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Oracle® Fusion Middleware Oracle Identity Managementエンタープライズ・デプロイメント・ガイド
11g リリース2 (11.1.2.1)
B71694-06
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4 エンタープライズ・デプロイメント用の記憶域の準備

この章では、Oracle Identity Managementエンタープライズ・デプロイメント用の記憶域を準備する方法を説明します。

このガイドで説明する記憶域モデルは、可用性の最大化、コンポーネントの最良の独立性、構成の対称性およびバックアップと災害からのリカバリの容易化を実現するために選択されました。このガイドの残りの部分では、この記憶域モデルに基づいたディレクトリ構造およびディレクトリ用語を使用します。その他のディレクトリ・レイアウトも可能で、サポートされています。

この章では、次の項目について説明します。

4.1 エンタープライズ・デプロイメント用の記憶域の準備の概要

記憶域は、エンタープライズ・デプロイメントがわかりやすくなり、構成および管理が容易になるように設定することが重要です。この章の情報に従って記憶域を設定することをお薦めします。この章で定義されている用語は、このガイド内のダイアグラムおよび手順で使用されます。

この章を参照情報として使用すると、インストールおよび構成手順で使用されているディレクトリ変数について理解できます。その他のディレクトリ・レイアウトも可能であり、サポートされていますが、このマニュアルで採用するモデルは、可用性を最大化するために選択されており、コンポーネントの最良の独立性と構成の対称性の両方を実現し、バックアップおよび災害からのリカバリを容易にします。ドキュメントの残りの部分では、このディレクトリ構造およびディレクトリ用語を使用します。

4.2 ディレクトリとディレクトリ変数の用語

この項では、Oracle Identity Managementエンタープライズ・デプロイメントを構成するためにこのガイドで使用されるディレクトリ変数について説明します。これらを環境変数として設定する必要はありません。このガイドでは、インストールして構成するディレクトリを次のディレクトリ変数を使用して説明しています。

4.3 ファイル・システムについて

記憶域にパーティションを作成した後、ファイル・システムをパーティションに配置して、Oracleファイルを格納できるようにする必要があります。ローカル記憶域または直接接続された共有記憶域の場合、ファイル・システム・タイプは、オペレーティング・システムのデフォルト・タイプである可能性が非常に高いです(たとえばLinuxの場合はEXT3)。

共有記憶域が、2つ以上のホストから排他的または同時にアクセスされるネットワーク接続記憶域(NAS)の場合、サポートされているクラスタ・ファイル・システム(NFSバージョン3や4など)を使用する必要があります。このようなファイル・システムは、競合解決およびロック機能を提供します。

4.4 各種ディレクトリの推奨場所について

この項には次のトピックが含まれます:

4.4.1 バイナリ(Middlewareホーム)ディレクトリの推奨事項

次の項では、Oracle Fusion Middlewareのミドルウェア・ホーム・ディレクトリに対して共有記憶域を使用する際のガイドラインについて説明します。

4.4.1.1 バイナリ(Middlewareホーム)ディレクトリについて

Oracle Fusion Middleware製品をインストールする際には、製品のバイナリをMiddlewareホームにインストールします。Middlewareホームにインストールされたバイナリ・ファイルは読取り専用であり、Middlewareホームにパッチが適用されるか新しいバージョンにアップグレードされるまで変更されることはありません。

標準的な本番環境では、Middlewareホーム・ファイルは、Oracle Fusion Middleware構成ウィザードを使用して作成するドメイン構成ファイルとは別の場所に保存します。

Oracle Fusion Middlewareインストール用のMiddlewareホームには、Oracle WebLogic Serverのバイナリ、Oracle Fusion Middlewareインフラストラクチャ・ファイルおよび任意のOracle Fusion Middleware製品固有のディレクトリが含まれています。

Oracle Fusion Middlewareホームの構造および内容の詳細は、Oracle Fusion Middleware Oracle Enterprise Content Management Suiteインストレーション・ガイドを参照してください。

4.4.1.2 複数のドメイン用の単一のMiddlewareホームの共有について

Oracle Fusion Middlewareでは、1つのMiddlewareホームから複数のOracle WebLogic Serverドメインを構成できます。これにより、共有ボリューム上の単一の場所にMiddlewareホームをインストールし、複数のホストのインストールにMiddlewareホームを再利用できます。

