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Oracle® Fusion Middleware Oracle Business Intelligence Discoverer構成ガイド
11g リリース1 (11.1.1)
E51909-02
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7 Oracle Web CacheとのDiscoverer Viewerの使用

この章では、Discoverer Viewerのパフォーマンスを向上するOracle Web Cacheの使用方法について説明します。この章の内容は次のとおりです。

7.1 Oracle Web Cacheについて

Oracle Web Cacheは、Webサイトのパフォーマンス、スケーラビリティおよび可用性を向上させる、コンテンツ対応サーバー・アクセラレータ(リバース・プロキシ・サーバー)です。Oracle Web Cacheが頻繁にアクセスするページをメモリーに格納することで、そのページに対する処理リクエストを中間層サーバーおよびデータベースで繰り返す必要がなくなります。

さらに、Oracle Web Cacheは、複数マシンのインストール環境のロード・バランシングにも使用できます。詳細は、第6章「複数マシン環境または複数インスタンス環境におけるDiscovererの管理」を参照してください。

Oracle Web Cacheは、Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlを使用して管理します。

Fusion Middleware ControlでOracle Web Cacheのページを表示するには:

  1. Oracle Fusion Middleware Controlホームページを表示します。詳細は、第4.1.2項「Fusion Middleware Controlを起動してファーム・ホームページを表示する方法」を参照してください。

  2. ナビゲーション・ペインで、「Webキャッシュ」ノードの下にある「Web層」ノードに移動します。

Oracle Web CacheはWebアプリケーション・サーバーの前に置かれ、Webサーバーのコンテンツをキャッシュして、Webブラウザからのリクエストに応じてそのコンテンツを配信します。WebブラウザがWebサイトにアクセスすると、WebブラウザからHTTPプロトコルまたはHTTPSプロトコルのリクエストがOracle Web Cacheに送信されます。リクエストを受信したOracle Web Cacheは、Webアプリケーション・サーバーに対する仮想サーバーとして動作します。リクエストされるコンテンツが変更されると、Oracle Web CacheはWebアプリケーション・サーバーから新しいコンテンツを取得します。

図7-1 Oracle Web Cacheの概要


Oracle Web Cacheの使用の詳細は、Oracle Fusion Middleware Oracle Web Cache管理者ガイドを参照してください。

注意

7.2 Oracle Web Cacheの利点とは

Oracle Web Cacheの使用には、次の利点があります。

  • パフォーマンスの向上

    安価なハードウェアで実行しても、Oracle Web Cacheを使用してWebサイトのスループットを大きく向上させることができます。さらに、Oracle Web Cacheは、ドキュメントをメモリーに格納したり、GZIPエンコーディングをサポートするブラウザにドキュメントの圧縮バージョンを供給して、ブラウザのリクエストへのレスポンス時間を大幅に短縮できます。

  • スケーラビリティの向上

    比類のないスループットに加え、Oracle Web Cacheは多数のブラウザ接続を同時に維持できます。その結果、負荷のピーク時でも、サイト訪問中のWebアプリケーション・サーバー・エラーがほとんど起こりません。

  • 高可用性の提供

    Oracle Web Cacheでは、コンテンツ対応のロード・バランシングおよびフェイル・オーバー検出をサポートしています。これらの機能により、キャッシュにないドキュメント(「キャッシュ・ミス」と呼ばれます)は、クラスタ内で可用性とパフォーマンスの最も高いWebサーバーにダイレクトされます。さらに、これらの機能により、Webアプリケーション・サーバーへの負荷が増加した場合にパフォーマンスの保証とサージ保護が提供されます。

  • コストの節約

    トラフィック・スパイクおよびサービス拒否攻撃によって引き起こされる問題への対応を必要とするWebアプリケーション・サーバーが少なくてすみます。結果として、Oracle Web Cacheは、各リクエストのWebサイト・コストを軽減する簡単で安価な方法を提供します。

  • ネットワーク・トラフィックの軽減

    ほとんどのリクエストがOracle Web Cacheで解決されるため、Webアプリケーション・サーバーへのトラフィックを軽減できます。また、キャッシュにより、Webアプリケーション・サーバーだけでなく、コンピュータに配置されたバックエンド・データベースへのトラフィックも軽減されます。

Oracle Web Cache使用時の利点の詳細は、Oracle Fusion Middleware Oracle Web Cache管理者ガイドを参照してください。

7.3 Oracle Web Cacheの動作

Oracle Web Cacheは、キャッシュ・ルールを使用して、キャッシュするドキュメントを決定します。キャッシュ・ルールは、特定のURL内で指定したドキュメントをキャッシュするか、キャッシュしないかを指定します。キャッシュ・ルールは、正規表現を使用して定義されます(Oracleの正規表現の実装の詳細は、Oracle Fusion Middleware Oracle Web Cache管理者ガイドを参照)。

