この章では、Oracle RTDの簡易インストールまたはエンタープライズ・インストール後に存在するファイルおよびディレクトリ構造と、ソフトウェアのみのインストール後に実行される場合がある構成ステップについて説明します。
Oracle RTDのインストールの実行には、Oracle Fusion Middleware Business Intelligenceインストーラを使用します。
次の3つのインストール・タイプがあります。
簡易インストール
エンタープライズ・インストール
ソフトウェアのみインストール
Business Intelligenceインストーラの各インストール・シナリオでは、様々なBusiness Intelligenceコンポーネントを選択するオプションが提供されます。Oracle RTDの選択およびインストールは、他のどのコンポーネントの選択/インストールにも依存しません。
簡易インストールとエンタープライズ・インストールは、同じタイプのシステム・オブジェクトが作成および構成されるという点で類似しています。簡易インストールではデフォルト値が使用されるのに対し、エンタープライズ・インストールではインストール担当者が多数のデフォルト以外の値を選択できます。ソフトウェアのみのインストールでは、コンポーネント・ファイルが標準ディレクトリにコピーされるだけで、コンポーネントの構成とデプロイはいずれも行われません。
Oracle RTDのインストール方法の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Business Intelligenceインストレーション・ガイド』に記載されています。
Oracle RTDの様々な機能を示す例として使用できるCrossSellおよびDC_Demoインライン・サービスがOracle RTDとともにリリースされます。これらのインライン・サービスに必要なデータはOracle RTDに付属していますが、インストール時には設定されません。これらのサンプル・インライン・サービスのデータの設定方法はこの章で説明します。
この章には次のトピックが含まれます:
どのBusiness Intelligence製品をインストールしたかにかかわらず、基本的な簡易インストールまたはエンタープライズ・インストールを実行した後の主なサーバー側ディレクトリを図3-1に示します。
注意: ディレクトリおよびファイルの正確な名前は、インストール時に選択したオプションに応じて異なる場合があります。特に断りのないかぎり、この章のダイアグラムと説明では、簡易インストール時に作成される標準のデフォルト名を使用しています。 |
Oracle BIディレクトリは、インストールされた製品のホーム・ディレクトリです。この項では、<Oracle_BI_directory>
として示しています。このディレクトリには、製品固有のファイルと、インストールされたすべての製品に共通するファイルの両方が格納されます。図3-2に、Oracle RTD管理者に最も関連の深い、<Oracle_BI_directory>
内のサブディレクトリとファイルを示します。
簡易インストールおよびエンタープライズ・インストールの両方に関するインストール完了後の状況を次に示します。
<Oracle_BI_directory>
/bifoundation/jee
にRTD.ear
ファイルがあります。
システムは、1つの管理サーバーを持つ新しいWebLogicドメインと、1つの管理対象サーバーで構成されています。
Oracle RTDが構成され、管理対象サーバーにデプロイされています。
<Oracle_BI_directory>
/clients/rtd/
ディレクトリ内のzipファイルに、Oracle RTDクライアント側ツールが存在します。
クライアント・ツールのzipファイル名はrtd_client_11.1.1.zip
です。
Oracle RTDクライアント側ツールは、Windowsプラットフォームでのみ実行可能です。Oracle RTDをWindowsプラットフォームにインストールしなかった場合は、クライアント・ツールのzipファイルをWindowsクライアント・マシンにコピーして、そこで解凍する必要があります。詳細は、第3.2項「Oracle RTDクライアント側ファイルのインストール」を参照してください。
Oracle RTDを実行するために必要な表とプロシージャは、通常、リポジトリ作成ユーティリティ(RCU)を実行することによって、事前に作成されます。表には、モデルのスナップショット表が含まれます。これは、他のOracle RTD表と同じスキーマに存在します。
注意:
|
Oracle RTDはWindowsまたはUNIXで実行できます。デシジョン・スタジオやロード・ジェネレータなどのOracle RTDクライアント・ツールは、Windowsでのみ実行可能です。Oracle RTDクライアント・ツールのインストールでは、クライアント・ツールのzipファイルをWindowsマシン上で解凍します。それ以外の手順は不要です。
Oracle RTDをWindowsプラットフォームにインストールした場合は、サーバー側ディレクトリ<Oracle_BI_directory>
/clients/rtd/
にあるクライアント・ツールのzipファイルを任意のディレクトリに解凍します。
Oracle RTDをWindowsプラットフォーム以外にインストールした場合は、次の2段階のプロセスを実行する必要があります。
サーバー側ディレクトリ<Oracle_BI_directory>
/clients/rtd/
から、クライアント・ツールを使用するWindowsクライアント・マシンに、クライアント・ツールのzipファイルをコピーします。
