この章では、EMC DocumentumからOracle WebCenter Sitesにパブリッシュする手順について説明します。
この章は、次の項で構成されています。
EMC DocumentumからOracle WebCenter Sitesにパブリッシュするには、図62-1「Oracle WebCenter Sitesにパブリッシュするためのシステム・アーキテクチャ」に示すように、CIPコンポーネントのContent Integration AgentおよびSites Agent Servicesが必要です。
図62-1 Oracle WebCenter Sitesにパブリッシュするためのシステム・アーキテクチャ

この項は、次のトピックで構成されています。
Content Integration Agentを使用し、cipcommander publishコマンド、同期エンジン、およびmappings.xmlファイル(メタデータ・マップを提供)を介してソース・ワークスペースとターゲット・ワークスペースを同期します。Sites Agent Servicesは、同期プロセスを実行するためにContent Integration Agentが使用するWebインタフェースを公開します。パブリッシュ・セッションに続き、同期プロセスが自動的に実行されます。実装の詳細について次に示します。
初期同期
cipcommander publishコマンドが発行されると、同期エンジンは次の方法でメタデータおよび関連付けられたコンテンツをレプリケートすることにより、ソースおよびターゲットを初期化します。
mappings.xmlファイルを読み取ります。
cipcommander publishコマンドで指定されたDocumentumワークスペース(キャビネットまたはフォルダ)を参照します。
ワークスペースのオブジェクトを読み取り、それらにマップされたメタデータを取得します。
mappings.xmlファイルを使用して、メタデータをWebCenter Sites互換フォーマットに変換します。
WebCenter Sites互換メタデータを(Sites Agent Services経由で)WebCenter Sitesに格納します。
メタデータに関連付けられたバイナリ・オブジェクトのコンテンツをDocumentumから受け取ります。
このオブジェクトを(Sites Agent Services経由で)ターゲット・フレックス・ファミリに格納します。
データ・ソースの監視
初期同期に続いて、同期エンジンはパブリッシュされたキャビネットまたはフォルダの監視を開始し、自動的に(Sites Agent Services経由で)WebCenter Sitesに変更をレプリケートします。たとえば、パブリッシュされたメタデータに基づいたオブジェクトが監視対象キャビネットまたはフォルダ内で作成、変更または削除されると、同期エンジンは新規作成または変更されたオブジェクト、あるいはオブジェクトの削除をWebCenter Sitesにレプリケートします。メタデータ・スキーマが変更された場合、ワークスペースを再パブリッシュする必要があります。
統合のチューニング
Content Integration Agentには、catalog.xmlという名前の構成ファイルが含まれます。このファイルにはパブリッシュ・セッションに関する情報が格納されます。同期プロセスが初期化されたら、ファイル内で各種パラメータをチューニングできます。オブジェクトがアンパブリッシュされると、その情報はcatalog.xmlから削除されます。チューニングの詳細は、第62.3.1項「同期プロセスのチューニング」を参照してください。
パブリッシュおよび同期プロセスの成功は、CIPマッピング・フレームワークに依存しています。Documentumオブジェクトは、そのメタデータがマップされている場合、WebCenter Sitesにパブリッシュできます。パブリッシュのためのベーシック・マッピング・フレームワークには、Documentumフレックス・ファミリおよびmappings.xmlファイルの2つの構成可能なコンポーネントが含まれます。
Documentumフレックス・ファミリ
CIPに付属するDocumentumフレックス・ファミリは、パブリッシュされたオブジェクトとそれらのオブジェクト・タイプ定義をWebCenter Sitesアセットとして格納します。第65章「パブリッシュのためのデフォルトのマッピング仕様」で、フレックス・ファミリの仕様を説明しています。
作業を簡単にするため、デフォルトのフレックス・ファミリを使用することをお薦めします。独自のフレックス・ファミリを作成する必要がある場合は、『Oracle Fusion Middleware WebCenter Sites開発者ガイド』の手順を参照してください。フレックス・ファミリのモデルとして、このガイドの第65章「パブリッシュのためのデフォルトのマッピング仕様」を参照してください。
mappings.xml
デフォルトのmappings.xmlファイルには、次にリストされるマッピングを指定するdocumentum2csセクションが含まれています。
dm_folderタイプは、Documentumフレックス・ファミリ内のDocumentum_Folder;dm_folderにマップされます。ここで、
Documentum_Folderは、フォルダ・アセットを格納するフレックス親アセット・タイプです。
dm_folderは、フォルダ・タイプを定義する親定義(Documentum Parent Definitionタイプ)です。
dm_documentタイプは、Documentumフレックス・ファミリ内のDocumentum_Document;dm_documentにマップされます。ここで、
Documentum_Documentは、ドキュメント・アセットを格納するフレックス・アセット・タイプです。
dm_documentは、ドキュメント・タイプを定義する子定義(Documentum Child Definitionタイプ)です。
