この章では、コマンドラインからOracle Universal Installerを使用する方法について説明します。
この章の内容は次のとおりです。
サイレント・インストールでは、グラフィック出力がなく、ユーザー入力も要求されないため、製品のインストールを監視する必要がありません。
Oracle Fusion Middleware製品のサイレント・インストールは、インストーラの起動時に、コマンドラインで-silent
フラグを使用して実行します。ほとんどの場合、特定の変数値やパラメータ値(インストール場所など)を含むファイルの場所と名前を指定する必要があります。これらは、グラフィカル・ユーザー・インタフェースを使用する通常のインストールでも要求される値です。
Oracle Fusion Middleware製品では、このファイルは通常、レスポンス・ファイルと呼ばれています。詳細は、第2.2項を参照してください。
注意: UNIXユーザーが初めてOracle製品をインストールする場合、開始前に 製品のインストールが終了したら、 |
サイレント・インストールを実行する前に、レスポンス・ファイルにインストール固有の情報(インストール・ディレクトリなど)を指定する必要があります。レスポンス・ファイルを適切に構成せずにインストールを実行しようとすると、インストーラが失敗します。レスポンス・ファイルは、テキスト・エディタで作成または編集できるテキスト・ファイルです。
次の方法でレスポンス・ファイルを作成することをお薦めします。
製品のグラフィカル・インストーラまたはアンインストーラは、製品のインストレーション・ガイドの説明に従って実行します。
製品のインストールの場合は、「インストール・サマリー」画面で、「レスポンス・ファイルの保存」をクリックしてインストール・パラメータをレスポンス・ファイルに保存します。
製品のアンインストールの場合は、「アンインストール・サマリー」画面で、「レスポンス・ファイルの保存」をクリックしてアンインストール・パラメータをレスポンス・ファイルに保存します。
このレスポンス・ファイルの名前と作成場所を入力するように求められます。作成されたら、そのファイルをそのまま使用して他のシステムでインストールまたはアンインストールをレプリケートすることも、必要に応じてファイルを修正することもできます。
サイレント・インストールに使用可能なサンプル・レスポンス・ファイルについては、付録Cを参照してください。
レスポンス・ファイルで指定できるパラメータは、第2.2.3項で説明します。
この項では、Oracle Universal Installerの有効なレスポンス・ファイルに指定できる様々なパラメータについて説明します。
サンプル・レスポンス・ファイルについては、付録Cを参照してください。
表2-1 レスポンス・ファイルのパラメータ
対応する画面 | パラメータ | 説明 |
---|---|---|
|
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Oracleホーム・ディレクトリの場所。 |
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最新の製品情報とセキュリティ・アップデートを受信する場合は、My Oracle Supportのユーザー名とパスワードを入力します。 |
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セキュリティ・アップデートを受信しない場合は、このパラメータを |
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環境でプロキシ・サーバーを使用する場合は、プロキシ・サーバーの情報を入力します。 |
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Oracle Configuration Manager RepeaterのURLです。書式は次のとおりです。 http://repeater_host:repeater_port または https://repeater_host:repeater_port |
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実行するインストールのタイプを指定します。この値は、製品ディストリビューションによって異なります。 WebLogic ServerおよびCoherenceディストリビューションの場合、次のインストール・タイプが有効です。
Fusion Middleware Infrastructureディストリビューションの場合、次のインストール・タイプが有効です。
Oracle HTTP Serverディストリビューションの場合、次のインストール・タイプが有効です。
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Oracleホームから削除するディストリビューションを指定します。 このパラメータは、アンインストーラ・プログラムを起動するOracleホームに複数のディストリビューションが存在する場合に必要です。
