この章では、WebCenter SitesのアセットをEMC Documentumにアーカイブする手順について説明します。
この章は、次の項で構成されています。
WebCenter SitesのアセットをEMC Documentumにアーカイブするには、図63-1「アーカイブのためのシステム・アーキテクチャ」に示されているコンポーネントが必要です。DocumentumオブジェクトをWebCenter Sitesにパブリッシュするプロセスに精通しているユーザーは、アーカイブが類似したプロセスであることがわかるでしょう。
パブリッシュとアーカイブの主な違いを次に示します。
アーカイブ・プロセスでは、Content Integration Agentはデータ・ソースとしてWebCenter SitesではなくContent Server (CS) DataStoreを処理します。CS DataStoreには、dm_folderタイプのDocumentumフォルダおよびfw_documentタイプのファイルにマップされるフォルダおよびファイル内のアセットが含まれます。アーカイブが有効な場合にWebCenter Sitesシステム内のアセットがリアルタイム宛先にパブリッシュされると、CS DataStoreが作成されます。
Content Integration Agentは、データをDocumentumに直接アーカイブします。ターゲット・システムにデータを格納するためにSites Agent Servicesコンポーネントを必要とすることはありません。
この項は、次のトピックで構成されています。
Content Integration Agentは、publishコマンド、同期エンジン、およびmappings.xmlファイル(メタデータ・マップを提供)を介してCS DataStoreとターゲットDocumentumフォルダを同期します。初期アーカイブ・セッションに続き、同期プロセスが自動的に実行されます。実装の詳細について次に示します。
初期同期
publishコマンドを発行すると、同期エンジンが呼び出され、CS DataStoreがDocumentumにアーカイブされて同期プロセスが初期化されます。完全な手順を次に示します(図63-1を参照)。
WebCenter Sitesのアセットは、アーカイブを有効にしてリアルタイム・パブリッシュされます。
CS DataStoreが作成されます。
publishコマンドを発行すると、同期エンジンが呼び出され、次が実行されます。
CS DataStore (publishコマンドで指定)の参照
CS DataStore内のファイルの読取り、そのメタデータの取得、および
mappings.xmlを使用したメタデータのDocumentum互換形式への変換
次に同期エンジンは、CS DataStoreファイルをターゲットDocumentumフォルダに格納します。
CS DataStoreの監視
初期化プロセスに続いて、同期エンジンはアーカイブされたCS DataStoreを監視し、自動的に変更をDocumentumターゲット・フォルダにレプリケートします。アーカイブされたメタデータに基づくアセットが監視対象のCS DataStoreで作成または変更されると(リアルタイム・パブリッシュ・プロセス時)、同期エンジンは新規または変更されたアセットをDocumentum上のターゲット・フォルダにレプリケートします。メタデータが変更された場合、mappings.xmlを再構成してCS DataStoreを再パブリッシュする必要があります。
統合のチューニング
Content Integration Agentには、catalog.xmlという名前の構成ファイルが含まれます。このファイルにはアーカイブ・セッションに関する情報が格納されており、同期間隔のチューニングを可能にします。チューニングの詳細は、第63.4項「同期プロセスのチューニング」を参照してください。
CS DataStoreには、dm_folderタイプのDocumentumフォルダおよびfw_documentタイプのファイルにマップされるフォルダおよびファイル内のWebCenter Sitesアセットが含まれます。アーカイブが有効な場合にアセットがリアルタイム宛先にパブリッシュされると、CS DataStoreが作成されます。エクスポート・パスは次のとおりです。
<CS DataStore = cs.pgexportfolder>/CIP_DataStore/<CS DataStore for Publishing Destination>
図63-3は、サンプルのCS DataStoreのアーカイブを示しています。
図63-4「サンプルのアセット・フォルダ」は、一般的なアセット・フォルダのコンテンツを示しています(458という名前の同じフォルダが図63-3「DocumentumにアーカイブされたサンプルのCS DataStore」にも表示されています)。図63-4に示される管理ファイルは隠しファイルであることに注意してください。これらのファイルは例示の目的でのみ表示されています。
アーカイブおよび同期プロセスの成功は、CIPマッピング・フレームワークに依存しています。CS DataStoreは、そのメタデータがマップされている場合、Documentumにアーカイブできます。ベーシック・マッピング・フレームワークには、Documentumワークスペースのオブジェクト・タイプおよびmappings.xmlファイルの2つの構成可能なコンポーネントが含まれます。
この項は、次のトピックで構成されています。
デフォルトのDocumentumターゲット・タイプはfw_assetおよびfw_documentumで、変更したりカスタム・タイプで置き換えたりすることができます。
デフォルトのmappings.xmlファイルには、次のマッピングを指定するdocumentum2csセクションが含まれています。
csds_FolderはCS DataStore内のすべてのフォルダのデータ・タイプです。タイプがcsds_Folderであるフォルダは、dm_folderタイプのDocumentumフォルダに次のようにマップされます。
<assettype-mappingsourceid="csds_Folder" targetid="dm_folder"id="Folder" extends="Item" />
csds_DocumentはCS DataStore内のすべてのファイル(main.xmlを除く)のデータ・タイプです。タイプがcsds_Documentであるファイルは、fw_documentタイプのDocumentumドキュメントにマップされます。
<assettype-mappingsourceid="csds_Document" targetid="fw_document"id="Document" extends="Item" />
