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Oracle® Fusion Middleware Oracle WebCenter Portalエンタープライズ・デプロイメント・ガイド
11g リリース1 (11.1.1.8.3)
B55900-10
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5 エンタープライズ・デプロイメント用のデータベースの準備

この章では、Oracle WebCenter Portalエンタープライズ・デプロイメント用にデータベースを準備する手順について説明します。この手順には、データベースの初期設定、メタデータ・リポジトリのロードおよびデータベースのバックアップが含まれます。

この章には次のトピックが含まれます:

5.1 エンタープライズ・デプロイメント用のデータベースの準備の概要

データベースには、WebCenter Portalエンタープライズ・トポロジ用に、WebCenter PortalコンポーネントやOWSMなどの様々なOracle Fusion Middlewareコンポーネントによって使用される、スキーマのコレクションであるOracle Fusion Middleware Repositoryが用意されています。このデータベースはアイデンティティ管理データベースとは別になっています。これは、Oracle Internet DirectoryやDIPなどのコンポーネントによってアイデンティティ管理のエンタープライズ・デプロイメントで使用されます。

Oracle Fusion Middlewareコンポーネントを構成するには、まずOracle Fusion Middlewareリポジトリをインストールする必要があります。Oracle Fusion Middlewareメタデータ・リポジトリは、リポジトリ作成ユーティリティ(RCU)を使用して既存のデータベースにインストールします。RCUはRCUのDVDにあるか、表2-2に記載された場所にあります。エンタープライズ・トポロジでは、Real Application Clusters (Oracle RAC)データベースを強くお薦めします。

後でWebCenter Portalコンポーネントを構成する際には、構成ウィザードによってメタデータ・リポジトリを含むデータベースに接続するための情報の入力が求められます。

5.2 データベース要件について

メタデータ・リポジトリをデータベースにロードする前に、次の各項で説明されている要件をデータベースが満たしていることを確認してください。

5.2.1 データベース・ホストの要件

データ層内のCUSTDBHOST1およびCUSTDBHOST2には、次の要件があります。

  • Oracle Clusterware

    Linux用11g リリース1 (11.1)については、Oracle Clusterwareのインストレーション・ガイドを参照してください。

  • Oracle Real Application Cluster

    Linux用11g リリース1 (11.1)については、『Oracle Real Application Clustersインストレーション・ガイド for Linux and UNIX』を参照してください。Linux用10g リリース2 (10.2)については、Oracle Database Oracle ClusterwareとOracle Real Application Clustersのインストレーション・ガイドを参照してください。

  • 自動ストレージ管理(オプション)

    ASMでは、ノードが全体としてインストールされます。データベースのOracleホームとは別のOracleホームにインストールすることをお薦めします。このオプションはrunInstallerにあります。「構成の選択」ページで「自動ストレージ管理の構成」オプションを選択し、個別のASMホームを作成します。

5.2.2 サポートされているデータベース・バージョン

Oracle WebCenter Portalでは、サポートされているデータベースおよびスキーマが存在している必要があります。使用するデータベースが認証されていること、または認証済のすべてのデータベースを確認するには、Oracle Fusion Middlewareのサポートされるシステム構成ページにあるOracle Fusion Middleware 11gリリース1 (11.1.1.x)の製品エリアを参照してください。

http://www.oracle.com/technetwork/middleware/ias/downloads/fusion-certification-100350.html

データベースのリリースをチェックするには、次のようにPRODUCT_COMPONENT_VERSIONビューに問い合せます。

SQL> SELECT VERSION FROM SYS.PRODUCT_COMPONENT_VERSION WHERE PRODUCT LIKE 'Oracle%';


注意:

  • Oracle WebCenter Portalでは、メタデータ(10gまたは11g)の格納に使用するデータベースでAL32UTF8文字セットがサポートされている必要があります。データベースの文字セットの選択に関する情報は、データベースのドキュメントを確認してください。

  • WebCenter Portalエンタープライズ・デプロイメントでは、Oracle RACデータベースへの接続にGridLinkデータ・ソースを使用することをお薦めします。GridLinkでSCAN機能を使用するには、Oracle Database Server 11gR2 (Enterprise Edition, バージョン11.2以降)のOracle RACデータベース・バージョンを使用する必要があります。


