ヘッダーをスキップ
Oracle® Fusion Middleware WebCenter Sites管理者ガイド
11gリリース1 (11.1.1.8.0)
E49682-01
  ドキュメント・ライブラリへ移動
ライブラリ
製品リストへ移動
製品
目次へ移動
目次

前
 
次
 

50 WebCenter Contentの統合について

Oracle WebCenter Contentの統合機能(WCC統合とも呼ばれる)は、GUIで制御されるコネクタです。この機能によって、WebCenter Contentのコンテンツ・アイテムがWebCenter Sitesに同期され、そこでネイティブ・アセットとして管理されます。このアセットは、WebCenter Sitesで直接作成されたアセットと同様に編集、削除、プレビュー、リビジョン追跡、およびパブリッシュできます。

この章では、最初にWCC統合を使用するための前提条件について概説します。その後、コンテンツ同期を計画、設定および管理するための基本的な概念について説明します。

この章は、次の項で構成されています。

50.1 管理者の前提条件

WCC統合は、WebCenter ContentとWebCenter Sitesの知識を備えた、それらのデータ・モデルの使用に精通している管理者向けの機能です。前提条件には、コンテンツ・アイテム、レンディション、変換、およびWebCenter Contentで定義されたメタデータに関する明確な知識が含まれます。WebCenter Sitesのアセット・タイプ、特にフレックス・ファミリについても十分理解している必要があります。作業の重要な部分では、コンテンツ・アイテム・メタデータをアセット・タイプ属性にマッピングします。アセット・タイプを作成する必要がある場合は開発者とコラボレートします。

WebCenter Contentの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter Contentの使用』を参照してください。

50.2 WebCenter Contentの統合の基本

WCC統合では、WebCenter Contentとそのコンテンツ変換エンジンの変換機能が利用されます。具体的には、WCC統合は、WebCenter Contentのドキュメントおよびデジタル・アセット(イメージやビデオなど)をネイティブ・ファイル、レンディションおよびHTML変換としてWebCenter Sitesに同期するように設計されています。レンディションは、ネイティブ・ファイルのタイプおよび必要なレンディションに応じて、コア変換エンジンまたはDigital Asset Managerで作成できます。HTML変換はDynamic Converterによって生成されます。ファイル形式に制限はありません。コンテンツの変換の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter Contentの使用』を参照してください。

WCC統合を有効にして設定する方法を紹介する前に、その最も重要な概念について説明します。この概念は、WCC統合機能とこのガイドの章全体を通して使用されます。ここでは、WebCenter Contentのデータ・モデル、そのWebCenter Sitesのアセット・タイプへのマッピング、およびWebCenter Contentのポーリング時にコネクタを誘導するよう構成するルールについて説明します。詳細は、第50.3項「WebCenter Contentのデータ・モデル」および第50.4項「アセット・タイプのマッピングとコネクタ・ルール」を参照してください。

50.3 WebCenter Contentのデータ・モデル

WebCenter Contentのデータ・モデルはコンテンツ・アイテムと呼ばれるオブジェクトに基づいており、ここにネイティブ・ファイル、そのレンディション、変換、および関連付けられたメタデータなどの情報が保持されます。

初回実行時、WCCコネクタはネイティブ・ファイル、レンディション、変換、メタデータまたはそれらの組合せの最新リリース・バージョンをWebCenter Sitesにインポートします。インポートするコンテンツは、コネクタ・ルールとそれが指定するマッピングによって異なります。

その後、WebCenter Content上でコンテンツ・アイテムが変更されると、コネクタによって次回のセッション時にWebCenter Sitesに同期されます。更新されたコンテンツ・アイテムはWebCenter Sitesに再インポートされ、削除されたコンテンツ・アイテムは、その対応するアセットがWebCenter Sitesから削除されます(前回の同期セッション以降、それらのアセットへの依存性が作成されていない場合)。

インポートと同期は手動でトリガーすることも、時間に基づいて実行するようにスケジュールすることもできます。

同期は常にWebCenter ContentからWebCenter Sitesへの一方向です。WCC統合は、多対1のクライアント/サーバー・モデルをサポートします。任意の数のWebCenter Sitesクライアントを単一のWebCenter Contentインスタンスに接続できます。

WebCenter Contentのデータ・モデルの詳細は、Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter Contentの理解およびOracle WebCenter Content Dynamic Converter管理者ガイドを参照してください。