Windowsクライアント・マシン上で、任意のディレクトリにクライアント・ツールのzipファイルを解凍します。
Oracle RTDおよびOracle RTDクライアント・ツールでサポートされているマシン構成の詳細は、第1.4項「システム要件と動作保証情報」を参照してください。
注意: すべてのOracle RTDドキュメントに適用される用語規則により、Oracle RTDクライアント側ツールのインストール先ディレクトリ名は |
図3-3に、クライアント・ツールのzipファイルを解凍した後の、主なOracle RTDクライアント側ディレクトリおよびファイルを示します。
Oracle RTDクライアント側ツールをインストール後に使用するためには、Oracle RTDをインストールしたサーバー・マシン上に存在するものと同じバージョンのJava Development Kit(JDK)が必要です。サーバー側JDKは、通常、<middleware_home>
ディレクトリの直下のディレクトリに存在します。
クライアント・マシンにJDKをインストールした後は、JAVA_HOME
という名前のシステム環境変数を作成し、値をJDKのインストール場所のフルパス名に設定します。
システム環境変数PATHを変更するには、既存の値の先頭に%JAVA_HOME%
\bin;
を追加します。
たとえば、既存のPATH値が'abc;'
である場合、新しい値は次のようになります。
'%JAVA_HOME%\bin;abc;'
デフォルトで、JAVA_HOME
システム環境変数を設定すると、Oracle RTDのすべてのクライアント・ツールが有効化されます。また、JAVA_HOME
をローカルのRTD_HOME
/scripts/SetSDParams.cmd
ファイルに設定することもできます。JAVA_HOME
のこのローカル設定は、InitAppdb.cmd
やloadgen.cmd
などのsdexec.cmd
を使用する(デシジョン・スタジオとコマンドライン・デプロイヤはいずれも使用しない)Oracle RTD操作にのみ影響します。
ソフトウェアのみのインストール後のOracle RTDの構成
ソフトウェアのみのインストールでは、インストール時に選択したコンポーネントのバイナリが適切なディレクトリにインストールされます。ミドルウェア・ホーム内のディレクトリに対する小さな変更はいくつか行われますが、主な影響は、新しいOracle BIディレクトリが作成され、この新規ディレクトリに製品関連のファイルが設定されることです。
ソフトウェアのみのインストールでは、構成およびコンポーネントの有効化はいずれも実行されません。関連するWebLogicドメインは作成されません。Oracle RTDなどのJEEコンポーネントの構成もデプロイも行われません。
Oracle RTDを構成し、WebLogicドメインおよびデフォルトのすべてのセキュリティ・コンポーネントを作成するプロセスを完了するには、<Oracle_BI_directory>
/bin/config.sh
(Linuxシステムの場合)または<Oracle_BI_directory>
/bin/config.bat
(Windowsシステムの場合)を実行する必要があります。
簡易インストールおよびエンタープライズ・インストール後のOracle RTDの構成
簡易インストールとエンタープライズ・インストールでは、Oracle RTD(およびインストール時に選択した他のコンポーネント)用に、単一のWebLogicドメインが自動的に作成されます。Oracle RTD用の追加のWebLogicドメインを必要としない場合は、実行する必要があるインストール後の手順はありません。
簡易インストールまたはエンタープライズ・インストール後に、同じ<Oracle_BI_directory>
内にOracle RTD用の追加のWebLogicドメインが必要な場合は、スクリプト<Oracle_BI_directory>
/bin/config.sh
(Linuxシステムの場合)または<Oracle_BI_directory>
/bin/config.bat
(Windowsシステムの場合)を実行します。
Oracle RTDの実行時に使用および更新されるファイルは、<mw_home>
/user_projects/domains/
domain_name
/servers/
server_name
/
に配置されます。便宜上、このディレクトリをRTD_RUNTIME_HOME
と呼びます。
たとえば、Oracle RTDログや他の管理対象サーバー・ログはRTD_RUNTIME_HOME
/logs/
に配置されます。
Oracle Real-Time Decisionsには、2つのサンプル・インライン・サービス、CrossSellとDC_Demoが付属しています。これらのインライン・サービスのいずれかまたは両方を使用するには、データベースに追加の表を作成してデータを移入する必要があります。このためには、Oracle RTDクライアント側ツールをインストールしたWindowsコンピュータ上でスクリプトInitAppDB
を実行します。
データベース・クライアント・ツールに関する要件
Windowsコンピュータ上に、Oracle RTDクライアント側ツールに加えて、使用データベースに適したクライアント・ツールが存在することが必要です。これは、次のものをインストールすることによって確保されます。
Oracle RTD DatabaseにSQL Serverを使用している場合は、SQL Serverクライアント・ツール
