケーションへの統合Excelワークブックの追加」を参照してください。 ページ定義ファイルで公開したOracle ADFバインディングと、ADFデスクトップ統合で提供されるOracle ADFコンポーネントを使用して、Excelワークブックを構成します。 詳細は、次の項と章を参照してください。 第5章「開発ツールの使用」 この章では、Oracle ADF機能でExcelワークブックを構成するための、ADFデスクトップ統合で提供されるツールの概要を示します。 第6章「ADFデスクトップ統合フォーム・タイプ・コンポーネントの使用」 この章では、ExcelワークシートへのADFデスクトップ統合フォーム・タイプ・コンポーネントの挿入方法と、実行時の動作を決定するプロパティの構成について説明します。 第7章「ADFデスクトップ統合表タイプ・コンポーネントの使用」 この章では、ADF表コンポーネントおよび読取り専用表コンポーネントを使用して、Fusion Webアプリケーションによりホストされるデータの表示および編集の手段をエンド・ユーザーに提供する方法について説明します。 第12章「統合Excelワークブックへの検証の追加」 この章では、統合Excelワークブックへの検証の追加方法について説明します。 統合されたExcelワークブックをテストします。 詳細は、第13章「統合Excelワークブックのテスト」を参照してください。 Fusion WebアプリケーションとExcelワークブックの統合が完了すると、エンド・ユーザーが使用できるようにこの統合をデプロイします。 このタスクの詳細は、第14章「統合Excelワークブックのデプロイ」を参照してください。

1.2.2 ExcelとFusion Webアプリケーションを統合する利点

Microsoft ExcelワークブックとFusion Webアプリケーションとの統合によって、次の利点が得られます。

• エンド・ユーザーは、使い慣れたデスクトップ・インタフェース(Microsoft Excel)から、Fusion Webアプリケーションがホストするデータや機能にアクセスできます。

• エンド・ユーザーは、Fusion Webアプリケーションに接続していないときでも、そのアプリケーションがホストするデータにアクセスできます。データをダウンロードするには、ユーザーはFusion Webアプリケーションにログオンする必要があります。データをExcelワークブックにダウンロードすると、Fusion Webアプリケーションとの接続が切断されているときでもデータを変更できます。

• 大容量のデータのエントリや更新が、スプレッドシート・スタイルのインタフェースから簡単に行えます。

• エンド・ユーザーは、マクロや計算といったネイティブのExcel機能を使用できます。