5.2.3 初期化パラメータについて

必要な最小値に次の初期化パラメータが設定されていることを確認してください。これは、リポジトリ作成ユーティリティによってチェックされます。

表5-1 必要な初期化パラメータ

構成 パラメータ 必要な値 パラメータ・クラス

SOA

PROCESSES

300以上

静的

WebCenter Portal

PROCESSES

300以上

静的

SOAおよびWebCenter Portal

PROCESSES

600以上

静的

SOA、WebCenter Portal、およびWebCenter Content

PROCESSES

700以上

静的


SQL*Plusを使用して初期化パラメータの値をチェックするには、SHOW PARAMETERコマンドを次のように使用します。

SYSユーザーとして、SHOW PARAMETERコマンドを次のように発行します。

SQL> SHOW PARAMETER processes

次のコマンドを使用して初期化パラメータを設定します。

SQL> ALTER SYSTEM SET processes=300 SCOPE=SPFILE;

データベースを再起動します。


注意:

パラメータの値を変更する方法は、パラメータが静的か動的かによって異なり、データベースがパラメータ・ファイルとサーバー・パラメータ・ファイルのどちらを使用しているかによっても異なります。パラメータ・ファイル、サーバー・パラメータ・ファイル、およびパラメータ値の変更方法の詳細は、Oracle Database管理者ガイドを参照してください。


5.3 データベース・サービスの作成

複数の製品スイートで同じデータベースを共有している場合でも、製品スイートごとに別のデータベース・サービスを構成することをお薦めします。また、デフォルトのデータベース・サービスとは別のデータベース・サービスを使用することもお薦めします。

サービスを使用したOracle Databaseへの接続の詳細は、『Oracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』のOracle RACとネットワークの接続性に関する項を参照してください。データベース・サービスを作成および管理する完全な手順については、『Oracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』の動的データベース・サービスによるワークロード管理に関する項を参照してください。

実行時接続ロード・バランシングでは、ロード・バランシングが有効になっている各サービスのサービス・レベルの目標を使用してOracle RACロード・バランシング・アドバイザを構成する必要があります。Oracle RACロード・バランシング・アドバイザには、SERVICE_TIMEまたはTHROUGHPUTを構成できます。接続のロード・バランシングの目標は「短い」に設定します。10gと11gリリース1データベースについては、この変更にDBMS_SERVICEパッケージを使用します。11gリリース2には、かわりにsrvctlコマンド・ユーティリティを使用します。

この項には次のトピックが含まれます:

5.3.1 10gおよび11gリリース1 (11.1)データベース用のデータベース・サービスの作成

10gおよび11gリリース1データベース・サービスを作成および変更するには、DBMS_SERVICEパッケージを使用します。

  1. SQL*Plusにログオンし、サービスを作成します。

    sqlplus "sys/password as sysdba"
     
    SQL> EXECUTE DBMS_SERVICE.CREATE_SERVICE
    (SERVICE_NAME => 'wcpedg.mycompany.com',
    NETWORK_NAME => 'wcpedg.mycompany.com'
    ); 
    

    注意:

    Oracle RACデータベースのサービス名と、それに続けてドメイン名を小文字で入力します。例:

    wcpedg.mycompany.com



    注意:

    示したEXECUTE DBMS_SERVICEコマンドは1行に入力します。

    DBMS_SERVICEパッケージの詳細は、Oracle Database PL/SQLパッケージおよびタイプのリファレンスを参照してください。


  2. 次のsrvctlコマンドを使用して、データベースにサービスを追加し、それをインスタンスに割り当てます。

    srvctl add service -d wcdb -s wcpedg.mycompany.com -r wcdb1,wcdb2
    
  3. サービスを開始します。

    srvctl start service -d wcdb -s wcpedg.mycompany.com
    

    注意:

    SRVCTLを使用したデータベース・サービスの作成および管理の完全な手順については、『Oracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』のSRVCTLでのサービスの管理に関する項を参照してください。


  4. 適切なサービス目標に合わせサービスを変更します。

    SQL>EXECUTE DBMS_SERVICE.MODIFY_SERVICE (service_name => 'wcpedg.mycompany.com',goal => DBMS_SERVICE.GOAL_THROUGHPUT, clb_goal =>DBMS_SERVICE.CLB_GOAL_SHORT);
    

    または、

    SQL>EXECUTE DBMS_SERVICE.MODIFY_SERVICE (service_name => 'wcpedg.mycompany.com', goal => DBMS_SERVICE.GOAL_SERVICE_TIME, clb_goal =>DBMS_SERVICE.CLB_GOAL_SHORT);
    

5.3.2 11gリリース2 (11.2)データベース用のデータベース・サービスの作成

11gリリース2 (11.2)データベース・サービスを作成および変更するには、srvctlユーティリティを使用します。

  1. sqlplusにログオンし、サービスを作成します。

    sqlplus "sys/password as sysdba"
     