属性は<descriptor-mapping .../>タグでマップされます。属性は、次に示すようにDocumentum WebTopインタフェースのTypesノード下でリストされているとおりに名前が付けられます。
title
subject
keywords
r_version_label
r_full_content_size
マップ、パブリッシュおよび同期
パブリッシュを実行する際は、次のマッピング仕様に留意してください。
デフォルトのメタデータに基づいたDocumentumオブジェクトは、デフォルトのmappings.xmlファイルまたはDocumentumフレックス・ファミリのいずれも変更することなくWebCenter Sitesにパブリッシュできます。cipcommander publishコマンドを実行すると、指定されたワークスペースおよびそのサブフォルダがDocumentumフレックス・ファミリにフレックス親としてレプリケートされます。ドキュメントはフレックス子アセットとしてレプリケートされます。パブリッシュされたワークスペースは、その後同期エンジンにより監視されます。
カスタム・メタデータに基づいたオブジェクト(新規ドキュメント・タイプなど)をパブリッシュするには、まず少なくともフレックス・ファミリを新しいメタデータで更新することが必要になります。mappings.xmlファイルの更新は、メタデータの内容によって必要な場合と必要でない場合があります。カスタム・マッピングの詳細は、第62.2.2項「カスタマイズされたマッピングによるパブリッシュ」を参照してください。
この項は、次のトピックで構成されています。
この項では、デフォルトのmappings.xmlファイルおよびDocumentumフレックス・ファミリを使用して、キャビネットおよびフォルダをWebCenter Sitesにパブリッシュします。
デフォルト・マッピングによりパブリッシュするには:
Content Integration Agentを起動します。
|
注意: 『Oracle Fusion Middleware WebCenter Sitesインストレーション・ガイド』でポートを変更した場合は、新しいポートが |
CIPCommander実行可能ファイルを実行します(Content Integration Agentがインストールされたシステムのbinフォルダにあります)。
次のようにデフォルトのmappings.xmlファイルで指定されたタイプのオブジェクトをパブリッシュします(パブリッシュ・パラメータの定義については、表62-1「パブリッシュ・パラメータ」を参照してください)。
cipcommanderpublish <source_providerid> <target_providerid>-source_repname <cabinet_name>-source_path <path_in_cabinet>-target_repname <CS_content_management_site>-mapping <mapping_id>-replic_mode <full | new | updated>-bulk_resynch_interval <seconds>
例:
ImagesキャビネットをCIPDemoコンテンツ管理サイトにパブリッシュするには、次のように実行します。
cipcommander publish d7a96a63-e78c-407c-8d7f-e84988806e49 70b1e307-26a1-499c-9295-cf0b6bd01342-source_repname Images-source_path / -target_repname CIPDemo-mapping documentum2cs
Imagesキャビネット内の/Sample/TreesフォルダをCIPDemoコンテンツ管理サイトにパブリッシュするには、次のように実行します。
cipcommander publish d7a96a63-e78c-407c-8d7f-e84988806e49 70b1e307-26a1-499c-9295-cf0b6bd01342-source_repname Images-source_path /Sample/Trees-target_repname CIPDemo-mapping documentum2cs
パブリッシュ・セッションが終了すると、同期エンジンはパブリッシュされたオブジェクトの監視を開始します。
変更および削除がWebCenter Sitesにレプリケートされていることを確認します(たとえば、レプリケートされたオブジェクトの変更、監視対象オブジェクトへのフォルダおよびドキュメントの追加、およびドキュメントの削除など)。
オブジェクトはアンパブリッシュすることもできます。詳細は、第62.3.2項「アンパブリッシュ」を参照してください。
同期プロセスを最適化するには、第62.3.1項「同期プロセスのチューニング」を参照してください。
表62-1 パブリッシュ・パラメータ
| パブリッシュ・パラメータ | 必須 | 値 |
|---|---|---|
|
|
R |
DocumentumのプロバイダID:
|
|
|
R |
WebCenter SitesのプロバイダID:
|
|
|
R |
|
|
|
(
(パス内の最後のフォルダをパブリッシュする場合) |
|
|
|
R |
ターゲット・フレックス・ファミリが有効化されているコンテンツ管理サイト(WebCenter Sites上)の名前です。サイトの表示名をWebCenter Sites Advancedインタフェースの「管理」タブに表示されるとおりに入力してください。 |
|
|
R |
|
|
|
|
|
|
|
最適なパフォーマンスのために、監視対象フォルダに対する更新の頻度に合わせて同期間隔を設定してください。詳細は、第62.3.1項「同期プロセスのチューニング」を参照してください。 |
マップされていないメタデータに基づいたオブジェクトをパブリッシュする場合は、最初にオブジェクト・タイプをマップする必要があります。