50.4 アセット・タイプのマッピングとコネクタ・ルール

管理対象アイテムは、WebCenter Contentではコンテンツ・アイテムと呼ばれ、WebCenter Sitesではアセットと呼ばれます。

WCC統合を使用する目的は、コンテンツ・アイテムをアセットとしてWebCenter Sitesにインポートし、コンテンツ・アイテムの更新に応じた同期を維持することです。同期が成功するかどうかは多くの要因に左右されますが、その大部分はターゲット・アセット・タイプに依存します。具体的には、コンテンツ・アイテム・メタデータのアセット・タイプ属性へのマッピング、ポーリング・セッションを通してコネクタで使用されるルール内のマッピングの構成、およびルールの優先順位の設定に依存します。

この項は、次のトピックで構成されています。

50.4.1 アセット・タイプのマッピング

ターゲット・アセット・タイプは作成または再利用できます。どのアセット・タイプをいくつ使用するかはコンテンツの要件によって異なります。ただし、次の最小限の要件があります。

  • ターゲット・アセット・タイプはフレックス・ファミリに属している必要があります。

  • ターゲット・アセット・タイプは少なくとも次の属性タイプを保持している必要があります。

    • WebCenter Contentで使用されるコンテンツ識別子メタデータ・フィールドにマップするコンテンツ識別子属性。詳細は、第50.4.1.1項「コンテンツ識別子属性」を参照してください。

    • インポートされたファイル(ネイティブ・ファイル、レンディション、変換またはそれらの任意の組合せ)を保持するためのコンテンツ記憶域属性。詳細は、第50.4.1.2項「コンテンツ記憶域属性」を参照してください。

    • アセットのプレビューが要件であること(一般のケース)を前提に、アセットのプレビューを有効にするためのテンプレート記憶域属性。

      テンプレート属性が作成される場合は、第50.4.1.3項「テンプレート属性」で説明しているように、動的に変換されたHTMLファイルとその参照先イメージをプレビューするためのテンプレート・コードに特に注意する必要があります。

  • 残りの要件は各ユーザーのニーズに固有であり、第50.4.1.4項「管理者定義の仕様」で概説しています。

50.4.1.1 コンテンツ識別子属性

WebCenter Contentでは各アイテムに一意のIDがあり、これはdDocNameという名前のデータベース・フィールドに格納されます(そして、アイテムの「コンテンツID」フィールドに表示されます)。デフォルトでは、dDocNamename属性にマップされます。WebCenter Sitesでアセットが作成されてコンテンツ・アイテムが格納されるたびに、そのコンテンツ・アイテムのdDocNameの値がアセットのname属性に記録されます。

dDocName (「コンテンツID」)はいくつかの方法で使用されます。この識別子を使用することで、WCCコネクタ(および管理者)は、アセットを調べて対応するコンテンツ・アイテムを確認することができます。また、コンテンツ・アイテムがWebCenter Sitesに同期されているかどうかをコネクタで判断し、コンテンツ・アイテムの作成、更新または削除に応じた新規アセットの作成、既存アセットの更新または削除を実行できます。

第54.2項「ユーザー構成可能なパラメータ」で説明しているように、dDocNamenameへのデフォルトのマッピングは変更できます。これは新しいシステムで、コネクタ・ルールが作成され最初の同期セッションが開始される前に1回だけ実行してください。

50.4.1.2 コンテンツ記憶域属性

コンテンツ・アイテムをファイルとしてWebCenter Sitesにインポートする場合は、ターゲット・アセット・タイプにファイルを受け入れるためのblob型属性(単一値または複数値のいずれか)が必要です。

動的に変換されるドキュメントにはいくつかの特別な処理が必要になります。これは、単一のネイティブ・ファイルのHTMLへの変換プロセスで複数のアーティファクトが生成されるためです。たとえば、テキストとグラフィックの両方を含む単一のMicrosoft Wordドキュメントは、(1)すべてのテキストを含むHTMLファイルと、(2)すべてのグラフィックを表すイメージ・ファイルの集合に変換されます。

HTMLとイメージ・ファイルは個別の属性にマップされます。HTMLファイルは単一値のblob型属性にマップされます。イメージ・ファイルは複数値のblob型属性にマップされます。第50.4.1.3項「テンプレート属性」で説明しているように、アセットをプレビューするためのテンプレート属性とテンプレートを構成する必要もあります。