    SQL> EXECUTE DBMS_SERVICE.CREATE_SERVICE
    (SERVICE_NAME => 'wcpedg.mycompany.com',
    NETWORK_NAME => 'wcpedg.mycompany.com'
    ); 
    

    注意:

    Oracle RACデータベースのサービス名と、それに続けてドメイン名を小文字で入力します。例:

    wcpedg.mycompany.com



    注意:

    示したEXECUTE DBMS_SERVICEコマンドは1行に入力します。

    DBMS_SERVICEパッケージの詳細は、Oracle Database PL/SQLパッケージおよびタイプのリファレンスを参照してください。


  2. サービスをデータベースに追加し、srvctlを使用してインスタンスに割り当てます。

    srvctl add service -d wcdb -s wcpedg.mycompany.com -r wcdb1,wcdb2
    

    注意:

    SRVCTLを使用したデータベース・サービスの作成および管理の完全な手順については、『Oracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』のSRVCTLでのサービスの管理に関する項を参照してください。


  3. サービスを開始します。

    srvctl start service -d wcdb -s wcpedg.mycompany.com
    
  4. 適切なサービス目標に合わせサービスを変更します。

    srvctl modify service -d wcdb -s wcpedg.mycompany.com -B SERVICE_TIME -j SHORT
    

    または、

    srvctl modify service -d wcdb -s wcpedg.mycompany.com -B THROUGHPUT  -j SHORT
    

5.4 Oracle RACデータベースへのOracle Fusionメタデータ・リポジトリのロード

リポジトリ作成ユーティリティ(RCU)はRCUディストリビューションから入手できます。データベースのシードに使用されたRCUのパッチ・セット・レベルは、Oracle WebCenter Portalインストールのと一致している必要があります。つまり、このエンタープライズ・デプロイメントでOracle WebCenter Portal 11gR1 (11.1.1.8)をインストールする場合は、RCU 11gR1 (11.1.1.8)を使用する必要があります。

データベースにOracle Fusion Middlewareリポジトリをロードする手順は次のとおりです。

  1. リポジトリ作成ユーティリティ(RCU)のディストリビューションを開きます。

  2. RCUホーム・ディレクトリのbinディレクトリからRCUを起動します。

    cd RCU_Home/bin

    ./rcu

  3. 「ようこそ」画面で「次へ」をクリックします。

  4. 「リポジトリの作成」画面で、「作成」を選択してコンポーネント・スキーマをデータベースにロードします。「次へ」をクリックします。

  5. 「データベース接続の詳細」画面で、データベースの情報を正しく入力します。

    • データベース・タイプ: 「Oracle Database」を選択します。

    • ホスト名: データベースを実行しているノードの名前を入力します。Oracle RACデータベースの場合は、VIP名またはノード名のいずれかをホスト名(CUSTDBHOST1-VIP)として指定します。

    • ポート: データベースのポート番号を入力します: 1521

    • サービス名: データベースのサービス名(wcpedg.mycompany.com)を入力します。

    • ユーザー名: SYS

    • パスワード: SYSユーザーのパスワードを入力します。

    • ロール: SYSDBA

    「次へ」をクリックします。

  6. 接続しているデータベースにUTF8以外のCharsetが含まれていることを示す警告メッセージが表示された場合、多言語をサポートするためにこのデータベースを使用すると、データが失われることがあります。複数言語のサポートを求めない場合は続行できます。求める場合は、UTF-8データベースを使用することを強くお薦めします。

    「無視」または「停止」をクリックします。

  7. 「コンポーネントの選択」画面で、次の手順を実行します。

    1. 「接頭辞の新規作成」を選択して、データベース・スキーマに使用する接頭辞を入力します。たとえば、wcpedgです。接頭辞は、データベースで複数のリポジトリの論理グループを作成するために使用されます。詳細は、『Oracle Fusion Middleware Repository Creation Utilityユーザーズ・ガイド』を参照してください。

    2. 後で使用するため、スキーマ名をメモします。

    3. 次を選択します。

      • AS共通スキーマ

        - Metadata Services

      • SOAおよびBPMインフラストラクチャ:

        - SOAインフラストラクチャ

        - Business Activity Monitoring

        - ユーザー・メッセージング・サービス

      • WebCenter Portal(すべてのスキーマを選択):

        - スペースとサービス脚注 1 

        - ポートレット・プロデューサ

        - アクティビティ・グラフおよびAnalytics

        - ディスカッション


        注意:

        これによってMetadata Servicesも自動的に選択されます。


      • WebCenter Content:

        - Oracle WebCenter Content Server - 完了

    「次へ」をクリックします。

  8. 「スキーマ・パスワード」画面で、「補助スキーマにメイン・スキーマのパスワードを使用」を選択します。次の画面で、すべてのコンポーネントのスキーマ・パスワードを入力します。


    ヒント:

    スキーマ名を書き留めておきます。この情報は後続の手順で必要になります。


    「次へ」をクリックします。

  9. 「カスタム変数」画面で、分析およびアクティビティ・グラフにパーティション化を使用するかどうかを選択します。

    エンタープライズ・デプロイメントでは、パーティション化の使用はオプションです。「次へ」をクリックして、デフォルトの「N」を受け入れます。または、ご使用の環境でパーティション化を使用するためにパーティション化によるAnalyticsのインストール「Y」に設定して、「次へ」をクリックします。

  10. 「表領域のマップ」画面で、選択したコンポーネントの表領域を選択して「次へ」をクリックします。

    確認のダイアログが表示され、選択したスキーマに存在しない表領域が作成されるという内容のメッセージが表示されます。「OK」をクリックして、このメッセージを確認します。

  11. 「サマリー」画面で「作成」をクリックします。

  12. 「完了サマリー」画面で「閉じる」をクリックします。

  13. 追加した新しいユーザーでデータベースに接続し、必要なスキーマが作成されていることを確認します。

    ORACLE_HOME/bin/sqlplus
    

    たとえば、WCPEDG_WEBCENTERユーザーとしてログインし、パスワードを入力します。スキーマ・バージョンのレジストリを検索することで、簡単な確認を実行できます。

    -bash-3.00$ $ORACLE_HOME/bin/sqlplus WCPEDG_WEBCENTER/password as SYSDBA
    SQL> SELECT version, status FROM schema_version_registry where owner = 'WCPEDG_WEBCENTER';
    
    VERSION STATUS
    -----------------------------------------
    11.1.1.8.0 VALID
    

Oracle WSMポリシーとOWSM MDSスキーマについて

Oracle WSMがWebCenter Portalエンタープライズ・デプロイメントの一部として存在する場合、Oracle WSMポリシーの保存にアイデンティティ管理データベースを使用することをお薦めします。OWSM MDSスキーマに、他のSOAやWebCenter Portalスキーマに使用される情報ではなく、IMデータベース接続情報を使用します。データベースで必要なスキーマを作成するには、IMデータベース情報を使用して前述の手順を繰り返します(RCUを再度実行します)。ただし、手順7の「コンポーネントの選択」画面では「AS共通スキーマ: Metadata Services」のみを選択します。Oracle WSMポリシーの格納にアイデンティティ管理データベースを使用する方法の詳細は、第15項「エンタープライズ・デプロイメントとOracle Identity Managementの統合」を参照してください。

5.5 トランザクション・リカバリ権限のSOAスキーマの構成

WebLogic Serverコンテナのクラッシュ後、進行中のトランザクションをリカバリする際に、Oracle WebLogic Serverトランザクション・マネージャでトランザクション状態の情報を問い合せて該当するコマンド(commitやrollbackなど)を発行するには、適切なデータベース権限が必要です。

これらの権限は、RCU操作で決定されるsoainfraスキーマの所有者に付与する必要があります。

トランザクション・リカバリ権限用のSOAスキーマを構成するには:

  1. sysdba権限が付与されたユーザーとしてsqlplusにログオンします。例:

    sqlplus "/ as sysdba"
    
  2. 次のコマンドを入力します。

    SQL> Grant select on sys.dba_pending_transactions to wcpedg_soainfra;
    
    Grant succeeded.
     
    SQL> Grant force any transaction to wcpedg_soainfra;
     
    Grant succeeded.
     
    SQL> 
    

5.6 データベースのバックアップ

データベースにメタデータ・リポジトリをロードした後は、まずバックアップを実行し、その後でエンタープライズ・デプロイメント用ソフトウェアをインストールする必要があります。

データベースのバックアップは、今後の手順で問題が発生した場合に迅速なリカバリを行うために明示的に行います。この目的のためにデータベースのバックアップ戦略を使用することも、オペレーティング・システムのツールやRMANを使用して単純にバックアップすることもできます。特にデータベースがOracle ASMを使用して作成された場合は、データベースにOracle Recovery Managerを使用することをお薦めします。可能な場合、オペレーティング・システムのツール(tarなど)を使用してコールド・バックアップも実行できます。



脚注の凡例

脚注 1: 前のリリースでは、すぐに使用できるアプリケーションWebCenter Portalスペースと呼ばれていました。RCUの一部の画面では、前の名前で呼ばれています。