Oracle RTD DatabaseにOracle Databaseを使用している場合は、Oracle Administrator Client(SQL*Plusを含んでいる必要があります)
Oracle RTD DatabaseにDB2を使用している場合は、DB2 Administration Client
この項には次のトピックが含まれます:
Oracle Real-Time Decisionsには、CrossSellという名前のサンプル・インライン・サービスが付属しています。このサンプル・インライン・サービスを使用するには、Oracle RTD Database内に、CrossSellCustomers
、CrossSellResponses
およびCrossSellBestOffer
という3つの表を作成して、データを移入する必要があります。
InitAppDB
は、サンプル・インライン・サービスと同じ場所にあります。コマンド・プロンプトを使用して、データベースのタイプに該当するスクリプトを実行します。
Oracle RTD DatabaseにSQL Serverを使用している場合は、RTD_HOME
\examples\CrossSell\etc\data\SQLServer\initappdb.cmd
を実行します。
Oracle RTD DatabaseにOracle Databaseを使用している場合は、RTD_HOME
\examples\CrossSell\etc\data\Oracle\initappdb.cmd
を実行します。
Oracle RTD DatabaseにDB2を使用している場合は、RTD_HOME
\examples\CrossSell\etc\data\DB2\initappdb.cmd
を実行します。
このスクリプトには、次のパラメータが必要です。
InitAppDB RTD_HOME db_host db_port db_name db_runtime_user db_admin_user db_admin_password
表3-1に、InitAppDB
スクリプトのパラメータについて説明します。
表3-1 InitAppDBスクリプトのパラメータ
パラメータ | 説明 |
---|---|
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Oracle RTDクライアント側ファイルがインストールされているディレクトリのフルパス。 |
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データベース・サーバーをホスティングするコンピュータの名前。 Oracle RTD DatabaseをSQL Serverの名前付きインスタンスにインストールした場合は、 |
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データベースのポート番号。 |
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データベースの名前。Oracle Databaseの場合はSID。 |
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システムのランタイム・ユーザーのユーザー名。 |
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データベースに対して表およびストアド・プロシージャを作成する権限を持つユーザーの名前。 |
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管理ユーザーのパスワード。 |
脚注 1 Oracleデータベースの場合は、db_runtime_user
とdb_admin_user
は同じユーザーになります。
Oracle DatabaseをOracle RTD Databaseに使用する場合は、InitAppDB
スクリプトの実行後に、データベース・ユーザーからResource
ロールを取り消すことができます。
Oracle Real-Time Decisionsには、動的選択と外部ルールについて示す、DC_Demoという名前の別のサンプル・インライン・サービスが付属しています。このサンプル・インライン・サービスを使用するには、まずWebOffers
という名前のサンプル・データベース表を作成して、データを移入する必要があります。
InitAppDB
は、サンプル・インライン・サービスと同じ場所にあります。コマンド・プロンプトを使用して、データベースのタイプに該当するスクリプトを実行します。
Oracle RTD DatabaseにSQL Serverを使用している場合は、RTD_HOME
\examples\DC_Demo\etc\data\SQLServer\initappdb.cmd
を実行します。
Oracle RTD DatabaseにOracle Databaseを使用している場合は、RTD_HOME
\examples\DC_Demo\etc\data\Oracle\initappdb.cmd
を実行します。
Oracle RTD DatabaseにDB2を使用している場合は、RTD_HOME
\examples\DC_Demo\etc\data\DB2\initappdb.cmd
を実行します。
このスクリプトには、次のパラメータが必要です。
InitAppDB RTD_HOME db_host db_port db_name db_runtime_user db_admin_user db_admin_password
InitAppDB
スクリプトのパラメータの詳細は、表3-1を参照してください。