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この項では、サイレント・インストールの実行前に必要となる可能性のある事前タスクについて説明します。
この章では、次の項目について説明します。
oraInst.loc
ファイルの作成Oracleインベントリ・ディレクトリは、コンピュータにインストールされているすべてのOracle製品を記録するためにインストーラによって使用されます。このインベントリ・ディレクトリは、oraInst.loc
というファイルに格納されています。このファイルがシステムにない場合は、サイレント・インストールを開始する前に作成する必要があります。このファイルは、インストーラで使用されます。
root
ユーザーとしてログインします。
prompt> su
viやemacsなどのテキスト・エディタを使用して、任意のディレクトリにoraInst.loc
ファイルを作成します。このファイルは、次の2行で構成されています。
inventory_loc=oui_inventory_directory inst_group=oui_install_group
oui_inventory_directory
を、インベントリ・ディレクトリの作成先ディレクトリのフルパスに置き換えます。次に、oui_install_group
を、このディレクトリへの書込み権限を持つメンバーのグループ名に置き換えます。
root
ユーザーからログアウトします。
# exit
コンピュータにOracle製品がインストールされていない場合は、次のレジストリ・キーと値を作成する必要があります。
HKEY_LOCAL_MACHINE / SOFTWARE / Oracle / inst_loc = [inventory_directory]
Inventory_Directory
をインストーラ・ファイルへのフルパスに置き換えます。次に例を示します。
C:\Program Files\Oracle\Inventory
コマンドラインから製品インストーラを実行する場合の完全な構文は次のようになります。
java -jar distribution_name.jar [-mode] [-options] [(<CommandLinevariable=Value>)*]
製品インストーラをサイレント・モードで実行するには、-silent
モードを使用し、レスポンス・ファイルを指定します。
java -jar distribution_name.jar -silent -responseFile file [-options] [(<CommandLinevariable=Value>)*]
表2-2は、サイレント・インストールに用意されている有効なコマンドライン・パラメータの一覧です。
表2-2 インストーラのコマンドライン・パラメータ
パラメータ | 説明 | バージョン |
---|---|---|
インストール・モード - 指定できるモードは1つのみ |
||
|
インストーラをGUIモードで起動します。これはデフォルトのモードであり、コマンドラインでモードが指定されていない場合に使用されます。 |
11gおよび12c |
|
サイレント・モードでインストールします。レスポンス・ファイルまたはコマンドライン変数値の組合せをインストーラに渡す必要があります。 |
11gおよび12c |
インストール・オプション |
||
|
注意: |
11gおよび12c |
|
インベントリ・ロケーション・ファイルへのポインタ。ファイルには、 |
11gおよび12c |
|
レスポンス・ファイルへのポインタ。ファイルには、レスポンス・ファイルのフルパスと名前を代入します。 レスポンス・ファイルの作成の詳細は、第2.2項を参照してください。 |
11gおよび12c |
|
インストーラによって実行されるロギングのレベルを指定します。指定したレベルより優先度が低いすべてのメッセージが記録されます。有効なレベルは次のとおりです。
|
11gおよび12c |
|
ログ・ファイルの名前を指定します。 |
12cのみ |
|
インストーラからデバッグ情報を取得します。 |
11gおよび12c |
|
空ではないディレクトリへのサイレント・インストールの続行を許可します。 |
11gおよび12c |
|
ディスク使用量に関するデバッグ情報をログに記録します。 |
11gおよび12c |
|
メモリー使用量に関するデバッグ情報をログに記録します。 |
11gおよび12c |
|
時間の使用状況に関するデバッグ情報をログに記録します。このコマンドにより、 |
11gおよび12c |
|
Windowsのみ - Javaエンジンを起動および終了するかわりに、完了まで待機します。 注意: このオプションは、コマンドがスクリプトから呼び出される場合にのみ機能します。たとえば、 |
11gおよび12c |
|
メッセージはコンソール・ウィンドウに表示されません。 |
11gおよび12c |
|
システムの前提条件チェックの結果を無視してインストールを続行します。 |
11gおよび12c |
|
システムの前提条件チェックのみを実行して終了します。 |
11gおよび12c |
|
|