50.4.1.3 テンプレート属性

通常、WebCenter Sitesのアセット・タイプには、アセットのプレビューをサポートするテンプレート属性があります。

特別な注意が必要なテンプレート

動的に変換されるHTMLファイルのテンプレートには、次の理由から特別な注意が必要です。

動的に変換されるHTMLファイルには、WebCenter Content形式のイメージ・リンクが含まれます。次に例を示します。

<img src="${wcmUrl('dcresource','20673.jpg')}" 
width="360" height="270" alt="2007_06240117.JPG" />

WebCenter Sitesでは${wcmUrl('dcresource','20673.jpg')}のような形式は認識されないため、このリンクをblobリンクに変換する必要があります。リンク形式の変換は、WebCenter Sitesの配布ファイルの/misc/Samples/WCCディレクトリにあるWccConversionPreview.jspという名前のサンプル・テンプレートに例示されています。開発者はサンプル・テンプレートをそのまま使用することも、そのロジックの一部をそれぞれのテンプレートに組み込むこともできます。サンプル・テンプレートは、表50-1に示すファイル記憶域属性の名前とともにハードコードされています。

表50-1 WccConversionPreview.jsp内の属性

属性名 データ型

html

blob

images

blob (M)


ターゲット・アセット・タイプの属性名がhtmlおよびimages以外の場合、開発者はサンプル・テンプレートWccConversionPreview.jspをターゲット・アセット・タイプ内で使用されている属性名で更新する必要があります。

50.4.1.4 管理者定義の仕様

第50.4.1.1項「コンテンツ識別子属性」第50.4.1.2項「コンテンツ記憶域属性」および第50.4.1.3項「テンプレート属性」で説明した必須の属性に加えて、ターゲット・アセット・タイプへの同期に必要なメタデータ用の属性を追加するオプションが用意されています。

ターゲット・アセット・タイプは、必要な数のコンテンツ管理サイトで有効にできます。同期セッション時、コンテンツ・アイテムはコネクタ・ルールに指定されたすべてのサイトのターゲット・アセット・タイプに同期されます。コネクタ・ルールの詳細は、第50.4.2項「コネクタ・ルール」を参照してください。

50.4.2 コネクタ・ルール

WCCコネクタには1つ以上のアクティブ(有効な)ルールが必要です。アクティブ・ルールがないと、コネクタはWebCenter Contentをポーリングできません。

アクティブ・ルールとは、実行時に従う必要のある、コネクタに対して有効な一連の命令です。ルールはWebCenter Sitesで構成されて有効化されます。これには、WebCenter Content上のどのメタデータをポーリングするか、どのターゲット・アセット・タイプを、そのターゲット・アセット・タイプが有効になっているどのコンテンツ管理サイトで起動するか、コンテンツ・アイテム・メタデータをどのようにアセット・タイプ属性にマップするかなどの命令が含まれます。コネクタはマップを使用して、取得した情報を格納する属性を決定します。

コネクタ・ルールを計画して構成する際は、以降の情報を考慮して、コンテンツ・アイテムが予期したとおりに処理されるようにしてください。

ルールおよびターゲット・アセット・タイプ

1つのコネクタ・ルールで選択できるターゲット・アセット・タイプは1つのみです。そのため、WebCenter Sitesに様々なコンテンツ・アイテムを同期する場合は複数のルールを作成することになります。次に例を示します。

  • 動的に変換されたHTMLファイルとその参照先イメージを単一のアセット・タイプにインポートする必要があるとします。この場合は、目的のターゲット・アセット・タイプを指定した単一のルールを作成し、HTMLファイルとそのイメージをhtml属性およびimages属性にマップします。

  • Microsoft Wordドキュメントおよび関連のないPDFファイルをインポートする必要があるとします。アセット・タイプには、docxファイル専用のアセット・タイプとpdfファイル専用のアセット・タイプがあります。この場合は、docxファイルを最初のアセット・タイプに同期するルールとpdfファイルを2番目のアセット・タイプに同期するルールの2つのルールを作成します。

アクティブ・ルールの優先順位の設定

同じコンテンツ・アイテムをそれぞれ異なるアセット・タイプにマップする複数のアクティブ・ルールがある場合、コネクタではそのコンテンツ・アイテムに最初に一致したルールのみが実行されます。ルールの実行順序によって、どのコンテンツ・アイテムがどのアセット・タイプに同期されるかが決まります。

たとえば、surfing.jpgsurfing.pngおよびskiing.pngという名前の新しいアイテムがあり、さらに次の2つのアクティブ・ルールがあるとします。