csds_Assetは、main.xmlファイルのデータ・タイプで、アセットを定義します(図63-4「サンプルのアセット・フォルダ」を参照してください)。タイプがcsds_Assetであるファイルは、fw_assetタイプのDocumentumドキュメントにマップされます。
<assettype-mappingsourceid="csds_Asset" targetid="fw_asset"id="Asset" extends="Document">
csds_Assetドキュメント・タイプの属性は、次のようにDocumentum属性にマップされます。すべてのWebCenter Sites属性はシステム定義です。
datemodified属性は、前回のパブリッシュ日付を格納する特殊な属性です。日付は、CS DataStore内の対応するアセット・ファイルの前回の変更日付から取得されます。datemodified属性はDocumentum属性fw_publisheddateにマップされます。
アーカイブを実行する際は、次のマッピング仕様に留意してください。
デフォルトのマッピング: CS DataStoreはすべて、デフォルトのmappings.xmlファイルを変更することなくDocumentumにアーカイブできます。publishコマンドを実行すると、CS DataStoreがターゲットDocumentumフォルダにアーカイブされます。その後、ソースCS DataStoreが同期エンジンにより監視されます。リアルタイム・パブリッシュ・セッションによりCS DataStoreが更新されると、新規のアセットおよび変更されたアセットは、同期エンジンにより自動的にターゲットDocumentumフォルダにレプリケートされます。
カスタム・マッピング: 選択したアセット・タイプと定義を、独自のDocumentumオブジェクト・タイプにマップできます。手順については、第63.2.3項を参照してください。
第63.2.1項「WebCenter Sitesのアセットを格納するためのDocumentumシステムの準備」
第63.2.3項「mappings.xmlへのメタデータの追加」
第63.2.5項「DocumentumへのCS DataStoreのアーカイブ」
次の手順に従って、WebCenter Sitesのアセットを格納するようにDocumentumシステムを準備します。
WebCenter Sitesのアセットのキャビネット(例: FWCabinet)を作成します。
特定のアセットのフォルダ(例: WebSite1)を作成します。
イベント通知を構成している場合は、関連付けられたワークフロー・プロセスをDocumentumシステム上の任意の場所に保存します。
この手順では、WebCenter Sitesリアルタイム・パブリッシュ・システムを有効にして、CS DataStore内の選択したサイトを次のパスに従ってエクスポートします(第63.1.2項「CS DataStore」も参照してください)。
<CS DataStore=cs.pgexportfolder>/CIP_DataStore/<CSDataStore for Publishing Destination>
ここで、
<cs.pgexportfolder>はCS DataStoreのルート・ディレクトリを定義します(cs.pgexportfolderプロパティは、WebCenter Sites配信システム上のfuturetense.iniファイル内にあります)。
CIP_DataStoreは<cs.pgexportfolder>のデフォルトのサブディレクトリです。このディレクトリのサブフォルダはDocumentumにアーカイブされます。
<CSDataStore for Publishing Destination>は、パブリッシュされたサイトのアセットを保持するサブフォルダです。
CS DataStoreへのパスを構成するには:
配信システムのfuturetense.iniファイルでcs.pgexportfolderプロパティを設定することにより、CS DataStoreのルート・ディレクトリを構成します。
アーカイブをサポートするようにリアルタイム・パブリッシュ・プロセスを構成します。
第20章「リアルタイム・パブリッシュ・プロセスの構成」に示すように、パブリッシュを構成します。リアルタイム・パブリッシュがすでに構成されている場合は、第20章の「ソース・システムでのリアルタイム宛先定義の作成」から始めます。
「新規宛先の追加」フォームで、「他の引数」フィールドを次のように設定します。
ARCHIVETO=<CSDataStore for Publishing Destination>
|
注意: 少数のアセット(数千未満)をパブリッシュしており、それらのファイルをCS DataStore内の同じフォルダに格納したい場合は、 |
宛先データベースへのサイト構成データのミラーリングまでの手順を完了します。
mappings.xmlにカスタム・マッピングを追加するには、フレックス・アセット・タイプまたはベーシック・アセット・タイプのどちらをマッピングしているかに応じて、次の情報を含めてください。
フレックス・アセット・タイプの場合、sourceidは<asset type>;<Definition>の形を取ります。ベーシック・アセット・タイプの場合、sourceidは<asset type>の形を取ります。targetidは、対応するDocumentumオブジェクト・タイプを指定します。
次に例を示します。
アセット定義FSII Articleを持つContent_Cタイプのすべてのフレックス・アセットをfw_contentオブジェクト・タイプにマップするには、次の行をmappings.xmlに追加します。
<assettype-mapping sourceid="Content_C;FSII Article" targetid="fw_content" id="Content"></assettype-mapping>
FW_Articleタイプのすべてのベーシック・アセットをfw_articleオブジェクト・タイプにマップするには、次の行をmappings.xmlに追加します。
<assettype-mapping sourceid="FW_Article" targetid="fw_article" id="Article"></assettype-mapping>
コンテンツ管理サイトをパブリッシュして、指定されたパスでCS DataStoreが作成されていること(第63.2.2項「CS DataStoreへのパスの構成」時に)を確認します。
この手順では、CIP publishコマンドを実行し、<CS DataStore for Publishing Destination>をアーカイブして同期プロセスを初期化します。
|