Middlewareホームが異なるホスト上の複数のサーバーにより共有されている場合、留意するべきいくつかのベスト・プラクティスがあります。特に、整合性およびパッチの適用のため、各ホストにあるOracleインベントリが更新されていることを確認してください。

ホストのoraInventoryを更新して、Middlewareホームを共有記憶域に追加するには、次のコマンドを使用します。

ORACLE_HOME/oui/bin/attachHome.sh

Oracleインベントリの詳細は、Oracle Universal Installerコンセプト・ガイドのOracle Universal Installerインベントリに関する項を参照してください。

4.4.1.3 冗長バイナリ(Middlewareホーム)ディレクトリの使用について

可用性が最大になるように、共有記憶域上でバイナリの冗長インストールを使用することをお薦めします。

このモデルでは、Oracle Fusion Middlewareソフトウェアの2つの同じMiddlewareホームを2つの異なる共有ボリュームにインストールします。まず、Middlewareホームの1つをサーバーの1セットにマウントし、もう一方を残りのサーバーにマウントします。いずれのMiddlewareホームも同じマウント・ポイントを持つため、サーバーがどのMiddlewareホームを使用しているかにかかわらず、Middlewareホームは常に同じパスを持ちます。

一方のMiddlewareホームが破損または使用不可になっても、影響を受けるのは半分のサーバーのみです。さらに保護を強化するために、これらのボリュームのディスク・ミラーを行うことをお薦めします。

共有記憶域で個別ボリュームが使用不可の場合、同じボリューム内の別々のディレクトリを使用して個別ボリュームをシミュレートしたり、ホスト側の同じマウント場所に個別ボリュームをマウントしたりすることをお薦めします。これによって、複数のボリュームでの保護が保証されるわけではありませんが、ユーザーによる削除や個々のファイルの破損からの保護が可能になります。

4.4.2 ドメイン構成ファイルの推奨事項

次の項では、エンタープライズ・デプロイメントでOracle Fusion Middleware製品を構成する際に作成するOracle WebLogic Serverドメイン構成ファイルで共有記憶域を使用するためのガイドラインについて説明します。

4.4.2.1 Oracle WebLogic Server管理および管理対象サーバー・ドメイン構成ファイルについて

Oracle Fusion Middleware製品を構成すると、Oracle WebLogic Serverドメインが作成または拡張されます。各Oracle WebLogic Serverドメインは、1つの管理サーバーおよび1つ以上の管理対象サーバーで構成されます。

Oracle WebLogic Serverドメインの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverドメイン構成の理解』を参照してください。

エンタープライズ・デプロイメントでは、ドメイン内の管理対象サーバーをアクティブ/アクティブ型の高可用性用に構成できることを理解することが重要です。ただし、管理サーバーではこのようなことはありません。管理サーバーはシングルトン・サービスです。つまり、管理サーバーは1つのホスト上で所定の時間にのみ有効です。

ASERVER_HOMEはドメイン構成のプライマリの場所です。MSERVER_HOMEは管理対象サーバーの起動と停止に使用するドメイン構成のコピーです。WebLogic管理サーバーは、ASERVER_HOMEドメイン構成に適用された構成の変更を、ドメインの一部として登録されているすべてのMSERVER_HOME構成ディレクトリに自動的にコピーします。ただし、MSERVER_HOMEディレクトリには、管理対象サーバーに固有のデプロイメントおよびデータも含まれています。そのため、バックアップを実行する際には、ASERVER_HOMEMSERVER_HOMEの両方を含める必要があります。

4.4.2.2 管理サーバーのドメイン構成ファイル用の共有記憶域の要件

管理サーバーの構成ファイルは共有記憶域に配置する必要があります。これにより、プライマリ・ホストが使用できなくなった場合でも、別のホストで管理サーバーを起動できます。管理サーバー・ファイルがあるディレクトリは、ASERVER_HOMEディレクトリと呼ばれています。このディレクトリは共有記憶域上にあり、管理サーバー・ホストとOracle Identity Managerを実行する各ホストにマウントされています。

競合に関連するパフォーマンス上の問題を回避するために、管理対象サーバーの構成ファイルはローカル記憶域上に配置する必要があります。管理対象サーバーの構成ファイルがあるディレクトリは、MSERVER_HOMEディレクトリと呼ばれています。管理対象サーバー・ドメイン構成ファイルは、ローカル記憶域に配置することを強くお薦めします。