11gおよび12c |
|
インストーラで実行される妥当性チェックをすべて無効にします。 |
11gおよび12c |
|
GUIインストールでは、情報やデフォルト値が事前に移入されている画面がいくつかあります。このオプションを指定すると、この動作が無効になるため、情報や値は事前に移入されません。 |
11gおよび12c |
|
更新の確認をすべて無効にします。 |
12cのみ |
|
最新の更新をダウンロードするディレクトリを指定します。このパラメータは切断モードで使用できます。 |
12cのみ |
コマンドライン変数 |
||
インストーラ変数 |
インストーラ変数は、 ORACLE_HOME=/home/Oracle/Products/Oracle_Home Windowsオペレーティング・システムの場合: ORACLE_HOME=C:\Oracle\Products\Oracle_Home |
11gおよび12c |
セッション変数 |
セッション変数は、 |
11gおよび12c |
コンポーネント変数 |
コンポーネント変数は、 |
11gおよび12c |
システムで初めてインストールを行う場合(Oracleインベントリの場所がまだ存在しない場合)は、次のコマンドを使用してサイレント・インストールを実行します。
java -jar wls_121200.jar -silent -response file -invPtrLoc file
次に、このコマンドの完全な例を示します(レスポンス・ファイルは/home/exampleuser/response
ディレクトリに作成されます)。
java -jar wls_121200.jar -silent -response /home/exampleuser/response/wls.rsp -invPtrLoc /home/exampleuser/oraInst.loc
すでにシステムにOracle製品がインストールされており、インベントリの場所を指定する必要がない場合は、次のようなコマンドを使用できます。
java -jar wls_121200.jar -silent -response file
次に、このコマンドの完全な例を示します(レスポンス・ファイルは/home/exampleuser/response
ディレクトリに作成されます)。
java -jar wls_121200.jar -silent -response /home/exampleuser/response/wls.rsp
次に、Oracle WebLogic ServerおよびCoherenceのサイレント・インストールの出力例を示します。
java -jar wls_121200.jar -silent -response /home/exampleuser/response/wls.rsp Extracting files................... Starting Oracle Universal Installer Checking if CPU speed is above 300 MHz. Actual 2526.998 MHz Passed Checking swap space: must be greater than 512 MB. Actual 10288440 MB Passed Checking if this platform requires a 64-bit JVM. Actual 64 Passed (64-bit not required) Checking temp space: must be greater than 300 MB. Actual 44752 MB Passed Preparing to launch the Oracle Universal Installer from /tmp/OraInstall2013-04-02_10-32-26AM Log: /home/exampleuser/oraInventory/logs/install2013-04-02_10-32-26AM.log Copyright (c) 1996, 2013, Oracle and/or its affiliates. All rights reserved. Reading response file.. Expected result: One of enterprise-4,enterprise-5,enterprise-6,redhat-6,redhat-4,redhat-5,SuSE-10,SuSE-11 Actual Result: enterprise-5 Check complete. The overall result of this check is: Passed CertifiedVersions Check: Success. Verifying data...... Copying Files... -----------20%----------40%----------60%----------80%-------100% The installation of WebLogic Server 12.1.2.0.0 completed successfully.