注意: 『Oracle Fusion Middleware WebCenter Sitesインストレーション・ガイド』でポートを変更した場合は、新しいポートが |
Content Integration Agentを起動します。
CIPCommander実行可能ファイルを実行します(Content Integration Agentがインストールされているシステムのbinフォルダにあります)。
cipcommanderpublish <source_providerid> <target_providerid>-source_repid <path to data store>-target_repname <cabinet name>-target_path <path within the cabinet>-mapping <mapping_id>-bulk_resynch_interval <seconds>-handlerset csdatastore-create false-replic_mode updated
次に例を示します。
cipcommanderpublish 7833d862-4f8b-4285-84f2-731d5af81865 d7a96a63-e78c-407c-8d7f-e84988806e49-source_repid c:\temp\csdatastore-target_repname Archive-target_path /fatwire-mapping csds2documentum-bulk_resynch_interval 60-handlerset csdatastore-create false-replic_mode updated
表63-2 パブリッシュ・パラメータ
| パブリッシュ・パラメータ | 値 |
|---|---|
|
|
WebCenter SitesシステムのプロバイダID:
|
|
|
DocumentumシステムのプロバイダID:
|
|
|
ファイル・システム上の |
|
|
|
|
|
|
|
|
デフォルト値: |
|
|
デフォルト値: |
|
|
許容される値: |
|
|
ターゲット・リポジトリを作成するかどうかを指定します。 許容される値: |
|
|
どのタイプの変更をレプリケートするかを指定します。 許容される値: (新規および更新済アイテムのみがレプリケートされます。削除はレプリケートされません)。 |
Documentum上で、アーカイブされたアセットのディレクトリ構造を確認します。バックグラウンド情報については、第63.1.2項「CS DataStore」を参照してください。
WebCenter Sites配信システムでWebCenter Sites: Communityアプリケーションを実行しており、その訪問者が生成したコンテンツ(コメントおよびレビュー)をアーカイブする場合、配信システムから別のWebCenter Sitesシステム上のリアルタイム宛先にコンテンツをパブリッシュします(図63-5)。訪問者が生成したコンテンツをアーカイブする手順は、アセットをアーカイブする手順と同じです。
publishコマンドの実行後、アーカイブ・セッションは終了し、同期エンジンはソースCS DataStoreの監視を開始します。変更がDocumentumにレプリケートされたことを確認します。
変更がDocumentumにレプリケートされたことを確認するには:
パブリッシュされたコンテンツ管理サイト上でアセットを作成または変更します。
サイトを再パブリッシュして、同じ<CS DataStore for Publishing Destination>フォルダをエクスポートします。
ターゲットDocumentumフォルダで更新を探します。
publishコマンドが実行されると、CS DataStoreはDocumentumにアーカイブされ、catalog.xmlはpublishコマンドからのデータ・ポイントで更新されます。データ・ポイントはCS DataStoreおよびDocumentumシステムを(<workspace>タグ内で)識別し、CS DataStoreのレプリケーション設定を(<replication>タグ内で)指定します。
アーカイブ・セッションに続き、同期エンジンはパブリッシュされたCS DataStoreの監視を開始します。同期間隔は、catalog.xmlで再設定できます。表63-2「パブリッシュ・パラメータ」のBulkResynchIntervalを参照してください(catalog.xmlファイルはconfフォルダ内にあります)。
<workspace id="776a0536-1af8-4e10-9b55-ecb9cfd715b8">
<provider-ref refid="7833d862-4f8b-4285-84f2-731d5af81865" />
<init-params>
<param name="repid">C:\cs\export\CIP_datastore\DCTM</param>
<param name="repname"></param>
</init-params>
</workspace>
<workspace id="ae679aa2-572c-492a-b553-b7a866b60a2f">
<provider-ref refid="d7a96a63-e78c-407c-8d7f-e84988806e49" />
<init-params>
<param name="repname">Archive</param>
<param name="path">/FirstSiteII</param>
<param name="repid">0c0000018002bd87</param>
<param name="itemid">0b0000018002bd91</param>
</init-params>
</workspace>
<replication>
<link id="b5be4bc4-a8dc-4928-b3df-e0ac2851f4e4">
<source-ref refid="776a0536-1af8-4e10-9b55-ecb9cfd715b8" />
<target-ref refid="ae679aa2-572c-492a-b553-b7a866b60a2f" />
<mapping-ref refid="csds2documentum" />
<handlerset-ref refid="csdatastore" />
<init-params>
<param name="BulkResynchInterval">3</param>
<param name="ReplicMode">updated</param>
<param name="IncrementalSyncDelay">10</param>
</init-params>
</link>
</replication>