4.4.2.3 管理対象サーバー・ドメイン構成ファイルに対するローカル記憶域の要件

共有記憶域を使用する必要がある場合は、ノードごとに記憶域パーティションを作成し、その記憶域をそのノードに排他的にマウントすることをお薦めします。

このエンタープライズ・デプロイメント・トポロジに対して用意されている構成手順では、管理対象サーバーごとに各ノードのローカル・ドメイン・ディレクトリが使用されると想定しています。

4.4.3 JMSファイル・ストアとトランザクション・ログ用の共有記憶域に関する推奨事項

サーバーの障害や移行の場合のリカバリで、JMSファイル・ストアやJTAトランザクション・ログを複数のホストから利用できるようにするには、それらを共有記憶域に配置する必要があります。

JMSおよびJTA情報のファイル・ストアへの保存の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverサーバー環境の構成』のWebLogic永続ストアの使用に関する項を参照してください。

4.4.4 ディレクトリの推奨場所

この項では、共有記憶域およびローカル記憶域のお薦めされる使用方法を説明します。

この項には次のトピックが含まれます:

4.4.4.1 共有記憶域

エンタープライズ・デプロイメントでは、ホストIDMHOST1とIDMHOST2にある共有記憶域にボリュームVOL1/OracleIDMを作成することをお薦めします。マウント・ポイントは/u01/oracleにする必要があります。

排他的または共有で共有記憶域をマウントできます。

図4-1 共有記憶域

図4-1については周囲のテキストで説明しています。

この図は、共有記憶域のディレクトリ階層を示しています。マウント・ポイント/u01/oracle (SHARED_ROOT)の下にはディレクトリconfigおよびproductsがあります。

ディレクトリconfigにはdomainsがあり、これにはIDMDomain (ASERVER_HOME)があります。IDMDomainには5つのサブディレクトリ(applicationsserverskeystoresjmsおよびlogs)があります。serversディレクトリにはサブディレクトリAdminServerがあります。

ディレクトリproductsにはディレクトリaccess (IAM_MW_HOME)があり、これには6つのサブディレクトリ(iam (IAM_ORACLE_HOME)、oud (OUD_ORACLE_HOME)、soa (SOA_ORACLE_HOME)、oracle_common (ORACLE_COMMON_HOME)、wlserver_10.3 (WL_HOME)およびjrockit_version (JAVA_HOME))があります。

4.4.4.2 ローカル記憶域

エンタープライズ・デプロイメントでは、次のディレクトリをローカル記憶域に作成することをお薦めします。

表4-1 ローカル記憶域のディレクトリ

環境変数 ディレクトリ ホスト

Web層

WEB_MW_HOME

/u02/private/oracle/products/web

WEBHOST1 WEBHOST2

Web層

WEB_ORACLE_INSTANCE

/u02/private/oracle/config/instances/webn

WEBHOST1 WEBHOST2

アプリケーション層

OUD_ORACLE_INSTANCE

/u02/private/oracle/config/instances/oudn

IDMHOST1 IDMHOST2


MSERVER_HOME

/u02/private/oracle/config/domains/IDMDomain

IDMHOST1 IDMHOST2


図4-2 ローカル記憶域

図4-2については周囲のテキストで説明しています。

この図は、ローカル記憶域のディレクトリ階層を示しています。最上位ディレクトリ/u02/private/oracle (LOCAL_ROOT)には2つのサブディレクトリconfigおよびproductsがあります。

ディレクトリconfigには2つのサブディレクトリinstancesおよびdomainsがあります。domainsディレクトリにはoudn (OUD_ORACLE_INSTANCE)(nはOUDインスタンス)およびwebn (WEB_ORACLE_INSTANCE)(nはOHSインスタンス)があります。domainsディレクトリにはIDMDomain (MSERVER_HOME)があり、これにはapplicationsおよびserversがあります。serversディレクトリにはwls_oimnおよびwls_oamnがあり、ここでnはそれぞれOIMおよびOAMのインスタンスです。

productsディレクトリにはwebディレクトリ(WEB_MW_HOME)があり、これには4つのサブディレクトリ(web (WEB_ORACLE_HOME)、webgate (WEBGATE_ORACLE_HOME)、oracle_common (ORACLE_COMMON_HOME)およびjrockit_version (JAVA_HOME))があります。


注意:

WEB_ORACLE_INSTANCEディレクトリをローカル記憶域に配置することをお薦めしますが、共有記憶域も使用できます。共有記憶域を使用する場合、HTTPロック・ファイルを別の場所に配置する必要があります。