Oracle Fusion Middleware製品をサイレント・モードでアンインストールするには、コマンドラインで-silent
モードを使用します。コマンドラインからアンインストーラを実行する場合の完全な構文は次のようになります。
./deinstall.sh -silent -responseFile file [-options] [(<CommandLinevariable=Value>)*]
表2-3は、サイレント・インストールに用意されている有効なコマンドライン・パラメータの一覧です。
表2-3 アンインストーラのコマンドライン・パラメータ
パラメータ | 説明 | バージョン |
---|---|---|
アンインストール・オプション |
||
|
注意: |
11gおよび12c |
|
インベントリ・ロケーション・ファイルへのポインタ。ファイルには、 |
11gおよび12c |
|
レスポンス・ファイルへのポインタ。ファイルには、レスポンス・ファイルのフルパスと名前を代入します。 レスポンス・ファイルの作成の詳細は、第2.2項を参照してください。 |
11gおよび12c |
|
インストーラによって実行されるロギングのレベルを指定します。指定したレベルより優先度が低いすべてのメッセージが記録されます。有効なレベルは次のとおりです。
|
11gおよび12c |
|
ログ・ファイルの名前を指定します。 |
12cのみ |
|
インストーラからデバッグ情報を取得します。 |
11gおよび12c |
|
空ではないディレクトリへのサイレント・インストールの続行を許可します。 |
11gおよび12c |
|
ディスク使用量に関するデバッグ情報をログに記録します。 |
11gおよび12c |
|
メモリー使用量に関するデバッグ情報をログに記録します。 |
11gおよび12c |
|
時間の使用状況に関するデバッグ情報をログに記録します。このコマンドにより、 |
11gおよび12c |
|
Windowsのみ - Javaエンジンを起動および終了するかわりに、完了まで待機します。 注意: このオプションは、コマンドがスクリプトから呼び出される場合にのみ機能します。たとえば、 |
11gおよび12c |
|
メッセージはコンソール・ウィンドウに表示されません。 |
11gおよび12c |
|
システムの前提条件チェックの結果を無視してインストールを続行します。 |
11gおよび12c |
|
システムの前提条件チェックのみを実行して終了します。 |
11gおよび12c |
|
|
11gおよび12c |
|
インストーラで実行される妥当性チェックをすべて無効にします。 |
11gおよび12c |
|
GUIインストールでは、情報やデフォルト値が事前に移入されている画面がいくつかあります。このオプションを指定すると、この動作が無効になるため、情報や値は事前に移入されません。 |
11gおよび12c |
|
更新の確認をすべて無効にします。 |
12cのみ |
|
最新の更新をダウンロードするディレクトリを指定します。このパラメータは切断モードで使用できます。 |
12cのみ |
コマンドライン変数 |
||
インストーラ変数 |
インストーラ変数は、 ORACLE_HOME=/home/Oracle/Products/Oracle_Home Windowsオペレーティング・システムの場合: ORACLE_HOME=C:\Oracle\Products\Oracle_Home |
11gおよび12c |
セッション変数 |
セッション変数は、 |
11gおよび12c |
コンポーネント変数 |
コンポーネント変数は、 |
11gおよび12c |
次に、サイレント・アンインストール・コマンドの例を示します。
./deinstall.sh -silent -responseFile /home/exampleuser/wls_deinstall.rsp
プログラムのアンインストールをサイレント・モードで実行した合、アンインストールの進行、正常終了、エラー発生を示すメッセージは表示されません。
-logFile
および-logLevel
パラメータを含めると、詳細なインストール・ログを作成できます。これらのパラメータの詳細は、表2-3を参照してください。
次に、ロギング・レベルにFINE
を指定した場合のサイレント・アンインストール・コマンドの例を示します。-logFileは指定していないため、アンインストーラはデフォルトのログ・ファイルの場所を使用します(付録Eを参照)。
./deinstall.sh -silent -responseFile /home/exampleuser/wls_deinstall.rsp -logLevel FINE
次に、Oracle WebLogic ServerおよびCoherenceのサイレント・アンインストールからの出力例を示します。
./deinstall.sh -silent -responseFile /home/exampleuser/wls_deinstall.rsp Starting Oracle Universal Installer Checking if CPU speed is above 300 MHz. Actual 2526.998 MHz Passed Checking swap space: must be greater than 512 MB. Actual 10288440 MB Passed Checking if this platform requires a 64-bit JVM. Actual 64 Passed (64-bit not required) Checking temp space: must be greater than 300 MB. Actual 44752 MB Passed Preparing to launch the Oracle Universal Installer from /tmp/OraInstall2013-04-02_10-32-26AM Log: /home/exampleuser/oraInventory/logs/install2013-04-02_10-32-26AM.log Copyright (c) 1999, 2013, Oracle and/or its affiliates. All rights reserved. Reading response file.. Starting silent deinstallation... -----------20%----------40%----------60%----------80%-------100% The uninstall of WebLogic Server 12.1.2.0.0 completed successfully.