キャッシュ・ルールに含まれるURL内で指定されるドキュメントは、ブラウザがそのドキュメントをリクエストするまではキャッシュされません。

図7-2 URLおよびドキュメントのリクエスト処理



図の要点:
a.ブラウザが特定のURLを最初にリクエストしたときに、Oracle Web Cacheでは要求されたドキュメントがキャッシュに存在しないことを検出します(キャッシュ・ミスと呼ばれます)。そのため、Oracle Web CacheはアプリケーションWebサーバーにリクエストを転送し、アプリケーションWebサーバーではリクエストをデータベースに送信します。
b.データベースはアプリケーションWebサーバーにデータを返し、アプリケーションWebサーバーではドキュメントおよびそのURLをOracle Web Cacheに転送します。そのURLがキャッシュするURLの1つとして指定されている場合、Oracle Web Cacheは後続のリクエストのためにそのドキュメントをキャッシュします。
c.ブラウザが次にそのURLをリクエストすると、Oracle Web Cacheはそのドキュメントがキャッシュに存在することを検出します(キャッシュ・ヒットと呼ばれます)。
d.Oracle Web Cacheはキャッシュからブラウザにそのドキュメントを渡します。

7.4 Oracle Web CacheとともにDiscoverer Viewerを使用する場合

次のような場合に、Discoverer ViewerをOracle Web Cacheとともに使用すると、Webサイトのパフォーマンス、スケーラビリティおよび可用性が最も向上します。

  • Webサイトでパブリック・ワークブックのみが使用されている場合

  • Webサイトが相対的に静的なデータにアクセスする場合

  • Discovererマネージャやワークブックの作成者がOracle Web Cacheにアクセスして、ワークブックの変更後にキャッシュをリフレッシュできる場合

Oracle BI Discovererのインストール後に、手動でキャッシュ・ルールを指定する必要があります。詳細は、第7.5.1項「Discovererキャッシュ・ルールの作成方法」を参照してください。

セキュリティ上の理由により、Oracle Web Cacheでキャッシュされるのは、パブリック接続を使用してアクセスされるDiscoverer Viewerページのみです。

データへのアクセス制御が比較的重要でない場合(たとえば、複数のユーザーがワークブックにアクセスするために同じパブリック接続を使用するような場合)、Oracle Web CacheはDiscoverer Viewerのパフォーマンスを理想的に最適化します。データへのアクセス制御が必要な制限のある環境(たとえば、各ユーザーが各自のワークブックにアクセスするためにプライベート接続を使用するような場合)には、Oracle Web Cacheはあまり適しません。制限された環境でのOracle Web Cacheの使用を検討している場合は、別のユーザーのためにキャッシュされているページに、悪意のあるユーザーがアクセスする可能性があることに注意してください。Oracle BI Discovererの全般的なセキュリティの詳細は、第13章「Oracle BI Discovererのセキュリティ管理」を参照してください。

7.5 Oracle Web CacheとともにDiscoverer Viewerを使用する方法

Oracle Web CacheとともにDiscoverer Viewerを使用するには:

7.5.1 Discovererキャッシュ・ルールの作成方法

Oracle Web CacheはOracle Fusion Middlewareとともにインストールされますが、デフォルトでは無効になっています。Oracle Web Cacheを使用するには、キャッシュ・ルールを作成する必要があります。たとえば、Discoverer Viewerのページをキャッシュすることも、Discoverer中間層マシンを使用してロード・バランシングを提供することもできます。

Discoverer Viewerに対してOracle Web Cacheを有効にするには:

  1. Fusion Middleware ControlでDiscovererホームページを表示します。詳細は、第4.1.2項「Fusion Middleware Controlを起動してファーム・ホームページを表示する方法」を参照してください。