  • ルール1は、surfing.any_extensionアイテムをavisportsサイト上のImages_aviアセット・タイプにマップします。

  • ルール2は、pngアイテムをFirstSite II上のImages_FSIIアセット・タイプにマップします。

表50-2は、ルール1とルール2が異なる順序で実行されたときに、アイテムが2つのアセット・タイプに異なる方法で配布されることを示しています。目的の結果を得られるように、ルールに優先順位を設定する必要があります。

表50-2 アクティブ・コネクタ・ルールの順序により決定されるコンテンツの配布方法

アクティブ・ルール Images_aviターゲット・アセット・タイプ Images_FSIIアセット・タイプ

ルール1が最初に実行される場合

surfing.jpgsurfing.pngがこのアセット・タイプにインポートされます

skiing.pngがこのアセット・タイプにインポートされます

ルール2が最初に実行される場合

surfing.jpgがこのアセット・タイプにインポートされます

surfing.pngskiing.pngがこのアセット・タイプにインポートされます



注意:

ここでは、コネクタがルールを使用してコンテンツ・アイテムをWebCenter Sitesに同期する方法を詳しく説明します。

  1. コネクタは実行時、同期が有効な(または以前有効であった)新規および更新されたコンテンツ・アイテムを、次のように一度に1つずつ調べていきます。

    コンテンツ・アイテムのメタデータをルールのメタデータと比較します。一致するメタデータが見つからない場合は、次のアクティブ・ルールを使用して同じコンテンツ・アイテムを再テストします。

    一致するメタデータが見つかった場合は、ルールに指定されたレンディションに一致するレンディションを検索してコンテンツ・アイテムのテストを続行します。検索が完了すると、コネクタは(一致するレンディションが見つかったかどうかに関係なく)WebCenter Sitesに戻ります。

  2. WebCenter Sitesでは、コネクタがデータベース上で次のように動作します。

    ルールに指定されたターゲット・アセット・タイプを起動してアセットを作成し、ルールを使用してどのメタデータをどの属性にマップするか決定し、さらにメタデータ値とレンディション(ある場合)をアセットの属性にインポートします。

    インポートしたコンテンツ・アイテムが同期されると、コネクタは、そのコンテンツ・アイテムに対する他のすべてのルールを省略し、次のコンテンツ・アイテムのテストに移動して、手順1を開始します。


コンテンツ・アイテムのWebCenter Sitesへの再同期

WebCenter Sitesに同期されたコンテンツ・アイテムは、それがWebCenter Content上で変更(更新または削除)された場合のみ再同期されます。


注意:

WebCenter Sitesに同期されたコンテンツ・アイテムがWebCenter Contentから削除された場合は、前回の同期セッション以降そのアセットに依存性が作成されていなければ、対応するアセットがWebCenter Sitesから削除されます。


アクティブ・ルールの無効化および削除

アクティブ・ルールが無効化または削除された場合、そのルールによってWebCenter Sitesにインポートされたコンテンツ・アイテムはWebCenter Sitesに残ります。無効化されたルールはコネクタで無視されます。

その他の考慮事項

ルールの作成および管理は、コンテンツ同期の設定の一部にすぎません。完全な手順では、最初にWCC統合のいくつかの要素を有効にしてから(1回のみ操作します)、コンテンツ同期をサポートするようにそれらを構成します。詳細は、第50.5項「WebCenter Contentの統合とその要素」を参照してください。

50.5 WebCenter Contentの統合とその要素

WCC統合機能はいくつかの要素で構成されており、それらを最初に有効にしてからコンテンツ同期を設定および管理するように構成します。この要素は、SitesIntegrationコンポーネント、WCCコネクタ、およびコネクタを制御する「コネクタ管理者」タブです。

50.6 最初の手順

WebCenter Sitesにコンテンツをインポートするには、第51章「WebCenter Contentの統合機能の有効化」で説明しているように、コンテンツ同期をサポートするWCC統合の2つの要素を有効にする必要があります。最初の(1回のみ実行する)手順は、第51章「WebCenter Contentの統合機能の有効化」のすべての手順を完了する(または完了を確認する)ことです。詳細は次のとおりです。

  1. 第51.1項「SitesIntegrationコンポーネントの有効化」で説明しているように、WebCenter ContentのSitesIntegrationコンポーネントを有効にします。

  2. 第51.2項「「コネクタ管理者」タブへのアクセスの有効化」で説明しているように、WebCenter Sitesで管理者自身と他のユーザーの「コネクタ管理者」タブを有効にします。

第52章「コンテンツ同期の設定」で説明しているように、前述の手順が完了すると、システムでコンテンツ同期セッションを設定する準備が整います。