カスタマイズされたマッピングによりパブリッシュするには:
作成したメタデータのタイプに応じて、次に示すマッピング・コンポーネントから関連するものを更新します(Documentumフレックス・ファミリを再使用することをお薦めします。mappings.xmlファイルはContent Integration Agentホスト上にあります)。
| 新規のメタデータ | 更新 | ガイドライン |
|---|---|---|
|
新規フォルダ・タイプ |
|
新規フォルダ・タイプに親定義を作成します(デフォルトの親定義は |
|
新規フォルダ・タイプ |
|
新規フォルダ・タイプをマップします( |
|
新規ドキュメント・タイプ |
|
新規ドキュメント・タイプに子定義を作成します(デフォルトの子定義は |
|
新規ドキュメント・タイプ |
|
新規フォルダ・タイプをマップします( |
|
新規ドキュメント属性 |
|
Documentumフレックス・ファミリに新規属性を追加します。 |
|
新規ドキュメント属性 |
|
新しい属性のマッピングは、その名前がソースとターゲットで異なる場合にのみ必要となります。 注意: 属性のマッピングが正しくない場合でもパブリッシュ・プロセスは停止されませんが、警告メッセージとログ・ファイルへのエントリが生成されます。 |
フレックス・フィルタを作成する場合は、対応するjarファイルをWebCenter SitesアプリケーションおよびSites Agent Servicesアプリケーションの両方に追加してください。
オブジェクトをパブリッシュします。手順については、第62.2項「パブリッシュ手順」を参照してください。
この項は、次のトピックで構成されています。
キャビネットまたはフォルダがパブリッシュされると、catalog.xmlはcipcommander publishコマンドのデータ・ポイントで更新されます。データ・ポイントはDocumentumおよびWebCenter Sitesシステムを(<workspace>タグ内で)識別し、レプリケーション設定を(<replication>タグ内で)指定します。
パブリッシュ・セッションの後、同期エンジンはcatalog.xmlを使用してパブリッシュされたキャビネット(フォルダ)を監視します。次のサンプル・ファイルでリストされているBulkResynchIntervalおよびReplicModeパラメータは、表62-1「パブリッシュ・パラメータ」で示すようにリセットできます(catalog.xmlファイルはContent Integration Agentサーバーのconfフォルダにあります)。
サンプルのcatalog.xml
<workspace id="41ce3f11-0411-46cb-b974-429162249462">
<provider-ref refid="d7a96a63-e78c-407c-8d7f-e84988806e49" />
<init-params>
<param name="repname">Documents</param>
<param name="path">/Images</param>
<param name="repid">0c000001800045fe</param>
<param name="itemid">0b0000018002c58e</param>
</init-params>
</workspace>
<workspace id="6af59904-c6a3-4588-af7b-76f1422d6c10">
<provider-ref refid="70b1e307-26a1-499c-9295-cf0b6bd01342" />
<init-params>
<param name="repname">FirstSiteII</param>
<param name="repid">68ef906a-6c59-406a-84c2-b73b098cdb93</param>
</init-params>
</workspace>
<replication>
<link id="332e73c8-e977-4ba4-85c2-d7636281e192">
<source-ref refid="41ce3f11-0411-46cb-b974-429162249462" />
<target-ref refid="6af59904-c6a3-4588-af7b-76f1422d6c10" />
<mapping-ref refid="documentum2cs" />
<init-params>
<param name="BulkResynchInterval">600</param>
<param name="ReplicMode">full</param>
<param name="IncrementalSyncDelay">10</param>
</init-params>
</link>
</replication>
cipcommander unpublishコマンドを実行することで、catalog.xmlおよびWebCenter Sitesからオブジェクトをアンパブリッシュできます。このコマンドは、パブリッシュされたオブジェクトに関連付けられたすべてのエントリのcatalog.xmlを消去します(サンプルのパブリケーション・エントリについては、「サンプルのcatalog.xml」内のサンプル・ファイルを参照してください)。-deleteパラメータは、WebCenter Sitesデータベースから同じエントリを削除します。
unpublishコマンドは、次の形式とパラメータを使用します。
cipcommander unpublish <parameters>
表62-2 アンパブリッシュ・パラメータ
| アンパブリッシュ・パラメータ | 説明 |
|---|---|
|
|
すべてのパブリケーション・エントリの |
|
|
選択されたパブリケーション・エントリの
|
|
|
有効な値: デフォルト値: |