  2. ナビゲーション・ペインで、「Webキャッシュ」ノード(例: wc1)に移動して、「Webキャッシュ・ホーム」ページを表示します。

  3. 「Webキャッシュ」メニューから、「管理」「キャッシュ・ルール」を選択します。

  4. 「キャッシュ・ルール」ページが表示されます。このページで、「作成」をクリックして「キャッシュ・ルールの作成」ページを表示します。

  5. /discoverer/appが含まれているURLをキャッシュするルールを作成します。

    1. 「名前」フィールドに、一意の名前を入力します(例: Discoverer caching rule)。

    2. 「URL一致条件」ドロップダウン・リストから、「パス接頭辞」を選択し、隣のテキスト・ボックスに/discoverer/appと入力します。

      その他のフィールドのデフォルト値は変更しないでください。

    3. 「OK」をクリックしてルールを保存します。

      ページの上部に、確認メッセージが表示されます。

  6. /discoverer/viewerが含まれているURLをキャッシュするルールを作成します。

    1. 「名前」フィールドに、一意の名前を入力します(例: Discoverer viewer caching rule)。

    2. 「URL一致条件」ドロップダウン・リストから、「パス接頭辞」を選択し、隣のテキスト・ボックスに/discoverer/viewerと入力します。

    3. 「HTTPメソッド」領域で、「GET」チェック・ボックスの選択を解除します。

    4. 「問合せ文字列を含むGET」チェック・ボックスを選択します。

    5. 「POST本体式」チェック・ボックスを選択します。

    6. 「OK」をクリックしてルールを保存します。

      ページの上部に、確認メッセージが表示されます。

  7. /discoverer/servlet/GraphBeanServletが含まれているURLをキャッシュするルールを作成します。

    1. 「名前」フィールドに、一意のルール名を入力します。

    2. 「URL一致条件」ドロップダウン・リストから、「パス接頭辞」を選択し、隣のテキスト・ボックスに/discoverer/servlet/GraphBeanServletと入力します。

    3. 「HTTPメソッド」領域で、「GET」チェック・ボックスの選択を解除します。

    4. 「問合せ文字列を含むGET」チェック・ボックスを選択します。

    5. 「POST本体式」チェック・ボックスを選択します。

    6. 「OK」をクリックしてルールを保存します。

      ページの上部に、確認メッセージが表示されます。

  8. 「マルチ・バージョニング」タブを表示します。

  9. 選択したヘッダーのリストに「User-Agent」ヘッダーを追加します。

  10. 「OK」をクリックします。

  11. 「適用」をクリックします。

    Oracle Web CacheでDiscoverer Viewerのページがキャッシュされるようになります。

7.5.2 Discoverer Viewerに対してOracle Web Cacheを有効にする方法

Oracle Web CacheはOracle Business Intelligenceとともにインストールされますが、デフォルトではDiscoverer Viewerでの使用は無効に設定されます。DiscovererでOracle Web Cacheを使用するには、このキャッシュを有効にする必要があります。たとえば、Discoverer Viewerページをキャッシュする場合、または1台のDiscoverer中間層マシンを使用してロード・バランシングを提供する場合です。

注意: Fusion Middleware Controlの「コンポーネント」表に、Oracle Web Cacheのステータスが「有効」と表示される場合がありますが、これはDiscoverer Viewerでのこのキャッシュの使用が有効化されていることを意味しません。次の手順に従って、「Discoverer Viewer構成」ページで「WebCacheを使用する」チェック・ボックスを選択する必要があります。

Discoverer Viewerに対してOracle Web Cacheを有効にするには:

  1. Fusion Middleware ControlでDiscovererホームページを表示します(詳細は、第4.1.3項「Fusion Middleware ControlのDiscovererホームページとDiscovererコンポーネント・ホームページを表示する方法」を参照)。

  2. 「コンポーネント」領域の「名前」列で、「Discoverer Viewer」リンクをクリックします。

  3. 「構成」をクリックして「Discoverer Viewer構成」ページを表示します。

  4. 「WebCacheを使用する」チェック・ボックスを選択します。

  5. 「適用」をクリックします。

    これで、Oracle Web Cacheが有効化され、Discoverer Viewerページのキャッシュが開始します。

7.5.3 キャッシュの最大化を可能にするDiscoverer Viewerの構成方法

Discoverer Viewerページのキャッシュを最大化するには、Discoverer Viewerで使用できるエンド・ユーザー・オプションを必要に応じて制限できます。たとえば、ワークシートのレイアウト・ツールバーを削除すると、各エンド・ユーザーに許可されるワークシートの操作量が制限され、Oracle Web Cacheがページを容易にキャッシュできるようになります。

キャッシュを最大化できるようにDiscoverer Viewerを構成するには:

  1. Fusion Middleware Controlの構成するマシン用のDiscovererホームページを表示します(詳細は、第4.1.3項「Fusion Middleware ControlのDiscovererホームページとDiscovererコンポーネント・ホームページを表示する方法」を参照)。

  2. 「コンポーネント」領域の「名前」列で、「Discoverer Viewer」リンクをクリックします。

  3. 「構成」をクリックします。

  4. 「Viewer遅延時間」領域で、「クエリーの進行状況ページ」「リクエスト」を上限値(例: 60秒)に設定します。

  5. 「適用」をクリックし、Discoverer Viewerのホームページに戻ります。

  6. 「カスタマイズ」をクリックします。

  7. 「レイアウト」リージョンの「操作リンク」領域で、チェック・ボックスの選択を可能なかぎり解除し、エンド・ユーザーが必要なタスク(「印刷」や、「電子メールで送信」など)を実行できるようにします。

  8. 「その他」領域で、「ツールバー」チェック・ボックスの選択を解除します。

  9. 「適用」をクリックして、変更内容を保存します。

  10. Discoverer Viewerを実行してワークブックを開きます。